かなりご無沙汰してしまったので、近況などをば。
去年末にベトナム・ハノイに行きましたが、当地で僕を原付の後ろに乗せていろいろと連れて回ってくれた友人が3月末に母親を同伴で来日しまして、当然、ハノイで受けた恩を返さねばということで日本旅行の部分的なアテンドをしました。
桜を目当ての来日です。外国から桜を見に来る友人には、どうせ京都大阪東京を見るなら三月末に西から始めよというアドバイスをしています。
(米国人ならこれに広島がついたりする)
桜の満開になる時期は日本人でも直前にならないと予測不能のため、大阪から京都、東京 と北上すれば満開の桜を見られるチャンスが増えるからです。逆ルートだとすれ違いになりかねません。
日本の桜を見たことがない人は「どこで見るのが良いのか」「やはり京都が一番なのか」と訊いてきますが、京都の桜も良いでしょうが日本全国どの街にも良い花見スポットがあるので気にするな、とにかく満開を追え、と答えています。
大阪、宇治を経由して京都ではじっくり4日ほど時間をかけて清水寺、知恩院、三年坂、八坂神社、祇園、嵐山、金閣寺、二条城、伏見稲荷などなどと一通り観光をしたようです。
前回は大阪で一泊してましたが、京都を充実させたほうがいいという僕のアドバイスを汲んで大阪は大阪城程度に抑えて京都泊に回したそうです。
この間、僕のサポートはLINEなどを通じてオンラインでの手伝いしかしていません。と言っても宇治にいるときに列車の沿線火災があってJRから京阪奈良線への乗り換えの手伝いをしたくらいで、友人当人も言っていましたがここ2年で観光地の日本人の英語能力が各段に上がり、言語の壁で困ることはなくなりつつあります。また、英語版の乗り換え案内アプリなどの充実もあります。
JORUDAN乗り換え案内の英語版
Japan Transit Planner
iOS版
Android版
Google Mapsも京都のもつれたバスを乗り継ぐには便利です。
大阪、京都の後は富士山を見るというお決まりのコースで、2年前の前回は新幹線の新富士駅で降りて静岡と伊豆スカイラインから富士山を堪能したので、今回はインバウンド御用達の河口湖です。
前回は新幹線を新富士駅で降りてもらいましたが、今回は3/31に三島駅で待ち合わせをしました。新幹線はのぞみは止まりませんので、ひかりかこだまということになります。
新幹線のチケットは京都駅の窓口で事前に購入してもらいました。チケットレスで購入するにはスマホに専用アプリをダウンロードして予約するのですが、今回のように二人以上の旅で一人しかデータSIMを持っていない場合に、もう一人もスマホを持っていればテザリングでどうにかすることもできるでしょうが、改札で混乱することが目に見えていたので避けました。2019年度末から
一端末で複数チケットの購入ができるようにすると言っていますが、そんな機能最初から機能要件に盛り込んでおくべきでは?欧米人は小さい子連れの旅行もよくしますが、子どもにもスマホを持てと言う気だったんでしょうか…。
また飛行機が東京離発着で新幹線も往復買うような場合は、外国人には
JAPAN RAIL PASS が便利です。三万円くらいで7日間、新幹線のぞみ・みずほ以外のJR・JRバス・宮島フェリーなどが乗り放題になります。値段的に東京・京都を往復するならこれを選択するべきでしょう。しかし新大阪国際空港に降りて東京から帰るという片道の場合割高になります。
さて、早起きして海老名から三島に向かっていたときは富士も少し見えていたのですが、着いてみると雲に隠れてしまっていました。
残念ですが、三島で合流後まずは桜の名所ということで三嶋大社にお参り。
満開にはあと少しというところでしたが、京都は既に散りかけだったようなので友人もその母御も大変ご満足の様子。境内は桜目当ての客でごったがえしていました。外国人も目立ちましたね。
富士が見えたときと見えなかったときでプラン分けをしていたので、見えなかったときのプランBに移行します。
ランチのため沼津港へ。ここ一年よく沼津には来ていますが、欧米諸国と違いアジアからの訪日外国人は今でも刺身が食べられない人は結構います。友人の母御もそうで、そのため沼津自慢の地魚の海鮮丼や寿司は軒並みNG。
前日に悩んだ結果「
海女の台所」という店にしました。
ベトナム人は一般的にグリルした海鮮や肉を好みます。勝手な印象ですがベトナム人はイカがとても好きで、イカのホイル焼きがいたく気に入ったそうです。(皮を剥いて輪切りにし、肝と一緒にホイルに包んでグリルする、「ごろ焼き」とか「ちゃんちゃん焼き」などと呼ばれる漁師料理です。葱やもやしを入れても好し。)あとは日本のホタテはアジア人全般に人気があります。いずれにせよ近海物ではなさそうですが、彼らの目的は日本の食であって沼津湾の旬の魚介ではないので、まあよし…
