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2020年07月15日 イイね!

マツダ新型直列6気筒エンジンの中身

検索してもあまり紹介されていないようなので、1年ほど前に公開されたマツダの特許をご紹介します。

特開2019-138203
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-2019-138203/D7341AB319854B6CF9916CD2B344DCCE878E3EC400A034ED4EF0338D6AECFEB2/11/ja

【課題】過給ディーゼルエンジンの低負荷域で安定した予混合圧縮着火燃焼を行う。

【解決手段】過給ディーゼルエンジンは、電気エネルギーにより駆動されて吸気を過給する電動過給機(61)と、触媒(55a)よりも下流側の排気通路(50)と電動過給機(61)よりも上流側の吸気通路(30)とを連通するEGR通路(81)と、EGR通路(81)に設けられた開閉可能なEGR弁(83)とを備える。エンジンが低負荷域で運転されているときは、電動過給機(61)が駆動されて吸気が過給されるとともに、EGR弁(83)が開かれてEGR通路(81)を通じた排気ガスの還流が行われ、さらに、燃料の噴射終了から遅れて着火するような所定のタイミングで燃料噴射弁(15)から燃料が噴射される。


このような構造の現行エンジンはありませんから、これは新型直列6気筒エンジンに関する特許と見て間違いないでしょう。
それではこの特許から、新型直列6気筒ディーゼルエンジンに採用されるであろう技術を3つほど抜き出してみます。

■電動ターボ採用

【0001】
本発明は、電気エネルギーにより駆動される電動過給機が吸気通路に設けられた過給ディーゼルエンジンに関する。

ターボの問題の1つは、排気圧力が稼げない時は加給できない、加給できないから排気圧力が大きくならないという状況、つまりターボラグがあります。

そのため、SKYACTIV-D 2.2 は皆さんご存知の通り、大小2つのツインターボを採用しています。これは排気圧力が大きい時は大きなターボで加給し、排気圧力が稼げない、発進時や低速一定走行時などでは小さなターボで加給するというもの。

それでもターボラグは防げないので、新型 SKYACTIV-D 2.2 では小さいターボに VGR を採用し、より少ない排気圧力でも加給ができる様に改良しました。
(ちなみに SKYACTIV-D 1.5 は登場時から VGR ターボを採用しています)

しかし、大排気量になればなるほど、ターボでカバーしなければいけない領域は広くなります。
そこで排気圧力に頼らず加給ができる、電動ターボチャージャーを採用する模様です。

この流れは欧州他社でも同様です。

 メルセデスAMG、電動ターボを次世代モデルに搭載…開発は最終段階に
 https://response.jp/article/2020/06/22/335810.html

これにより、発進時からターボラグが少ない、反応の良いエンジンが期待できます。

更に言えば、電動ターボチャージャーで十分な加給を確保するために、現行の24V系のマイルドハイブリッドではなく 48V系が採用されることになるかと思います。

■低圧EGR(LP-EGR)採用

【0010】
また、前記のような電動過給機による過給に加えて、触媒を通過した後の排気ガスを吸気通路に還流する操作(以下、これを低圧EGRという)が実行されるので、この低圧EGRにより導入される比較的低温で不活性な排気ガス(低圧EGRガス)の作用により、燃料の噴射終了から着火までの時間(着火遅れ時間)を十分に確保することができ、この着火遅れ時間の間に燃料と吸気との混合を促進することができる。これにより、噴射された燃料を吸気と十分に混合した後に自着火、燃焼させる(言い換えると過早着火を回避する)ことができ、適正な予混合圧縮着火燃焼を実現することができる。

SKYACTIV-D 2.2 の EGR は、単純に燃焼した直後の排気ガスをそのまま吸気側に戻していました。
これはレスポンス良く排気ガスを吸気側に戻せるものの、

・高温な排気ガスを還流させるために、排気ガスを冷却する必要がある(クールドEGR)
・排気ガスが触媒を通過していないので、HC や PM(煤)などの不純物もそのまま含まれ、そのため比較的比重が重く空気(新気)と混じりにくい
・排気ガスを冷却した際に排気ガスに含まれる前述の不純物が凝縮してしまう
・排気ガスを還流させると、その下流にあるターボチャージャーの排気圧が少なくなってしまう

