
皆さん、おはこんばんちは!∑∠(`・ω・´)
今回は夏の黄昏編にて提督が溺れて目を覚まして皆で戻っていくという最後の場面の少し後のお話です。
みんカラ内限定でブログ小説として書き残してますので、興味がある方は下記のURLよりアクセスしてみてください(_ _)
↓↓↓↓↓
プロローグ ♯1 午前編
https://minkara.carview.co.jp/userid/2501514/blog/44104145/
♯梅雨の日編
https://minkara.carview.co.jp/userid/2501514/blog/44223073/
♯夏の黄昏編
https://minkara.carview.co.jp/userid/2501514/blog/44271814/
♯夏休暇 初夜編
https://minkara.carview.co.jp/userid/2501514/blog/44785551/
毎度ながらの超長文となりますが、気長にお付き合いくださいませ…。
バトル・流血・略奪等の暗い話は描かず、ゆるーく描いて行きますので、そこんとこよろしくお願いします(_ _)
基本この泊地の艦娘は、提督好き好き設定でヨロシクです(笑)
尚、この作品は 艦隊これくしょん - 艦これ - の二次創作であります。
キャラクターの人物像も公式を参考にして、著者が独自解釈したものです。
これらを踏まえた上で、お読みになってくださいませ…。
尚、このお話は時間軸上、去年の夏のお話となりますのでご了承くださいませ。
……………
…………
………
……
…
ー 佐伯泊地の夏季休暇 1日目 ー
……………
…………
………
……
…
目覚まし時計「ピッ…ピッ…ピッ…P…」
バシッっ!…カチ…カチチ…
なり始めた目覚まし時計を速攻で止めて、スヌーズ→オン→オフ→オン→スヌーズと手慣れた手付きで目覚まし時計を翌日の目覚ましをセットして、提督は起床した。
提督「…むうぅぅう…?」
目覚まし時計「0430」
提督「ん…くぅぅぅっ…!とりあえず執務室に詰めるだけ詰めとくか…」
提督は背伸びをして体を起こしてからそう言うと、手早く制服に着替えて、私室を後にした。
………
……
…
ー 司令部棟 執務室前 ー
提督「…さってと…書類に目を通すだけ通しておくか…そんでもって出来そうな奴は処理して…ん?」
退出時はカーテンやらそういったものはすべて締め切って、鍵もかけるのだが鍵は空いている上に、蛍光灯の明かりが隙間からこぼれ出ている。
…おかしい。
皆休みにしてるはずなんだが…。
…ガチャ
執務室への扉を開いた先には、妙高型の制服を纏ったショートヘアの艦娘がいた。
提督「…あれ?羽黒?」
羽黒「…はわっ!おお、おはようございます!司令官さん!」
提督「…ああ、おはよう…引き継ぎの業務の打ち合わせは休み空け前だろ?こんな朝早くからどうしたんだい?」
羽黒「その…秘書艦のお仕事はどういうことをしているのかとかを事前に知っておきたくて…あのぉ…」
提督「…あぁ…別に咎めてるわけじゃないからな?一応休みだから、こんなに朝早く秘書艦が居るとは思ってなくてさ…」
羽黒「そ…それを言うなら司令官さんだってっ!」
提督「ん?俺?それが仕事だし寝てる間に火急の案件があるといかんしな」
…一応軍隊だからね?うん。
あるんだよ、キラーパスみたいな案件が知らない内に滑り込んできてるとかさ。
前にあったんだよねぇ…連休初日に大本営にそれやられて、鬼の形相(榛名談)になったのをその時の秘書艦に見られて、怯えられたっけな…。
羽黒「あの…火急の書類はありませんでしたし、数も少なくて処理を急がなければならない案件はありません…自分が好きでここに来てやっているだけですので、司令官さんは部屋に戻ってお休みになってください…」
提督「そんな無体なぁ…もう起きちゃったじゃないか…なら…」
羽黒「…?」
提督「…引き継ぎの業務内容と作業のおさらい…もうやっとこうか?」
羽黒「は、はいっ!よろしくお願いしますっ!」
こうしていつもよりはゆっくりだが、いつも大して変わらない1日が始まった。
…ただ大きな違いは…。
提督「…あぁ…へいわだぁ〜…」ポヘー…
羽黒「司令官さん、お茶入りました」
提督「おお、ありがとう…ズズ…はぁ…加減が絶妙…」ホッコリ
羽黒「えへへ…♪良かったです」
大淀「ふぅ…羽黒さんが来てくれていたお陰で、先行して引き継ぎの段取りができたので感謝します。お茶、美味しいです♪」
羽黒「い、いえいえ…///大淀さんもいつもお疲れ様です」
その後、大淀も合流して休み明けの秘書艦引き継ぎの段取りを済ませて、開店休業状態の執務室で羽黒が入れてくれたお茶を飲んで、のんびりしていた。
そのいつもとの大きな違いは、夏季休暇中は遠征隊すらも出さずに最低限の当直の艦隊のみ出しているので、執務室は実に静かな点だ。
普段は遠征隊も出撃隊もバンバン出してバンバン帰ってきて、ひっきりなしに艦娘が行き来して執務室は割と静かな時間は少ない。
…その合間にも訪ねてくる娘も数多いるのだが…。
当直の現場の艦娘達には、もしもの時の生きて帰ることを最優先にした裁量権は与えているが、もしもの時の為に提督は執務室に詰めておく必要があると自身が意識していたので、これも普段の休みの延長線上にあるようなものである。
提督「…まぁ…休み明けになったらこの静けさともしばらくオサラバだからな…今の静寂の時間は、結構幸せだったりするよ…」
羽黒「あ、あはは…よく存じてます…」
