
ちょうど僕がチャールストンで足止めを食っていたときのこと。「トヨタがおかしなことを言い出したぞ!」というニュースが目に入りました。曰く、「アルミテープで車の走りが変わる」…なんだそりゃ?と思いつつ詳細を見てみると、どうも車の樹脂部分に帯電したままになっている静電気を逃がすことで空気の整流やらなんだかそのへんの効果を狙うものだとのこと。
ご存じない方がもしいたら、
このあたりが詳しいのではないかと思います。
あとは
このへんとか網羅的です。
これがもしS●Vが言っていて一個3万くらいするシールを売りつけようとしているのだとしたらまたまたご冗談をという話になるのですが、天下のトヨタがそんな脇の甘いことをするとも思えません。そしてあのコストダウン地獄のメーカーが2014年から決して上位グレードでないノアやヴォクシーなどにも採用しているとなれば、信憑性はいや増します。
それでも貼る場所が空気が通るフェンダー裏だというならまだしも、ステアリングコラム下とは…空気流れてないけどそもそも帯電するの?そこ…という疑問が。
当初はここについてはあまり情報が無かったのですが、最近の記事ではステアリングコラム下に貼るのは「サスペンションやステアリングコラムの帯電を放電」するため、とあります。
これはもう、試してみるほかないでしょう。
ですが僕は当時は海上の人でまだ700km以上の道程を残しておりましたので、仲間との雑談の種にはなりましたが実践はできませんでした。確か9/15とか16とかそのあたりのことです。
やがて日本に帰りまして、茂原や伊豆で遊んだときもルーテシアンな皆様と雑談には出ていたのですが、まだ誰も試してはいないようでした。
遊びながらも溜まった仕事を片付けているうちになかなか試せずに時が過ぎ、そうこうしていたら
藤風さんがWindでステアリングコラム下を試したというブログを見ました。
あ、そういえばやんなきゃ、ということで昨日早速アルミテープを買い込み、
テストしてみることにしました。
ええ、トヨタ純正ではありません。だって一枚500円とか…ベトナムだったらシャトーブリアンが食えますよ。
これは200cm×5cmで234円でした。
一応、シール側と表で通電するかを試します。ここが絶縁されていると効果がないと思われますが、一応近い場所なら通電していることが分かりましたのでよしとします。
そして「10km/hでも分かる人には分かる」と聞いておりましたので、まあ法定速度でも大丈夫なんだろう、足周りの変化を感じるならワインディングだけど平坦な道がいいに違いない、と判断し、そういう場所へ行きました。青梅市と飯能市の境あたりでそんな感じのコースが設定できます。
外側に貼るのはめんどくさかったので、とりあえずはまずステアリングコラムだけで試すことに。
まず、タイヤの空気圧を規定圧にしました。
それから全長2kmくらいの設定したコースを通常状態で一周し、それからステアリングコラムにアルミテープを貼り一周、その後剥がして一周しました。
結果・・・
何も変わらない・・・
貼った直後の一周はなんとなくハンドルがダルになった感じがしましたが、その後剥がしてみると気のせいであったことがわかりました。良い方向への変化を期待したために、期待した「いつもより早い」タイミングで反応がなかったためダルになったと感じたようです。プラシーボの逆のような現象ですねw
その後貼ったり剥がしたりを繰り返してみましたが、全く違いが分からず。
僕の感覚が鈍いのか、このアルミテープではダメなのか、ルーテシアRSには効果がないのか、そもそも嘘なのか…といった感じで一日目は終わりました。
さて、もともと怪しかったステアリングコラムはともかくとして、外気流による帯電を解消するというエクステリアの樹脂部分に貼るほうは、大いに気になります。
そこで、今日の午前中試してきました。
残ったアルミテープを全部使い、考えられるあらゆる場所に貼りました。
樹脂およびガラス部分にはだいたい貼り込んだかと思います。