などの問題があります。

そのため、新型エンジンでは、低圧EGR(LP-EGR)が採用されるようです。
(ちなみに SKYACTIV-D 1.5 は登場時から低圧EGRを採用しています)

低圧EGRは、前述の高圧EGRと併用され、レスポンスが必要でない一定走行時などは、ターボより下流にある触媒を通した、綺麗で低温の排気ガスを吸気側に戻しています。

■水冷式インタークーラー採用

【0041】
インタークーラ38は、図外のウォーターポンプから導入される冷却水との熱交換により吸気を冷却する水冷式の熱交換器である。過給装置60により圧縮されて昇温した吸気は、このインタークーラ38内を流通する冷却水との熱交換により冷却される。なお、インタークーラ38に導入される冷却水は、エンジンの冷却水が循環する冷却水回路とは独立した回路を介して導入される。また、インタークーラ用の冷却水回路にはラジエータが設けられており、このラジエータからの放熱により冷却水の温度が外気温と同等に維持されるようになっている。

SKYACTIV-D 2.2 でもインタークーラーが採用されていますが、こちらは空冷式インタークーラーでした。新型エンジンでは水冷式のインタークーラーが採用されるようです。
(ちなみに SKYACTIV-D 1.5 は登場時から水冷式インタークーラーを採用しています)

別体型の水冷式インタークーラーを採用するということは、過給ターボチャージャーによって昇温された熱量が大きいということを示します。
ということは、現行エンジンよりも大排気量であったり、出力が高かったり、そういった性能面も推測できます。

■そもそもどんな特許なの?

過給ディーゼルエンジンの低負荷域で安定した予混合圧縮着火燃焼を行う、という特許です。

予混合圧縮着火燃焼(PCCI)とは、燃料と空気をよく混合したうえで低温燃焼させ、PMもNOxも排出させない燃焼のことを言います。
予混合圧縮着火燃焼について、こちらに良い記事があったので、紹介します。

 内燃機関超基礎講座 | ディーゼルエンジンからNOx/PMが排出される仕組み
 https://motor-fan.jp/tech/10015526

もう少し詳しい記事はこちら

 SKYACTIV-D はどうやって煤(スス)を減らしたのか
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/39276240/

どんな状況でも理想的な予混合圧縮着火燃焼ができればいいのですが、発進時や軽負荷時からの加速時などは、排気圧力が少ないので、ターボが勢いよく回ってくれません(発進時は排気がアイドリング程度しかないのですから当たり前ですね)。

そうなると、加速のために燃料をどんどん燃やそうとしても、ターボが空気(新気)を入れてくれないので、燃料を増やせません。
これがターボラグです。

燃料と空気を十分に混合できないので、加速時に煤が多く発生したり、NOxが多く出たり、という状況になるのです。
電動ターボチャージャーを使うとターボラグを低減するだけではなく、幅広い領域で予混合圧縮着火燃焼ができ、PM(煤)や NOx の発生を、より低減することができます。

運転状況に合わせてどのように電動ターボチャージャーを使うと良いのか、そういったことがこの特許には書かれています。

■そのほかの特許

前述の電動ターボチャージャーについては、もう少し具体的な形状まで特許登録されています。

特開2019-138245
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-2019-138245/1081A5E555A13E01947D80034696198DBBEEB03089D06071C7D7214C1E8F5425/11/ja

【課題】電動過給機及びインタークーラが配設される吸気系を備えたエンジンにおいて、前記吸気系のコンパクト化を図る。

また、水冷インタークーラーの構造や機能についても特許登録されています。

特開2019-138155
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-2019-138155/19BA273EA84CACABA3DE63D77BF7C4A54F3E62229FED4038FD6427A0D09250C4/11/ja

【課題】吸気構造をコンパクト化しつつ電動過給機およびインタークーラへの通過/非通過が異なる多様な吸気流れを形成する。


更に、冷却性能の高いインタークーラーで問題となる凝縮水の対処についても特許登録されています。

特開2019-138244
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-2019-138244/936B75A1B3BDD9F6E6CA3F490970C446C61D0B40BB0E3A4F999B012A68B2DFE7/11/ja

【課題】ターボ過給機及び電動過給機と、吸気を冷却するインタークーラとを備えた過給機付きエンジンにおいて、インタークーラにて発生する凝縮水を適切に処理する。

このほかにもディーゼルエンジンの燃焼など、多くの特許登録が行われています。

特開2020-002861
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-2020-002861/13E3594280217BEAE92BCDBE89B46F9E9E9448A7868C3552D558C611B7D03308/11/ja

