皆さん、おはこんばんちは!∑∠(`・ω・´)
今回のお話は夏休暇2日目となります。
前回からの粗筋は…
いつも通り執務室に詰めていた提督の元にやってきた駆逐艦娘達に凸られて(笑)、午前中から夕方までゲーム大会に興じ、夕方からは空母寮で飲み会に誘われて参加して、交友を深める…というお話でした。
みんカラ内限定でブログ小説として書き残してますので、興味がある方は下記のURLよりアクセスしてみてください(_ _)
↓↓↓↓↓
プロローグ ♯1 午前編
https://minkara.carview.co.jp/userid/2501514/blog/44104145/
♯梅雨の日編
https://minkara.carview.co.jp/userid/2501514/blog/44223073/
♯夏の黄昏編
https://minkara.carview.co.jp/userid/2501514/blog/44271814/
♯夏休暇 初夜編
https://minkara.carview.co.jp/userid/2501514/blog/44785551/
♯夏休暇 1日目♯1
https://minkara.carview.co.jp/userid/2501514/blog/44889139/
♯夏休暇 1日目♯2
https://minkara.carview.co.jp/userid/2501514/blog/45141124/
毎度ながらの超長文となりますが、気長にお付き合いくださいませ…。
バトル・流血・略奪等の暗い話は描かず、ゆるーく描いて行きますので、そこんとこよろしくお願いします(_ _)
基本この泊地の艦娘は、提督好き好き設定でヨロシクです(笑)
尚、この作品は 艦隊これくしょん - 艦これ - の二次創作であります。
キャラクターの人物像も公式を参考にして、著者が独自解釈したものです。
これらを踏まえた上で、お読みになってくださいませ…。
尚、このお話は時間軸上、去年の夏のお話となりますのでご了承くださいませ。
……………
…………
………
……
…
ー 佐伯泊地の夏季休暇 2日目 ー
……………
…………
………
……
…
提督「…」パチリ
不意に提督は、目が覚めた。
…どうやら、毎日朝になるとやかましく囃し立てる目覚し時計が鳴り出すよりも先に目が覚めてしまったようだ。
窓に目をやると、そんなに分厚くないカーテンの隙間や、通り抜けた光量の具合で明け方である事が確認できた。
…今何時だ?
提督は、枕元に置いているデジタル表示の目覚し時計の上部ボタンを押して、表示盤のライトを付けて、現在時刻を確認した。
目覚まし時計「0420時」
…思っていたよりいい線だったようだ。
目覚し時計が鳴り出す10分前に目が覚めてようだ。
…これも昨日の晩はいつもよりずっと早い時間に寝れた事と、1日ゆっくり出来たのが大きいだろう。
提督はいつも通り、身支度を始めて自室を後にした。
………
……
…
…その執務室に向かう道中、提督は不意に足を止めた。
提督「…執務室に入る前に少し辺りを散歩でもしてみるか…」
提督はそう呟くと、踵を返して司令部本棟の正面玄関から外に出た。
やはりこの時間の気温は日中に比べれば清々しく、心地がいい。
提督「ん…んんん〜っ…はぁ…」
思わず、両手を空に向かって突き上げて、背伸びをして深呼吸。
…いつもとは少し違う目覚めで、とても気分がいい。
???「そこのお前っ!何者かっ!!」
清々しい朝には不釣り合いな強く鋭い語調のセリフが、不意に提督の背後から飛んできた。
提督「うぉっ!なんだ?!」
いきなりの出来事に、声の聞こえた方向に提督が振り向いた時には、その声の主が背後まで迫っていて…。
???「はっ!ふんっ!!」
提督「うわっ!ふぎゃっ!」
…気が付けばその声の主に、提督はうつ伏せで地面に押さえ付けられてしまっていた。
???「泊地のど真ん中で仁王立ちとは、随分舐められたものね…ここは関係者以外立入きんし…よ…?あ…あら?」
倒した提督を背後から抑え込んでいた声の主の語調は、最初はかなり高圧的であったが、その声に戸惑いの色が見え始めた。
…提督にはこの声に聞き覚えがあった。
提督「いてて…その声は…矢矧か?…随分手荒い挨拶だね…」
???「…てい…とく………てっ!提督っ?!」
先程まで強い語調は一転、その声の主の声は戸惑いと驚きに変わって、提督からすぐさま飛び退いた。
提督「はぁ〜…ビックリした…あぁ、やっぱり矢矧だったか…おはよう」
矢矧「え?あ…う…お、おはようございます………じゃなくてっ!提督!今ので怪我とかしてない?!」
まるで何事もなかったかのような提督の接し方に対して、咄嗟とはいえ自分の行為に対して慌てている彼女は、阿賀野型軽巡洋艦 3番艦 矢矧だ。
黒々、そして艷やかな黒髪を膝辺りまで伸ばして、その髪をポニーテールで纏めている。
いつもならききりとした表情で、クールな印象を受けるが、今は軽くパニックになっているようだ。
そして今の服装は普段の制服と違って、朝練の為にこの泊地で配給しているジャージを身に纏っている。
そんな彼女は今度は別の意味で提督に駆け寄り、先程の握って締め上げてた提督の右腕を取って、痛む場所がないか聞いてきた。
提督「大丈夫大丈夫」
矢矧「あああっ…!…本当にごめんなさい…制服を汚してしまって…」
提督「洗えば落ちるし気にしないでいいよ」
矢矧「でも、制服破けない?!もし破けてるのが気付いてなくて、上官に指摘されたら私…っ!」
どうやら矢矧は盛大に混乱している模様…。
提督「…矢矧」
矢矧「…!…な…何でしょうか?」
提督「まずは深呼吸だ、すー…はー…」
矢矧「…すー…はー…」
提督「…落ち着いた?この時間からして、俺は不審者と疑われても仕方ない。実際の不審者に対しての今の矢矧の対応は正しい。…いいね?」
矢矧「…はい」
提督「それに今は盆休みだ。滅多なことが無い限り上官は来ないし、この服だって換えはある。それにこれ位の事での言い訳なんて、何とでもなるから、気にしないでよろしい」
矢矧「…わかりました…でも対応が正しかったとはいえ、よく確認しないで手を上げてしまってごめんなさい…」
…どうやら落ち着いてくれたようだ。
先程の威勢は何処ヘやら。
矢矧はしょんぼりと落ち込んでしまった。
そんな悄気げた矢矧に提督は、声を掛けずにはいられなかった。
提督「あー…それより、矢矧は自主トレじゃないのかな?早く行かないと時間が無くなるよ?」
