奈良県高市郡高取町★「町家の雛めぐり」(第10回)を見物。
3月2日(木曜日)高取町にお雛様の展示がしてあるというので見に行ってきました。高取町は城マニアの人ならご存知かもしれませんが日本でも有数の山城があった場所です。高取町の「町家の雛めぐり」の行われる「土佐街道」は高取城の山麓にある城下町です。また高取町は製薬会社が多くあって「薬の町」としても有名です。
近鉄吉野線の「壺阪山」駅が最寄りの鉄道駅です。駅前の近くに大きな内裏雛(男雛、女雛)のモニュメントがあります。お雛様には内裏雛の配置の違いによって江戸雛と京雛とがあると言われています。向かって左に男雛があるのが「江戸雛」、向かって右側に男雛があるのが「京雛」だそうです。

みなさん何していらっしゃるんですか?
内裏雛のモニュメントの隣に大勢の村人や山羊や牛、犬などが・・・・と思ったらこれはどうやらカカシのようですね。
高取町は春にはひな祭り、秋にはかかし祭りのイベントで盛り上がっているそうです。

壺阪山駅の駅前あたりから緩やかな坂道が始まります。
少しづつですが上り道です。これが土佐街道です。この坂道をずっと歩いていくと高取山が見えてきます。さらに行けば山城へと登っていきます。土佐街道は両側が水路になっており道の両側に敷石が続いています。この敷石は阪神淡路大震災のときに出た神戸の路面電車の敷石をここに移したということです。
歩き始めてはじめてのお雛様のお出迎え。道路脇のガラス戸の中に入っていました。色紙にはお雛様にまつわるエピソードが書かれています。見物にこられたご婦人が思わず足を止めてご覧になっている姿が写り込みました。観客はご婦人方の小グループが多かったですね。

いかにも城下町らしい風格のある家の造りです。
漢方薬の販売店がありました。漢方薬も高取町で生産されています。こちらのお店もお雛様の展示をされているようです。ちょっと中へ失礼して・・・・・。

漢方薬店の座敷に飾られているお雛様です。
手前左に薬研、扱っている漢方薬の展示もありますね。見事なお雛様ですね。

右側にもお雛様が飾ってあります。柵に使ってある竹も見事です。高取町には竹林も多いそうです。
土佐街道を歩くと次々に雛飾りを展示されている家があります。
豆類を扱っておられる店なんでしょうか。
おばあちゃんが「どうぞ中へ」と案内してくれました。
どんなお雛様があるのでしょうか。
なんと豪華な二つのお雛様が飾ってありました。
ではご覧ください。

なんでもない普通の雑穀販売店のような感じの店ですね。
でもガラス戸を開けると店内は雅の世界に一変します。
あの時代、あのころへの・・・・・タイムトラベル!!
ちなみにこの家にはこのお婆さんよりもう少し高齢の女性もおられました。雛壇の横で椅子に座ってぢっとしておられました。最初店の中がよく見えないのでガラス戸越しに雛人形を撮影してみようかなとうろうろしていたらゆっくりと立ち上がってわざわざガラス戸を開けてくれました。
それまで中に人がいるとは思ってもみませんでしたので驚きました。
ほとんど寡黙で何もしゃべらないおばあさんでしたが後でこの表におられるおばあさんが奥から出てこられました。とても親切に撮影をさせていたけだけました。
説明文を見るとごお二人の別々のお雛様を並べて飾られているようです。
どうかお達者で!来年もまた高取へ来てお逢いしたいものと思いました。

最上段の家が天井につきそうなほどの豪華なお雛様ですね。
説明文を読むと日本の高度成長期の前、まだ日本が貧しい時代の昭和34年にこれだけ立派なお雛様を飾っておられたということです。高価なものではありません、と書いておられますが十分に高価なものだったと思います。大阪の松屋町筋というのはこういう人形などを扱う店が多かったのでしょうか。検索してみると大阪の松屋町(まっちゃまち)は人形店が多い商店街のようです。東京でいえば浅草橋のような感じでしょうか。