母御はさすが50代の女性、観光市場でガンガンご近所へのお土産を買い込みます。干物や冷凍物はまだ後日程もありさすがにベトナムに持って行けないので避け、両手いっぱいにアオサのスープの素やイカの煎餅らしきものを買っていましたが、ご満足されたご様子。
友人は英語ができますが母御は英語も日本語もだめなので、基本的には友人に通訳して貰いますが、たまにGoogle翻訳アプリなどを使って会話というか意思の疎通をしていました。
沼津港から富士山を望むと、おお、少し雲が切れてきています。
彼らも富士山が見たくてここへ来ていますので、富士がよく見えたときのためのプランに入れていたいくつかの展望スポットから、少し遠い、富士へより近づいた場所をチョイスしました。
十里木高原展望台
40~50分ほどで着いてみると、思いの外展望台までの道が普通に山…
木組みの登山道がついているのですが、水で土が流されてしまっていてアスレチックのようになってしまっている部分もちらほら。そして何より、かなり急。息を切らしながら15分くらいかけて登ると、
旅行者にはなかなかこれ以上の富士は望めません。この時期早朝を逃すと雲を被ってしまうこともしばしばですので、午後に見られたのはラッキーでした。ただ、脚に不安のある場合はここはやめたほうがよさそう。ここに登らなくても富士山周辺を回っていればよく見える場所はいくらでもあります。
ただ、宝永火山が目の前にあるのでその規模がよくわかりました。さすがに宝永火山のことまで知っている外国人は少ないので、蘊蓄を披露すると喜ばれます。と言っても私も「1700年頃に噴火した」「東京まで火山灰が降った」くらいしか知らないんですが…
良き時間になったので、また急な山道を降りて車に戻りました。
母御はハノイ在住ですがベトナムの山岳地帯の出身だそうで、ひょいひょいと降りていきます。
今夜の彼らの宿はジョンレノンも泊まったという河口湖畔の
富士ビューホテル。富士屋ホテル系列なんですね。ですが、僕は実は泊まる予定でいなかったので(次の日の朝から合流しようかと思っていた)、数日前に急遽エアビーエヌビーで民泊を予約していました。
夕飯はホテルではなく、富士吉田市の焼肉店を予約していました。
ぎゅうぎゅう焼肉店
ここはかなり良い肉が食べられました。お勧めですが当日でも予約したほうがよさそう。
富士ビューホテルでびっくりしたのは宿泊者が滞在中自由に使えるスマホが各部屋にあったこと。ふーむこれはおもしろいですね。古いホテルですが内装もしっかりリフォームされていて、部屋に若干の狭さは感じましたが十分きれいで清潔でした。
僕のエアビーは
まいさんちというスーパーホスト*のドミトリー。個室もありますが、今回は一人だったので四人部屋のドミトリーを選択しました。
*スーパーホストとは、Air BnB で一定以上の評価を得たホストのことです。予約は取りにくいですがスーパーホストを選んでおけばまず失敗しません。
四人部屋の占有スペース。しきりはカーテンのみだが、高さは160cmほどあり窓から富士山も見えるし、快適。
河口湖駅の近くなので富士ビューホテルからは15分くらい。
僕は海外に較べて(といっても数軒しか泊まったことはありませんが)日本のAirBnBは空き家をついでに貸しているようなところが多くあまり良くないと思っていたのですが、ここは着いてみて驚きました。新築間もないのもありますが、清潔さ、設備、ホスピタリティー、ゲスト同士快適に過ごすためのルール作り等々どこを取っても申し分がない。民泊の勉強をしたければまいさんちに泊まるべきかと思いました。
これで一泊税込みでも3000円と言われると、富士スピードウェイの帰りに泊まりたくなってしまいそうです。
近所の温泉施設を日帰り入浴で利用したら完璧かも。
ドミトリーの他の客はほとんど外国人のようでしたが、疲れていたのと夜しなくてはいけない仕事があったので挨拶くらいで全く交流せず。(昼から晩までさんざん喋ってきたので今更英語でコミュニケーションをとりたい気にもならず…)ドミトリーの占有スペースも思いの外広く、共有スペースには深夜お腹が空いたときのためにスナックまで用意されているという念の入りよう。すばらしい。ここは文句なくお勧めです。今後友人に河口湖周辺で泊まる場所を聞かれたらここを推薦しようと思います。朝食もサービスで出ます。
談話室軒キッチンの広々とした共有スペース。
後ろを向くと畳も
エアビー初利用の方は
ここからアカウント登録すると5800円くらいのクーポンがもらえて、さらに実際に民泊を利用されるとなんと!僕にまでクーポンが来ますのでぜひこちらからどうぞ!