矢矧「え…ええ…そうなんだけれど…」
…それでも矢矧は、まだ先程の事が気になるのだろうか、俯きながらも提督の体に異常がないか、怒ってないか様子を窺っている。
…が、そんな事は気にせず提督は、話し続ける。
提督「今日は矢矧だけ?」
矢矧「いえ…グラウンドにいつもの人達が集まってると思うけれど…」
提督「よっしゃ、じゃあ俺はみんなの自主トレを見学しに行くから、一緒に行こうか」
矢矧「え…い、いいの?」
提督「うん、元々早朝の泊地をちょっと散策しようと思って外に出たんだし、普段ならこんな事もしないからね。たまにはいいんじゃないかな」
矢矧「え、ええ!もちろん!」
提督は気を取り直した矢矧と一緒に、グラウンドに向かって話をしながら歩き出した。
………
……
…
矢矧「…そういえば提督は、運動とかしていたの?」
提督「ん?運動らしいことは人並みにしかやってなかったなぁ…学業と仕事以外では趣味に明け暮れていた記憶しかないなぁ…」
矢矧「へぇ…趣味って何をしていたの?」
提督「釣りだね…釣れるものなら何でも」
矢矧「まぁ!良いじゃない。…でも…?」
矢矧は“あれ?“っと言うように視線を上に向けて、自分の記憶を掘り起こそうとしている素振りを見せた。
その意思を汲み取った提督。
提督「あぁ…“そう言う割にはここで釣りしてる場面を見たことが無い“って思ったろう?」
矢矧「え、えぇ…そんなに好きだったなら何故かと思って…」
提督「…釣り始めたら見境がなくなってしまうからねぇ…やるならとっぷり釣りしたくなっちゃうから…自制ってやつさ」
矢矧「…そう…」
提督がこの泊地に着任して、海の真近くに居るのに、釣りをしない理由が何となく腑にちてしまった矢矧。
矢矧「(相当の釣り好きだったのね…その心掛けも嬉しい…けど…)」
“何だか勿体ない気がする“
矢矧は内心そう思った。
………
……
…
2人は話しているうちに、グラウンドに着いた。
グラウンドには既に他の艦娘達が自主トレを始めていた。
矢矧「…提督、付き添ってもらってありかとう。じゃあ、ちょっと行ってくるわね?」
提督「ん、頑張って」
そう言って矢矧は朝練組の輪に入っていった。
「あ、矢矧さん、おはようございます」
「神通さん、おはようございます」
「矢矧〜ちょっと遅かったね?どうしたの?」
「鬼怒さん、ええ…ちょっと準備に戸惑って…」
「…ふぅん?そんじゃ、皆でストレッチやろ〜」
「…?…あっ!あそこに居るの提督じゃない?!」
「ホントだ!鬼怒さんちょっと挨拶してこよっと♪」
「あ、阿武隈も〜」
朝練勢の1人が提督の姿に気が付いたら、みんなの視線が提督に向いた。
提督「…おお、バレたか」
特に隠れる気もなかった提督は、手を上げて会釈した。
すると全員駆け寄ってきた。
…軽巡勢が多いが昨晩話していた通り大鳳も混じっていたりしている模様。
朝練勢「「「おはよう御座いまーす」」」
提督「皆おはよう、早朝の散策してたら見掛けたし、ちょっと現物させてもらってるよ。俺の事は気にせず、普段通り鍛錬に励んでね」
朝練勢「「「はいっ!」」」
???「…?…あ…」
挨拶を済ませたら各々の自主トレに向っていく娘達とは別に、1人の艦娘が提督に近付いてきた。
提督「…ん?どうかしたのかい?神通」
その艦娘は、腰ほどまでに伸びたストレートの黒髪に頭部には鉢巻を付けている。
…服装は配給しているジャージだが、見間違える事はない。
川内型軽巡洋艦 2番艦 神通。
うちの泊地では古参の軽巡で、一見大人しそうに見えて、軽巡勢切っての強力なアタッカーだ。
そんな彼女が心配げに提督に話しかけてきた。
神通「提督…あの…ここに来るまでに何かありましたか?」
提督「ん?何かって?」
神通「その…左肩辺りに土汚れが…」
提督「…あ、これか…」
…つい先程、矢矧に取り押さえられた時の汚れだ。
…二水戦の先輩後輩である神通と矢矧。
先程の出来事を言っても大きな悶着にならないとは思うが、矢矧には気にするなと言ってる手前、それを先輩の神通に言うのも憚られる…。
提督「恥ずかしながら、ここに来る前に盛大にコケたんだ」
神通「…え?!大丈夫ですか?!け、怪我はありませんか?!」
提督「うん、外傷も打ち身骨折もないよ。この通り服がちょいと汚れただけ」
神通「そ、そうですか…良かった…」
心底ほっとした表情を浮かべる神通。
…しかし、その表情も束の間。
提督の服の左肩についた汚れをジッと見て、その周りも観察を始めた。
神通「…でもこの肩の汚れ方は…」
提督「…神通?」
神通「…あ…いえ、すみません…余計な事を気にしてしまいました…お気に障りましたのなら申し訳ありません…」
提督「いや、心配してくれてありがとう。さ、俺の事は大丈夫だから…みんな朝練始めてるぞ?」
神通「は、はい。それで行って参ります。失礼します」
そう言って目礼をしてから神通は、朝練勢の中に加わっていった。
提督「…よっこいしょ…」
神通が朝練のグループに混ざったのを確認してから、手短な段差に腰を下ろして、暫く艦娘達の自主トレを見学する提督なのであった。
………
……
…
0520時
………
……
…
提督「…なんで…」
阿武隈「はぁ〜い、提督♪足広げて〜…よいっ…しょっ!」ググッ!
提督「い〜だだだだだだっ!!」ビキビキ…
提督「(こうなったぁ〜〜〜っ?!)」
…提督はいつの間にやら朝練勢の艦娘達に混ざって、そのど真ん中にいた。
そして、前屈姿勢の提督の背中を阿武隈が容赦なく押している。
阿武隈「んも〜っ!提督硬すぎっ!運動しなさ過ぎですぅ〜!」グイグイ
提督「ぎえぇぇえぇっ!腰がもげるっ!股が裂けるぅーっ!!」
…どうしてこうなったかと言うと…。
神通が提督が転けたと言ったことを、他の娘に言う。
↓
「そう言えば提督って運動してなくね?」
↓
一部の艦娘が「…私達で提督を肉体改造する?」ニヤリ になって。
↓
さらに悪乗りした艦娘が「皆でコーチする?」ニヤリ
↓
本人に有無も言わさず提督連行w
↓
股裂き公開処刑ナウwww
ざっくり経緯を辿るとこうである。
………
……
…
提督「い、い、いきなりは無理ぃーっ!」
阿武隈「んも〜こんな事で音を上げないでくださいよぉ〜」グイグイ
???「あ、阿武隈ちゃん…いくら何でも急には関節は柔らかくはならないから、加減してあげてね。ね?」
阿武隈の容赦ないプッシュを見兼ねた艦娘が、止めに入った。
薄桃色のサラサラストレートを腰下まで伸ばし、その髪をポニーテールで纏めながら、長い茶色のリボンをその後ろ髪に交互に巻き付けている独特の髪型。
