皆さん、おはこんばんちは!∑∠(`・ω・´)
今回は夏の黄昏編にて提督が溺れて目を覚まして皆で戻っていくという最後の場面の少し後のお話です。
※前編が 夏休暇 1日目♯1 となります。
みんカラ内限定でブログ小説として書き残してますので、興味がある方は下記のURLよりアクセスしてみてください(_ _)
↓↓↓↓↓
プロローグ ♯1 午前編
https://minkara.carview.co.jp/userid/2501514/blog/44104145/
♯梅雨の日編
https://minkara.carview.co.jp/userid/2501514/blog/44223073/
♯夏の黄昏編
https://minkara.carview.co.jp/userid/2501514/blog/44271814/
♯夏休暇 初夜編
https://minkara.carview.co.jp/userid/2501514/blog/44785551/
♯夏休暇 1日目♯1
https://minkara.carview.co.jp/userid/2501514/blog/44889139/
毎度ながらの超長文となりますが、気長にお付き合いくださいませ…。
バトル・流血・略奪等の暗い話は描かず、ゆるーく描いて行きますので、そこんとこよろしくお願いします(_ _)
基本この泊地の艦娘は、提督好き好き設定でヨロシクです(笑)
尚、この作品は 艦隊これくしょん - 艦これ - の二次創作であります。
キャラクターの人物像も公式を参考にして、著者が独自解釈したものです。
これらを踏まえた上で、お読みになってくださいませ…。
尚、このお話は時間軸上、去年の夏のお話となりますのでご了承くださいませ。
……………
…………
………
……
…
ー 佐伯泊地の夏季休暇 1日目♯2 ー
……………
…………
………
……
…
…加賀に誘われて空母寮で行われる飲み会に赴いた提督。
その会場は空母寮の中で一番広い部屋面積を持つ"談話室"にて行われていた。
提督が空母寮の入り口に差し掛かった時、そこで立ち話をしている2人の女性の姿が見えた。
???「Oh ! good evening 提督。ようこそ空母寮へ♪」
???「あ、提督、お疲れ様」
するとその2人は、提督の姿を見ると声を掛けてきた。
提督「こんばんは、サラ、今日はお邪魔させてもらうよ。ホーネットもお疲れ様…2人共、中には入らないのかい?」
流暢な英語と日本語を器用に使い分けて、母寮に歓迎した赤みの勝った茶髪をポニーテールで纏めて、その長さは肩より少し下。ネイビーブルーのノースリーブワンピースを纏う艦娘は、海外艦、アメリカ艦のレキシントン級2番艦 正規空母のサラトガ。
サラトガの後に提督に声を掛けてきた、少しウェーブの掛かった背中の中程まで伸びたブロンドヘア。白のノースリーブシャツに紺のネクタイとタイトスカートを纏う艦娘は、こちらもサラトガと同郷のアメリカ艦のヨークタウン級3番艦 正規空母のホーネット。
…はっきり言って遠目でもわかる程の美女2人が提督を出迎えた。
サラトガ「ええ、カガさんに出迎えるように頼まれまして、ホーネットと一緒に」
提督「ああ、そうだったんだ…ありがとう。ホーネットはこの泊地での生活は少しは慣れてきたかい?」
ホーネット「えぇ、シスターサラにこの泊地での分からないことは教えてもらってるし、日本の空母の皆も親切にしてくれるから、何の問題もないわ。…ここはホントに良いところね」
提督「そりゃ良かった。でも気になる事があったら話を聞かせてもらえると助かるから、宜しく頼むよ」
ホーネット「ええ、わかったわ」
サラトガ「ささ、提督、立ち話もこれくらいにして早速 dinner に参りましょう♪main はホーショーさんのお料理ですが、お題で1人1人料理を持ち寄る rule でしたので、持ち寄ってみたらとっても豪勢な dinner となりました♪」
提督「おお、そりゃ楽しみだなァ…ちなみにサラは何を作ったの?」
サラトガ「はい♪日本では夏になると焼いた Beef をよく食べると聞きましたので、肉料理を用意しました」
ホーネット「私はデザートが少ないと聞いたから、アップルパイを作ったわ」
提督「おぉ…それはどちらとも楽しみだなぁ…昨日から料理を作ることが多かったから、のんびり食べに徹して楽しめそうだ」
ホーネット「へぇ…提督は料理もするの?」
提督「ん?…まぁ少しくらいは出来るよ」
ホーネット「…少し?」
サラトガ「少しってことは無いのでしょう?提督のカレーは絶品とお聞きします」
提督「…え?その情報、誰情報?」
サラトガ「アカギさんです♪」
提督「…あの食いしん坊め…余計なことを触れて回りおってからに…」
…余計に俺のカレー2日目の楽しみが出来なくなっちゃうじゃんか…。
ホーネット「…ふふふ」
提督「ん?どうかしたかい?」
