
さて、いよいよ核心の部分について書こうと思います。実は2000字ほど打ったところでPCが落ちてしまい、書き直しです。
手術は10月8日の計画でしたので、前日に入院して健康状態を観察したりして、粛々と準備が進みます。前夜は特に眠れない事もなく、翌日を迎えます。
私は一般病室の4人部屋に入院しましたが、整形外科病棟なのでルームメイトは同年代の踵の骨折で入院されているKさん、バイク事故で膝の皿を割ってしまった19歳の青年N君、栗の木から転落して腰を痛めたお爺さんのKHさんでした。前夜は会話をすることもなく、過ぎて行きました。
そして手術当日、手術の前にまず準備として、点滴の滴下が始まりますが、これをし施術したのが若い研修生っポイお医者さんで、私の体が少し弱っているせいもあってなかなか静脈が見つからず、さしてからグニグニっと探す動作をされてまあ痛いこと。グッと耐えます。
午後に入ると今度は浣腸です。こちらは看護師さんがしてくれるのですが、ベテランの看護師さんがさっさとパンツを引きずり降ろして、私の下半身が容赦なく晒され、恥ずかしがっている間合いも与えず、「エィ、ヤー!」と施術され、数分後にはトイレにダッシュでした。
しかしこういう仕事の内容では、ちゃんと対応する人を考えているみたい・・・。
午後二番、手術に立ち会うカミさんも来て、呼ばれるのを待っていると、二時五十分頃に呼び出され、先ほどのベテラン看護師さんに付き添われて、自走で手術室に向かいました。看護師さんに概ねの時間を聞くと、大体1時間強と言っていたので、大した手術じゃないのかな~っ、と気楽な気分で手術室に向かいます。
で、ここで手術担当の看護師さんにバトンタッチなのですが、こちらは若くて凛とした人が二人待ち受けていました。特に麻酔担当の人は・・・・・良い。
心の中で「そうか、ちゃんと仕事の棲み分けがされているんだ・・・」と変に納得して手術台に寝て、「最初酸素送りますので、深呼吸してください」との言葉を聞いて、後の記憶はありません。
そして「飯田さん、終わりましたよ」とまたまた違う看護師さんに声をかけられ、覚醒します。この人は関西弁でしたが、物腰の柔らかい感じのまたまたイイ人でした。
カミさんの顔も見えて、何時間掛ったのか聴くと、なんと3時間近くだそうです。自分では20分かその位、とっても深く寝ていた様な感じでした。覚醒と同時に激しい喉の渇き感と、尿意が訪れました。あと、とても暑く感じました。ハッと意識は戻りましたが、明らかに手負いの状態であることはすぐに感じ取れました。
カミさんと看護師さんにベットごと搬送されて外科病棟に戻りますが、今夜はナースステーションに隣接する特別監視部屋で一泊だそうです。ここは窓も時計もなく、翌朝までと言われても、一切時間がつかめない部屋で不安でした。
そんな部屋に着くと、まず手術した部分の皮膚が動いたり、肩を動かしたりしないようにとの配慮から、先ほどの関西弁の看護師さんがサポーターで私の上半身を息苦しいほどきつく簀巻きにしました。これで寝てくれと言われても、息が詰まって寝れないよ・・・・・。第一の苦悩。
そして今晩一晩は酸素吸入器を着けてくれと言われて、着けたままですが、やがてこれもうっとうしくなり第二の苦悩。
酸素吸入同様に心電計測器も繋がれていて、これがまた結構指を圧迫したりして、第三の苦悩。
傷がある程度乾くまでは、寝返り・起き上り禁止の上を向いたままで体固定。腰や背中が痛くなり出し、第四の苦悩。浣腸の影響で腹にガスが溜まり、それも痛かったです。
そんな苦悩にさいなまれつつも、傷や骨の痛みは神経ブロックという麻酔方法のお陰で、当初は完全に右上半身が麻痺していて感じません。
そうだ、トイレに行きたかったんだと思いだし、ナースコールをすると、今度はまた別のどう見ても20代前半の若いイイ感じのナースが登場しました。主旨を伝えると尿瓶を持って再登場し、カミさんも見守る中、困ったような顔をしつつも、カミさんに任せるでもなくパンツの裾をはぐると私の愚息を掴み、容器の口に導いてくれました・・・・・。このとき汚れ仕事の担当を分けているわけではないと確信しました。
カミさん公認(?)だからアレですが、結婚以来風俗とかにも行かないまじめな私が、こんな若い女性に愚息を握られるとはなんと言っていいやら(*^^)v。
しかし導入してもらったは良いものの、半身麻痺の影響から全然思うようにバルブが開きません。30分ほどかかってやっと完了しました。この頃カミさんも帰宅の途へ。
麻痺は麻酔のせいとは分かっているものの、右手は感覚はあり、指を曲げることはできるのに、いくら精神を集中しても指を伸ばすことはできず、万が一麻痺が残ったら大変だなと、不安にさいなまれ、第五の苦悩。
しかしそんな不安も吹き飛ばすほど、第六の苦悩は激しいものでした。つまり麻酔が切れ、本当の患部の痛みが私を襲い始めたのです。最初は重い痛みの感じで、どの程度痛くなるのか様子を見てから痛み止めを貰おうと、投薬を我慢していました。しかしほどなく「とても耐えられない」と悟り、たまたま様子を見に来た別の看護師さんに痛み止めをお願いしました。このとき多分夜半近くで、看護師もシフトが変わっていて、またまたさっきとは違うイイ感じの人でした。しかし痛み止めは飲み薬か、注射かと想像を巡らせていたのに、看護師さんは「座薬」をもって登場しました(涙。確信はより強固なものになったのは言うまでもありません。
お互いにとって不幸な施術でしたが、痛いのでそんなこと言っていられませんでした。
結局、座薬を打った効果がどれほどあったか疑問が残るほど夜半から猛烈な痛みに襲われ続けました。まるで肩をナタで切り付けられ、そのままナタが刺さっているような感触です。痛みが酷く当然寝付けません。体力を消耗しているので体は寝たがっているのに、激痛に叩き起こされ、やがて意識が混濁してきました。
これら六重苦と戦いながら、見えない朝が来るのをただ待つ時間が続きます。
多分明方でしょう、座薬も多少効いたのか、はたまた疲労が痛みに打ち勝ったのか、ほんのちょっと寝れて、少し痛みも和らいだ頃、先ほどの座薬を施術してくれた看護師さんが現れて、「採血をさせてください。」と。
でも左手が点滴、右手は固定されどちらの手からも摂れないので、足から取るそうです。「痛いと思います」と予告され、またまた静脈を探され針が右往左往。ヒーィ 痛い。
結果的に上手く取れず「上手くいかなかったので、後で先生に取ってもらいます」と言い残して出て行きました。座薬のお返しを喰らいました。 ・・・・・でもカワイイから許す。
そんな事もありながら結局殆ど一睡もせずにとうとう朝が来ました。朝番の看護師さんが現れ、食事出されました。ついに水分補給も解禁です。もうろうとする意識でしたが、ご飯についていた梅肉ペーストの旨かったこと。
とにかく人生屈指の辛く長い15時間が終わりました。みなさん、怪我は本当に痛いですよ。気を付けてくださいね。
それと本当に献身的に尽くして下った看護師の皆さん、ありがとうございます。文章としては面白おかしく書いていますが、心の底から感謝しています。単なる仕事意識・プロ意識だけではこなせない仕事だと痛感いたしました。
さて、これで手術編は終了です。次は何について書こうかな。