2022年11月20日
掃除や清掃は日本人にとっては身近なものだ。
掃除をするのは卑しい仕事で賤民の専業だなどという考えは日本人にはない。以前は学校で教室や廊下を掃除するのは生徒の仕事であった。いまはどうだろう。自らの学ぶ場所を自ら清掃するのは当たり前のこととして日本人は育ってきた。その心がもし失われているとしたら嘆かわしいことである。
今朝の産経新聞の「朝晴エッセー」という投稿コラムに「落葉の季節」と題して清掃についての短い文章が載っていた。そのなかに庭と道路を清掃した子供の頃に74歳になる投稿者が今は亡き母に言われた言葉が紹介されていた。
「お隣との境界きっかりにせんで一メートルくらい先まで掃くとよ」
私と他のけじめはルーズではいけない。当然である。だがこの場合はそういう公私のけじめという話ではない。他への心遣いの機微についての話である。
一メートルというのも微妙である。もしこれが全部隣家の前の道路も清掃してしまったら逆に嫌味に受け取れられかねないこともあろう。少し境界を超えてほどほどにしておくのも心遣いというものである。
昨今は隣家同士の揉め事も少なくない。隣家同士の境界をめぐって殺人事件さえおきる。私の知っている例では昔は親戚同士だった隣接する二軒が敷地の境界をめぐり裁判沙汰になった。
ここでふと思い出したのが「のりしろ」という言葉である。
子供の頃は学年別に月刊誌があって付録がたくさんついていた。その中に紙の工作物のような付録がほぼ毎回あった。紙を設計図を見て組み立てるのだが接着には糊を使う。その糊をつける部分に「のりしろ」と書いてあり青い線で囲ってあった。この糊代部分がないと二枚の紙はくっつかずばらばらのままで工作は完成しない。
そうしてみれば「糊代」というものは地味だが極めて重要な部分だと言える。
糊代は一方的なものではない。糊をつけた部分を貼られる側にも「糊代」があって初めて接着作業が完成する。「貼ります」「いいよ、ここに貼って」というわけだ。それが一方通行で自分の糊代に糊を塗って相手に了解もなく勝手に貼ったら揉めるだろう。
また「貼るよ」と言っても「嫌だ」と言われたら糊代の活用の仕方もない。
糊代は工作の範囲を超えてビジネス界でも使われている。
ネット検索してみると
「人や組織が柔軟に融通を利かせることのできる範囲のたとえ。遊び。ゆとり。「糊代が広い」「住宅ローン返済に糊代のある資金計画を立てる」
などと解説されている。本来の意味ではないがなんとなくわかる。
話を戻して道路の落ち葉を掃くついでに隣家の前を少し掃除する。これは隣家へのご挨拶、気遣い、というコミュニケーションの「糊代」というものだろう。と書いてコミュニケーション、という言葉に代わる日本語が思いつかない。意思疎通と書くのもぴったり感に乏しい。それはともかく言いたいことは日本では人と人との気遣い、心配り、思いやりなどという「心ののりしろ」が大切にされてきたと思うのである。
雨宿りで他所様の家の軒下を借りるといった風情も昔はあった。
しかし今そんなことをしたら「変な人が家の前にいます」と警察へ通報されかねない。
政府の日本植民地化政策により外人も増えている。
「多文化共生」だの「異文化共存」だの言うがそれはおかしい。
共存も共生もできないからこそ「文化」という独自性があるのであって「共用」できるものは一括りに「文明」と呼ばれる。
いまの日本で外人犯罪が多発する現状は「他文化強制」社会による歪である。
「心の糊代」などという日本文化を異文化で育った外人に求めたりしても理解不能というものだ。
シナ人留学生を長年にわたってお世話してきた篤志家が当のシナ人留学生に金銭強奪目的で殺害された事件を忘れることはできない。
いま尖閣海域へシナの公船と称する武装軍艦が毎日侵入している。
これは隣家の落葉を少しだけ掃く日本人流の思いやり文化とは異質のものである。隣国へ毎日侵入しているのはそこがシナの領土領海だと世界へ示すための実績づくり、侵略工作そのものであるというのが実際である。
シナ人の糊代というのは他人の領分を奪うための手がかりなのである。
日本は外交においては基本は友好であり配慮を怠らない。
だが相手がどんな相手かを踏まえた対外個別対応が当然ながら必要である。泥棒には泥棒向きの対応を、強盗には強盗向きの対応をしないといけないし、常日頃からそういう備えをしておかないといけない。また泥棒に対して家の内から鍵を開ける輩がいないとも限らない。
獅子身中の虫を退治し駆除する警戒心も忘れてはいけない。そうした万全の備えの上で、日本人は隣家の前を少し清掃する「心の糊代」文化を持ち続けたいものである。
せっかく落葉を掃くという風情を題材にしながら無骨な内容になってしまった。それも激動のご時世のゆえであるとご寛恕のほどをお願いしたい。
Posted at 2022/11/20 10:23:12 | |
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