羽黒もこの泊地に来てから長いので、この執務室の普段は知っている。
…が、秘書艦になってもらうのは初めてだったりする。
…というのも…。
………
……
…
〜だいぶ前の話〜
提督「今後は嫁艦が秘書艦を務めてもらって、週でローテーションで付いてもらい、負担を軽減します!」
一同「「「「「ええええ〜!」」」」」
「1日1人を希望するデースッ!」
「そーだそーだ!」
「司令官に触れられる機会を奪うにゃしぃ〜!」
「私との付き合いは遊びだったのね〜」ヨヨヨ…
提督「皆で順繰りでやってわかったんだが、引き継ぎとかで色々収拾つかないからなっ!…それとっ!さっきの遊びとか言ったの誰だっ!遊びで執務は務まらんっ!と・に・か・く!これは秘書艦を長く努めてくれた吹雪とも話し合って熟慮の上での判断だが、文句は全部俺に言え!以上!」
一同「「「「「ブーブーっ!」」」」」
当時の嫁艦'sと吹雪「(…先が思いやられる…)」
………
……
…
…とまあ要約するとこう言う状態だったのよ。
俺としては出来れば、嫁艦1人1人の負担を減らしてやりたいのが、本音。
だから嫁艦の人数が増えれば、1人1人の艦娘にかかる負担も分散出来るし、1週間サイクルでの交代なら、引き継ぎの準備期間も作れる。
…まぁその代わりに執務室に艦娘達が押し掛けてくる機会が増えたのは別の話なんだけど…。
…で、先の大規模作戦で練度が上限目一杯になった艦娘達に次々と指輪を贈って、ローテーションに加わってもらったという訳だ。
提督「任務や出撃を省くと、これでもかってくらい静かになるねぇ…普段は遠慮しているようだが、休みとなるとその反動が…」ビクビク…
羽黒「…?私は任務報告以外では、あまり執務室にお邪魔したことないんですけど…その他の理由で他の娘達が訪れることがあるんですか?」
大淀「………」
提督「ん?あるぞ。主にだな…」
ドア「バァーーーーーンッ!!」
羽黒「っ!!」ビクッ
提督「…元気を持て余した駆逐艦達の猛攻が…」
羽黒「…えぇー…」
大淀「あ、あなた達!ノックぐらいしなさいと何度もっ…!」
夕立「てーとくさん♪羽黒さん♪大淀さん♪おはようっぽーい♪」
雪風「おはようございますっ!」
時津風「しれー、今日お休みでしょー?遊ぼ遊ぼー♪」
島風「おうっ!提督の部屋でゲームしよ!」
深雪「司令官!先月のマ○オカートのリベンジだぁ!この深雪様の挑戦を受けやがれーっ♪」←決戦鉢巻mode
白露「そうそう!あの時の提督の高笑いをギッタギタにケッチョンケチョンしてやるんだからぁ!」←決戦鉢巻mode
初雪「司令官…お覚悟」←決戦鉢巻mode
時雨「…提督…部屋にお邪魔してもいいかな?」
村雨「ちょっといい飲み物とオヤツ持参して耐久ゲーム大会よ〜♪」
…その後ろにも発言しないだけで控えている駆逐艦達も集まっていた。
大淀「…提督?私が執務室に詰めておきますので、彼女達の相手をしてあげてください。羽黒さんも部屋に戻られても大丈夫です」
提督「…申し訳ない大淀…何かあったら、呼んでくれ。…羽黒どうする?俺は部屋に戻るけど、付いてきてくれると嬉しい…ただ現場は"かなり"混沌っぽくなると思うけど…」
羽黒「は、はい!ご一緒させていただきます!(た…大変そう…)」
大淀「…提督、ご武運を」クスッ
提督「ん…ちょっと行ってくる」
…かくして、提督の自由時間は艦娘の物という、ジャイアニズムにも似た理論のもと、朝から白昼堂々のゲーム大会(提督vs駆逐艦's)が執り行われる事となったのであった…。
……………
…………
………
……
…
ー 所変わって戦艦寮 長門と陸奥の部屋 ー
長門「ふぅ…中々読み応えのあるシリーズだったな…ふふ…新刊が楽しみだな…」
陸奥「あらあら♪結構熟読していたもんね。面白かったの?」
長門「あぁ!それはもう胸が熱い展開だ!」
陸奥「長門ったらすっかり漫画にハマっちゃったわねぇ」
長門「うむ!活字以外の書物は最初は抵抗があったのだが、読んでみたら止まらないんだっ…!…次回が楽しみだな…早速だか提督に返してくる」
陸奥「あら?前借りたばかりでしょう?」
長門「もう3往復読んだからな…物語の流れは掴んだ。では行ってくる」
陸奥「あらあら…早わね…いってらっしゃい♪」
あの直談判以来、提督の私室を行き来するようになった長門は、借りていた漫画を提督に返却するべく、提督の私室に向かって歩いていた。
長門「(マンガを読むようになって、駆逐艦達の話にも対応できるようになって、距離が縮まったな…提督には感謝しきれんな…ん?)」
長門が提督の私室を目指して戦艦寮の廊下を歩いていると、前方10m前のドアが開いた。
榛名「それでは提督に本を返しに行ってきますね、霧島」
霧島「いってらっしゃい」
バタン…
榛名「ふぅ…よし!」
長門「榛名おはよう」
榛名「?あ、長門さん、おはようございます」
長門「…榛名も提督の私室か?」
榛名「?ええ、そうですが、長門さんも?」
長門「うむ、借りた漫画を読み切ったからな…後がつっかえているから早目に返却をとな…その点小説は急がなくても良いからそちらも良いかもなぁ…」
榛名「ふふふ…漫画は読書サイクルが早いですからね、長門さんがよければ提督の部屋までご一緒しませんか?」
長門「あぁ、もちろん」
榛名は数冊の小説を、そして長門は20冊近くのマンガ本を抱えて提督の私室へと向かった。
………
……
…
…2人が提督の私室に近付いた時、叫び声が提督の部屋で響き渡っているのが外からでもわかった。
ワーワーギャーギャー!!