長良型軽巡洋艦 4番艦 由良だ。
阿武隈の2つ姉になる、非常に物腰の柔らかい娘だ。
阿武隈「むぅ〜…由良姉が言うなら…いい?提督!こういう事は毎日しなきゃ駄目なんだからねっ!」
そういうとあまりにも不甲斐ない提督の姿に、頬を膨らませて納得いかないと言わんばかりの表情で、提督の元を離れて自分のトレーニングに戻って行った。
提督「ぜぇ…ぜぇ…助かったよ…由良…」
由良「いいえ、気にしないで下さい♪でも阿武隈ちゃんも提督さんを想っての事なので、悪く思わないでくださいね?」
提督「阿武隈のヤツ、あんまり俺ができないもんだから、途中から意地になってたしなぁ…」
由良「…私も提督さんはこのままでは駄目だと思うので、ストレッチをお手伝いさせていただきますね?」
提督「えぇ…」
由良「ほらほら、そんな顔しないで下さい。ゆっくりじっくり、優しくしますからね…ね?」
…優しく…。
温厚な由良が言うと実に甘味な響きである。
…先程の阿武隈がストレッチを始める時に優しくすると言ったのは一体…。
提督「…よろしくお願いします…」
由良「はい♪お任せください♪それでは前屈の続きから…痛くなりだしてその少し先まで…そう、痛気持ちいいくらいの所々まで押しますから、痛くなったらちゃんと言ってくださいね?」
提督「ア、ハイ」
ランニングしている艦娘達を横目に、提督は由良に付き合ってもらって、念入りにストレッチをしていた。
………
……
…
由良「…はい、今日はこの位にしておきましょう」
提督「おお…激しく動いてないのに汗かいたな…こうなると分かってたら制服で来るんじゃなかった…」
由良「あ、ごめんなさい…ついついお手伝いする事に夢中で…」
提督「んにゃ、何かやりきってみると気持ち良かったよ…今度参加するときは運動着で来ることにするよ」
由良「え?じゃあ…」
提督「うん、時間が許す範囲でだけど、皆の朝練に邪魔にならない範囲でお邪魔させてもらうよ」
由良「邪魔だなんて…またいらして下さいね♪」
提督「付き合ってもらってありがとう、由良。先に引き上げて執務室に行ってくるから、お先に」
由良「はい♪お疲れさまでした♪」
先程の矢矧との件での服の汚れと自主トレに付き合った汗で、制服が結構凄いことになっているので、ひとまず提督は私室へ戻って身嗜みを整えて、出直す事にした。
………
……
…
0630時 執務室
羽黒「そうだったんですか…だから今日の朝はゆっくりだったんですね」
提督「悪いね羽黒…朝早くから詰めていてくれたのに…」
羽黒「い、いいえっ!私が好きでやっていることですし、それに定時には司令官さんも来てくれていたし…だ、大丈夫です!」
今日も羽黒は0500時に執務室に来ていた。
…とは言っても引き継ぎの打ち合わせや、その他の雑務は、昨日のうちに提督と羽黒と大淀で済ませていたので、羽黒がやることは無かったが、色々な書類に目を通して少しでも、秘書艦の仕事を把握すべく、手順表や書類に目を通していた。
提督「いやぁ…戦闘はみんなに任せきりだから不甲斐ないなぁ…」
…The 中間管理職だしな。
羽黒「そんな…提督が気にする事ではないと思います…」
提督「まぁどっちみち、俺の健康面で、皆心配してくれてるみたいだし、強くなる以前に健全な体調に整えるくらいの事はしないとね…」
…色んな場所に顔出しておくのも悪くないし。
羽黒「…司令官さん」
提督「ん?なんだい?」
羽黒「その早朝の自主トレーニングには、軽巡の人達しか参加してないんですか?」
提督「あぁ…いいや、確かに軽巡の娘は多いけど、中には駆逐艦や空母の娘も混じってるよ」
羽黒「そうなんですか…」
提督にそう聞くと、羽黒は何やら考えている様だ。
提督「…参加するならシレッと混ざっても、大丈夫だと思うよ。羽黒の事だし」
羽黒「え…へ、変じゃないでしょうか?」
提督「まあ意外だなって思われる程度はあるかもしれないけど、続けてたらじき気にならなくなるだろう…ただ…」
羽黒「…ただ?…な、何でしょうか?」
提督「…一緒には走れないだろうなぁ…俺、なんちゃって軍人だし、オマケにデスクワークばっかりで体力無いから…」
羽黒「…あぅ…」
…見学してたから俺知ってんだ…。
あのスピードで走るとか人間じゃねぇよ…。
…あ、一応人間ではないのか、艦娘は。
自慢じゃ無いが、この泊地で最弱なのは まるゆ じゃ無くて俺だからな。
羽黒「(あぁ…それもそっか…でも…少しでも一緒に居たいなぁ…)」
………
……
…
…別に体を動かす事は嫌いじゃない。
だったら司令官さんと、ストレッチとかなら一緒出来るかも…?
早起きだって、そこまで苦じゃない。
…ちょっと覗いてみようかな…?
…そんな事をぼんやり考える羽黒であった。
………
……
…
0900時
盆休とは言え、今日からは当直の艦娘達が、交代で沿岸の哨戒任務に就いてもらっている。
索敵・先制の軽空母1隻、有視界戦闘の旗頭の軽巡1隻、その脇を固める駆逐艦4隻。
昨日は全部機能を止めていたが、今日からは最小限での艦隊運用をしていた。
提督「…次の哨戒部隊の第3の出撃は龍鳳・夕張・嵐・野分・萩風・舞風だったかな?」
羽黒「はい!皆さん控室で待機してもらっています!」
提督「ん、手配ありがとう」
Trrrrrr…Tr…ガチャ…
内線が鳴った。
羽黒は姿勢と視線をそのままに、受話器を取った。
羽黒「はい、こちら執務室です」
大淀「羽黒さんですか?大淀です。哨戒に出ていた部隊が48分後帰投します。次の部隊への第2スロープへ出るよう指示をよろしくお願いします」
羽黒「了解いたしました!」
カチャ…
羽黒「あの…司令官さん?」
提督「…ん?そろそろ哨戒部隊の帰投かな?」
羽黒「はい、48分後だそうです…第3艦隊の第2スロープへの移動を指示しますね」
提督「…随分刻んできたな…スロープへの移動、よろしく頼むよ。第2の旗艦は飛鷹だな…」
羽黒「…龍鳳さんですか?こちら執務室です。第2スロープへの移動をよろしくお願いします…はい、司令官さんもすぐそちらに向かいますので…はい、では…」
提督「…よし…次の部隊の見送りと飛鷹達の出迎えに行こうか…羽黒はそれを持って来て欲しい」
羽黒「は、はい!」
提督はそう言うと、壁に掛けてあった軍帽を被り、羽黒は肩紐の付いた小振りのクーラーを担いで第2スロープへと向った。
………
……
…
提督「…それじゃあ以上の注意点を留意しつつ、気を付けて任務に当たって欲しい…そして何かあったら、速やかに報告を入れる事を忘れずに…以上だ」
羽黒「…敬礼っ!」
ざざっ!
羽黒「…直れっ!」
ざっ!