【課題】キャビティを有する冠面で一部が区画される燃焼室内の空気を有効活用し、均質で薄い混合気を形成し、煤などの発生を可及的に抑制する。

■新型直列6気筒ディーゼルエンジンの設計はかなり具体的に進んでいる

以上の特許情報から、直列6気筒(と言われる)新型エンジンの設計は、かなり具体的に進んでいるのではないかと思われます。
これがいつリリースされるか、またこれらの特許がそのまま採用されるかはわかりませんが、どんなエンジンになるか楽しみです。
Posted at 2020/07/16 14:56:05 | コメント(3) | トラックバック(0) | | クルマ
2020年07月10日 イイね!

いまのマツダの方向性

この記事は、マツダの気になる未来(2)について書いています。

今のマツダ車が目指しているのは人馬一体で、それは
・ドライバーの運転操作次第でクルマの動きが変わること
・各車毎にスイートスポットのようなものがあって、そこを外すと気持ち悪い反応がドライバーに返るように作り込んである
・スイートスポットにハマると気持ち良い反応がドライバーに返り(i-DMが青ランプを点けて支援)、ドライバーの意識がそこに向くと、ドライバーとクルマの対話が始まる
・ドライバーが操作(アクション)と反応(リアクション)を意識した運転になり、「操作」と「期待する反応」が一致してくると、運転という行為が俄然、楽しくなってくる(フロー理論の成立)
ってな具合です。ね?一言で説明できないでしょ?難解である所以です(^_^;)

ただ、この楽しさにドライバーが気付くと、非常に特徴的な反応が起こります。

その最たるモノは「スピードを出す、速く走る、といったモチベーションが下がる」こと。

自分の中で何となく思っていても言葉にできない部分を、ここまできちんと言葉にした記事は初めて見ました。
自動車を評論して飯食っている人は、このぐらいの記事を書けばいいのに。

車を運転する様になって○十年、自動車教習所で正しい運転の仕方は習ったけど、例えばこのカーブではどの程度まで速度を落とすべきなのか、どの程度の速度でハンドルを切るべきなのか、加速はどのタイミングで、どの程度の加速をするべきなのか、そういう「美しい運転の仕方」を習ったことはなかったと思う。

たまたまiDMという機能があって、点数が全く上がらずどうしてだろうと思い、インターネットを検索してふむふむと運転の仕方を変えて、座り方まで変えて、そこで見えてきたのは、

・やっぱり自分は運転が下手
・でも何時間運転しても楽しいと思える様になった
・腰も痛くなりにくくなった
・一部の同乗者にすごく評判がよくなった
 (上手いタクシー運転手みたいだと言われた)
・ことさらにスピードを出すことに魅力を感じなくなった

まず、自分はスピードを出してもなお美しい運転ができるほど上手くはないと自覚する様になりました。だって明らかにアクセルもブレーキもハンドルも雑になるのが自覚できますから。

本当に速い人って、スピードを出してもなお運転が上手いんでしょうね。

いい運転ができてますよ〜と教えてくれるのがiDMの青ランプなんだけど、それなりの急減速・急加速でも、躍度(加速度の変化率)を抑えて一定速度での加減速ができればちゃんと青ランプが点灯するんですよ。

逆にちょっと踏み込みが雑だったりや、アクセルを乱暴に離したりすると簡単に白ランプが点灯する。

で、青ランプです〜っとカーブを曲がると、実際に気持ちいいんですよ。
前タイヤで曲がっているんじゃなくて、四輪で曲がっている感じがする。
(もちろん実際は前タイヤの舵角で曲がってるんですけどね)

私のiDMの点数は、人に自慢できるほど高くはないですし、人に教えるほど上手くもありません。

でも、点数を気にするというより、この運転はいいですね、ここは雑ですね、と教えてくれる装置だと思って付き合ったら、運転が上手くなる様に思いますよ。

そうそう、ちなみに私の中で国沢さんの評価は極めて低いです。
Posted at 2020/07/10 20:11:31 | コメント(2) | トラックバック(0) | | クルマ
2020年06月30日 イイね!