ソコダーオイツメロー!イッケェー!!ミユキスペsya…ッ!
フオオッ!アマイワァ!!
ウギャアアァアアッ!!
長門・榛名「……」
部屋から聞こえる数多の絶叫に2人して目を合わせる長門と榛名。
榛名「い、一体中で何が…?」
長門「…争っているようだが…乱闘の類の殴り合いではなさそうだな…少し様子を見ようか…」
榛名「は…はい!」
2人は意を決して、魔窟となった提督の私室のドアを少し開いた。
…カチャ…
長門・榛名「…じー…」
長門はドアノブより上側から、榛名はドアノブより下側の隙間からドアの向こうを覗き込んだ。
………
……
…
白露「わっ!わっ!ちょっ!まっ!初雪ってば、そこはダメだって!」
初雪「白露ちゃん…ジャマだって…早く追っかけないと司令官逃げちゃう…っ!」
深雪「ちょっ!お前ら仲間同士で足引っ張ってんなよぉ!ああんっ!司令官逃げんなよぉ!」
提督「あっはっはっ!レースなんだから逃げて当然だろっ!」
羽黒「あぁ!司令官さん!そこは危ないです!っ!…ふぇ?!なんで?…なな…なんでっ?!」←提督の横で観戦しているがイマイチ仕組みを理解してない
時雨「白露…!それではだめだよ!もっとスムーズにカーブを攻めないと提督に離される一方だ!」
夕立「ああーん!白露の走り見てらんない!代わってぇ!」ジタバタ
村雨「あっはっはっ♪みんな頑張れ〜♪」←呑気にお菓子食べつつ
吹雪「あははっ♪初雪ちゃん深雪ちゃん白露ちゃん頑張れ〜♪」←村雨同様お菓子食べながら観戦中
白雪「…」←ベットに腰掛けて小説を黙々と読書
磯波「はわー…これもいいなぁ〜…」←白雪の隣で何かのアルバムを拝見中
薄雲「凄い…提督にこんな趣味があったんですねぇ…あ、この写真もいいですね♪」←磯波と一緒に写真のアルバムを見ている
山風「…」←ベットに寝そべってマンガを読書
江風「…」←ポテチ齧りながらマンガを読書
五月雨「ハラハラ…ワクワク…」←観戦中
涼風「うぉー♪いっけぇ〜♪皆で提督を倒せ〜♪」
綾波「しれーかーん♪このままぶっちぎっちゃいましょ〜♪」
敷波「…ちょ!綾波ってば!司令官を倒さなきゃいけないのに応援してどーすんのさぁ…もぉう///」
島風「おおうっ!提督はっやぁ〜いっ♪」
雪風「しれぇ!そのまま!そのまま突っ走るのです!」
時津風「もぉー、さっさとドンデン返ししなよ3人ともぉ〜、まぁ〜た提督がドヤ顔になっちゃうじゃんか〜」
わいわい!やいのやいの!