岸壁には既に次の出撃部隊が待機していて、提督は今から出撃する部隊への指示出し、それが終われば羽黒の号令し、いざ出撃…が、その前に提督が手を上げた。
提督「…龍鳳、ちょっと良いかな?」
龍鳳「は、はい!提督、どうされましたか?!」
横一列で並ぶ艦娘の中で、その真ん中の半歩前に立っているこの艦隊の旗艦の艦娘に提督は声を掛けた。
少し小柄で、深い黒髪で少し癖っ気のある髪を、腰ほど辺りまで伸ばした後ろ髪を左右に一房ずつ、毛先付近で帯で纏め、前髪の上の辺りに白と赤のラインの入った鉢巻、服はセーラー服の上から翡翠色の和風の上着と弓道の胸当てを纏う艦娘。
龍鳳型航空母艦 1番艦 龍鳳。
以前は潜水艦の補給を主任務とする、大鯨型 1番艦 潜水母艦 大鯨であったが、戦時中の経緯から、帝国海軍の空母不足を補うために改修された、急造空母の1隻だ。
ちなみに改修空母としては、同じ経緯で祥鳳と瑞鳳、商船から改装されたのが飛鷹と隼鷹だったりする。
…ちなみに練度はそこそこであった龍鳳だが、今まで旗艦経験が無かったので、今回は1艦隊の旗艦を務めてもらうことにしたのだ。
提督「龍鳳、緊張してるのかい?」
龍鳳「は、はい…で、でもっ!頑張ります!」
提督「大丈夫、わからないことがあれば周りを頼ること。夕張ならあまり気兼ねしなくても接せるだろう?失敗を怖がらず、気負わずしっかり哨戒任務を頼むよ」
龍鳳「!は…はい!」
提督「…よし…それじゃあ気をつけていってらっしゃい」
ぽん…
提督のいつもの肩ポン(ソフト)である。
龍鳳「ふぁ…///…では…行って参ります!」
提督「…夕張、龍鳳のフォローともしもの時の水雷戦は頼んだよ」
夕張「はぁ〜い♪私に任せておいてね♪」
龍鳳の僚艦を務める、夕張型軽巡洋艦 1番艦 夕張は、サムアップと共にニカッと笑って見せた。
少し緑掛かったセミロング程の銀髪を緑の大きなリボンでポニーテールに纏め、紺で胴体の丈を大胆に切り詰めたセーラー服に薄いグレーの襟にオレンジ色のネクタイリボン、薄い緑のスカートを纏い、やたらめったらと艤装はあれこれ付いている。
提督「…しかし相変わらず、すげぇ量の装備積むなぁ…」
夕張「色々試したくってねぇ〜♪哨戒中に試せたらなぁって…」
提督「…あんまり夢中になって僚艦に迷惑かけるなよ?」
夕張「ふっふ〜ん♪時と場所はきっちり選ぶから大丈夫ですって♪もしもの時は試作品全部投棄して…!」
提督「…資源の無駄遣い…ダメ…ゼッタイ」
夕張は非番の時は、工作艦の明石を手伝って工廠に入り浸っている。
そこで色々な装備の試作や、実験をして実地に持ち込むことはしばしばある。
※実戦では、持ち込まないようにさせている。
夕張「…と言うのは冗談ですって♪大丈夫ですって。龍鳳ちゃんの直掩は抜かりなくしますから〜」
提督「…頼むよ?」
傍から見てもワクワクが抑えきれない夕張と内心それが心配の提督。
提督「…第4駆逐隊の諸君」
野分・嵐・萩風・舞風
「「「「はいっ!」」」」
提督「…“少々“困難な任務になるかもしれんないから、留意しておくように…道中気を付けてな…」
野分・嵐・萩風・舞風
「「「「……」」」」
提督の真意を汲み取ったのか、どう答えたらいいものやらと言うような表情で、お互いの視線を交錯させる第4駆逐隊の面々であった。
………
……
…
羽黒「…クスッ…夕張さんは相変わらずですね」
提督「まぁ、普段機械いじりにかまけて、茶目っ気が酷い時があるけど、きっちり仕事はするからな…滅多な事はないだろう…だぶん…」
………
……
…
夕張「…へぇ…へっくしゅん!…んん〜?」
………
……
…
見送ったその姿が200mほど先に進んだあたりで、夕張がくしゃみをしているように見えたが、こんな暑い中くしゃみなんて出るもんなのか…?
…気のせいと言う事にしておこう。
羽黒「(…噂したらホントにくしゃみするんですね…)」
提督よりもずっと視力の良い羽黒は、気のせいではない夕張のくしゃみの一部始終を見て、そう思った。
………
……
…
…数分後、送り出した龍鳳の艦隊の姿が、岬の影で見えなくなった。
羽黒「このまま、帰投してくる第2艦隊を待ちますか?」
提督「そうだな…あと15分程で帰投か…少し日陰で待とうか」
羽黒「はい!あ、司令官さん、冷たいお茶は如何ですか?」
提督「ああ…頂こうかな…羽黒もどうだい?」
羽黒「はい♪遠慮なくいただきます」
スロープ近くの小陰に移動した提督と羽黒は持ってきたクーラーからペットボトルの飲み物を取り出し、2人は少し涼みながら、第2艦隊を待った。
提督「…あ…」
羽黒「?どうされましたか?司令官さん?」
提督「いや…飛鷹達の帰投時間と帰ってくるコースに入道雲が…大丈夫かな?」
提督が青々とした空とまばらに広がる雲をじっと見ていたら、こちらには流れてこないのはわかるが、帰港ルートと被りそうな入道雲を発見した提督。
ずぶ濡れになって帰ってこないか思った。
羽黒「…あ、ホントですね…タオルが必要でしょうか…?」
提督「あぁ…申し訳ないが羽黒、取って来てもらえるかい?」
羽黒「わかりました、取ってきます!」
羽黒は駆け足で最寄りの詰め所に駆けていった。
………
……
…
提督「…ありゃ〜…」
その約10分後、提督か予感していた事が的中してしまう。
艦隊が泊地に近付くにつれて、その姿がはっきり分かるようになっていくと、すっかり濡鼠になって、明らかに機嫌の悪い飛鷹を先頭に、龍鳳達と入れ違いで第2艦隊が第2スロープに帰還・着岸した。
飛鷹「…第2艦隊、今戻りました…」グッショリ…
提督「おかえり…お疲れ様…やられたみたいだね…」
飛鷹「ええ…はぁ…」
ただでさえ嵩張る飛鷹の服装は、雨水をたっぷり吸って実に重たそうだ。
そして、どうしてもこういう時は、水で服が肌にくっついて、ボディラインがくっきり出てしまう。
…もちろん提督は艦娘達の顔しか見ないよう意識する。
これも女性だらけの職場での心得である。
羽黒「飛鷹さん!皆さん!おかえりなさい!タオルと飲み物をどうぞ!」
飛鷹「あ、それは助かるわ…ありがとう…羽黒さん」
出迎えてくれた気遣いで、帰投直前の飛鷹の険しい表情は薄れ、タオルを首にかけて一緒に渡された飲み物を美味しそうに飲んでいる。
提督「哨戒の報告は後で構わないから、先に風呂に入ってくるといいよ」
飛鷹「んく…んく…はぁ…ええ…そうさせて貰います…ありがとうございます。…みんな、お疲れ様〜。提督のご厚意に甘えて先にお風呂行くわよ〜」
随伴艦達「「「「「「はぁ〜い」」」」」」
………
……
…
提督「…俺達も執務室に戻ろうか」
羽黒「はい♪そうですね!」
飛鷹達がドック兼風呂場に向かって行くのを横目に、提督と羽黒は執務室へと戻っていくのであった。
………
……
…
1100時
相変わらず執務室にもセミの鳴き声が届いて来ている中、静かに執務に就いている提督と羽黒。
コンコンコン
ドアのノック音。
飛鷹「軽空母、飛鷹です。哨戒の報告に参りました」
提督「はい、どうぞ〜」
ガチャ…バタン…
飛鷹「失礼します」
提督「ん、お疲れ様…哨戒中に何か変わったことはあったかい?」
飛鷹「水上艦は居なかったですね…朝一の部隊の報告もそうだったと思います。…でも敵潜がこことここに居ました…こっちの出方を伺ってるようだった…よくあの辺りは居るから…」
提督「よく見つけたね…確認後の対処はどうした?」
飛鷹「五十鈴と浦風と谷風に対処してもらって、撃破数は3。浜風と磯風には私の護衛を頼みました」
提督「ふむ…その他の動きについてはどうだった?」
飛鷹「あとは…うん…無いですね。…強いて言えば帰り道に通り雨に振られてサイアクだった事くらいかしら…」
提督「あぁ…もしかしたらと思って羽黒にタオルを持ってきてもらってて良かったよ…」
飛鷹「お気遣い感謝いたします、提督、羽黒さん♪」
羽黒「い、いえいえ…///」
提督「そんな状態でも、帰着時間もほぼ宣言通りの時間に帰ってきたし流石だよ…またこの調子で頼むよ…」
飛鷹「ふふ…任せておいてね♪」
提督「それじゃあ、この後は体を休めておいで」
飛鷹「はい、そうさせていただきます。では失礼しました」
飛鷹はそう言って踵を返すと、振り返った時に靡いた自慢の長い黒髪がその動きに乗って、シャンプーの香りがフワリと提督の鼻孔をくすぐった。
一瞬ドキリと、その無意識の行動が提督を少なからず動揺させた。
そしてそのまま飛鷹は、執務室を退室していった。
提督「…ふっ」
提督はそんな感情を秘書艦の羽黒に悟らせない様に、小さく、そして短く息を吐いて、気持ちを落ち着かせた。
…よし、落ち着いた…。
羽黒「…ふぅ」
…が、その直後に羽黒が、短く溜息をついた。
…もしかして、今の動揺が気付かれた…?
