
もう10年以上の付き合いのあるK氏が力尽きてしまった。時間にゆとりがあれば昔話を丁寧に聞いてきた。戦争中のこと、戦後のどさくさ、仕事をされていた業界の話、搭乗員会ででかけた宴会の話。
だけどまだ聞き足りないけど、奥さんとのこととか家族の話はまったく出てこない。話をしている最中は少年のような思い出話だった気がする。
父親と息子の関係のような感じだったかな。親父が生きていたらK氏よりもう少し年上だけど、戦争にも行ったし戦後の大変な時期の話も少しだけ聞いた。やっぱりまだ聞き足りない。
異変を聞いたのは先月の中旬だっただろうか。入院したんだとか。2年ほど前に大腸がんをわずらって薬で治したとか。背中が痛いんだという話も聞いた。
お見舞いに行かねばという話をしていたら、うちの親が入院してしまって同じ病院にいるんだとか。モノにはついでというものがあるんだが、様子を見に行った。ベッドに横たわったK氏は、小さくなっていた。元々、典型的な日本人ではある。150センチくらいかな。この体躯で零戦を操縦していたとか。撃墜の話は聞いてないけど。
それから数度、親を見舞うたびに様子を見に行った。手を握った。男同士なんだけど違和感はない。
しゃべるのはつらそうだった。声をかけると(あ、来たか)という感じで眼をちょっとだけ開けて閉じる。土曜日の昼過ぎに訪問したときは「うん」と言ってくれた。手も握ってきたし握り返してきた。最初のころよりもましな感じがしていたが、月曜日の昼過ぎに電話がかかってきた。「亡くなった」と。あの返事は何だったのか。最後の元気を振り絞ったんじゃないよね。
昨日、嫁とお通夜に行ってきた。
読経を聞きつつ、K氏との思い出は何があるだろうと考えていた。最初に書いた、昔話くらいか。
最後は肺がんが彼の力を奪ったんだ。あと10年は生きないといけないのに。それにしても、ありがたみの少ない読経だった。(これ以上は書くまい)
帰りの車での話は、ごく当たり前の話ばかり。
さて、今日は本葬、いってくる。
Posted at 2016/01/28 08:32:59 | |
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うんちく | 日記