いい宿を探すコツは当たり前ですが口コミをよく読むことと、スーパーホストの宿を探すことです。特に海外では値段を抑えて中途半端なホテルに泊まるくらいなら、評判のいいエアビーのほうが僕は満足度が高いです。
さて、次の日。ルーテシアを買ってからFSWにちょくちょく行くようになって知ったのは、基本的に富士山を見るのは朝が勝負ということ。陽が昇って9時過ぎると見えなくなることが本当に多いです。
そんなわけでこの日も7:30に富士ビューホテルに迎えに行き、まずは西湖へ。
8時前に着きましたが既に釣り客にお立ち台は取られていました。
西湖西詰、
根場浜駐車場近辺
この後河口湖に戻るとこんな感じ。
やはり少し雲が出てきました。
今回のゲストはベトナムの人なので、彼らにとっては雪は珍しいものです。北部のサパあたりに行くとうっすら積もったりもするらしいですが、大量に積もった雪が珍しく是非見たいと思っている訪日アジア人は多いです。たとえばタイ、シンガポール、インドネシア、フィリピン、香港あたりの人は雪を見るだけでテンションが上がります。
友人は以前北海道に行ったのでさんざん見ていますが、それでも雪には格別の想いがあるそうで、母親にもぜひ見せたいと言われていました。そこで、富士スバルラインを行けるところまで登ることにしました。静岡県側の富士山スカイラインは夏まで閉鎖されていますが、こちら側は雪が少ないのか、四合目までは上がることができました。
四合目から上は積雪のため通行止めです。9時のゲートオープンに合わせて行ったつもりだったのですが四合目駐車場は既にバスだらけ。そして寒い!!雪が残っているのだから当たり前ですが、ゲストたちは除雪されずに残っている雪に喜び、ついでに寒さにも悲鳴を上げながら喜んでいました。僕には良さがよくわからない…
本格的に雲が出てきたので退散。
この二日後にフェラーリ488スパイダーが大破炎上する事故がありました。僕が登った当日は凍っているエリアもなく(ほんの少しだけ薄氷かも、という場所はありました)安全に登れましたが、その後雨が降ったのでかなり凍結していたのかも知れません。
ふもとまで降りて10時半頃。ここから次の行く先を検討しました。富士山が見えていれば
新倉山浅間公園に行きたかったですが、桜も全然咲いていないし富士山が隠れてしまったのでそのプランはナシ。夜は汐留に宿を取っているそうなので、鎌倉に寄っていくことにします。
鎌倉では着物レンタルというインバウンド向け商法王道中の王道に乗ります。御殿場に戻る間に雪がちらつき、茅ヶ崎で烏帽子という海鮮で有名な居酒屋ランチに寄りながら鎌倉に着くと、鶴岡八幡宮の参道に着いた時にはなんと土砂降りに。かなり諦めムードが漂いましたが、着物は予約してしまったので仕方なく着付けに。
お店は小町通りの
ここ。着物は何十万もするような高価なものがあるわけではないですが、ボロボロの中古ということもなくさしあたっては及第点かと。
店から出てみると、雨雲予報などを見ても絶望的かと思われていたのになんと雨が上がっています。このゲストの強運にはこれまでも驚かされてきましたが…。
まずは鶴岡八幡宮で少し撮った後、駐車場があり人が少ないところということで
妙本寺に移動しました。鎌倉では珍しく無料で駐車できる駐車場があるので助かるのですが、知らないとちょっと入りづらいですね。
ここは鎌倉在住の友人に以前教えてもらった寺で、海棠が有名です。桜もきれいに咲いていましたがカメラをがっしり構えた写真ガチ勢の目当ては海棠のようでした。僕らのような普通の観光客はあまり入ってこないので穴場と言えます。
本堂の広縁に上がるとモミジの新緑が先ほどの雨に濡れていて目に鮮やかでした。
ところでこのゲストは本業はグラフィックデザイナー兼フォトグラファー。アジア女性の例に漏れず自撮りには命を賭けています。おまけにPhotoshopのヘビーユーザーですので、これは鬼に金棒と言うもの。インスタはインフルエンサーというほどではないですが、丹念にレタッチされた写真でフォロワーを増やしています。
よく言われることですが日本人は化粧で変身しますが、中国や東南アジアの人たちは化粧や整形をすっとばしてデジタルで加工してしれっとしています。その方が当然安上がりで、ソーシャルネットワークの上であればそれで十分、皆がそうなら実際会って全然違っても問題無いわけです。この傾向は日本でもプリクラの無理矢理な補正などに慣らされていますから、いずれ日本も均質化されていくことは間違いないと思います。というか、若い世代ではもう十分そうなっているかもしれませんね。
僕が外国人のアテンドをしたり一緒に旅行に行ったりするのもそういう新しいSNS文化との接し方を知りたいということが理由の一つです。米国人は米国人で新しいツールを使って人と繋がるのがうまく、感心させられます。
で、この友人と一緒にいるとだいたい僕はひたすら彼女の写真を撮らされます。構図のとり方などで昔かなり怒られたのでこちらも慣れたもので、ざっくりと本人が構図を決めたあとびしばし撮っていきます。
ですが上述の理由で僕が撮って出しすると修正が浅くて怒られるのでモザイクかけておきます。
着物レンタルは予約したのが15時からで、返却は次の日でもいいんですが鎌倉に泊まるわけではないので店が閉まる17時半には返却しないといけませんでした。どのみち長く着ているものでもないので、十分満足できる時間でした。
その後鎌倉から横浜を経由して夜景を見つつ汐留のホテルに送り届けました。
帰宅した頃には日付が回っていてへとへとでしたが…ゲスト二人が喜んでくれたのでよしとしましょう。