羽黒「…飛鷹さんの黒髪…長くてキレイでいいなぁ〜…」ウットリ
…どうやら提督の動揺については杞憂だった様だ。
羽黒は飛鷹が退室していったドアをぼんやり眺めていた。
提督「…羽黒は長い髪のほうが良いのかい?」
提督は率直な疑問を羽黒にぶつけてみた。
羽黒「……へっ?!ええぇっ!///し、司令官さん…今の…」
提督「…ごめん、聞こえちゃった…」
羽黒は自分の何気ない呟きを聞かれた羞恥で、一気に茹で上がった蛸の様に赤くなり、両手で頬を覆って隠くした。
………
……
…
…しばしの沈黙の末。
先に口を開いたのは羽黒であった。
羽黒「し、司令官さんは…」
提督「…ん?」
羽黒「司令官さんは、女性の髪は長いか短いか…どちらがお好みですか…?」
提督「…俺の好み?」
…おお、考えた事なかったな…。
そう思った提督は少し首を斜め上に傾げて、天井に視線をやって、少し考えた。
提督「…節操なしみたいな答えだけど、その娘に合っていれば…みたいな感じかなぁ…ハッキリしない答えで申し訳ない…」
羽黒「…つまり、あまり拘りがないと言うことですか?」
提督「悪く言っちゃうとそうなっちゃうなぁ…」
提督は指輪を渡した嫁艦達の顔を、何となく浮かべてみた…。
…う〜ん…長い娘も短い娘いるから一概には言えない…。
…割合で言えば、基本そこそこの髪の長さまで伸びている娘が多い故に、一概には言えない。
提督「…なんて言うか、全部引っくるめてその娘が好きになるんだと思う…」
羽黒「…そ、そう…ですか…。…それなら私が髪を伸ばさなくても…」
提督「ところが、それはそれなんだよなぁ…」
羽黒「…え?」
提督「例えば羽黒が突然、飛鷹の様なロングの黒髪になったとしよう」
羽黒「…は、はい…」
…そして羽黒の相槌を聞いた提督は、目を瞑って腕を組んで少し俯いた。
そんな提督を固唾を飲むように見守る羽黒。
………
……
…
提督「…似合わない訳無いだろうっ!」キリッ
羽黒「………ふぇっ?!///」
何を言い出すかと思ったら、提督は満面のドヤ顔を羽黒に向けてそう断言する。
提督「普段短い髪の毛の子が、いきなり綺麗なロングになったら、今まで見なかった1面が垣間見えて、俺ならいい意味で絶句するよ」
羽黒「は…はぁ…?」
提督「そういうのを一般世間ではギャップ萌と言ってね…!」
羽黒「い、一般?…ぎ、ギャップ…??」
提督「ギャップ萌の発動条件は容姿だけじゃない。普段着ない服装姿を見るだけでも、無条件で発生するんだ!」
羽黒「………ひぇ…」
あまりにもギャップ萌えを鼻息荒く熱弁する提督に対して、羽黒は少し引いた。
提督「そりゃもう男子全員の夢…そう、ロマンなんだよっ!………Σ( ゚д゚)」ハッ!
…提督が我に戻った時には、羽黒はすっかり気圧されてキャスター付きの椅子で、座ったまま少し距離を取っていた。
…久々に見たで…羽黒の小動物mode…。
提督「…ん"ん"っ!…つまり…良いものは良いって事なんだよ…」
いつの間にやら席を立って熱弁していた提督は、先程までの勢いは何処へやら。
咳払いをして恥ずかしそうに席についた。
羽黒「…と、とにかく司令官さんは女性の普段と違う仕草や格好にときめく…と言うことでよろしいでしょうか…?」
提督「ア、ハイ…羽黒…この書類、目を通しておいて貰えるかな…?」
羽黒「は、はい…承りました…」
その後執務は何とかこなしていくものの、お互い何やら気まずい空気になってしまった…。
………
……
…
1150時
提督「(む…昼飯前だな…羽黒はどうするんだろ…?)」
提督がふと、時計に目が止めたまま少し考えた。
羽黒「…?…あ…」
羽黒もその提督の視線の先に釣られて、時計を見た。
羽黒も昼前であることに今気が付いたようだ。
羽黒「(ううぅ…気不味いよぉ…このままお昼を一緒なんて…)」
羽黒も羽黒で、先程の提督のギャップ萌熱弁で、本能的に引いたのが後ろめたかった様で話しかけられずにいた。
…でもお互いお昼を意識してしまうと、お腹は空いてしまう訳で…。
…コンコンコン…
そんな2人の沈黙を、来室してきた誰かのノックが打ち破る。
足柄「提督、羽黒、居る?」
羽黒の1つ姉である足柄が、執務室に訪ねてきた。
提督「ああ、2人共居るよ〜」
…ガチャ…バタン、ツカツカツカ…
2人が執務室に居ると確認したら、足柄は澱みのない動きで、室内に入ってきてそのまま提督の席の前まで歩いてきた。
足柄「提督、もうお昼食べたかしら?」
提督「いや、これからだけど?」
足柄「間に合って良かったわっ!久々に私がカレーを作ったんだけど、食べないかと誘いに来たのよ。良かったらと思ったんだけれど…」
提督「おお、足柄のカレーか…カツとキャベツの千切りをトッピングしたあれか…唆られるナァ…」
足柄「よしっ…!じゃあ決まりね!羽黒も一緒に来る?」
羽黒「は、はい、一緒に行きます」
足柄「やったっ♪それじゃ善は急げっ!2人共早く食堂に行くわよぉ〜♪」
ガシッ!グイッ!