ホーネット「あ、いや、気を悪くしたらごめんなさいね?提督ってちょっと子供っぽい所があるんだなって思ったの」
提督「…あー…う〜ん、否定できないなぁ…ひょっとして幻滅した?」
ホーネット「まさか、物凄く親しみを感じてるわ。提督とはもっと話がしたいと思っていたから、この席は有り難いの…宜しくね?」
提督「いえいえ、こちらこそ!」
サラトガ「(ふふ…ホーネット、良かったわね♪)」
会場までの道中、出迎えの海外勢と雑談を楽しみながら、気が付けば入り口はもう目の前。
中からは聞き慣れた声の娘達の騒ぎ声が聞こえた。
提督「…あぁ、いつもの飲み会って感じだな…世間様にはお見せできないねぇ…」
サラトガ「あはは…」
ホーネット「この御時世だもの…私達は大丈夫でも、提督が…ね?」
…ちなみに人間の姿をしながらも人間ではない艦娘達は例のウイルスを保菌しても、発症・増殖がしないらしく、各鎮守府・泊地では艦娘達のクラスター事案は発生していない。
…が、自粛なんちゃらとやらは、そんな事は関係ない。
大きなストレスを抱える戦場に赴く彼女らのへのせめてもの発散場所として、閉鎖空間である泊地内での屋内宴会くらい大目に見てほしいものだ。
これを見越してか、司令部も"外界に目を付けられない範囲で大きな作戦の後に屋内でなら…"とお達しが来ていたのでそれに則った形での飲み会なのである。
サラトガ「それではようこそ♪空母寮の宴会へ♪」
ホーネット「歓迎するわ」
2人が先行して両開きのドアを開け放った。
その先の部屋ではいつもの顔ぶれの艦娘達が、食事を取りながら、思い思いに飲んで喋っていた。
「お、提督キターっ!」
「お先に出来上ってまぁ〜す♪」
「いらっしゃい、提督!」
提督「皆ありがとう!今晩はお世話になります!」
???「提督、席はこちらになります」
提督が部屋に入って挨拶をすると、少し小柄の娘が提督の座る席の案内についた。
提督「ああ、ありがとう大鳳、楽しめてるかい?」
彼女は先程出迎えてくれた海外艦のホーネットと同時期に着任した正規空母で、容姿は小柄で
少し茶色がかったショートボブ、白の特徴的な上着に赤のミニスカートにスパッツ。
大鳳型1番艦 正規空母 大鳳である。
大鳳「はい、日本の皆さんだけでなく海外の方も良くして頂いているので」
提督「そうか、良い先輩達ばかりなら良かった。大鳳と相席みたいだな」
大鳳「はい、少しでも早く提督と馴染んでもらうためにと、皆さんのご配慮で相席させて頂いてます…あの、お酒をお注ぎたいのですが、宜しいですか?」
提督「おお、ありがたやありがたや、お願いするよ…」
提督の差し出したコップに並々とビールが注がれる。
そのコップに注がれた琥珀色の弾ける液体は泡の膜がコップの口の高さが調度で止まり、ビール8:泡2程の黄金比となった。
提督「…お見事、では頂きます!」
そう提督は言うと、注がれたビールをグイッと飲み干した。
それを大鳳は目を丸くして見ていた。
提督「くぅーっ!染みるなぁ〜…」
大鳳「て、提督はお酒がお好きなんですか?」
提督「いや〜好きだけどそんなに量は飲めないんだ…今、ちょうど喉が渇いてたからついつい…」
大鳳「ふふふ…そうでしたか…もう一杯いかがですか?」
提督「うん、お願いするよ………ありがとう…所で短い休みだけどちゃんと体は休めてるかい?」
2杯目を大鳳に注いでもらって、注ぎ終わったところで提督は何気なしに大鳳に質問を投げかけた。
するとその言葉を言われた瞬間、大鳳はビクリと肩を小さく跳ね上げて、膠着してしまった。
大鳳「え…ええっとぉ…」
提督「…?あ、いや、咎めるとかじゃないから…元気そうだから気分転換出来てるのかなってね…」
大鳳「そ、早朝にランニングと基礎トレをして…お昼からは鳳翔さんのお手伝いを…」
提督「ん、そっか。やっぱり日頃のルーティーンは大事だからな。大鳳が大丈夫ならそれでいいよ…早朝鍛錬は誰かと一緒にかい?」
大鳳「あ、はい。長良型の皆さんといつも一緒に走ってます。みんないいペースで走るので気持ちが良くて、軽く話をしながらやってます」
提督「おお、そりゃ良いな…空母勢では仲の良い相手はいる?」
大鳳「ええ、皆さんと隔てなくお付き合い出来ていると思いますが…」
提督「んん?言いにくいことかな?無理に話さなくても…」
むむっと少し考え込んで"言って良いものが…"というような仕草を見せた大鳳を見逃さなかった提督は、すかさずフォローを入れようとするが…。
大鳳「いえ、大丈夫です。…強いて言えば、グラーフさんとは一際仲良くできていると思います」
提督「ほぉ…グラーフと?意外だな」
グラーフとはドイツの正規空母の艦娘で、本名はグラーフ・ツェッペリン級1番艦 正規空母グラーフ・ツェッペリン。
大鳳からその名前を聞くと、提督は目配せをしてその姿を探す。
背中の肩甲骨辺りまで伸ばした薄い金髪を後でツインテールで纏めて、前髪左右を胸部辺りまで伸ばしたヘアスタイル。
