こないだの備長炭は、面白そうなのでポケットに入れて暇になったらひねくり回している。
酸素だけをろ過してチャージしてくれるのはわかったが、微量のヘリウムが混じるのでニャンコ声になる。
縞の財布の中身は、銀塊だった。単純に換金するのも危なそうなので物置にしまっておいた。そのうち取り出して何とかしよう。
それよりも昇段試験。「構えて」という合図とともに立ち上ったのだが、相手の竹刀の動きがスローモーションに見えた。なので、異様なほど自然体のままで勝てた。
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京都一麺密会の帰り、コンビニのレジでエビアンと千円を渡した。
どこかで聞いたような声で「簡易包装にご協力ください」の一言でシールが貼られ、つり銭とレシート受け取った。レシートに「15分のバイトあり」とあった。
思わず顔を上げると例の女だった。
帰宅後、写真をアップしてコメントを書いて密会のブログにコメントをつけていると「午前2時、本能寺にこられたし」のメッセージが入った。
今の本能寺は何度か焼け落ちた後、秀吉が再興したもので例の事件があった場所ではない。場所はいい加減だが、騒動が起きているはずなので走っていけば何とかなるだろう。
午前1時、例によってママチャリで本能寺付近に向かう。ランダーで出張ってもいいのだが、駐車場に困るので仕方ない。
市役所前を通り過ぎるとライムグリーンのD5が停まっていた。
まさかと思いつつサイドに回ると、スライドドアが開いてダッフルバッグが飛び出してきた。
おもわず、自転車を放り投げてキャッチしてあたりを見回すとお堂の裏に立っていた。
今回も見事にタイムスリップしたらしい。
雑兵と民間人(この時代はなんていうのか…)が騒然としている。
巻き込まれないようお堂に入ってキャッチしたダッフルバッグを開いた。
ウェットスーツみたいなのに2リットルのPETボトル5本。
水4本となぜかメタノールが1本。甲冑そっくりのヘルメット。
カーボン繊維を編みこんだグローブ(裏地にhaseproとある)。銀蒸着のポンチョ(裏地は金だったりする)、備長炭が2本、地味な模様が印刷されたデイパックが入っていた。和紙に印刷されたマニュアルを見ながらウェットスーツを着用したが、どちらかというと組み立てる感覚だ。
PETボトルをフックで固定する。左腕のコントローラーの水ボタンを押すとウェットスーツの表面から水が染み出してくる。「M」は、言わずもがなだろう。
ヘルメットを被りゴーグルをつけるとスクリーンには、ナビが映し出された。矢印の方向に行けばよいらしい。
(敵は本能寺か…)とナビの指示通りに走ると火の手が上がっている寺の前に出た。
「目的地周辺。ウォーカーモードに切り替え」というアナウンスが流れた。
取り囲んでいる軍勢は、炎の中から出てくる者を捕らえようとしており飛び込んでいく者は無視している。というか近づけないのが本当のところだろう。
これ幸いに備長炭を咥え水ボタンを押して炎の中に飛び込んだ。目標は信長のはずだ。
最初の5分で一本目が空になった。寺の構造材も燃えているが芯までには及んでいない。
崩壊までには時間があると見た。
ナビは、炎の中でも生命反応を検出して確実に目標を指している。
迷わずお堂の中心に到達したが周囲が燃えているため意外と温度は低い。
見ると床が剥ぎ取られ中に数人がいた。
名を確かめるゆとりもなく目標点を示す人物を指差し連れ出す。
周りを守っているはずの者には抵抗する気力さえなくなっているらしく、あまりにもあっけない。
ポンチョを取り出してかぶせ備長炭を咥えさせて担ぎ上げた。
ここからが体力勝負だ。真っ黒と銀色の物体が走り去ることになる。
構造材も落ち始めているため、800度を越えただろうか。
水タンクの減りが早くなってきているが、なんとか炎の縁までたどり着いた。
炎を背景にして「M]ボタンを押すと瞬時に冷却機構がメタノールに切り替わり引火して「マイフランベ」状態になった。こうすると雑兵も近づけないし、体のほうはかえって涼しくなる。
炎を盾に走って寺を出たが、すぐにメタノールが切れて水に切り替わり闇にまぎれた。
加茂川に架かる三条大橋の下で担いでいた人物をおろして容態を見た。
最悪の状態ではないらしい。目を閉じさせて備長炭を咥えさせたまま水に浸し体を冷やす。疲れのためか、思わず眠ってしまったらしい。
目が覚めた。布団の中でびっしょりの汗をかいていた。時計は、午前2時15分を指していた。本当は誰を助けたのかはわかっていない。がカーボングローブが枕元にあった。
Posted at 2008/07/20 21:31:28 | |
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