提督「うわっと!」
羽黒「はわわっ!」
足柄は提督と羽黒の腕を取って、自分の左右に2人の腕を抱え込んで、問答無用に引っ張りだした。
足柄「食べてくれるってわかったら、美味しい時に食べてもらいたいのっ!せっかくのカレーとカツが冷めちゃうわっ!」
自分の片側の胸部に提督の腕を抱え込んでいることもお構い無しだ。
提督「…っ!///」
さすがの提督もこれには、反応せざるおえなかった。
羽黒「わわわ…っ!…?………。っ?!///」
提督と仲良く引きずられていた羽黒も提督の状況に気がついて、またも赤面した。
羽黒「あ、あ…足柄姉さんっ!///」
足柄「ええっ?!何っ?!羽黒?!」
羽黒「し、しし、司令官さんの腕!///」
足柄「…提督の腕?」
羽黒の指摘の意味がさっぱり分からないが、ひとまず引っ張るのを止まって、提督の腕を引っ張る自分の腕を見た足柄。
そこには自分から提督の腕を抱き込む様にして、自分の胸部に押し当てている為、弾力と確かな存在感が、提督の腕の形に変形していた。
足柄「…あっ…///」
提督「…離してもらえると助かる…///」
足柄「ご、ごめんなさい!///」
その事にようやく気が付いた足柄ほ、ばばっと提督と羽黒の腕の拘束を解いて、少し距離を取って、視線を斜め上に向けて両手を後ろで組んで、バツの悪そうにした。
提督「…と、とにかく!ご馳走してもらえるのは嬉しいし、早く案内を頼むよ!」
足柄「え、ええっ!そうだったわよねっ!行きましょうかっ!」
羽黒「…ふぅ…」
そして気を取り直して、3人で横並びになって食堂に向った。
………
……
…
1300時
提督「はぁ〜、マッタリしつつピリッしたカレーに、コッテリのカツとあっさりのキャベツの取り合わせ…やっぱり美味しかったナァ〜」
羽黒「はい♪ちょっと食べ過ぎちゃいました♪」
…食堂からの帰り道。
足柄カレーに舌鼓を打った2人の間に昼食前の 気不味さは、無くなっていた。
提督「…羽黒」
羽黒「はい?何でしょうか?」
提督「さっきはちょっと暴走した…脅かして悪かったよ…」
羽黒「…あ、い、いえ、私の方こそすみませんでした…」
提督「…これで手打ちにしよう。…さぁ、一杯食べたから午後からの仕事も頑張るかっ!」
羽黒「は、はい!」
こうして蟠りもなくなり、提督と羽黒は横に並んで執務室へと帰っていくのであった。
………
……
…
1500時
提督「…次の1700時に第2艦隊が帰投してきたら、本日の哨戒任務はひとまず終了だな…最近は水上艦が減ったな…代わりに潜水艦はチョロチョロちょっかい出してく来るようになったけど…」
羽黒「龍鳳さんの第3艦隊も遭遇したと報告がありましたからね…夕張さんの独壇場だったようですね…」
提督「6隻出てきて、自分1人で6隻中3隻も狩ったって嬉々として言ってたな」
…決して第4駆逐隊の面々が劣っていた訳ではない。
夕張が潜水艦ゼッタイコ○スウーマンだっただけなんだと。
羽黒「…」スクッ…
古時計「1501時」カコン…カコン…
羽黒が何気なく時計を見上げると、古時計は1500時を指していた。
羽黒「…あ…司令官さん、1500です。小休止しませんか?」
提督「ん?…もうそんな時間か…よしっ、休憩しようかな」
羽黒「はい、ではお茶をお淹れしますね」
羽黒はそう言うと、席を立って執務室に併設されている給湯室に入っていった。
提督「ありがとう…それじゃあ頂き物のお茶菓子が確か…」
コンコンコン
お茶菓子を取りに行こうと提督が席を立った時、ドアのノック音が執務室に響いた。
妙高「提督、妙高です。ご在室でしょうか?」
提督「居るよ〜」
妙高「失礼します」
ガチャ…
声を掛けて来てから妙高がドアを開けて、入口辺りで立ち止まり、席を立ち上がったところの提督を見据えた後に、その目線は秘書艦席に移った。
その妙高の右手は御盆を持っており、その上に何か乗っている。
妙高「…あら?…提督、羽黒は今、席を外しているんですか?」
提督「今、給湯室でお茶を淹れて貰っているよ?これから小休止しようかという話になって」
妙高「それはちょうど良かったです。実は水羊羹を作ってみたのですが…如何でしょうか?」
提督「おお、それは有り難い。丁度今お茶菓子を選ぶところだったんだ」
妙高「それはよかったです♪…それと…」
提督「何だい?」
妙高「妹達もご一緒したいのですが、よろしいですか?」
提督「もちろん良いよ。人数が多い方が楽しいしね」
妙高「ありがとうございます♪2人共、入ってきても大丈夫ですよ」
那智「ああ、邪魔するぞ」
足柄「お邪魔します。さっき振りね、提督」
更に那智と足柄が入室してきて、執務室に妙高型姉妹が勢揃いとなった。
羽黒「司令官さん、お茶が入りました…あれ?姉さん達、どうしたの?」
妙高「ごめんなさい羽黒、私がお茶請けになる水羊羹を作って持ってきたのだけれど、一緒にお茶会をしようかと思って」
羽黒「そうだったんですか…あ、今すぐお茶を用意しますね!」
妙高「私も手伝うわ。那智、これを応接席のテーブルにお願いできる?」
那智「よし、引き受けた」
妙高は持ってきた水羊羹を載せた御盆を那智に預けて、羽黒と一緒に給湯室へと入って行った。
那智「提督、席について楽にしていてくれ」
提督「ありがとう…おお…つやつやして瑞々しくてて涼やかで美味しそうだ」
那智「そうだろう?…ま、私が作った訳ではないがな」
提督「楽しみだなぁ…人数も増えたし少し冷房を…」
足柄「提督、ちょっと待った!良いから座ってて頂戴!何度設定にすれば良い?」
提督「お、おう…じゃあ今の設定から2℃下げて」
足柄「了解♪」
席に着くものの、全部妙高姉妹達に任せきりなのが、提督が座る椅子の座り心地を悪くしていた。
提督「…」ソワソワ
那智「…提督…」ハァ…
落ち着かない様子の提督の前の机の上に、那智が妙高特製水羊羹が乗った小皿と竹串を置いた。
那智「貴様は相変わらず腰が落ち着かないヤツだな…こちらからすると言っているのだから、大人しくしていろ。この泊地の長なる者、堂々と構えたらどうだ」
提督「今は公ではないからねぇ…性分ってやつだ」
那智「やれやれ…ま、そういう事にしておこう」
向かい合うソファーを隔てるテーブルの上には、提督が座る側に横に2人分に、そしてその対面の那智と足柄が座る側に横に3人分の水羊羹を並べて、提督の公私についての話になった。
足柄「あら?公私が分けられてるなら問題無いんじゃない?」
那智「…それはそうだが、この泊地に所属する者は、弁えているが、新入りの艦娘が勘違いを起こしたら、看過できんからな」
提督「…ん、わかった、心に留めておくよ」
那智「是非そうしてくれ」
羽黒「…お待たせしました、司令官さん、お茶をどうぞ」
提督と那智と足柄の3人が話をしていたが、大きな議論になる事はなかった。
丁度そこに羽黒と妙高が人数分のお茶を持って応接席にやってきた。
提督「おお、ありがとう…お?このお茶冷たい」