………
……
…
長門・榛名「……ふふっ…」
…思い思いに提督の私室でくつろぐ駆逐艦達と提督と羽黒の賑やかな空間だった。
長門「…この勝負を見届けてから中に入ろうか…」
榛名「…ええ♪混ぜてもらえるなら混ぜてもらいましょうか♪」
………
……
…
白露「だあーっ!!またやられたぁ!」6位
初雪「…おのれ…」2位
深雪「ちっきしょーっ!なんでいっつも司令官は強ええんだよぉっ!」4位
提督「ホホホ♪キャリアが違うのだよ〜」完全勝利
コンコン
提督「にひひ…ん?はーいどなた?」
長門「休暇中にすまない、長門だ。本を返しに来た」
提督「どうぞどうぞ〜」
ガチャ…
長門「ふふ…随分にぎやかだな」
榛名「提督、お邪魔します」
提督「おや?榛名もどうしたんだい?」
榛名「長門さんと同じでお借りしていた本を返しに参りました」スッ
白雪「…?…あっ!その本は?!」
榛名「…?」
白雪「前見かけたのに無いなぁって思って気になってた本なんです…榛名さんが読んでたんだ…」
榛名「あら…ごめんなさいね白雪ちゃん…この本ついつい面白くて読み返しちゃって…」
白雪「…あ、い、いえいえ!そ、その…次…お借りしても…?」
榛名「ええ、勿論♪提督、大丈夫ですよね?」
提督「ん?おう、それか。大丈夫だよ」
白雪「ありがとうございます♪」
榛名「…ところで白雪ちゃんは今何を読んでいるの?」
白雪「ええっと…これはですね…」
………
……
…
江風「ごっそり欠番してるなぁって思ってたんすけど、長門さんが一気読みしてたんすね〜」
長門「あぁ、前に借りたヤツと同じ作者なんだが、作品の肌が随分違って面白い」
江風「うんうん!わっかります!」
長門「最新巻が楽しみだ…週刊誌は読まないクチだから、単行本の発売までの楽しみで気になって仕方がない…ときに山風は何を読んでいるんだ?」
山風「…えっ?え、えと…これは…ね?」
長門「ふふ…焦らなくても落ち着いて説明してくれればいいぞ」
なでなで
山風「はわわ…///う…うん!」
…おお?2人ともめっちゃ自然に溶け込んだな。
提督「榛名、長門、かなり騒々しい部屋だが大丈夫かな?」
榛名「榛名は大丈夫です!」
長門「ああ、問題ない」
提督「ん、ならいいんだけど…」
村雨「はーい♪榛名さん、長門さん、飲み物はいかがですか?」
榛名「ありがとう♪村雨ちゃん。…でも…」
長門「あぁ…こんな事なら何が持ってきたほうが良かったな…」
村雨「気にしないでください〜♪」
…ふむ、あっちはあっちで上手くやってるっぽいから安心だな。
深雪「…こーなりゃバトルだ…」
提督「…え、モード変えるの?」
深雪「3対1で勝負せいやぁーっ!」ビシィッ!
提督「うほっw何んだその無理ゲーwww」
白露「ぜぇ〜〜ったい提督をギッタンギッタンにして、吠え面かかせてやるんだからぁ〜っ!」ギリギリ…
初雪「…絶対…勝つ…っ!」クワッ!
提督「ほっほぉ〜…いいぞ〜束になって掛かってきな…纏めて返り討ちにしてやんよ〜…」ゴゴゴゴゴ…
羽黒「(はわわっ!司令官さん、悪人っぽいです…)」
夕立「…白露下手っぴだからまた負けるっぽい…」シレッ
時雨「しっ!夕立、それ以上は駄目だよ」メッ!
………
……
…
深雪「ちょっ!司令か…っ!それ反則…っ!」
白露「いやぁぁん!ナンデヨォォォォォッ!」
初雪「力及ばず…無念」
提督「FOOOOOOOOOOOOOOOOOっ!」
夕立「もぉー、だから白露が足ひっp…」
時雨「夕立っ!メッ!」
涼風「…なんか提督のめっちゃラスボス感が半端ねぇぜ…」
白露「グスン…もうやだぁ…誰か代わって…仇取ってぇ…」
夕立「なら私がやるっぽい!ふっふ〜ん提督さん、素敵なパーティしましょっ♪」
提督「おぅ、そのままバトルか?どうする?」
………
……
…
選手交代となっても尚、駆逐艦達の相手をしている提督を傍から大人勢は、お茶とお菓子をいただきながら見ていた。
榛名「…ふふふ…提督ったら子供みたいですね…あれが本来のお姿なんでしょうね…かわいい♪」
羽黒「…えぇ、私もビックリしました。…でもみんな楽しそうで良いなぁ…」
長門「あぁ、全てをひっくるめて提督なんだが、この場にいる提督の表情も初めてだな…」
大人勢「「「(…一体提督(司令官さん)はどれだけの顔を持ってる(のでしょうか?)(のかな?)(んだろうか?)…)」」」
………
……
…
提督「あー疲れたー…ちょい笑い過ぎたなぁ…交代で誰かする?」
江風「おっ!じゃあアタシに代わってくれよ提督〜♪」
提督「おう、よろしく頼むよ」スクッ
深雪「あぁっ!司令官!勝ち逃げはズルいぞぉ!負けるまで付き合いやがれーっ♪」
