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2016年04月26日 イイね!

解体新書 RE-71R 1-2ケーシング構造詳報

解体新書 RE-71R 1-2ケーシング構造詳報お疲れ様です。

前回RE-71Rのカットサンプルチェックの結果をブログにしましたら、「ちんぷんかんぷん」「専門用語並べすぎ」「わかんない」と不評を表すコメントが殺到しましたので。もう少し時間を掛けて詳しく説明する事にしました。

まず基本となるのはこちらの図。


ホイールとの嵌合を維持しているのはビードワイヤーと言われるピアノ線の束です。そこに骨組みとなるカーカスが巻き付けられ、接地する側に行くと接地面を平らに整える為のベルト層、これはビードワイヤーよりも細いピアノ線を数本撚り合わせたものを多数引き揃えて配置してあります。そして地面と接するキャップトレッドゴム。

ホイールから来る駆動力や制動力を接地面に伝えるため、上記のような構造材を介して伝達しているのがタイヤの基本構造ですが、それぞれの骨格材の周囲にクッションゴムが存在し、急激な応力変化を緩和させて耐久性を維持しているのです。

さて、スポーツ走行すると非常に大きな力をロス無く、遅れなく、伝えないと速く走れないですよね!?
その為にはこの伝達機構が耐久性を維持した上で高い剛性を持っている方が一般的には有利です。

剛性を上げる手段としてはタイヤの場合2つ有って、一つは構成部材を強靭にする事、もう一つはそもそも撚り等で遊びを持っているワイヤーやカーカスに内圧と言うテンションを与えて強度を出す方法の二つがあります。

しかし後者を選択すると必然的にタイヤ全体が硬くなり、接地面積も減少してしまい、摩擦力が減ってしまいます。

つまり、伝達力を高めつつ、グリップを落とさない為には必要な個所の構成部材強度を高める事が必要になります。


前置きが長くなりましたが、そんな目で今日はRE-71Rのビード周り構造を見ていきたいと思います。



一般的なラジアル、とは言えかなり操縦安定性重視のタイヤと見比べてすぐに目につくのは2点です。

以下に一般的なハイパフォーマンスラジアルの断面写真を示します。


相違点1はAに示す太い糸の補強材がビードワイヤー周りに配置されている点、

相違点2は断面写真からでは判りにくいですが、RE-71Rはカーカス糸の配置角度が進行方向に対して90度にはなっていないところです。

ではまず1についてご説明いたしましょう。

使われている糸はケプラー。防弾チョッキにも使われる、鉄同等レベルの強力と遥かに軽い比重、そして低い曲げ剛性を持つ材料です。

ちなみに断面写真だけでは判りませんが、進行方向に対して45度前後の角度をもって配置されていました。


狙いはタイヤの回転方向の力を遅れなく、ロス無く伝達する為にサイド部を強化する事に有ります。

サイド部の補強方法としては対比タイヤの断面写真にあるスチール撚り線の補強層がより一般的です。

しかしスチールは曲げ剛性が高くて、ビードワイヤーの回りに巻き付ける事は出来ず、近傍の一側面に配置するのが精いっぱいです。

ところが材料強度は近くても、配置の仕方で補強層の効率は大きく異なり、スチール層は見た目ほどはサイドの捩じり剛性アップには貢献できません。それを解説した図が以下になります。



強靭なスチールやケプラーを配置しても、その間に介在するのは遥かに弱いゴムです。図ではケプラーと書きましたが、要はスチール補強層の構成だと、補強層がビードワイヤーに対しては点付け溶接しているようなもの(一番左の図)、対するケプラーフリッパー構造はレーザー溶接の如く、ビードワイヤーに締結されています。

これでは大きな差が出て当然ですね。

ちなみに補強層の一部がホイールとビードワイヤーの間に配置されると、両側からシッカリ把持され、より効果が高くなるという意味図が右2つの図です。

しかしケプラーは高価な材料であると共に、加工にも手間がかかるため、そうオイそれと採用出来ません。この構造を市販ラジアルに投入してきたブリヂストン、恐るべし。


次に2についてのお話になります。皆さんはラジアルタイヤっどんなものか知っていますか?

こういうものです。


図はタイヤを上空から見ましたが、カーカスが進行方向に対して90度の角度で配置されているタイヤの事です。これに対して右の図はバイアスタイヤ。

ラジアルはカーカスが圧力を支える機能以外、殆ど持たずにタイヤのたわみを阻害しないのに対して、バイアスはたわみに対して抗力を発揮します。

ラジアルは接地形状はほぼベルト層と金型形状で決まるのに対して、バイアスはカーカス層の交差角度で接地形状が変化します。

ラジアルのメリットは乗り心地がソフトで転がり抵抗が低く、綺麗に摩耗するタイヤ、まあ普通に考えたらベストなタイヤ構造であります。

バイアスはカーカスが角度を持っているので、接地している以外の部分にも糸を伝って歪みが伝達し、転がり抵抗が高くなります。また、カーカスの強度を高めると乗り心地も硬くなります。
しかし、カーカスの角度だけで強度を高める事ができ、乗り心地や摩耗、転がり抵抗に目をつぶれば軽くて高剛性なケーシングが得られます。

RE-71Rの様な極端なタイヤならばバイアス構造はありです。

つまり厳密にはこのタイヤはラジアルではないと言う事です。

この構造はSタイヤやR1Rなどでも見られますね。

そして証拠の写真がこちら。


サンプル写真下側は進行方向に対して注意深く90度で切りましたので、削って出てきた最初のカーカス層は左下がり、2層目は右下がりで構成されている事が明白です。83度位ですかねぇ。

対比のラジアル構造タイヤ

切断面に対してほぼ平行。つまり90度のラジアルカーカスだと言う事が判ります。


と言う事で、RE-71Rは手間暇かけて低圧でもタイヤの剛性が確保でき、その素晴らしいグリップ力を効率的に伝達できる構造を持っていること言う事が、少しはご理解いただけたでしょうか?
Posted at 2016/04/26 15:04:04 | コメント(5) | トラックバック(0) | ミセガワ研究室 | 日記

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