
休憩時間にiRを走らせていると、
急にクラッチペダルの感触がおかしくなった。
ペダルを踏んで放した時、
ペダルが返ってくるカンジがおかしいのだ。
バネが伸びてしまったようなカンジというか、
ペダルの戻りに力が無い。
何か引っかかるような感触も伝わってくる。
明らかに異常であると感じ駐車場に戻り、
運転席の足元に頭を突っ込みクラッチペダルやマットを確認する。
フルードが垂れた様子も無く、特に異常は見られなかった。
しかし、次にボンネットを開けてがく然とした。
バッテリー脇には、何か液体が飛び散った跡があり、
そして、周辺のパイプ類はびっしょりと濡れ、
エンジンルーム下の部分には、たっぷりと液体が溜まっていた。
クラッチの様子からクラッチフルードだと思い
レリーズシリンダーを見ると、やはり液が垂れているようだった。
そして、リザーバータンクを見ると、
液面が「MIN」のラインまで減っていた。
ちょうど1年前に書いた、クラッチフルード漏れが、
またしても起こってしまった。
だが、今回は前回と様子がかなり違う。
前回は、じわりじわりと抜けていたようで、
ペダル下にフルードが垂れていると気付いた時には、
ほとんどリザーバータンクが空の状態だったが、
ペダルの感触などには違和感を感じず、
また作業待ちの為に、
ショップでフルードを注ぎ足してもらい何日間か乗っていたが
全然平気だった。
エンジンルーム内も
それほど危機感を感じるような状態ではなかった。
しかし、今回はペダルの感触が明らかに異常であり、
またエンジンルームもフルードが飛び散った状態であることから、
前回の「漏れ」というような生易しい状態では無く、
今日、状態が急変したかなりヤバイ状態であり、
「破裂」などと言った方がふさわしいような印象を受けた。
素人判断なので、まだ何も分からないが
レリーズシリンダーが破損したということならば、
1年前に新品に替えたばかり・・・。
「またか・・・、これがiRか・・・。」
絶望感や、何とも言えないさびしい感覚に包まれるが、
いずれにしても何とかしなくてはならない。
「帰りにショップに預けて帰るか?」
と思ったが、私のiRはもうすぐ車検である。
今回の修理がもしも延びて車検期間に突入すれば、
そのまま車検ということになる。
しかし、車検を受けるには、
運転席をフルバケからノーマルに戻したり、
リアシートを戻したり、ライトのバルブを替えたり、
その他にも色々と替えなければならず、
いわゆる車検仕様に変える作業が必要になるのだ。
その事を考えると、やはり家に一度戻り車検仕様にしてから、
ショップに持って行った方がイイのではないかと考えた。
だが、問題はiRが無事に走行できるかということである。
もしも途中で走行不能になったら・・・。
家とショップは仕事場を挟んで全くの逆方向であり、
ショップに向かっていて走行不能になりJAFの世話になるのと、
家に向かっていてJAFの世話になるのとでは
料金もだいぶ変わってくるだろう。
また、家に戻るということは、
もし無事に家まで辿り着いたとしても、
当然またショップに行かなければならないのだから、
走行距離も増え危険度も確実に増す。
車検の事がなければ、
何も考えずにショップに持っていくところだが・・・。
「このままショップに行くべきか?家に戻るべきか?」
悩んだが、なんとか家に帰ることにした。
フルードの減り様から、
このまま無事に帰れるわけがないと思い、
フルードを注ぎ足しながら帰ることにした。
しかし、「果たして近所のホームセンターまで辿り着けるのか?!」
イチかバチか、
走行不能の恐怖に怯えながらホームセンターを目指した。
やはりクラッチの感触はおかしい。
手応えもなく、繋がりもかなり奥にあるようだった。
ホームセンターでブレーキフルードを買い、
初めてリザーバータンクのフタを開ける。
なんだかよくわからない構造のフタだった。
持ち上げるだけでイイのか?
で、タンクの中は見事にカラだった。
仕事場とホームセンターは、そんなに大した距離ではない。
駐車場を出る時には
「MIN」の位置まで入っていたフルードが、カラ・・・。
そして、相変わらずエンジンルームはびっしょりと濡れている。
「本当に家に辿り着けるだろうか?
このままショップに行った方が・・・。」と考えながら、
「MAX」の位置までフルードを注いだ。
ホームセンターの駐車場でバックに・・・入らない。
何度かペダルを踏み直し、
バックに叩きこんで後退・・・ドンッ!・・・エンスト。
ステアリングを切りながら前進・・・ドンッ!・・・エンスト・・・。
「コレはホントにJAF呼んで
ショップに運んでもらった方がイイか・・・。変更するなら今しかない」
と考えたが、やはり家に帰ることにした。
ホームセンターに寄っていて時間を取られ、
もう少ししたら帰宅ラッシュが始まる。
そんな中で走行不能になったら大渋滞を引き起こしてしまう。
「ルートは? 大通りは交通量が多い。裏道を帰るか?
いや、細い道は逃げ場がない。」
ビクビクしながら、進む。信号で止まるたびに、
「もう動けないのではないか?」と思いながら、
クラッチを踏む。感触が頼りない。繋がりもおかしい。
「さっき入れたフルードは、まだ入っているだろうか?
家が近づくにつれて、もう抜けきってしまったのではないか?
もう動けなくなるのではないか?」と
さらに緊張感が高まってくる。
そこで、精神的にもう限界だというところで、
iRを路肩に止めボンネットを開ける。
新しいフルードなので、タンクの外からでは、
フルードが入っているかどうか確認できない。
フタを開けようとするが、
さっきは何となく開いたフタがぜんぜん開こうとしない。
そもそもコレはどうやって開けるものかと悩みながら
力を入れるが開きそうになかった。
仕方がないので、
「まあ、入っているだろう」ということにして、
再び走り出す。
いつ動けなくなるかと思いながら。
そして、やっとの思いで家に辿り着いた。
そして、リザーバータンクのフタを
何とかこじ開けると・・・「カラ」だった。
Posted at 2018/11/11 19:04:48 | |
PULSAR GTI-R | クルマ