白の生地がメインのタイトな服に黒のプリーツスカート姿の艦娘は、見つけるのにそれほど時間は掛からなかった。
今は赤城と加賀と立ち話をしながら、会食している姿が見える。
…加賀はそうでもないが、赤城は相変わらず片手に料理を持った状態で、その美味しそうに食べている姿をグラーフは、その食いっぷりに対して呆れ半分感心半分といった複雑な表情で、苦笑していた。
提督「…ああ、そうか…グラーフとも着任した時期同じだったもんな」
大鳳「そうなんです。あと、ホーネットさんとも輸送艦撃破任務でよくご一緒するので…」
提督「おお、そうか…いや、交友が多い事は良い事だよ。練度も似通ってるし良いライバル関係でもあるからなぁ」
そうやって提督と大鳳の2人で遠目にグラーフを見ながら話していると、視線を感じたのかグラーフがこちらに視線を向けてきた。
おお、気付かれたかと思って提督は、潔く右手を上げて会釈をすると、グラーフは一航戦の2人に断りを入れて席を外したと思えば、提督と大鳳の座っている席に向かって歩いてきた。
グラーフ「guten Abend Admiral (こんばんは、提督)タイホーと2人で私を見ていたものだから、何事かと思ったぞ」
提督「ああ、悪い、一航戦の2人近くに居たもんだからつい目が行ってな」
グラーフ「…そうなのか?タイホー」
大鳳「ええ、気に障ったのでしたら、申し訳ないです」
グラーフ「ああ、いや…2人共すまない」
提督「いやいや、謝ることはないよ。…グラーフ、もし良かったここで少し話して行かないかい?」
グラーフ「ん?良いのか?」
提督「もちろん、な?大鳳?」
大鳳「はい♪グラーフさん、ご一緒しませんか?」
グラーフ「あぁ!もちろんだ!…あ、すまない Admiral 、まだ何も食べていないだろう?何か美味しそうなものを見繕ってこよう。好みは何だ?」
提督「あぁ、ありがとう。グラーフの好きな物で良いから頼めるかい?」
普段の目付きは少し鋭いグラーフだが、この申し出が嬉しかったのか、嬉々としてここに来てまだ何も食べてない提督を見て、気を回して料理を取ってくると言って席を外した。
提督「…普段の凛々しいグラーフも格好いいけど、嬉しそうな顔は尚更に魅力的な人だなぁ…」
大鳳「ふふふ…そうですね…提督、先程は上手く誤魔化して頂いてありがとうございます」
提督「気にしないでいいよ、外野がペラペラ喋ることじゃないからさ…3人で少し話しながら食べようか」
大鳳「はい♪」
グラーフが見繕ってきた料理はバランス良く盛り付けられてその生真面目な性格がよく解ったのだが、彼女の好みで選ばせた割に鳳翔の料理の比率が多い気がしたのは、気の所為だったのだろうか?
…何にせよ、ここに馴染んでくれている事は間違いなかったので、提督にとっては嬉しい反応であった。
………
……
…
提督「悪い、2人共、他の娘達にも声を掛けて回るから、少し席を外すけど大丈夫?」
大鳳「はい、お疲れ様です。行ってらっしゃい」
グラーフ「Admiral 問題ない。気にせず行ってきてくれ。Bis später(また後で)」
居心地はとても良かったのだが、他の艦娘達の様子も気になって、2人に断ってからグラス片手に席を立って、会場内をブラブラ歩く提督。
すると何やら気になる一団が目についた。
???「んぐっ…ふぅぅぅ…こんなものか…ヒリュー?」
飛龍「んぐっ…ぷはぁ〜…おぉ?アークもイケちゃうクチだねぇ〜♪」
蒼龍「ちょっ…2人共大丈夫ぅ?目がおかしいってぇ〜」
提督「…」
我が泊地の仲良しコンビである飛龍と蒼龍、それともう1人、赤毛のショートヘアの艦娘が何やら飲み比べをしている。
提督は一抹の不安を抱きながらその様子を注視していた。
???「何これしき…んん?」
提督と赤毛の艦娘との目が合った。
端整な顔立ちだがその目は普段と違い、酒の影響で据わっていて目付きが悪い。
…が、流石に目が合ってしまい、放っておくと後で難癖付けられるような気もしたので、提督はその赤毛の艦娘に向かって歩み始めた。
提督「お疲れ様アーク、随分飲んでいるようだけど大丈夫?」
赤毛の髪をボブ風に切りそろえ、その服装は白のを基調としたヨーロッパの軽装の騎士の様。
前が開いたスカートからは白のショートパンツを穿いて胡座をかいているこの艦娘は、イギリスからこの泊地にやって来た
アークロイヤル級正規空母 1番艦 アークロイヤルだ。
アーク「あぁ、大丈夫だぁ… Admiral 心配には及ばんないぃ。…それよりあなたもラム酒をどうだぁ?」
提督「遠慮なくいただくよ…おおぉっ!ちょっ!」
アーク「んぁぁ?日本男児なんだろぉ〜?その位で音を上げるのかぁ?」
提督「あ、ハイ、飲みます、飲みますってば」
蒼龍「(…あぁ…提督…)」
飛龍「(…御愁傷様…)」
お気の毒に…ドンマイと言わんばかりの目線を送ってくる二航戦ズ。
…あんにゃろめ…逃げやがったな…。
アーク「ほぉーらぁ〜♪グイッと!」
…ええい!ままよ!