ヤリスの燃費はなんでこんなにいいのか

以前に e-power の燃費について記事にしました。

 e-power と燃費と正規分布の話
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/39251822/

 e-power と燃費と正規分布の話、その後
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/41140213/

最近はヤリスの納車が始まっているらしく、実燃費もe燃費に登録され始めました。



e燃費によると、実燃費はなんと 32.38km/L (6月29日)だそうです。
アクア、新型フィット、Mazda2 などの他のBセグメント車と比べても、頭一つ抜きん出いているようですね。

e燃費のガソリン代ラインキングでは、長らくデミオ(ディーゼル)とアクアが競っていましたが(軽油とレギュラーの価格変動で順位が決まる感じ)、今後はヤリス一強になりそうです。

しかしまだ実燃費の登録件数が49件、ピーク値でも6件、信頼性が高いとは言い難い登録件数ですが、正規分布から大きく外れているエラー値が、20km/Lで、これが「低すぎる値」だなんて…。

いつもの様に正規分布を取ってみたのですが、登録件数は少ないものの、それほど大きなエラー値はなく、このまま登録件数が増えても大きくズレる様な気がしません。

■なぜヤリスはそんなに燃費がいいのか

ちゃんと検証まではしていませんが、大雑把に言えば

1)車両重量が軽い
2)前面投影面積が小さい
3)THSの効率の良さ

にあるのではないかと想像しています。

車両重量はかなり軽く、 量販グレードの HIBRID G でも 1060kg です。
新型フィットは量販グレードの HOME で 1180kg ですから、大人二人分ぐらいは違う。
エンジンが3気筒というのも重量的に有利で、しかもエンジンの摺動抵抗が少なくなります。

車も小さいですが、アクアの様な無理矢理感はないですね。
アクアは(大人の男性が)運転席にきちんと座れるレイアウトになっていない。
対してヤリスはデミオ程ではないにしても、大きな不満はない感じでした。
後部座席が狭いにしても1人〜2人乗りがメインとなるBセグメントとしては、必要十分ではないかと思います。

そして、やはり THS のコンセプトの優秀さ。

ノート e-power はシリーズハイブリッドですが、実燃費は 20km/L 近辺をウロウロしています。燃料代を考えるとデミオ(ディーゼル)の方がよっぽどいい。

これはやはり、すべての駆動エネルギーを一旦電気に変換しているため、エンジンで直接駆動するよりも効率が悪い場合がある、というのが大きいと思います。



その点、新型フィット e:HEV は、モーターでは効率が悪い場合は、エンジンから直接駆動力を伝達できます。



しかしながらTHSはそれを上回り、「常に」エンジンとモーターの比率を変動させることができるというのが大きそうです。



もちろん、ヤリスに搭載された THS II は、リチウム電池を採用したりすることで、そのエンジンとモーターの比率を変動させられる領域を広げたというのは大きいでしょう。

ホンダは HONDA IMA から始まり、i-DCD、i-MMD(e:HEV)と、ハイブリットのコンセプトを進化させ、仕組み自体が大きく変わってきました。

それに対してトヨタは 1997年に登場させた THS という仕組みを20年以上にわたり熟成させてきたという違いがあり、今回はトヨタに軍配が上がったように見えます。

操縦性も、以前のアクアはどんなに燃費が良くても…という代物でしたが、ヤリスはそんな感じではありません。

マツダはそのハイブリットの長い歴史の発端にもついていない訳ですが、エンジン自体はとても良いものがあります。

(コストはともかくとして)ディーゼルエンジンに、発進時の補助的なモーター駆動が付いただけで、最新ハイブリットに近い燃費は叩き出せるとは思うのですが、まあ言うが易しとはこのことですね。
Posted at 2020/06/30 09:36:02 | コメント(1) | トラックバック(0) | | クルマ
2020年06月17日 イイね!

欧州でディーゼルが復活

欧州がEV一辺倒になり、ディーゼルは無くなると思い込んでいた人もいるようですが、

 BMW、新世代の直6クリーンディーゼル搭載…今夏から欧州で
 https://response.jp/article/2020/06/16/335635.html

BMWは今夏から、新世代の直列6気筒クリーンディーゼルエンジンを欧州仕様車に搭載すると発表したそうです。

 えっ、2019年に欧州で、アレが大復活?!
 https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/194452/013100167/

藤:ということで私は、2019年ぐらいに、欧州メーカーはもう1回ディーゼルを復活させると見ています。

一同:えぇ!