机に置かれた涼やかな摺りガラスの器には、緑茶が入っていたが、触れるとそれはひんやりと冷たい。
妙高「1度淹れたお茶の容器を氷水に浸けて冷やしました」
提督「こりゃ良い。…みんな揃ったところで頂こう…では…いただきます」
妙高型一同「「「「いただきます」」」」
提督が手を合わせてそう言うと、それに合わせてみんな手を合わせて、唱和する。
提督「どれどれ…早速一口…むぐ…」
…うん…常温より少し冷たい位。
この方がかえって甘みと味が良く感じられるので、よく味が分かる。
甘さは控えめだが、その代わりに小豆の味がしっかり出ている。
舌触りも滑らか…丁寧に裏ごしされて口に含んだらサラリと溶けるように消えてゆく。
妙高「…お味は如何でしょうか?」
提督「これは、自分で全部やったのかい?」
妙高「はい、一度全部やってみようと思いまして…お口に合いませんでしたか?」
提督「とんでもない!冷え加減も絶妙、甘さ控えめだけど小豆の味はしっかりあって、舌触りも滑らかでサラリと溶ける。こりゃいいよ〜」
妙高「あぁ…良かったです…///何分初めてだったので…」
羽黒「ん〜…美味しいです〜」
那智「ん…私には少し甘いな…」
足柄「あ~ら?それなら貰ってあげるけど?」
那智「やかましい!食べないとは一言も言ってない!やらんぞ!」
足柄「えぇ〜、素直に美味しいって言えばいいのに♪」
那智「ふ、ふん…」
妙高「ふふふ…好評のようで良かった…と言っても、間宮さんの栗羊羹には及びませんね…」
そう言うと、妙高は補給艦 間宮の栗羊羹の味を思い浮かべているのか、あの美味しさに対する憧れと羨ましさと悔しさのようなものを混ぜた、複雑な表情を浮かべた。
足柄「いやいや!あれはあれ、これはこれよ!気にすることは無いと思うわ!」
那智「うむ…それは少し高すぎるハードルだな…これでも十分過ぎるくらいと思うが…」
羽黒「十二分に美味しいですよ!妙高姉さん!」
提督「…そういえばさ…」
妙高型一同「「「「?」」」」
提督「俺…実を言うと間宮さんの栗羊羹って食べたことないんだよね…何とか食べられる機会があったんだけど、いつの間にやら消えててさ…」
…ちなみに、それ食べた犯人は知ってるし、本人達も隠す気無いんだけどね。
主に赤いヤツとか赤いヤツとか赤いヤツとか…。
妙高「…あ…」
那智「そ…それは…」
足柄「いやぁ〜…なんて言うか…」
羽黒「…ええ〜とぉ…」
提督が間宮の栗羊羹に対する素朴な疑問に対して、妙高型の面々は顔を見合わせ、反応が急に歯切れの悪いものになった。
提督「それを明石に聞いたらドヤ顔で " 食ってみな 飛ぶぞ☆ " って軽く脅されたんだけど、言い方があまりにもいかがわしい表現で、どうもピンとこなくてな…」
…そのままはぐらかされたんだっけか…。
…まったく…工廠と酒保の間しかうろついて無いくせに、何処からそんなネタを仕入れてくるんだか…。
冗談めかしつつも、言われた事をそのまま一同にその事を話すと…。
妙高「い、いけません!アレを提督が召し上がってはっ!」
那智「そ、そそ、そうだっ!命に関わるぞっ!」
足柄「明石が言う通り、人が食べたらホントにぶっ飛ぶわよっ?!」
羽黒「ふぇぇぇっ!司令官さんは絶対食べちゃだめです〜っ!」
妙高型全員に口々に大反対をされてしまった。
………
……
…
…うっわ…何それ…絶対って言われると逆に気になる…。
今度、朝潮辺りの娘から一欠貰ってみようかな。
…いや、流石にそれしたら、満潮か霞辺りツンツン勢からの飛び蹴りが飛んできそうだな…。
…いや、しかし…。
妙高「て・い・と・く?」ニッッッッッコリ♪
提督が良からぬことを考えていることはお見通しの如く、妙高が意味深な笑みを提督に向けて牽制してきた。
…ひ、ひぇ…。
提督「…お、おれはみょうこうのおいしいみずようかんでいいや〜ははは…」(棒)
"好奇心は猫をも殺す"
睨まれて縮こまる提督の脳裏にこのことわざが浮かんだのであった。
………
……
…
〜同時刻 佐伯泊地 工廠建屋〜
明石「間宮羊羹を人間が食べたら、ハイになり過ぎて、下手したらそのまま死んじゃうゾッ☆」バチコーン♪
夕張「…明石、急にどうしたの?」
明石「いや、何となく言っておかないと駄目な気がしたのよ」( ー`дー´)
………
……
…
足柄「(あ、妙高姉さん、ちゃっかりにここに来る口実作っちゃったわね…策士だわ…)」
笑顔で提督を睨みつける妙高を、部外者目線で眺めている足柄は、そんな事を思っていた。
妙高「…あ」
提督「?」
足柄が呑気にそんなことを考えていた直後に、妙高はその事に気が付いたようで、羽黒の様子を横目で窺っているが、当の羽黒は間宮の栗羊羹を諦めた提督にホッとして、そのことに気が付いていなかった。
妙高「…さ、さぁ、折角の団欒の時間なので、この話はこれくらいにしましょう!て、提督も!遠慮せずに食べてくださいね!」
提督「…?お、おう…」
その後、終始顔を赤くして、視線を下へと下げ続けていた妙高なのであった。
………
……
…
1800時
妙高型姉妹達との一服時間は小一時間程でお開きとなり、夕方からの執務では明日の出撃リストの作成と本日最後の哨戒部隊の出迎えと、その報告書の纏めの作業に取り掛かっていた。
明日もこの位の出撃を予定しているので、今日の仕事量は肩慣らしには丁度いい。
提督「さて、今日の仕事はほぼ終わりだな…羽黒、今日も1日ありがとう」
羽黒「はい、お疲れさまでした、司令官さん。こちらこそありがとうございました。」
提督「いえいえ…晩飯は、どーすっかなぁ…」
羽黒「…あのぅ…」
提督「…ん?何だい羽黒?」
羽黒「私もご一緒してもよろしいでしょうか?」
提督「ん?もちろんいいよ。…でもどうする?簡単な物を作って済まそうと思ったんだけど…」
羽黒「…簡単な物…ですか?」
提督「そそ、肉野菜炒めと焼き飯、それに付け合せのわかめスープかな」
羽黒「はわぁ…いいですねぇ…そう言えば司令官さんの焼き飯は噂でしか聞いたことがなかったので、とても気になります」
提督「あぁ…何だかんだでいつも焼き飯食べてるのは、赤城ばかりだからな…赤城以外に振るうのは初めてかも」
羽黒「それは楽しみです♪」
執務室の給湯室は特別広い訳ではないが、2人並んでちょっとした料理をするくらいなら、大抵の物は作れる。
赤城に出している"いつものヤツ"も、ここで作っている。
提督がメインの調理を、羽黒がその助手として具材のカット担当と分担作業で手早く調理を開始した。
………
……
…
羽黒「…お醤油色の焼き飯なんですね…香ばしいいい匂いですねぇ…」
提督「具の煮豚を煮た時の煮汁を煮詰めてあるのを使ってるからな…味付は殆どこれで決まるんだよ」
…ものの20分程で出来上がった。
提督と羽黒、お互いの席の前に今さっき作った料理を並べて、同時に手を合わせる。
提督・羽黒「「いただきます」」
唱和したら提督は野菜炒めを。
羽黒は焼き飯の乗った皿を取って、それぞれの口に頬張った。
提督「ん、やっぱり最後にゴマ油を一回しが良いなァ」