大阪で買われたお雛様のようです。ご両親の愛娘への想いが感じられます。火事で焼けなくてよかったですね。

左側にも豪華なお雛様があります。菱餅もあります。男の子だったけど子供の頃に母親が買ってくれて菱餅のお菓子を食べた記憶があります。

お雛様の思い出が紹介してあるのも高取町の「町家の雛めぐり」の特徴です。
親が娘に娘が結婚してまたわが娘に・・・・親子で代々娘の成長を祝って雛人形を送るという風習が続いてきたことがよくわかります。
奈良テレビで高取町の「町家の雛めぐり」を紹介するテレビ番組をたまたま見たのですが雛人形への親の愛情云々というレポートのあとでおばさんコメンテーターが「わたしは子供の頃に親が雛人形を買ってくれると言うので嫌だ刀を買ってくれと言いましてね、ほんと親不孝だったと思いますわ・・・・」と笑わせてました。
最後にこの媼二人が雛守りをされていた光景を詠んで一句。
酔うて春 雛(ひいな)媼の 万華鏡
俳句は勉強したことも詠んだことがありませんので大変失礼しました。

赤ひげ?時代劇に出てきそうな風格のある家ですがれっきとした開業医のお医者さんです。
こちらの豪壮な家は皮膚科病院。アトピー性皮膚炎をはじめとした慢性皮膚疾患の治療実績で有名なお医者さんということです。石川医院は本日休診のようですね。ちなみにこの立派な石川医院の玄関の門は高取城にあった新御殿(藩主下屋敷)の表門を移築したもので高取城の遺産です。

さまざまな薬草の道。
土佐街道には薬の町らしく薬草の豆知識が埋め込まれています。歩きながら勉強できるとはありがたいですね。どくだみとかいろんな薬草のプレートがあります。こいういう細部までの目配り、気配りが目立たないけれどよく行き届いています。さすが元2万5000石高取藩の城下町ですね。

昔はきっとこんなふうな山城の光景だったんだろうなあ。
高取城の復元予想図。これは奈良産業大学がつくった力作です。
いまは石垣が残っているそうです。
こんな山城だったら攻める気にもなりません。まあ難攻不落でしょう。
でも守る武士も山暮らしで不便でしょうね。
そこで山から降りて山裾に武家屋敷を作って暮らしたんだしょうね。
取り壊しされたのは残念ですね。城郭や天守閣が残っていればとんでもない高取町の財産だったのに。
近かったら登ってみようと思ってましたが甘い!
ここからまだ5キロ、しかも山登りです。
高取城登山はまた次回に挑戦してみたいと思います。

ところで奈良県なのになぜ「土佐」街道?
その疑問に答えてくれるのがこの木製の高札。
飛鳥時代に高取町に来た土佐の人達が帰ることがでいなくなり居着いた名残だという。土佐町という町名もそれが由来だそうです。
土佐街道は土佐人の望郷街道でもあるんですね。

城下町の雰囲気が漂う路地も多いですね。通りとか家とかでなくこの一帯が面として城下町の風情を漂わせています。やはり木造建築と黒い屋根瓦がいいですね。

土佐街道の中頃にある中心地の会場にある雛人形。17段で500体あるそうです。圧巻ですね。でも見るのはいいんですが主催者方は飾り付け片付けだけでも大変そう。なんでもこの雛めぐりの催事は町でも観光協会でもなく地元の高齢者が企画してボランティアで実行されているそうです。いまではたくさんの協賛企業も増えてますがカンパも募ってます。

全国の変わり雛のコレクション。幟のようなものが4つぶら下がってますが何でしょう?これは鹿児島にあるお雛様だそうです。お雛様を二次元にしたらこんな形状になるんでしょうね。家に古い綺麗な端切れのある人はこれを参考に壁飾りのような雛人形を自分で作ってみるのも一興でしょうね。