提督「…んぐ…んぐ…んぐ…はぁ…うへぇ…きっつ…」
アーク「はっはっはっ!やるなぁ Admiral !私も注いで貰えるかな?」
提督「ん…随分ペースが早いみたいだけど…何かあったの?」
アーク「…」ピクリ
蒼龍「(…あ)」
飛龍「(…提督それは機雷っ!)」
少し距離を空けていたニ航戦ズが、すぅ〜っと離れていくのが提督にはわかった。
…だが、最早時既に遅し。
アーク「聞いてくれ!Admiral !ここに配属されている艦娘の皆は良いヤツばかりだっ!…うう…だが…だがなぁ…」
提督「あ、アーク…?」
…マズい…完全に泣き上戸だこの娘…。
次の瞬間、アークロイヤルは提督に酔った勢いに任せて抱きついた。
アーク「私は寂しいぃ!同郷が一人も居なくてぇ!早くウォースパイトやネルソン達に会わせてくれぇぇぇ!」
提督「わっ!ちょっ!落ち着けアーク!ちょっ!まっ!うへぁ…酒くっさ…!」
すでに出来上がっているアークロイヤルに絡まれた提督は、抱きつかれているのを引き剥がそうとするも、相手は艦娘。
捕まったら最後、されるがままとなってしまい、抵抗することを途中で諦めた。
………
……
…
提督「はぁぁ…もう出来上がってるを通り過ぎてて助かったな…すんなり寝落ちした…」
制服を整えている提督の後ろで、丸めた座布団とラム酒の空瓶を抱きしめて、アークロイヤルは寝落ちていた。
飛龍「提督お疲れ様〜」
蒼龍「いや〜熱い抱擁だったね〜」
提督「こんにゃろ!そそくさ逃げおってからにっ!」
飛龍・蒼龍「きゃーっ♪」
提督「…はぁ…でもアークの普段見れない側面だったな…ちょっとイギリス艦の建造が可能か調べてみるかな…」
…後日、特定条件を満たせば、クイーン・エリザベス級のイギリス戦艦ウォースパイトが、建造出来るとの一報を聞いて提督は建造に着手するが、使用の上限を決めてそれまで建造して、見事に資源をスって、半月余り秘書艦に慰められている提督の姿が目撃されたという話は、別の話である…。
………
……
…
提督「ふぅ…酷い目にあった…」
???「まーまー大目に見てやってぇやぁ〜」
絡んできたアークロイヤルから開放された提督に、小柄の艦娘が声をかけてきた。
提督「やぁ龍驤、お疲れ様」
髪は焦茶色のツインテールを背中の中程まで伸ばし、普段は身に付けている古代水干風の紅色の上衣は、自分の背後に畳んで置かれていて、今は白のカッターに黒のサスペンダー、黒いミニスカートの姿の艦娘。
龍驤型航空母艦 1番艦の龍驤だ。
容姿こそ小柄だが、この泊地における様々な苦楽を共にし、戦い抜いてきた頼れる年長軽空母の1人だ。
…因みに1番最初に着任した最年長の軽空母は鳳翔だ。
龍驤「…君ぃ〜なぁ〜んか失礼な事考えてへんかぁ〜?」
提督「いや、龍驤も良い感じに出来上がってるなぁとは思っただけだって」
龍驤「ホンマかぁ〜?」
提督「ホンマにそうやで」
龍驤「あ~っはっはっ♪いや〜悪い悪い♪久しぶりに司令官の関西弁聞けたわ〜♪ちょいちょい司令官♪ここ座ってーや〜♪」
提督「ん、それじゃあお邪魔して…」
そう言って提督は龍驤に勧められた隣に腰を下ろした。
龍驤「まーまー、まずは一献♪」
提督「あ、ありがと」
龍驤「にひひっ♪ウチにも注いでぇやぁ〜♪」
提督「そりゃもちろん」
龍驤「しっかし、アークっちの絡み具合は相当溜め込んどったみたいやったなぁ…」
提督「普段は凛として自分を律ししているからなぁ…その分反動もでかいってことなのかも…」
会話を始めると2人でちびりちびりとお互い注ぎあった酒を片手に、最近の泊地内での変わった事や新しく着任した娘達の話を始めた。
幼く見えて龍驤は、この泊地に長く居るだけあって艦娘達を見る目に長けている上に、とても面倒見もいいので、提督にとっては良き相談相手であり、この泊地内で鳳翔同様に頭の上がらない数少ない艦娘の1人だ。
龍驤「…まー早いとこ次の特別作戦の時にアークっちの同郷を探したってな?また同じ件で絡まれとう無いやろ?」
提督「そうだなぁ…海外勢は居ない艦多いしなぁ…資源ケチらずに腰を据えて取り掛かるか…新しい戦力も欲しいし…」
