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角鹿のブログ一覧

2015年01月14日 イイね!

水分(みくまり)神社。




 
 「古事記」によれば、天上世界の高天原より、神々が日本列島の国土をつくられた。
  国土の平定が終わると、天照大神の命令により、天照大神の孫が、九州、日向の高千穂峰に降り立った。この、天照大神の孫の子の息子が、 高千穂で生まれた初代天皇の「神武天皇」であると、「古事記」には、書かれている。
 つまり、神武天皇は、天照大神にとっては、孫の孫、ということになる。
 天皇家の皇祖神は、「天照大神」であるという神話の系譜は、ここに、根拠をもっている。
 
 その後、神武天皇は、東方遠征を行い、次々に各地の国神を打ち破って日本を征服し、大和(現在の奈良県)に入る。そこから、天皇家の歴史物語が、始まっていく。
 神武天皇の東征のコースは、福岡、瀬戸内海を船で移動して広島から岡山、そこから河内、生駒、大阪と畿内へ進むが、抵抗にあって海路で南下。和歌山県新宮で紀伊半島に上陸。熊野で神武天皇は三本脚の八咫烏(やたがらす)に先導されて、無事に山越えをして、宇田から、吉野にはいる。そこから、北上して、大和へ入ることになる。
 吉野町には、この、故事にちなんだ、「八咫烏」という地酒がある。
   
 神武天皇は、この熊野から吉野を通る、紀伊半島北上のコースの中において、現在の奈良県吉野町を通過したとされている。
 吉野町には、飯貝という古い地名が残っている。
 この地名の由来が、神武天皇の東征神話と、深い関係がある。
 神武天皇が、吉野に来た時、光る井戸の中から、尾の生えた人物が現れ、「自分は、この地の国神の井氷鹿(いひか)だ」と、名乗った。これが、吉野首の祖先であると、「古事記」に書かれている。このことから、江戸時代の国学者、本居宣長は、神武天皇が、この井氷鹿(井光)に、出会った場所が、現在の吉野町飯貝だろう、と、著書「古事記伝」に記している。
 本居宣長は、「井光(いひかり)・井氷鹿(いひか)」が、訛って飯貝(いいがい)になったのだろう、と推測し、飯貝という、地名を、「古事記」の「井光」に、比定している。
 なぜ、「井光」が、わざわざ、元の字を捨てて、「飯貝」に、なったのか?
 そのあたりは、わからないのだが、地元は、本居宣長説をありがたくいただいて、飯貝=井光で、何の問題もないようだ。
 その証拠に、飯貝には、神話時代の話ではあるが、この、「井光の井戸」があったという場所が現実に存在する。現在、飯貝にある「水分神社(みくまりじんじゃ)」と、言われている古い神社が、それだ。
 そこで、この「水分神社」に散歩がてら、行ってみた。
 吉野山にも、立派な水分神社があるのだが、このあたりには、各所に、水分神社がある。吉野は、奈良時代には、すでにあった大和水分神社信仰の本拠地でもある。
 神社本殿へ至る坂道を上るのは、けっこうきつい。
 このあたりは、平地という地形は、ほとんどない。畑も、ほとんど、山を拓いて作っている。急な坂道を登り降りしないと、山の畑で作業することはできない。下から見ると、首が痛くなるほど見上げるほどの場所に、段々畑がある。
 家の前にいた、70歳あるいは、80歳かと、思うほどのお年寄りに、「あんな高い場所の畑まで、行くんですか?」と、聞いてみた。
 「もう、何十年も、ずっとですわ」と、事もなげに、言った。
 「でも、あんな、坂道を・・・・」
 「馴れですわ」
  その一言に、返す言葉もなかった。 
  そのことを、思えば、神社への坂道で、早くも顎を出している自分が、情けない。
  
 この時分、なにしろ、真冬なので、花も咲いてなければ、緑もなく、寒々しい光景しかない。
 春になれば、このあたり、山桜も咲き、さながら桃源郷である。
 だが、今日のところは、厳しい寒さの、吉野の冬景色だ。
 神武天皇の厳しい東征の闘いを振り返るには、ちょうど、いい季節なのかもしれない。
 「馴れですわ」
 あの、道端で聞いたお年寄りの言葉を、何度も反芻しながら、神社への急坂の参道を登った。


  
    
 ■飯貝の町内から、山側に入ると、すぐに水分神社(みくまりじんじゃ)へ至る石の鳥居がある。かなり、古いものだ。両側は、民家であり、山から流れくだる水量の多い小川が、年中、枯れることはない。

 
 
 ■鳥居の前に狛犬があり、その前に、石の道標がある。左、「いせ」「はせ」「おかでら」の文字が判読できる。「いせ」は、「伊勢」で、吉野町の中心部に、伊勢神社へ至る伊勢街道が、通っている。「はせ」「おかでら」は、長谷寺、岡寺の、ことだろうか?

 
 
■鳥居から、山道を上る参道がある。右側の坂道が、参道。その右にも、人家がある。家は、斜面に建てられているため、石垣で基礎がつくってある。






■高度をあげていくと、また。鳥居がある。そこから、上が、境内ということになるのだろう。なにしろ、山の斜面に、ある神社なので、険しく、狭い境内である。


 
 ■この鳥居の脇に、木製の碑文があり、井光の説話と本居宣長の飯貝についての説が、紹介されている。


   
 ■「天照皇大神宮 遥拝所」。


 
 
 ■神社本殿と、脇の社殿。左右の二つの赤い屋根の構造物は、新しいもので、本来の古い社殿を保護するために、覆いとして作られているような印象がある。


 
 ■神社への寄付をした人の名前が彫り込まれている石柵。名前も、判読が難しいいほど、風化が進んでいる。

   
   


 ■神社の上から、登ってきた参道を見下ろす。



 ■かなり傾斜がきつい参道を下ると、景色が広がる。向こうの山の手前に、吉野川が流れている。





●音楽●伝統音楽デジタルライブラリー
 尺八演奏 「月光弄笛」 (福田蘭童作曲) 演奏者  山口 賢治氏 
Posted at 2015/01/14 21:19:07 | コメント(2) | トラックバック(0) | 身辺雑記 | 日記

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「外国人の「外国免許切替(外免切替)」制度をめぐり短期滞在者がホテルの住所で日本の免許を取得することについて、ホテル滞在による「支障は把握していない」とする初の答弁書を閣議決定した。それで良いということだ。
日本保守党の竹上裕子衆院議員の質問主意書に25日付で答えた。無責任だろ。」
何シテル?   05/18 14:14
 趣味は囲碁、将棋、麻雀、釣り、旅行、俳句、木工、漆絵、尺八など。 奈良、京都、大阪、和歌山の神社仏閣の参拝。多すぎて回りきれません。  奈良では東大寺の大...
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