F:復活って、まさかヨーロッパで?

藤:そう、ヨーロッパで。これはあくまで私個人の予測ですよ。ヨーロッパの乗用車市場は、ディーゼルの歴史が長いし普及率も高い。それが例の事件、ディーゼルゲート以降ガクンと売り上げが落ちている。

 でもよく見ると、落ちているのは小さなクルマばかりです。メルセデスで言うとEクラス以上、BMWなら5シリーズ以上、あとはSUVは大きな変化はない。あれだけ大きくて重たい車両を走らせようとすると、やっぱりディーゼルエンジンが必要なんです。フェルさんご自身が乗っているからよく分かるでしょう。Gクラスはやっぱりディーゼルが良いでしょう。

F:はい。間違いありません。僕はGのディーゼルを取材の際に試乗して、一発で決めました。あの2.5トンの巨体をグイグイ引っ張るには、やっぱりディーゼルのぶっといトルクが必要です。

藤:ディーゼル復活に向けた動きは既に始まっています。例えばメルセデスは、新しいディーゼル工場をポーランドに造っている。彼らはここまで普及したディーゼルをやめるわけにはいかないのです。だからそのうちドーンと出てくる。私はそう見ています。

「マイルドハイブリッドの効果はちゃんと出てます」
 マツダ藤原副社長インタビュー(4)
 https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1912/03/news040.html

池田 多分ラージのプラットフォームはFRにして、直6っていうのは、すごく正しいと思うんです。ただ、ひとつだけ怖いなと思っているのは、ディーゼルの直6なんですよね。これは、もうまさに世の中との戦いじゃないですか、どっちへ転ぶか。ここはどう見られているんですか。

藤原 もうやらざるを得ないと思って。でも、(ディーゼルは)必ず戻ってくると思っているんです。特にヨーロッパの人には、ディーゼルには簡単に止められないだけの商品価値はあると思ってます。

池田 ディーゼルは死なずですか?

藤原 彼らがヨーロッパ中を、例えばドイツへ出張するとすると、PHVで一生懸命頑張っても、やっぱりディーゼルにはかなわないんですよ。ディーゼルで出張すると、1回満タンにすると1000キロ走るわけじゃないですか。それもあのトルクで、アウトバーンをばーんと走って。彼らは電車で行かないし、飛行機で行かないし、びゃーんとクルマで行っちゃうわけですね。それは今のPHVでできるかっていったら、できないんですよね、やっぱり。重たいものを積んでいるので。

まあ、藤原大明神の予言通りでしたね。
Posted at 2020/06/17 21:56:28 | コメント(0) | トラックバック(0) | | クルマ
2020年06月03日 イイね!

SKYACTIV-X は何が良いの?

以前に SKYACTIV-X の発売が遅れた際に、SKYACTIV-X についてまとめた記事を書きました。

 SKYACTIV-X って何がすごいの?
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/42562812/

ここで冒頭に書いた SKYACTIV-X の特徴は以下の通り。

 - エンジン単体の燃費率は現行の「SKYACTIV-G」と比べて最大で20~30%程度改善
 - 2008年時点の同一排気量の当社ガソリンエンジンから、35~45%の改善
 - 最新の「SKYACTIV-D」と同等以上の燃費率

しかし実際に SKYACTIV-X が発売されて半年、日本では売れ行きも大して良くなく、高いと言われてしまう SKYACTIV-X の何が良いのか、改めて記事にしようかと思いました。

あえて言うなら、

 ・ディーゼルエンジンと変わらない燃費
 ・ガソリンエンジンより伸びやかな走り

そう書くと、WLTC燃費の数値を比較して、いやいや何言っているんだと言われそうですが、あえてそう書きます。

■ SKYACTIV-X の燃費

まず、マツダが公表しているように、先代 Mazda3(アクセラ)と比べて 30% の燃費改善を果たしているのは事実です。
ただし NEDC Combined での、6MT の比較です。


NEDC Combined
先代 Mazda3 SKYACTIV-G 2.0 6MT17.2km/L
Mazda3 SKYACTIV-X 6MT 16inch22.7km/L


数値にして約32%の改善ですから、30%程度の燃費向上という謳い文句は嘘ではありません。

■ 現実の燃費は?