龍驤「せやせや!よーけ気張りや〜♪…あ、そや!なぁんや加賀が今日のこの会の支度の最中に提督に参加するせーへんの伝言頼んだんやけど、その時何かあった?」
提督「ん?ああ、俺の私室に来てくれた事か…いや?特段変わったことは無かったと思うけど?」
龍驤「ん〜そっかぁ〜…なんやここに帰って来てからエラいボンヤリしとってなぁ」
提督「…へぇ?」
…そう言えば、纏わり付く夕立と膝枕をしてやってた時雨を凝視してたな。
…何となく思う所があるようには見えたが…。
龍驤「…お?なんや思い当たる節あるん?」
提督「あー…もしかしたらだけど…今日の日中なんだけど駆逐艦達と…」
日中のゲーム大会の話と加賀が来た時の様子を提督は包み隠さず龍驤に話した。
龍驤「…はっはぁ〜ん…それ聞くと加賀の上の空の理由に合点いくなぁ」
提督「…え?いや、そんなあっさり納得されても…」
龍驤「ええやん、仮とは言え加賀は司令官の嫁やろ?何恥ずかしがっとんねんって話やで?膝枕くらいサクッとするかされるかしたったら落ち着くんとちゃうか?」
提督「…そんな安易なことで良いのかな?」
龍驤「はぁ〜…ええか、司令官?この泊地での君は艦娘から絶大の信頼と慕情を受けてるんや。そして皆、君の事が好きやからしんどい事でもキッチリしとる司令官の為に受け入れてる、そうやな?…で、そんな好きな相手を少しの時間でも独占できる時間ってのは、至福なんやで?それがする側となってもされる側となっても、その君からの甘えも気遣いも、その時限りでも独り占め出来る唯一のチャンスや。だから加賀も思うことがあったんやろう」
提督「…わかった…ありがとう」
龍驤「にっひっひ〜♪ま、何事も気張りや〜?もし勘違いで爆撃されても、骨は拾ったるさかいな〜♪」
提督「はは、笑えねぇ…話を聞いてくれてありがとう」
そう言うと提督は龍驤の側を離れて、再び会場内を移動し始めた。
そして、加賀を探した。
提督「(…しかし、見当たらないなぁ…どこ行っちゃったんだ…ろ…?)」
加賀「…………」
…いた…。
3人掛けのソファに腰掛けて、顔を真っ赤にしてボンヤリしていた。
…どうやら相当酔いが回っているようだ。
因みに加賀はお酒は好きだが、あまり強い方ではない。
こうして顔を真っ赤にしてボンヤリしている時は、寝崩れる手前の段階までになっている。
そんな加賀に提督は、近付いて声を掛けてみた。
提督「加賀、お疲れ様…大分酔ってるみたいだけど大丈夫?」
加賀「…あぁ…ていとく…お疲れ様れす…」
…うん、呂律が回っていない…これは見た目以上にグデングデンだ。
加賀の酒の席での寝落ちは珍しくない風景だが、この会に呼ばれた時と先程の龍驤とのやり取りもあって、構わずにはいられなかった。
提督「眠いかい?大丈夫?」
加賀「…えぇ…だいじょうぶれす…」
提督「…これは…ん?サラ、ちょっといいかな?」
…うん、大丈夫じゃないね。
そう感じた提督は、近くを通りかかったサラトガに声を掛けた。
サラトガ「はい、提督♪如何なさいましたか?」
提督「悪いんだけど、1つコップに水を入れてここに持ってきて貰えないだろうか?」
サラトガ「ええ、構いませんよ。…どうされたのですか?」
提督「いやね…ちょっと加賀がね…」
提督に向けていたサラトガの目線はソファに座ってる加賀に向いた。
サラトガ「あら…うふふ…カガさん顔が真っ赤で可愛い♪只今お持ちしますので、少々お待ち下さいね」
加賀の具合を見てピンときたサラトガは、そう言うとススっと軽い身のこなしで、水を取りに行った。
サラトガ「はい提督、お水を取って参りました」
提督「ありがとう、おーい加賀、これ飲んで少し落ち着こうか〜」
加賀「…あい…提督とサラさんもありがとうございます…んく…んく…」
提督「サラ、助かったよ…時間を取らせてしまったね…」
サラトガ「いえいえ♪では私はこれで…あら?…カガ…さん?」
提督「…え?」
サラトガに向いていた提督の視線は、何かに戸惑っているかのようなサラトガの目線を追った先には…。
加賀「う〜…ひっく…せかいがまわりまふ…」
…あれ?何か加賀の状態が悪化してなくない?
