
出版元は、東京創元社文庫です。奥付を見ると出版は2019年8月9日ですぐに重版出来ってことになったようでして同年9月6日のものが本屋に並んでいました。
例によってあらすじは書けませんが、この小説のヨイところとでも申しましょうか・・・
物語は第二次世界大戦の欧州戦線でノルマンディー上陸作戦で降下のシーンから始まります。無事に降下できてからの本来の役割であるコックの役目を果たしつつ戦闘もこなすというわけで華やかな部分と地味な部分の両面をしっかり描く必要があり、まったく手を抜けない。そこに登場人物を数人紛れ込ませて動き回らせるわけですから、難しさは非常に高いと思います。
そして、戦争のさなかであっても殺人事件が起こりうるし、戦争であるがゆえに引かれる引き金もある。
作者は、現場の隅々にまで気を配って人物を動かしていて読む側は、一人の兵士が右に歩こうが左に行こうが目を離せない状況を作り出していて、これが最後まで続く感じでしょうか。しかも3日ほど本を離れていても違和感なく続きが読めるというのは初めての体験かも。
集中すれば最短で5時間位かかりますが、ミステリとして時代の間を歩き続けるヒーローの物語を見守ってくれればと思います。
おすすめです。
.
Posted at 2021/02/09 20:14:30 | |
トラックバック(0) |
お勧めの本 | 日記