マツダの謳い文句では「エンジン単体の燃費率ではディーゼルと同程度かそれ以上」ということですが、車としての実際の実力はどの程度なのでしょうか。

ディーゼルとの燃費を比較する場合、Mazda3 も CX-30 も、SKYACTIV-D 1.8 を搭載していますから、このエンジンとの比較になってしまいます。

X PROACTIVXD PROACITV
WTLC17.2km/L19.8km/L
WTLC 市街地13.7km/L16.4km/L
WTLC 郊外17.6km/L19.7km/L
WTLC 高速17.6km/L21.8km/L


Mada3 X PROACTIVE の WLTC燃費は 17.2km/L に対して、XD PROACTIVE は 19.8km/L と、結構見劣りします。

しかしこれはあまりに SKYACTIV-X にとって不利、不公平な比較。

だって SKYACTV-D 1.8 は、SKYACTIV-D 1.5 の後継で、ディーゼルエンジンの中でも燃費に優れたエンジンです。その代わりトルクはともかく、馬力は 117馬力ですからね。180馬力の SKYACTIV-X と比べるべきエンジンじゃありません。

本来であれば、SKYACTIV-X は SKYACTIV-D 2.2 と比較すべきもの。

でも残念ながら SKYACTIV-D 2.2 は Mazda3 や CX-30 には搭載されていませんから直接比較できません。
ではどうやって比較するのか。

そこで、SKYACTIV-G 2.0 を基準に、SKYACTIV-D 1.8/2.2 と SKYACTIV-X を比較してみましょう。

まずは現行 Mazda6 の 2.0S PROACTIV と XD PROACTIV の比較です。

2.0S PROACTIVXD PROACITV燃費改善率
WTLC15.017.8119%
WTLC 市街地11.713.9119%
WTLC 郊外15.417.6114%
WTLC 高速17.220.8121%


念の為、現行 CX-5 の 2.0S PROACTIV と XD PROACTIV を比較してみましょう。

2.0S PROACTIVXD PROACITV燃費改善率
WTLC14.617.4119%
WTLC 市街地11.913.9117%
WTLC 郊外15.117.6117%
WTLC 高速16.219.6121%


SKYACTIV-G2.0 と SKYACTIV-D2.2 を比較すると、どの車種もほぼ 120% 前後の燃費改善率です。

次に Mazda3 の SKYACTIV-G 2.0 と SKYACTIV-D 1.8 を比べてみましょう。

2.0S PROACTIVXD PROACITV燃費改善率
WTLC15.619.8127%
WTLC 市街地12.116.4136%
WTLC 郊外15.819.7125%
WTLC 高速17.721.8123%


この通り、SKYACTIV-D 2.2 は 120% 前後の燃費改善率なのに対して、SKYACTIV-D 1.8 は WLTC市街地で 136%(日本ではこれが重要)、全体でも 130% 近い改善を見せています。
特に市街地が重要な日本では、SKYACTIV-D の中でも 1.8 は 2.5L NA ガソリンエンジン並みのトルクがありながら、燃料代はハイブリッドに匹敵する様なエンジンなんです。

それでは Mazda3 の SKYACTIV-G2.0 と SKYACTIV-X を比べてみましょう。

2.0S PROACTIVX PROACITV燃費改善率
WTLC15.617.2110%
WTLC 市街地12.113.7113%
WTLC 郊外15.817.6111%
WTLC 高速17.719.0107%


ほぼ 110% 前後の燃費改善率です。

SKYACTIV-D 2.2 と比べても見劣りしてるじゃん!

はい、その通りです。

でもこの SKYACTIV-D 2.2 は急速多段燃焼を採用した最新型。
アクセラで採用されていた旧型 SKYACTIV-D 2.2 と比べたらどうでしょうか。

残念ながら旧型 SKYACTIV-D 2.2 は WLTC で計測された車種がないので、先代アクセラ、CX-5 2017年式の旧型 SKYACTIV-D 2.2 と CX-5 2018年式 新型 SKYACTIV-D 2.2 の JC08 での比較になります。

JC082.0SXD燃費改善率
先代アクセラ19.019.6103%
CX-5 2017年式16.018.0113%
CX-5 2018年式16.019.0119%


旧型 SKYACTIV-D 2.2 が JC08 で 103%〜113%、SKYACTIV-X が WLTC で 110% ですから、とりあえず「旧型 SKYACTIV-D 2.2 と同程度の燃費」とは言えるのではないでしょうか。