提督「…サラ?…渡してくれたのは…水だよね?」
サラトガ「え、えぇ…そのハズ…ですが…」
提督「…まさか…サラ、それ誰に入れてもらった?」
サラトガ「え?…あの…ジュンヨーさんですが…?」
提督「」
…私は理解してしまった。
遠目で陽気に酒を飲み干している隼鷹の姿を見て、酔った弾みで水と日本酒を間違えて入れたんだろうと…。
…この泊地にまだ慣れてないサラトガに頼まず、俺が行けばよかった…と言っても後の祭りである。
サラトガ「もも、申し訳ありません!…あぁ、カガさんになんて事を…っ!」
提督「あー、いや、うん、この程度で死ぬ訳じゃない。最悪戻すか寝落ちるかだろうし、俺が適当に上手くやっておくから気にしないで…今後はこの手の席での隼鷹には気をつけてね?」
サラトガ「は、はい…」
提督「まぁ、これから覚えていけばいいからさ?今謝っても加賀が正気じゃないからそれは後日にしておいて、気を取り直して続きを楽しんできてな」
サラトガ「は、はいっ!お気遣いありがとうございます!…それではまた後日…」
申し訳無さそうなサラトガに気を回させない様に、加賀の介抱を引き受けて会の続きに行かせた提督。
…さて、引き受けたは良いがどうしたものか…。
加賀「む〜…てぇ〜とくぅ〜」
提督「…ん?なんだい?」
加賀「…ひざまくら…」
提督「…え?」
加賀「ひざまくらをしょもうしまふ…」
提督「ん?膝枕?あぁ…いいよ」
加賀「かんしゃしまふ…んへへ…てぇ〜とくの膝かったいれす…」
提督「…」
提督からの承諾を得たら加賀は、隣りに座った提督の膝に何の躊躇もなく後頭部を載せた。
…なんだこの可愛い生き物…。
酔っ払うとこんなになるとは…普段の凛々しさは何処へやら…。
加賀「…すぅ…」
提督「…ありゃりゃ…さっきの追い酒でトドメだったようだな…」
…うん、この顔色なら寝てる間に戻すことも無いだろう。
…なんか今日はこういう日だな。
提督の膝の上で、心地よさそうに寝ている加賀の頭を撫でてやっていると、視界の片隅に何やら遠くの席で、こちらを見て満面の笑みでサムアップしてる龍驤が見えたような気がした。
…いや、まったく龍驤には頭が上がらないなぁ…。
………
……
…
グラーフ「…あのカガがAdmiralの前では、ああなってしまうのだな…」
大鳳「ふ、普段の加賀さんからは想像できませんね…お酒の力は凄いですね…」
ホーネット「…(サウスダコタから昨日のヒエーとの話を小耳には挟んでいたけど…何だか羨ましい…)」
同じテーブルについていた正規空母3人が、その様子を見て、グラーフは戸惑いの、大鳳は驚きの、ホーネットはある種の羨望の視線を送っていた。
正規空母3人「「「私も指輪を贈られたらあんなふうになってしまう(のだろうか?)(でしょうか?)(のかしら?)」」」
公然と自然に惚気を見せられて、少し当てられてしまった3人なのであった。
………
……
…
そんな寝落ちた加賀の介抱をしている提督の元に、加賀にとどめを刺してしまった張本人が、申し訳無さそうに近寄ってきた。
隼鷹「い、いやぁ〜…提督?さっきサラに聞いたんだけどさ…」
提督「ん?あぁ、隼鷹お疲れ様。今日のところはもういいじゃないか。後日、隼鷹とサラと俺で一緒に謝ろう。だから気にするなって」
隼鷹「あ、ありがと…そりゃ助かるよ」
提督「…どうした隼鷹、やけに殊勝だね?」
隼鷹「…提督の雷だけはマジで勘弁なんだよ…」
提督「えぇー…んなバカな…」
隼鷹「そ、それが怖いんだって〜っ!」
そう言うと隼鷹は提督の横に座って、酒とつまみ片手に他愛のない話を始めた。
…うん、バーで静かに語らうのも良いけどワイワイガヤガヤとこんな風に、語らうのも良いよな。
………
……
…
加賀「…んん…」
提督「ん?おお、少しは楽になったかい?」
そうこうしている内に小1時間過ぎた頃、提督の膝枕で横になってた加賀が、目を覚まそうとしていた。
加賀「…あ、あら?…て…ていと…く?」
提督「大丈夫かい?」
加賀「…なんで私は提督の膝枕の上で寝ているんでしょうか…?」
提督「あれ?覚えてないかい?酔い潰れて膝枕を所望してきたのは、加賀だよ?」
加賀「………」
加賀「っっっ!?!///」
…どうやら全て思い出したようだ。
まだ酔いが抜けきれてなくて、ほんのり赤かった頬が、今度は羞恥で真っ赤になり、顔を見られたくないのか両手で顔を覆ってしまった。
加賀「…すみません…///」
提督「たまには良いと思う…だからあんまり気にしなくていいよ」
…提督に謝った加賀だが、起き上がろうとしない。
…今どういう気持ちなんだろうか?