羽黒「んぅぅ〜♪美味しいですぅ〜…お醤油の香ばしさと甘辛いタレが、豚バラの旨味と調和して奥深くて…!」
提督「おお、口に合って良かったよ」
羽黒「ふふふ…道理で赤城さんが作って欲しいと催促する訳ですねぇ…」
提督「赤城はホントに大食艦だからな…右見て左見たらもう無い…みたいな」
羽黒「…ちゃんと噛んでらっしゃるのか不安ですね」
提督「ま、モノの例えだよ。頬張ってモキュモキュしてる姿がなんとも言えず、ああ作ってよかったなぁって思わせてくれるからな…ギンパイされても仕方ねぇかって思っちゃうんだよ…今日は羽黒が手伝ってくれたし、俺は用意して貰った具材を鍋に放り込むだけだし、助かったよ。お陰で想定時間より早く、思い通りの料理にありつけたんだから」
羽黒「い、いえいえ…///…私も司令官さんのお料理を頂くことができたので嬉しいですっ」
こうしてゆっくりと静かに会話をしながら執務室での夕食を、楽しんだ提督と羽黒であった。
………
……
…
2000時
提督「…さて、今日の業務は終了…羽黒もお疲れ様、明日もよろしく頼むよ」
羽黒「あ、はいっ、お疲れさまでした!」
その後の業務は滞りなく進み、早上がりとなった。
その帰り支度中に羽黒は提督に問いかけた。
羽黒「…司令官さんは、この後はどうされるんですか?」
提督「…ん?…ん〜…自室でのんびりするかな…休みが終わったら、またしばらくのんびりできないから…」
…俺、今晩、撮り溜めてたアニメを見るんだぁ…。
羽黒「あぅ…そうでしたか…それでは…」
…う…そんなしょんぼり顔されたら、罪悪感が…。
提督がそんな事を思っているその時。
ドア「バァァァァァァンッ!!!」
提督・羽黒「「!!!」」
ドアが突然勢いよく開け放たれた。
その両開きのドアを開けた張本人が、入り口のど真ん中に手を突き出した状態で立っていた。
???「夜戦っ!夜戦の時間だァァァっ!」
提督「」
羽黒「…えぇ〜…」
そう叫ぶ者の姿を見た提督は、閉口して仏頂面に、そして羽黒は困惑しかなかった。
提督「…川内、もう少し静かに入ってきなさい」
川内「ええ〜いいじゃん!提督なるもの、いかなる場面でも驚いちゃだめだよ〜♪」
焦げ茶のセミロングをツーサイドアップの髪型。
その前髪には簪(かんざし)にも似た髪飾りを付けて、忍者の様な格好なのに夜になった途端、やたらめったらテンションの高いこの艦娘は、川内型軽巡洋艦 1番艦 川内。
…朝練にお邪魔した時に、会話を交わした神通の姉だ。
神通「も、もう!姉さんったら、毎度騒いで回らないでっ!す、すみませんっ!提督!」
川内の登場から少し遅れて、その神通が川内を追って執務室に来た。
提督「…今回の大規模作戦で動いてたからな…その余波で暇になった途端、発作を起こしたか…」
川内「てーとくーっ!ひーまーっ!やーせーんーっ!」
提督「ええい!やかましいっ!この残念美人がっ!」
そう提督が言うと、席に詰め寄った川内を、提督は川内の首根っこを掴んで、つまみ上げた。
そしてそのまま、姉の毎度の奇行に困り果てた神通が立っているところまで持っていった。
川内「えーっ!やぁーっ!何すんのさぁーっ!」ジダバタ
提督「…神通…なんか…申し訳ない…」
神通「い、いえ…慣れていますので…」
提督「…何なら川内との部屋変えようか?」
神通「…気持ちは有り難いのですが、離れたら余計気になってしまいそうで…」
提督「…あー…」
川内「ちょっ?!2人して私をそんな目で見ないでってばぁーっ!」
2人で憐れむような目で見ると、提督に吊るされてバタついていた手足は、ブラリと宙づり状態で川内は大人しくなった。
神通「さ、姉さん、部屋に戻りますよ!」
川内「ぶぅーっ」
神通「…最近潜水艦が多いそうなので、今から対潜任務に行きましょうか?」
川内「やだやだやだっ!夜に潜水艦狩りなんて無理じゃんっ!爆雷の無駄っ!ぶっちゃけ無理ゲーっ!」
神通「…ね え さ ん ?」
川内「ひええっ!!」
…あ、神通切れちゃった。
気配が変わった神通に対して、川内は即座に反応して震えた。
神通「…申し訳ありません、提督。今からちょっと潜水艦刈りに行って参ります…♪」
提督「…書類は明日で良いからな?」
川内「えっ!えっ?!ちょっ!提督そこは止めるところでしょっ!」
提督「…良かったな川内…お望みの夜戦のお時間だ」
川内「ちっとも嬉しくないってばっ!」
提督「…んな事させるかって。神通、落ち着いて、何かあってからでは遅いし、無くても下手に仕事を増やさないでもらえると助かる」
神通「…あらやだ私ったら///…お騒がせして申し訳ありません」
提督「ん、それじゃあ悪いけど川内を自室まで連れて行って貰えるかい?」
神通「承りました。それでは提督、羽黒さん、おやすみなさい」
ガッ!!
川内「あっ!ちょっ!神通ってばっ!歩くっ!自分で歩くから後ろ手に引っ張んないでぇ〜!」
ズルズルズルズルズル…
川内は、制服の襟の後ろを神通に鷲掴みにされて、バタつきながらそのまま廊下引き摺られて退場していった。
…登場もさり際も騒がしくて敵わん…。
川内型姉妹は仲はいいんだが、末っ子も別の意味で大概だしな…ありゃ神通も苦労しかしてないな…。
提督「…悪い羽黒、何か最後にどっと疲れたし、ゆっくりするよ…おやすみ」
羽黒「は、はぃ…私も何だか今ので疲れちゃいました…お休みなさい司令官さん、また明日もよろしくお願いします!」
提督「ん、こちらこそよろしくね、それじゃ」
こうして、退室の準備を整えて執務室の前で提督は羽黒と別れて、自室に向った。
………
……
…
その道中、提督は少し今日の出来事を振り返った。
提督「(これがココの日常なのに、同じ日は1つとしてないなぁ…明日はもうちょっと早く起きてジャージで、朝練に参加してみようかなぁ…知らなかった事もあったし…もっとみんなの事を知っておきたいしなぁ…)」
…それじゃあ早く寝て明日に備えよう。
…あ、それだと撮りためたアニメが…。
………
……
…
ま、いっか。
一応記録してあるんだから、それこそ晩にちょっとづつ観ればいいし、いつでも観れるじゃないか。
そう提督は頭を切り替えて、自室に戻るのであった。
……………
…………
………
……
…
皆様、最後までお疲れさまでした!(_ _)
このSSが書き終わる頃、2021年春イベントが終わる頃…。
果たして屋根提督は完走することができるのか?!(笑)
※甲クリア?ナニソレ、オイシイノ?(゚∀゚)w
今回のお話は、本当に普段の本編である ” 艦これ “ をプレーしていたら ” こんな感じに粛々と過ごしてるんだろうなぁ…(のんびりmode) ” という日常を描いてみたお話です。
さて、次は佐伯泊地のお盆休みの最終日。
どんな展開を描こうか…手探りですがのんびり書いていこうと思います。
※そろそろ近々の状況版も書きたいゾ(笑)
それでは皆様、気長なお付き合いの程をよろしくお願い致します(_ _)
それではまた!Σ∠(`・ω・´)