2007年09月06日
二日ほど前の夕食中に「手伝ってくれる?」というせりふが浮かび上がった。
んで、@kansaiの面々を配役に割り当てていくとぴったり来る人が多かったので
苦しむことも無く仕上げは速かったです。
皆さんのブログを参考にさせていただいておりますので、今後ともよろしくお願いします。
ちなみに、シリーズ化できそうです。
Posted at 2007/09/06 21:38:25 | |
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2007年09月06日
「手伝ってくれる?」舞妓のような衣装、見た目30代の女が声をかけてきた。
祇園裏通りの工事現場警備に朝から立ち尽くし
水分補給をすれどもすれども片っ端から抜けていく感覚に
半ばやけになってフラッシュライトを仕込んだ警棒で剣道の素振りをしていたのだが…。(来週は昇段試験だし)
「なんすか」
「五分でいいのよ」
「いま、仕事ナンすけど」
「じゃあね、こんや9時。伏見の河童カントリーの裏にきてよ。これは前金」
といって銀貨のようなものを3個右手に掴まされた。
銀貨に目を取られた隙に女は居なくなった。
あのへんには駐車場が極端に少ない。ので、マイ自転車、て云うか
ママチャリを飛ばしていけない距離ではない。
夕方になった。銀貨は、ネットで検索すると江戸時代末期に流通していたものらしい。
買い取り価格は、6500円。ということは3個で2万円くらいか。5分の時給にしては悪くない。
ま、その調べが付くまでは行く気にもならずに超合金のおもちゃと思ってたくらいだった。
シャワーを浴びて塩をひと舐めし作務衣に着替えエビアンを前籠に放り込んで伏見に向かう。途中の東組町にある玄屋によって腹ごしらえをした。
玄屋をでると南に一直線。迷うはずが無い。
少し早いと思いつつ大手筋通りを横切った。
「 めん」という声が聞こえたように思った。
無意識に面を打たれまいと自転車を放り投げた。
刹那に竹刀とは違う硬質の風が首筋のあった位置をなぎ払っていった。
すぐに立ち上がって周りを見回した。
思い出したように救急車が遠くを走っている。
自転車を投げなかった場合のことも考えつつエビアンを戻して
河童カントリーに着いた。
「ちょうどいいのを着てきたじゃない」と女の声がした。昼間の女だ。
「黄色のジャージでこられたらどうしようかと思ったのよ」
「いつもこれきてますし…」
「これを持って」黒い備長炭のようなものを持たされた。
「それからこれ」といって縞の袋を渡された。
「さっきは、ちゃんと避けられたみたいね。としたら防御は、
簡単なハチガネだけで十分ね。」
「獲物は、これね」とジャンプ傘くらいの木刀を渡される。
さすがに心配になって「強盗すか?」と尋ねた。
「ちがうわよ。人助け」
「木刀にハチガネといえば誰かを襲撃するんじゃないですか」
「逆ね。護るのよ」
「その備長炭を横に咥えて」という声が聞こえるまもなくわき道に引きずり込まれた。
おぼれ…た。と思ったら備長炭から新鮮な空気が流れてきた。
どうやら寺田屋の裏手に流れ着いたようだ。
「いいわね、竜馬を襲撃する5分前なの。5分間だけ、相手の動きを微妙に止めるのよ。
お龍さんが騒ぎ出すはずだから、それまで持たせるの。いい?」
真顔でうなずいた。
水路の脇から土手に上がりあたりを見回しつつ木刀を上下に振った。
右手に覚えさせるためだ。万一の場合に備えて左手にも馴染ませる。
この仕草は、映画のエキストラをしたとき殺陣師が面白半分で教えてくれた。
辺りには、明らかに侍とわかるもの数人と逃亡を防ぐために雇われた助っ人がいた。
大阪弁丸出しで助っ人代の話をしている。
二匹の犬が同時に吠えた。
まさか白犬と思うと妙におかしくなって緊張感がほぐれた。
ポケットに手を突っ込むと、ラーメンのつり銭に手が触れた。
迷わず侍の背後に投げた。甲高い音がして振り返ったそいつのアキレス腱を軽く突く。
(これは先輩の教え通り)
襲撃直前なので声も出せずにうめいている。
つづいて気付いた奴の背後から首筋を左手でつかみ右の脇腹に一発見舞う。
風呂場の場所はわかっている。
戦うことより気付かせることが優先だ。ルートがあればなんとか逃げ切るだろう。
歴史上でも逃げ切っているのがわかっている。
一人を悶絶させて風呂場の格子窓に押しつける。格子模様の顔にお竜さんが気付いた。
バタバタ走る音を聞いて勢いを付けて川に投げ込む。
それが合図になったのか寺田屋に踏み込む音がしはじめた。
踏み込んだ本隊の援護を遅らせるため裏手に回って伏せていたのを大声で気付かせる。
注意を引きつつ、寺田屋から引き離す。
相手は真剣なのだが、不思議と刃先が見えていて恐怖感はない。
現代でいうと玄屋あたりまで引き連れておいて、全員悶絶させて引き返した。
(走るの速!)
一本西の通りを竜馬が走って行く影が見えた。
(バイト終了ってか。)
様子を見つつ運河まで戻ると女がいた。
「お疲れさま。ぴったり五分ね。戻りましょう」
気が付くと自転車の脇に立っていた。懐には備長炭、縞の財布が入っていた。
Posted at 2007/09/06 21:30:56 | |
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