その表情は両手に覆われて見えない。
…と言っても、元々ポーカーフェイスの加賀は、他の娘より感情の機微が読み取りにくいのだが…。
加賀「(あぁ…図らずに膝枕をして貰ってしまった…///…しかしどうしましょう…恥ずかしくて顔から火が出しそうなのに、何故か起きる気になれません…)」
提督「…ま、気の済むまで付き合うし、急に動いてふらつかれても危ないから、もう少し落ち着いてから起きればいいさ」
加賀「…で、では…このままでお願いします…///」
提督「ん、いいよ」
その後、提督は公衆の面前で加賀に膝枕をし続けてしまい、加賀も起き上がるタイミングを逸してしまい、提督の膝に貼り付けになってしまった…。
………
……
…
そして、更に時間は過ぎて、お腹も飲酒も満足して引き上げる者、飲み足らずにバーに集う者と別れて、会はお開きとなった。
そして、人目の減った隙に加賀は提督の膝枕から起き上がって、そそくさと赤城と自室へと帰っていった。
提督は、片付けに追われる鳳翔を手伝う為に厨房に入った。
呼ばれるだけでは嫌だと言って、鳳翔を困らせてたが、渋々了承し何処と無く嬉しそうにしている鳳翔であった。
………
……
…
赤城「うふふ…加賀さん、宴会前の悶々とした感じから一転して、すごいスッキリしてますね♪」
加賀「え…そ、そうでしょうか?」
赤城「…やはり良いものですか?提督の膝枕って?」
一航戦の2人は、自室へ引き上げて寝間着に着替えて、部屋の真ん中に置いているちゃぶ台で向かい合って、お茶を飲んでいる。
加賀「な…内緒です…///」
加賀は、赤城の問いかけに対して、恥ずかしさからか、目を逸らして口元を湯呑で隠しながらお茶を啜る。
赤城「ふふふ…そういう事にしておきますね♪」
………
……
…
…全くもって、赤城にかかれば加賀のポーカーフェイスも、何を言ってもお見通しのようだ。
伊達に長い付き合いではないだけの事はある。
赤城「(…私も嫁艦ですので、頼めば膝くらい貸してくれるでしょうけど…)」
…赤城はお酒は嗜まない。
それ故に食べる専門となっているが、それでは加賀のように酔った勢いで、甘えるなんて…。
いや、あるいは「食べ過ぎちゃった♪」と言って膝枕を所望すれば…。
…やっぱり駄目…食べ過ぎて気分が悪くなるなんてことも、なったことが無い。
いつもの自分に照らし合わせたら不自然すぎる。
赤城「…ふぅ…」
赤城もお茶を啜り、加賀にわからないように小さくため息を付いた。
赤城「(…提督に膝枕をして貰うより…私は提督に膝枕をしてあげたいなぁ…)」
“食べ物以外“の場面なら割とお姉さんイメージがあるので、私はそっち路線だな…。
…と自分なりに自己分析をして、内心1人でこの方針で納得することにした赤城なのであった…。
………
……
…
加賀「(…やはり赤城さんも興味があるのね…)」
静かに茶を啜る赤城をふと見ると、何かを考えてるようだった。
加賀「(…赤城さん…自分なら“する側“か“される側“のどっちだろうか…とでも考えてるんでしょうか…?)」
…やはり付き合いの長い2人は声に出さなくても、思考が何となくわかってしまう。
…先程まで意地悪な質問をされたので、少しこっちもやり返してみよう。
加賀「…赤城さんは提督に膝枕をしてあげたいのですか?」
赤城「…んぐっ!///ケホケホッ!か、加賀さん?!いきなり何なんですかっ?!」
…加賀の狙い通り、赤城は咽た。
加賀「いえ…赤城さんならする側に回るだろかと思いまして…」
赤城「も、もう!///仕返しですか?!そんな事考えてません!」
加賀「…ふふ…そうですか…そういう事にしておきますね」
赤城「だ、だからそんな事じゃありませんってばぁ〜!///」
加賀は、赤城の反応に満足してそれ以上は言わなかった。
赤城も、右頬を膨らませて拗ねたように見せるが、あっという間に平静さを取り戻した。
“お互いこの辺りで手打ちにしましょう“
という意思疎通が無言で行われ、その後は静かにお茶を啜ってのんびりする2人なのであった…。
……………
…………
………
……
…
提督「鳳翔さん、今日もありがとうございました。ご馳走になってしまった上に、部屋までの付き添いまでしてもらって…」
鳳翔「いえいえ、いいのですよ。好きでやっている事ですから♪」
飲み会の片付けを手伝っていた提督は、鳳翔の付き添いで自室に戻る道中であった。
鳳翔「酒気は大方抜けているようですが、だいぶ飲まれていた様ですし、色んな娘達とも切れ目なく話してお気を回してらしたので、そのお礼もあります」
提督「ありがとうございます…それじゃあ甘えついでと言ってはなんですが、部屋に着いたらお茶を淹れてもらえませんか?」
鳳翔「ふふふ…畏まりました。お安い御用です♪」
提督「…で、もしよかったら鳳翔さんもお茶に付き合ってもらえませんか?」
鳳翔「…え?…よろしいのですか?」
提督「何だか今日1日、賑やかだったので1日の締めとして誰かと、ゆったりとした時間を過したいと思って…」
鳳翔「まあ…もちろんいいですよ、私でよろしければ♪」
こうして提督の自室に着いた提督と鳳翔は、部屋に中央に置かれた座卓に向かい合って座って、他愛のない話をしながら鳳翔の淹れてくれたお茶を啜ってゆったりとした時間を過ごす事になった。
………
……
