
2013年に試乗して記憶に残る車を振り返る、今日はジャガー・Fタイプ V6です。
8月に試乗しました。
ジャガーが久し振りに出した生粋のスポーツカー“Fタイプ”。
2シーターのソフトトップのロードスターで、ポルシェ・ボクスターがライバルでしょうか。
サイズは全長4470mm×全幅1925mm×全高1310mmで、車重はV6モデルで1710kg。
典型的なワイド&ローのスタイルです。
大きさの割りには重い車重がいかがなものかと。
エンジンにより2グレードに分かれ、3.0L V6スーチャが340ps/45.0kgm、4.0L V8スーチャが495ps/62.5kgmを発揮します。
装備などもV6とV8で多少異なりますが、外観上の一番大きな違いは、V6が中央2本出しマフラーであるのに対し、V8が左右2本の4本出しになることです。
ミッションはどちらもトルコン式8速AT。
価格はV6が950万円、V8が1250万円とそれなりに差があります。
フロントは写真で見る限りGT-Rにどことなく似ているようにも感じましたが、実際に見るとかなりシャープで筋肉質のGT-Rとはそもそもの方向性が違います。
アストンマーチン・DB7などのデザインで有名なイアン・カラムが手掛けただけあって、リアは独特の形状をしていて本当に記憶に残ります。
内装はジャガーらしく質感が高い。
ダイヤル式のミッションレバーではなく、BMWのようなシフトレバーになっていました。
ナビは相変わらずのDVDですが、アウディの純正ナビよりはよっぽど綺麗です。
収納スペースはかなり小さく、トランクに1泊2日分の荷物なら何とかと言ったところ。
ミッドシップなのでフロントにも積めるボクスターに負けています。
試乗した日は8月下旬の36℃にもなった日ですが、営業の人が「屋根を開けますか??」と聞いて来たので、「もちろんです!!」と元気良く答えました。
このクソ暑い真昼間に、オヤジ2人がオープンで走っているのですから、周りからは奇異に見えたことでしょう。
屋根の開閉はとても速く、わずか15秒程です。
しかし、他のメーカーに見られるような低走行中の開け閉めは出来なく、きちんとギアをパーキング状態にしなければなりません。
車高が低いため、見切りが良いとは決して言えません。
ステアリングは4.5万円のオプションのレザーステアリングでしたが、グリップ感がとても良く、積極的に選びたくなります。
シートはV6標準のレザーとスエードのコンビですが、見た目も座り心地も良く、わざわざフルレザーにする理由がありません。
英国車ですので右ハンドルの運転環境は全く問題が無く、ジャガーでわざわざ左ハンドルを選ぶのはどういう理由に因るのでしょうか。
動き出して瞬間的に感じるのがジャガーらしい上品さです。
全長が短いのに突き上げ感も少なく、これぞ猫足を感じさせました。
ボクスターは剛性の高さに物を言わせて障害物を跳ね除けるような足捌きを見せますが、Fタイプは滑らかに包み込み、いつの間にか障害物を越えていると言った印象。
何でこんなにジャガーの足回りは私に合うのでしょう。
加速フィールも素晴らしく、V6で全く不満を感じません。
特に試乗車は36万円のスポーツエグゾーストを付けていましたので、気持ち良いエンジン音を美しく奏でていました。
最初は低く、徐々に澄んだ高音に変わって行くこの音は一聴の価値があります。
屋根を開けていたので、風と共に舞い込む音色に酔いしれました。
ステアフィールやブレーキも問題なく、ジャガーが満を持してFタイプを世に送り出して来たのが分かる完成度です。
問題はあまりにも印象に残らないミッションです。
近頃の出来の良い他のミッションに比べると、レスポンスもスムースさもとにかく普通。
エンジンが良いため、却ってミッションの普通さが目立ちます。
また、かなりの高額車なのに、オートエアコンなどもオプションです。
平均的な乗り出し価格がV6で1150万円近いそうですので、ボクスターより911の方がライバルに近いと言えるかな。
ジャガーらしくキチンと煮詰め、ネガを潰したのが分かります。
価格は高いし、下取り価格も悪いでしょうが、それだけの価値はあると思います。
しかし、おそらく山道ではそれほど面白くないでしょう。
安定感や重厚感はありますが、軽快感には乏しいですから。
特に夜の都会を余裕を持ってクルージングするのが似合います。
雑誌の試乗記などを読むと、V8は更に素晴らしいそうですので、機会があれば是非乗って300万円の価格差が妥当かどうか検証したいと思います。
とにかくこの頃のジャガーはどの車種も完成度が高く、本当に私の身体に合っていますので、フランクフルトモーターショーでワールドプレミアされたジャガー初のSUV「C-X17」が次の愛車候補です!