時津風「まーまー、深雪、しれーが帰って来るまで特訓しよー」
時雨「そうだね…このままでは終われない…っ!」
江風「よっしゃ!おっぱじめよーぜーっ!」
提督はゲームエリアから抜けて、傍から観戦してる大人達や、読書に耽っている駆逐艦達が集まっているエリアに入った。
提督「よっこらせっと…いやぁ…中々激しい戦いだった」
村雨「あら提督、いらっしゃい♪紅茶いかが?」
提督「おお、ありがたや…ありがとう村雨」
長門「お疲れ様、提督…激しい戦いと言っている割には、余裕そうなんじゃないか?」
提督「あの手のゲームに余裕なんて無いよ…気を抜いたら負けるし、気を抜いてなくても事故るしな…」
長門「ふむ…提督はゲームの経験は長いのか?」
提督「そうだねぇ…格闘ゲーム以外は割と長いかな…どうも格闘ゲームのコマンドが苦手でねぇ…代わりにレース物とフライトシューティングは、付き合いが長いんだ」
長門「そうだったのか…ふふ…まるで子供のようだったぞ」
提督「こういうパーティ系のレースゲームはどうしてもなぁ…思わず声が出ちゃうんだよ」
長門「だがみんな楽しそうにしている…良い事だ」
提督「まぁ持ってきたハードが粗大ごみにならなくてよかったよ…」
磯波「あ…あの…司令官?」
長門と少し話をしていた提督に吹雪の姉妹艦で、黒髪で後ろ髪をおさげに纏めた特1型駆逐艦 9番艦 磯波が、写真アルバムを抱えて話しかけてきた。
提督「ん?どうしたんだい?磯波」
磯波「この写真は…いつ撮られたんですか?」
提督「ん?…どれかな?…あぁ…懐かしいなぁ…初めて連れて行ってもらった小松基地の航空祭の写真だな…もう10年は経つなぁ」
磯波「この飛んでる戦闘機の写真、すごい躍動感ですよね!」
提督「まぁ、デカイ被写体だからなぁ…うまい人の見様見真似でがむしゃらに撮ってたな…確か現像した枚数に対して5倍の枚数はミスってたな…」
磯波「ご…5倍っ?!ここにあるのが50枚程だから…」
提督「ぶっちゃけ撮って失敗してなんぼって思ってるからな…青葉みたいに狙った被写体は一撃必中みたいなのは、凄く羨ましく思うよ」
磯波「む…難しそう…」
提督「もっと難しいのは車の流し撮りじゃないかなぁ…シルエット小さいし、近いところ走ったらそれこそカメラが追い付かないしな…磯波は写真に興味があるのかい?」
磯波「…え?あ…はい…なんだか良いなぁって思ってて…」
提督「…遊んでるデジタル一眼があったナァ…型落ちだけど使ってみる?」
磯波「…えっ?!お、お貸ししていただけるんですかっ?!」
提督「うん、本チャンのカメラ以外ならいいよ…と言うより撮った写真を見せて欲しいな」
磯波「ありがとうございますっ///…やったぁ♪」
提督「ちょっと待ってて…説明書と充電器と鞄と一式持ってくるから」
磯波「はいっ!」ワクワク
長門「…ふふ…良かったな…磯波」
磯波「あ、長門さんすみません…司令官との話の腰を折ってしまって…」
長門「なに、大した事を話していた訳では無いからな、気にするな」
羽黒「…この話を聞いたら青葉さんが食い付いてきそうですね」クスクス…
榛名「でも青葉さんは、提督がカメラを嗜んでいる事は知らなさそうですよね?」
長門「…これを知った青葉がそのうち、佐伯泊地で写真部でも結成しそうだな…」
羽黒・榛名「あぁー…」
磯波「わわわ…頑張って上達したいなぁ」
長門「…上手くなるのはとても良い事だが、青葉の真似だけはしなくていいからな?」
磯波「だだ…大丈夫です…」
…この磯波の純粋さを守りたいと強く思う大人勢なのであった…。
………
……
…
〜同時刻 重巡寮 青葉と衣笠の部屋〜
青葉「ふぇ…へっくしゅん!」
衣笠「大丈夫?またロクでもない噂されてるんじゃな〜い?」
青葉「なっ?!失敬な!青葉は公正な真実を公に出しているだけです!」
衣笠「(…まあ、多分それがいけないんだと思うけどね…)」
………
……
…
1030時
提督の私室で急遽開催されたゲーム大会は続いているが、そろそろ昼食の時間が迫ってきた。
ふと壁掛け時計を見上げた提督の視線は、その時計に釘付けになった。
提督「…(あ、人数これだけ居たら昼どうしよう…)」
榛名「…?提督?どうかされましたか?」
長門「…浮かない顔をしてるな」
羽黒「あのぅ…何か心配事があるんですか?」
いつもなら 補給艦 間宮の食堂に行って食べる事が大半だが、今日はたまには休暇をして欲しいと言ってあるので、今日は恐らく食堂としての機能は止まっている。
…なら間宮の食堂が閉まっているときにお腹を空かした艦娘達はどうするかって?
