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2012年07月01日 イイね!

雨の日のタイヤセットアップ

雨の日のタイヤセットアップ今日はちょっとアレですので、得意の図解はありませんが、WET路面の時にどんなふうにタイヤをセットアップするのかを少々。ただ、今日は「なんだ、そんな事当たり前じゃん!」みたいな当たり前のことをおさらい的にお話ししたいと思います。

WETと言っても、暑い夏の豪雨もあれば、真冬のみぞれ混じりの冷たい雨まで色々ありますね。だから総てのWET路面に於いて最強なんてタイヤはありません。

まずどうにもならないのは、水量が多くてハイドロプレーニング現象、すなわちモーターボートが水面上を滑走するかのように水の上にタイヤが浮いてしまって、タイヤと路面が接触しない状態になってしまう事です。んで一応ハイドロが起きる速度に関してNASAが導き出した式と言うのが有りまして、下記になります。前提条件として水深が溝深さ以上の場合に当てはまります。

Hy=63√P (km/h)

Pは水面を押すタイヤの圧力です。大雑把にいえばタイヤの内圧がPですが、レーシングの世界ではそんな大雑把な事ではイケません(笑。
でもまず、メッチャ雨が降ってきたら空気圧を高める事をお勧めします。高めるのはまあ常識的範囲で300KPa位までですかね。でも上の式からすれば、発生速度は200⇒300KPaは1.22倍高まるわけです。

こんな豪雨でサーキットを走る事は無いかもしれませんが、むしろ高速道路移動中に大雨とかの時に有効かもしれませんね。

んで、もうひとつ重要なのはこの式は「水深が溝深さを上回った時」と言う事です。つまり溝が浅いほどこの式の適用タイミングが早まるわけですから、雨が激しいとは当然溝が深いほど有利と言う事になりますが、当たり前ですね。
で、サーキットフリークにとって重要なのは、空気圧は誰でも高められるのでタイヤの仕様はどうしたら差が付けられるかです。で、これは深さでは無く溝面積の多さになってきます。タイヤの構造的な接地面積は空気圧やサイズで概ね決まってしまうのは既にお伝えしましたが、その接地面積を実際の接地圧に転換しているのは踏面であるパターンで、例えば空気圧200KPaで荷重が400kgだと構造的接地面積は200㎠ほどになりますが、実際には30%ほどは溝があり、接地できないので残りの70%陸部の平均接地圧を285KPaほどに高めてバランスを取るわけです。
タイヤの溝の断面形状はテーパーがついていて、山が減るほど溝面積比率は小さくなりますから、この面でも新品タイヤが有利になりますね。
つうことで、雨ザーザーの時は溝(幅・深さ)が多くて空気圧の高い人の勝ち。

続いて路面はぬれているけれど、ハイドロを起こすほどではない時はタイヤの温まりが重要になって来ます。またハイドロを起こさないまでも、ミクロ的な水の存在を排除する意味でやはり溝面積の大きさは有利に働きます。
WET路面ではμが低くてゴムの変形が小さい為に、以前お話ししたヒステリシスロスによる発熱があまり大きく発現しません。だからなんとかして温めて、ゴムと路面の密着性を良くしたいのですが、問題はどうやって発熱させるかです。ここは申し訳ないが正解が無くて、例えば空気圧をやや低めて、ケーシングを撓ませて発熱を促し、時間はかかるけれどタイヤ全体を暖めるのも一つの方法です。もうひとつ、空気圧を高めて接地面積を減らしつつ、路面とトレッドゴムの接地圧を高めて、ストレスを受けるトレッドの面積を減少させる事で単位ゴムあたりの負荷率を上げて発熱を促す方法も有ります。
あと私はやった事はありませんが、トーを強烈に付けて引きずる事で発熱させるのも、WETではありかもしれませんね。また撓ませて温めるうえでも溝が深い方が変形し易いので、発熱の面でも溝が深い事、パターンの目が細かい事は有利な方向ですね。この辺は真冬にタイヤが温まりにくいなんていう時にも応用できる技術領域になります。ゴムも温まりにくくて、ブロックも大きかったら冬はドライでも辛いという事です。

ただ傾向としてはやはり水の量が多いほど空気圧を高め、少ないほど低くする。そのさじ加減は自分で探るしかないですね。
水量が減ってくれば温まりの速いゴムが載っているタイヤはWETでも十分に軟化して、実接地面積が増加してライバルを凌駕する事が出来ます。例えばチョィ濡れ路面では溝なんか殆ど無いA050のGSとかはスーパーグリップを発揮する訳です。

水が少なくても、WET路面は発熱しにくいのでゴムがたくさん残っているタイヤが有利な事は普遍ですので、WETになったら山が命と言う事で。

で、暖かい時期ならばまだWETでもタイヤは発熱してくれますが、これが冷たい雨ともなるとスケートリンク状態です。こんな時はいっそ欧州で冬に履かれているウインタータイヤが良いかも(笑)。まあ冗談はともかく、こんな状況でグリップしてくれそうなのは、私が知る限りではRニャンR位ですかね?

あるいはサーキットニーズはあまり考慮されていない配合系のタイヤ、例えばオールシーズンタイヤとか、シリカがたっぷり入っているような汎用グレードが良いのかもしれません。
結局路面のμとブロックの大きさ、ゴムの温まり易さが絡み合い、どんな時に最適な作動温度に入るかで、そのタイヤのベストポイントが変わるというお話でした。

さすがにちょっとデータや経験が無いので、今日はこれ位にしておきます。お後がよろしいようです。
Posted at 2012/07/01 15:04:02 | コメント(2) | トラックバック(0) | ミセガワ研究室 | 日記

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