■燃費よりも走り

とはいえ、マツダの謳い文句では「エンジン単体の燃費率ではディーゼルと同程度かそれ以上」なのに、どうして車になった時には SKYACTIV-D 1.8 はもちろん、新型 SKYACTIV-D 2.2 にも見劣りする燃費になってしまったのでしょう。

そのヒントはギヤ比にあります。

20S 6ATX 6ATX 6MT
最終減速比×1速14.515.514.4
最終減速比×2速8.38.88.5
最終減速比×3速5.55.96.1
最終減速比×4速4.14.44.8
最終減速比×5速3.13.33.9
最終減速比×6速2.52.63.0


それぞれのギヤ(4速、5速、6速)、それぞれの速度(40km/h、60km/h、100kmh/h)での、エンジン回転数の違いです。(タイヤの直径を 651mm として計算)

20S 6ATX 6AT比率X 6MT比率
4速 40km/h1335rpm1425rpm107%1559rpm117%
5速 60km/h1492rpm1591rpm107%1888rpm127%
6速 100km/h1999rpm2132rpm107%2432rpm122%


こうやって見てみると、SKYACTIV-X では SKYACTIV-G 2.0 に比べて全体としてギヤ比は低く(回転数は高く)なっているのがわかるかと思います。

これは「同じギヤ、同じ速度」でも、回転数が高いということは、その分、その回転数で出せる最大出力に余裕があるということになります。例えば同じトルクだったとしても、5速 60km/h から加速する場合、20S のギヤ比と比べて X 6MT のギヤ比では 27% も最大出力が増加しているということです。

さらに SKYACTIV-X は SKYACTIV-G 2.0 に比べてエンジン自体のトルクが大きく増えています。



この違いにより 20S ではギヤを1つ落とさなければならない状況でも、X ではそのままのギヤでグングンと加速するという状況の違いが容易に想像できます。

■結論

ここまでの説明を並べると、

 ・WLTC より負荷が小さい NEDC 燃費では、先代アクセラと比べて 32% の向上を実現
 ・旧型 SKYACTIV-D 2.2 と同程度の燃費
 ・エンジン単体でも SKYACTIV-G 2.0 より全域でトルクを向上
 ・さらに Mazda3 SKYACTIV-G 2.0 よりスポーティなギヤ比であるにも関わらず WLTC で 10% 程度の燃費向上

ということです。
しかもここには書きませんでしたが、

 ・ガソリンNAエンジンよりも高いレスポンス
 ・ターボの様なターボラグはない
 ・エンジンのカプセル化により実燃費向上

これらを短くまとめると、

 ・ディーゼルエンジンと変わらない燃費
 ・ガソリンエンジンより伸びやかな走り

ということです。

車のドライビングが上手い人、感度が高い人なら、こんな技術的でクドい説明がなくても試乗すれば感じ取れるかと思います。

私がお世話になっているディーラーの営業の1人は、買う気もなかったのにマツダ主催の社内向け SKYACTIV-X の試乗をして、結局ロードスターを売って Mazda3 SKYACTIV-X を書いました。

どうして?と聞く私に対して「ロードスターみたいな気持ち良さがある4ドアハッチバックだったから」とのこと。

■日本で走りの良さは評価されるのか?

一番の問題は、日本の市場では走りの良さ(悪さ)はほとんど評価されないということです。マニアはもちろん、評論家だって怪しいものです。

だって30系プリウスみたいなクソみたいな酷い車でも、何年も販売台数トップだったんですから。

これも日本の交通状況では、車の走りの良さを感じ取ることが難しいという点が大きいと思います。だって全体の4割が市街地走行で、郊外も含めて8割以上なんですから。(それでも30系プリウスはちょっと…)

 WLTC と JC08 の比較と WLTC の問題点
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/44054078/

そんな偉そうな私ですが、買い換えるとしても SKYACTIV-D 1.8 を買うでしょうね。だって燃費がいいし、十分なトルクと馬力だし。

でも運転好き、中でも MT 好きな人は、SKYACTIV-X ってすごく良い車だと思います。
だから欧州では売れているんですね。
Posted at 2020/06/04 17:01:10 | コメント(1) | トラックバック(0) | | クルマ

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「@おとぅさん 軽油ってレギュラーガソリンと比べて、店舗によって値段のばらつきが大きいと思います。」
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