…
鳳翔「…あぁ、そう言えば提督?」
提督「はい、なんですか?」
鳳翔「先程の飲み会の最中、なんで加賀さんが提督に膝枕を所望したんですか?」
提督「ブフゥ!」
こちらでも鳳翔からびっくり質問が飛んできて、提督は吹いた。
鳳翔「あ、あらやだ、申し訳ありません提督っ///」
提督「い、いえ…ただ鳳翔さんの口からそんな質問が飛んでくるとは思っても見なかったので…」
そして、提督は気を取り直して、この自室で夕方に時雨との膝枕を加賀に見られた話を、包み隠さず話した。
鳳翔「…左様でしたか…ふふ…加賀さんも乙女ですね♪」
提督「…男の膝なんてそんなに良いもんなんですかね…」
鳳翔「ふふふ…不謹慎ことかもしれませんが、その場限りでも構ってもらえる、独占できる、と言うのが良いんだと思います」
提督「…あぁ…なる程…」
この時、提督は先日の比叡の膝枕を思い出した。
顔を赤くしながら満足げな比叡の表情が目に浮かんだ。
提督「…今、口にしてからそれを聞いて理解できました」
鳳翔「くすっ…皆、提督の事が好きですからね…」
提督「鳳翔さんからそう言ってもらえると、嬉しい限りです…もっと頑張らないとなぁ…」
…以前ならその好意に対して半信半疑でいた提督が、今ではその好意をすんなりと受け入れている姿を見て、鳳翔は安堵の表情を浮かべた。
やはり、あの嫁艦達の直談判のお陰だろう。
…鳳翔は不安だった。
自分が初めての空母として配属となってから、直談判の以前までは殆ど私達、艦娘に甘えない人だったから…。
いつか急に倒れてしまってそのまま…なんて事になるんじゃないかと、危惧していた頃が懐かしく思う。
鳳翔「(…随分遠く昔の事ような気分になりますね…)」
提督「いやぁ…皆とこういう関係になれたのも嫁艦達のあの一件のお陰ですね…そういう風に想って貰えるよう、頑張った甲斐がありました」
鳳翔「…ふふふ…」
…提督のその言葉を聞いて“同じことお考えていた“と言う事が堪らなく嬉しかった鳳翔の顔は、笑みを浮かべた。
提督「…?鳳翔さん?どうかしました?」
鳳翔「…いえ…今仰ってた事と同じ事を考えてましたので、それが堪らなく嬉しかったんです…」
提督「…嬉し半分むず痒いもんですね…///」
少し気恥ずかしそうに頭を掻く提督。
…こんな人だから支えたいと思うのだ。
甘えて欲しいし、提督に余裕ある時はこちらから甘えたくなってしまう。
そんな彼の内面の魅力に惹かれている娘達が、数多にこの泊地に居る。
とても良い関係なのだと思う。
鳳翔「…提督、これからもよろしくお願いしますね?」
提督「あ、いえいえ!こちらこそよろしくお願いします」
何度目かわからない受け答えだが、これからも続いていって欲しい関係を確認するかの様に、頭を下げあった提督と鳳翔。
提督もすっかり酔いが醒めて、日中や夕食時の騒がしさが嘘のように落ち着いた気持ちになった。
………
……
…
鳳翔「…ではこれにてお暇します。提督、お邪魔しました」
提督「いえ、こちらこそ付き合ってもらってありがとうございました」
お茶を飲み終えてから何を喋る訳でもなく、お互いのんびりしていたが、時間も更けてきたので、鳳翔は退室した。
…あまり遅くなると他の艦娘達にあらぬ誤解をされても良くない、と言うのが共通認識であった。
鳳翔「それでは失礼します…お休みなさい…」
提督「お休みなさい…あ」
鳳翔「…?」
提督「送ってもらった艦娘の皆にいつも頭を撫でてるんですが…鳳翔さんは如何ですか?」
鳳翔「…えっ?えぇっ?///」
鳳翔は、瞬時に顔を赤くして視線を伏せて口元を手で隠した。
鳳翔「そ、そんな…私がしてくれと言ったら、はしたなくないはないですか?///」
そう言う鳳翔は、上目遣いで提督の様子を伺うような目線を送る。
………
……
…
か・わ・い・い!
提督「いえ、全然、これっぽっちも、微塵も、はしたなくないです。どうか撫でられていってください」キッパリ
何の躊躇いもない提督の言葉に、鳳翔はおずおずと頭を差し出すように提督に近寄った。
なでなで…なでなで…
ポニーテールで纏められたすべすべの黒髪が何とも心地よい。
鳳翔「…ふふふ…こうしてもらうと皆さんが喜ぶのが、わかるような気がします///」
そう言って照れくさそうに鳳翔は笑った。
………
……
…
鳳翔「提督、ありがとうございました。それでは改めてお休みなさい」
提督「はい、こちらこそありがとうございました。お休みなさい」
そうして、鳳翔はゆったりとした歩みで、自室に帰っていった。
提督「…今日はゆっくり寝られそうだ…」
鳳翔の姿が見えなくなってしばらく、先程まで鳳翔の姿が見えていた廊下をぼんやり見つめていた提督は、そう呟くと自室へと入って行った。
…今日の夜は夏の虫たちの囀りが、やけに心地よく感じる提督なのであった。
……………
…………
………
……
…
これにて夏休暇編1日目を終了とします。
長々と読んでいただき、ありがとう、そしてお疲れ様でした!(_ _)
本編のプレーの方も新しい艦娘ちゃん達が続々と増えて、嫁艦も増えているので、そちらの事も織り交ぜて執筆もしたい今日この頃であります(笑)(゚∀゚)
次は夏休暇2日目へと移行します。
また暇つぶしにでも読んでいただけたら幸いです。
それではまた!(^^)ノシ