フロントフェンダー左右1本ずつ

リアフェンダー左右1本ずつ+サイドリアウィンドウ左右

サイドウィンドウ4カ所x左右

フロントウィンドウ2カ所

F1ブレード4カ所

リアディフューザー2カ所

リアスポイラー1カ所

サイドミラー下左右
あとはステアリングコラム下にも貼り、2m弱(昨日使った分を除く)を使い切りました。
他に考えられるところはフロントのアンダーカバー、リアウィンドウくらいでしょうか。もうなんかぶつけられまくって応急処置ばっかしてる車みたいな哀れな姿になりました。
コースは試乗時やセッティングを変えたときに必ず走ることにしている「いつもの山道」です。某番組の「いつもの山坂道」よりもかなりタイトで短い距離で小さなカーブが連続する道です。
ちなみに貼る前に一本走っています。記事を熟読したら「(ステアリングコラムに)貼ってから15秒くらい経たないと分からない」とか「高速道路で分かりやすい」とか細かいことが書いてあったので、一応山道の前に1kmくらいの平坦な道も噛ませました。
さて、
<貼って、本日二本目>
走り出してみると、、いまいち分かりません。なんとなく静かになったような感じはありますが…。
そして山道にさしかかったのですが、ハンドリングは大して変わらないものの、若干スムースな印象を受けます。
イメージとしては車体が走り抜けるエアロゾルの粘性が低くなる感じだと思うのですが、顕著ではないものの若干そういう感じは受けます。なんとなくターンがシルキーになったような…
<ステアリングコラムのテープだけを剥がして三本目>
何も変わったようには思えませんでした。
<全部剥がして四本目>
一本目と二本目の違いはタイヤやエンジンが暖まったからという可能性は捨てきれないため、これも必ずやらねばなりません。ぺりぺりと全部剥がして走ってみると、明らかに風切り音がでかい…
ルーテシアは60km/hあたりでも結構風切り音がします。高速に乗るとかなり顕著です。Aピラーとサイドミラーのあたりからするようですが、これがアルミテープの有無でかなり変わりました。その後戻しての再検査はできていませんが(テープが無くなっちゃったので)、少なくともこの効果はあるのではないかと思います。
外気流が整流されているという以外の理由は・・・あるとしたらアルミテープの重みもしくは風の抵抗がテープで増した可能性はありますが、小さな破片くらいのものしか貼ってないのでおそらく整流されていると考えてよいと思います。だとしたら他の部分もそれなりに効果が出ているのかも。
<テストを終えたあと>
テストを終えて昼飯を食べにファミレスに行く途中、剥がしたアルミテープをステアリングコラム下に貼ったり剥がしたりしながら走ってみました。すると、、エンジン回転数が3000rpm付近でハンドルの向こうのセンターパネルから聞こえるビビリ音、いわゆる低級音と呼ばれるものと思いますが、この「一部」が消えることに気づきました。
全部消えるわけではないのですが、明らかに貼ったときと貼らないときとに差があります。
トヨタはステアリングコラムに帯電すると言っているわけですが、もしこれがビビリ音の原因の一部になっているのだとしたら、アルミテープがフェライトコアのような電流の整流効果を持っている?あるいはトヨタの言うようにサスペンションの耐電を軽減することで振動が減っている?
やはりいまいち納得がいきませんが、ハンドリングの違いは感じられなかったものの低級音が減るという副産物はありました。
<まとめ>
何らかの変化は認められるということは、少なくとも言えると思います。
あとはこれが好ましい変化かということです。あらゆるモディファイに言えることですが、変化があるということはバランスを崩すということです。それが好ましい方に変わればいいですが、ある一点で好ましい変化があったとしても(たとえば低級音が減った)、それが別の部分を悪い方向に変えるのだとしたらそれは好ましい変化とは言えないかも知れません。
そもそも僕は現在のルーテシアRSの足にほとんど不満を持っていないのですが、車の大先輩である皆さんの話を聞くにつけ、ルノースポールのマジックが驚異的なバランス調整の上に成り立っているのを感じます。おそらくそれはルノーや日産の開発者やウルゴン氏ほかルノースポールのチューナーの手腕なのでしょう。まずこれが崩れる可能性があることに不安を覚えます。
トヨタの車のようにこのテープありきで開発されたならいいですが、そうではない車の場合は副作用の危険性も考慮すべきと思います。特にハイパフォーマンス車ほど際どいチューニングで設定を追い込んでいるはずで、これを崩す覚悟というのは必要です。
とは言え…得られた効果はなかなか好ましいものでした。サイドミラー付近の風切り音が小さくなったり低級音が減るというのは心地よいものですし、空気の全体の粘性が減ると言ってもそこまで空気抵抗が下がるわけではありません。感覚としては標高がちょっと上がって気圧が下がり空気抵抗が減るけど単位容積あたりの酸素のモル数は変わらないというイメージ…と考えると結構いいですよね。そう考えると、リアスポイラーとリアディフューザーはその粘性も利用しているわけで、あそこには貼らないほうが良かったかもしれないですね。
ステアリングコラム下で音以外の変化が認められなかったのは、単にルーテシアRSはサスペンションの帯電がここまで通じていないだけかもしれませんし、そのあたりはもちろん車両によって違いが出るはずです。それにサスペンションって金属だと思うんですが、、、分からないなあ。
今後どうするか、はちょっと考えなくてはいけません。今回外側に貼ったのは剥がしやすいからという理由ですが、そもそもルーテシアは簡単にフェンダー裏にアクセスできるような構造になっていませんし、またフロントにもリアにもアンダーカバーがあるため、フェンダー裏に貼る効果は限定的かもしれません。
そして外側に貼る場合、このかっこ悪さは筆舌に尽くしがたいものがあります。
まあちょっと考えるほかないですね。