ちなみにこの泊地では自炊を推奨している。
これは将来的なことを考えてのことでもあり、作って貰えるという有り難みを噛み締めてもらう為の配慮でもあった。
…中には外食をする者もいるが、泊地の地元ならまだしも、このご時世、中々艦娘といえど外出許可がホイホイと出るわけもなく…。
提督「…(まぁ、基本みんな料理出来るしな…一部を除いて…)」
榛名「…あ!お昼ご飯の準備…」
長門「…む、そろそろ始めんとな…」
羽黒「でもこの人数ですし…」
提督のその視線に気付いた嫁艦達が、思案を始めた。
榛名「流石にここでお昼を作るのは、量的にも厳しいですね…むぅ…」
長門「…かと言って各々で…と言う訳にもいかんな…」
羽黒「でも普段遠征で出払っている娘達には、休みの時くらい出来るだけのびのびしていて欲しいような…」
提督「…あ、食堂の厨房借りようか?」
嫁艦3人「「「…えっ?」」」
提督「食堂の厨房なら広さもあるし、食材も日持ちするものなら、ある程度揃ってる。間宮さんにお願いして厨房を借りて、有志で昼食を作るってのはどうだろう?」
榛名「あぁっ♪それは良いですねっ!」
長門「うむ、私もそれなら手伝おう」
羽黒「も、もちろん私もお手伝いします!」
提督「…よし、方向が決まれば早速間宮さんに連絡を…」
……………
…………
………
……
…
提督「…まさか、伊良湖共々、食堂を締め切って料理していたとは…」
嫁艦との話し合いの直後に提督は間宮に、食堂の厨房を貸して欲しいと頼む電話をしたところ、今日は間宮と間宮同様に食堂を切り盛りしている、補給艦 伊良湖 が次に出す新作メニューの思案で、食堂に籠もっていることが判明した。
もちろん、厨房の使用は快諾された。
なので、提督と嫁艦3名と数人が有志で、ゲーム大会組の昼食を作る為に今現在、皆で食堂に向かって歩いている。
提督「うーん…普段から大人数に料理を作ってたらやっぱり、そうなるんだろうか…」
羽黒「あの…司令官さん?」
提督「…ん?何だい羽黒?」
羽黒「司令官さんはその…やっぱり女性は料理ができた方が良いと思いますか?」
提督「そりゃできた方が色々良いだろうけど…羽黒は出来るの?姉妹だと妙高が大抵卒無くこなせそうで足柄はカツカレーに尖ってて…那智は料理しそうなイメージが…」
羽黒「ええっと…那智姉さんはお酒のおつまみは絡みなら大抵自分で作ってしまいますね…足柄姉さんはカツカレーのイメージは強いですが、実は何でもできます…私は妙高姉さんと同室なのもあって、料理のお手伝いをしていたりするので、一通りは出来ますね」
提督「あぁ…そんな感じか…何となく羽黒はそうなんじゃないかと思ってたなぁ…」
羽黒「…こ、今度…"私も"司令官さんと一緒にお料理してみたいです…///」
提督「あぁ、良いよ………って…"私も"?」
榛名・長門「「???」」
提督と羽黒の会話に対して榛名と長門は、「何の話?」と言うような表情で顔を見合わせている。
そんなことは露知らず、羽黒は提督の疑問に対しての回答を示した。
羽黒「ええと…その…昨日、比叡さんと一緒にカレーを作ったのをご馳走してもらったと吹雪ちゃんから聞いて…///」
提督「…あぁ…そういやシレッとあの中でカレー頬張ってたな…吹雪」
吹雪「はいっ!即興だったのに、凄い完成度でした!」
そんな会話中、目をキラキラさせながら、2人の会話に割って入ってきた。
提督「…でも、あれの味決めたのは全部比叡だし、俺は横で野菜だの何だのを切り揃えてただけし…」
吹雪「またまた〜そんなこと言ってて息ピッタリでしたよ?」
提督「…さてはあのカレー作ってる最中に皆に言いふらしたのは…」
吹雪「…あ…えへへ…///」
提督「…食べ物の恨みってのは根深いんやで?」
吹雪「…え"っ…」
提督「…ふふふ…冗談だよ…皆美味しそうに食べてくれてたし、それがお代みたいなもんだよ…後々の楽しみが先食いされた事に対する細やかな意地悪だよ」
吹雪「も、も〜う!脅かさないでくださいよぉ〜」
提督「いや、悪い悪い…でも昼はどうしようかなぁ…」
榛名・長門「「…ではカレーを」」
提督「…え?」
先程から黙って会話を聞いていた榛名と長門が、何やら有無を言わせない圧力で両名カレーを作ることを提案をしてきた。
提督「…羽黒はどう?」
羽黒「はは、はい…い、いい、いいと思いマス…」
提督「ふ、吹雪は?」
吹雪「は、は、ハイっ!つつ、作る人によってカレーは違うので、も、問題ありませんっ!」
提督「…?…ん、そっか…そうだな…それじゃあ皆でカレー作ろうか」
戦艦勢の圧に押されるようにたじろぐ2人の反応に疑問を抱きながらも、提督もカレーを作る事を決定した。
………
……
…
調理担当の皆で厨房に入ると、その内“それぞれ好みが違うから、提督、長門、榛名、羽黒で4種類カレーを作ろうか“という話の流れになり、ゲーム大会勢の昼食はちょっとしたカレーパーティーとなった。
………
……
…
その昼食後、4人は残って調理器具と食器の片付けをしながら、カレー談義に花を咲かせていた。
提督「…うむ…甘いカレーもまた一興だったよ」
長門「ふふ…それは良かった…」甘口担当
羽黒「提督のカレーはコクとスパイシーに重きを置いたカレーでしたね…美味しかったです♪」中辛1担当