だんだん高取山が近くなると武家屋敷も見えてきました。

白壁がきれいな武家屋敷の長屋門。田塩家。左の二つの窓の格子が横向きです。

角度を変えて横格子の窓をよく見えるように撮影。坂道はだいたいこのあたりで終わりです。

田塩家の庭の樹木はなんでしょうか。たぶんほかにもあったんでしょうがこれだけ残っているんでしょうね。

これは家老様の屋敷だそうです。立派。
調べてみましたら高取藩筆頭家老の植村家のなまこ壁のある屋敷です。
パンフレットには「中世の面影を残す古い町並み 土佐街道から高取城跡へ」と書いてありました。その通りですね。この先を行けば高取山への登山道になります。

これは酒造家のお雛様です。武家屋敷あたりで折り返しまして見落としていたお雛様や横道を見ながら坂道をくだっていきます。

上の雛の説明です。

竹人形のようなお雛様。というか竹雛ですね。竹の色が変わっているのでかなり古いものでしょう。越前竹人形と言いますけど竹雛も昔からあるんでしょうね。

現代創作風の手毬や人形です。

現代作家のさまざまな展示があります。ここは「夢創館」という高取町観光案内所で無料の休憩所です。
「夢創館」の二階にすばらしいお雛様がありました。
写真は撮影禁止でしたので紹介できませんが素人目にも圧倒される極上品でした。
もし行かれるかたがありましたらぜひご覧になってください。
ただ階段が急なので気をつけてください。

竹の籠を製造、販売しているお店がありました。どれも軽くて使いやすそうです。柿渋の竹籠もありました。
ここで何の脈絡もないのですが土佐街道の一角でずっと二三人のおばさんが井戸端会議を大きな声で延々とやってまして聞くともなく聞こえてきたのはこんな会話でした。
「若いころは二年なんて何もたいして変わらないけども歳取ってからの二年は大変わりだよねえ」「そうだね」
年寄りは見た目ずっといつまでも年寄りの印象かもしれませんが肉体の衰えは二年も経つととんでもなく進行していきます。去年元気出歩いていた人が少し見ないうちに入院していたなんてことはザラにあります。
どこでも高齢化の問題は深刻なようです。

花嫁衣装と雛人形。凝ってますね。

上のお雛様の説明。四人姉妹に可愛がられたお雛様だそうです。

電線がなければもっと雰囲気がいいんだけど。
景観を整えるにはお金がかかりますね。

小嶋神社。石畳の沿道が趣があります。実はここが最も気に入りました。そういえば少し中心の道からは離れているせいか街歩きしている人は誰も来ませんね。ここはなんといっても景観がすばらしい。

向こうの霞んだ山は金剛山でしょう。写真には写ってないですが金剛山の右手のほうには葛城山も見えるはずです。左手の手前の山は高取山へ連なります。
すばらしい景観です。一時間見ていても見飽きないですね。

小嶋神社の参道より高取山を望む。広々とした眺めがすばらしい。今度は高取山の上から四方を見渡してみたいものです。

小嶋神社。沿道と鳥居を望む。手前左は文化財の奉納絵馬を保管する建物の門です。

土佐街道にクロスして横切る幼稚園から続く道です。小学校、中学校の征服を仕立てている店があるんですね。ちょうど幼稚園の下校時間らしく自転車に子どもを乗せたヤングママさんたちがこの道を通っていました。

門から屋敷まで遠い大きな家です。雛人形はありませんが花飾りで観光の人たちをお迎えしています。戸口の格子がなんともいえずいい風情ですね。

竹製品を売っている店。全部100円から300円まで。手作り感150%です。
高取町は竹が多いんですね。よくみると竹の中に紙の内裏様のある雛人形がありました。一個買いまいた。一番大きかったので300円です。ついでに中へ入ってみました。

これは楽しい。それぞれの表情がとてもユニークですね。