2007年08月30日
その存在に気付いたのは三年ほどまえで、トラックドライバーという仕事にゆとりができた頃だろうか。
まとまったお金が必要になったため、この仕事を始めたのだが理由(わけ)を聞かず雇ってくれたお礼のつもりで一年だけのつもりで続けた。
が手抜きを許せない性格が災いしてずるずると時間(とき)が過ぎてしまった。
まあ、それまでは雇われドライバーとしての惰性と与えられた仕事をこなすだけの毎日だった。目標も無くなり、自由な立場となった今は、納得できることややりがいが自分を動かしている。
今日もコストダウンを旗印に明け方にかけて深夜割引を見込んだ定期便の仲間が走っている。
五百メートルほど向こうを「りく」さんの車が先行している。
その向こうには誰もいないと車載装置が告げている。いるとしたら随分と古い車か。
眠気を防ぐためにわずかに右に切り、戻した。
りくさんの向こうに屋根が赤っぽい白のワンボックスがいた。
目覚ましを言い訳に前方監視装置でスキャンをかけた。やはりいない。
が右にちょっと寄せると確かにいる。明け方の霧が漂う峠をこえると見失った。
次の木曜日、同じ場所で同じく「りく」さんの前をそいつが走っているのを見た。りくさんとは、話をつけてあって、こちらから確認したらフォグを点滅させて合図することになっている。
りくさんは、それが見えていれば、ストップランプを短く数回点滅させることになっていた。見えていなければ、ライトを消すという過激な合図である。
ヘッドライトが消えた。当然ながらテールライトも消えて、そのむこうにぼんやりとワンボックスが浮かび上がっている。下り坂なのに浮き上がっている車体には、タイヤが無かったように見えた。
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つづくかも
Posted at 2007/08/30 22:30:14 | |
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