提督「あー…俺が作ると大抵あの味にしちゃうんだよな…少しの趣味に走りすぎた…羽黒の作ったカレーも美味かったなぁ…榛名の作ったカレーと肉違いとは思えない位違ったよ」辛口担当
榛名「提督はカレーに対しての守備範囲が広いんですね…参考になりました!」中辛2担当
提督「いやいや、榛名のカレーはスパイスと旨味のバランスがとても良かった…牛と豚で全然違うってのもあるけど各々で隠し味が違ってとても良かった…羽黒のカレーは食べてほっこりというか…そう、食べたことないのに食べた事があるような懐かしさがあった…不思議なもんだ。…で、やっぱり売れ行きを見てもわかるけど、やっぱり駆逐艦達には甘口と中辛の2つの売れ行きが良かったなぁ…」
長門「あぁ、私のカレーは甘口だが色々な具材の旨味からからくる甘さだからな」
提督「やっぱりそうか…玉ねぎを大量に炒めて、酸味の出る人参は控えめ。ああ作るとあんな味なんだなって新しい発見だったなぁ」
榛名「(…あれ?そう言えば長門さん…)」
羽黒「(…提督のカレーを食べてなかったような…?)」
提督「…あ、そう言えば、長門はどうだった?俺のカレー」
長門「…え?…あ、あぁ、美味かったぞ…」
提督「…?」
長門「て、提督!次の借りれそうな本を見繕ったら私は部屋に戻るがいいか?!」
提督「え?え?…別に許可取ることないけど…いいよ?」
長門「そ、そうか!提督!有意義な時間だった!ありがとう!」スタタタ…
…何やら、慌てた素振りで長門は我先にと提督の私室に向かう背中を、提督と榛名と羽黒の3人はキョトン顔で見送った。
提督「…長門、急にどうしたんだろ?」
羽黒「さ、さぁ…?」
榛名「(…もしかして長門さん…?)」
………
……
…
…時刻は夕刻に差し迫っていた。
提督は私室にて駆逐艦達とゲーム大会を続行となり、榛名と羽黒はそれぞれ自室に戻っていた。
深雪「はぁぁ〜…めっちゃ遊んだぜ〜…結局全体で見たらまた負けが込んじまったなぁ〜…あー、チキショー…」
提督「あー…疲れた…騒ぎ疲れた…こういう疲れ方は久々だなぁ…」
夕立「…ふぁぁ…わふっ…夕立眠くなってきたっぽいぃ…」
時雨「ふふ…あれだけ騒げば疲れるよね」
白露「…zzz」←村雨に膝枕されて寝落ち
村雨「………」←膝枕しつつ小説を黙読中…
初雪「…zzz」←吹雪に膝枕されて寝落ち
吹雪「…あ…もう1600時なんですね…楽しくて時間を忘れちゃってましたねぇ」←寝落ちした初雪の面倒を見つつボンヤリしてる
あれだけ騒いでいた駆逐艦の娘達も、騒ぎ疲れて机や床に突っ伏して寝ている娘や、変わらず本を読み耽っている娘、本を読んでいると見せかけて寝落ちしている娘、はたまた先に引き上げた娘などと、思い思いに過ごしている。
夕立「むー…提督さん…えいっ!」
ガバッ!
提督「んうぉっ!」
時雨「!!」
おもむろに近付いてきた夕立が、提督の後ろから首に抱きついてのしかかった。
提督「おい、夕立…戯れ付くな…」
夕立「むー…このままくっ付いて寝たいっぽいぃ…zzz…」
時雨「(…夕立は無邪気に振る舞えていいなぁ…)」
提督「はぁ…やれやれ……ん?時雨どうしたんだい?」
時雨「あ、い、いや、何もないさっ…」
提督に抱き着いて即寝落ちした夕立を凝視していた時雨の視線に気付いた提督だったが、時雨にはぐらかされてしまった。
…凝視されていた原因は抱き着いたまま寝落ちした夕立だろうが、時雨のその視線は提督にはどこか羨ましそうにも見えた。
提督「…時雨も休む?」
時雨「…えっ?えっ?」
提督「…俺の首は1つしかないから無理だけど、膝とかなら貸せるぞ?」
時雨「うう…」
提督「そんな物欲しげな目をされたらほっとけ無いし…少しくらいなら寝てもいいしさ…ほら」
時雨「う…うん…お邪魔します…///」
スス…トスン…
時雨は提督にそう言われると、素直に提督に近づいてそのままそっと提督の膝の上に仰向けになって頭を預けた。
時雨「…すぅ……ふぅぅ…」
提督「皆とはしゃいでちょっと疲れちゃったか?」
なでなで
時雨「うん…でも今日一日凄くのんびりできたよ…付き合ってくれてありがとう…提督…」
提督「どういたしまして」
時雨「…んん…撫でられるの…心地よくて…安心するね……すぅ…」
提督「…時雨?」
時雨も、提督に身を委ねるとあっという間に寝てしまった。
提督「(…むむ…今寝静まった2人を起こすのは忍びないし、どうしたものか…)」
コンコンコン…
そんな事を考えていたら、今度は私室のドアを叩く音が室内に響く。
提督「?はーい、誰だい?」
加賀「お休みにすみません、加賀です。…今、宜しいでしょうか?」
提督「どうぞ〜」
…ガチャ…
私室のドアが開くと相変わらず表情が読み取りづらい仏頂面な加賀が、部屋の入り口で提督の姿をその瞳に捉えて話しかけてきた…。
加賀「…提督、今晩なのだけれど…予定は空いているかしら?」
提督「ん?…あぁ、ゆっくりするつもりだがどうかしたかな?」
加賀「今宵、航空母艦全員で集まって飲み会をするのだけれど…提督も如何ですか?」
提督「おお、それはいいねぇ…何時からだい?」
加賀「1830から空母寮で……す…」
開催時間と場所を伝えた加賀の視線が、提督の目線から別のものに移った。
加賀のその視線は、提督に膝枕されていすよすよと寝ている時雨と、首元に抱き着いたまま寝落ちた夕立に移った。
加賀「…………」
提督「…あ、悪い、皆遊び疲れてそのまま寝ちゃって…」
加賀のジトッとした目線に居心地の悪さを感じた提督は、弁明を試みたところ…。
加賀「…要件はそれだけです…お越しになりますか?」
提督「ん?あぁ、お邪魔させてもらうよ」
加賀「わかりました…では、また後程………」
その弁明を聞いたのか聞かなかったのか、加賀のその視線をふと解かれて、再び提督の目線を捉え出欠の確認をしたら、さっさと部屋の入口へ踵を返して部屋を後にしようとした。
…ドアが閉まる瞬間、提督には加賀が流し目で膝枕される時雨を見ているのが見えた気がした。
…バタン
加賀「…ふぅ…」
ドアが締めた直後、廊下を出た加賀は小さく溜息をついて、何やら気を落ち着かせるようにしていた。
加賀「(…夕立は気性がああだからあまり気にしなかったけれど、時雨のように私も自然にあんな風に出来るかしら…?)」
加賀「…あぁ…いけない…早く提督が来ると鳳翔さんに話を通しておかないと…」
悶々と考えていた加賀は気持ちを切り替えて、小声でそう呟くと空母寮に向かって足早に歩き始めたのであった。
時雨「………」
その時雨は膝枕されている状態のまま、目線だけで加賀が退出していったドアをジッと見つめていた。
提督「…?時雨?」
時雨「…あ、ゴメンね…迷惑かけちゃって…」
何故かいきなり時雨に謝られてしまった提督。
提督「…?時雨がなんで謝るんだい?」
時雨「つ、次の予定が出来たんだから、僕らもそろそろお暇するよ…」
そう言うとそそくさと起き上がろうと時雨は起きようとする。
提督「…」
…が、提督は時雨の頭を膝に押さえ付けて、起きれないようにして、その行動を阻止した。
時雨「…ちょっ!あっ!…て、提督?」
提督の意外な行動に時雨は焦った。
提督「せっかく時雨が寝付いたところだったんだ。時間までは遠慮しなくていいよ」
時雨「え…い、いやでも…」
提督「1800までは1時間半弱ある、滅多にない事なんだからこんな日があって良い…ここで寝なさい。…これは提督命令です」
時雨「うぅ…ずるいよぉ…///」
提督「あんなに穏やかな表情見せらた後に、そんな無理矢理出て行かせられる程、野暮じゃないからね…」
時雨「…わかったよ…でも…時間になったらちゃんと起こしてね?」
提督「もちろん」
時雨「…それじゃあ…改めて…お休み…」
再び眠る姿勢に入った時雨が意識を手放すのはそう時間はかからなかった。
提督「…お休み…」
つい先程に時雨の頭を押さえ付けた手は、優しく撫でる手へと変わっていた。
夕立「…zzz」
提督「…夕立…頼むから涎垂らすのやめなさい…」
せっかく時雨の寝顔でほっこりしているところに、全体重をのし掛けてもたれ掛かりながら爆睡する夕立の垂れた口角から、首筋に垂れてきた涎ですっかり雰囲気が台無しになってしまった提督なのであった…
………
……
…
1800時
提督「お、時間か…時雨…時間だ」
時雨「うぅん…おはよう…提督…」
提督「おはよう、ぼちぼち皆の撤収準備を始めてくれるか?」
時雨「うん…よっ…と…」
顔がこころなしかスッキリした時雨はスクッと起き上がって、寝ている姉妹たちを次々と起こして回りはじめた。
時雨「ほら、夕立…起きて、寮に帰るよ。村雨も白露を起こしてくれないかな?…江風も山風も起きて…提督が部屋を出るから、僕たちも寮に帰るよ?」
…駆逐艦たちが提督の私室から撤退するまでには、それほど時間はかからなかった。
彼女らの口々からは、「次はリベンジする!」や「お邪魔しました」や「もっとのんびりしたかった…」といった言葉が投げかけられたのを締めの挨拶に、各々の部屋へと戻っていった。
提督「…また宜しくな…皆…」
提督は駆逐艦の娘達が見えなくなったところでそう呟いた。
提督「…さってと…そのまま空母寮に行くか…」
提督もそう言うと空母寮に向かって歩き出した。
………
……
…
白露「…ねぇ、時雨?」
時雨「…ん?なんだい?」
白露「なぁ〜んか良いことあったの?機嫌良さそうじゃん」
時雨「皆と沢山遊べたからね」
白露「ふぅ〜ん…それだけぇ?」
時雨「…え?」
村雨「まさかあの状況を見てない訳ないじゃな〜い♪良い感じだったわよねっ♪」
時雨「…な、なんと事かな?」
夕立「…?」
村雨「"うぅ…ずるいよぉ…///"」ボソッ
時雨「わ、わーっ!わぁーっ!///」
白露「いや〜あれは萌えるわ〜w 我が妹ながら恐ろしいwww」
夕立「…ぽいぃ???」
時雨「あ、あれは仕方なくっ!提督がどーしても寝ていけって言うからっ!そうっ!仕方なかったんだよっ!///」
白露・村雨「「はいはい♪」」
時雨「ちゃ、ちゃんと聞いてよっ!///」
夕立「…むぁーっ!さっきから何の話っぽいっ?!」
吹雪「(…時雨ちゃん…司令官の膝枕…いいなぁ…)」
…その部屋への帰り道中も賑やかな駆逐艦達なのであった。
……………
…………
………
……
…
今回はここらで一旦切ります。
…思いの外、執筆していると、あれこれしている内に読み切るにはしんどい字数になってしまいます…(;^ω^)
まだまだダラダラと続きますが、最後までお付き合いいただけると幸いです!
それではまた何処かで!(^^)ノシ
〜束の間の夏休み編 1日目♯2に続く〜