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aquablauのブログ一覧

2019年05月09日 イイね!

マツダが縦置き直列6気筒やるってよ

本日、マツダが2019年3月期決算説明会の資料を発表しました。

2019年3月期 決算説明会
https://www.mazda.com/globalassets/ja/assets/investors/library/presentation/files/pre190509_j.pdf



決算説明会では何台売ったのかとか、いくら儲かったかとか、まあそういう話がメインなんですが、そういう話は置いといて、本日は決算発表のほか、中期経営方針も合わせて発表されていました。



この中期経営方針では、2020年から2025年までにブランド価値向上への投資として、どういった商品をラインナップするかを公表しています。



Small アーキテクチャと Large アーキテクチャの2つに分けるという話はすでにでていましたが、注目すべきは、やはり SKYACTIV-X と SKYACTIV-D の両方が縦置き直列6気筒化されることですね。



私は正直なところ、縦置き直列6気筒にはさほど興味がないのですが、マイルドハイブリッドについて、Small アーキテクチャには MILD HYBID と電圧が明記されず、Large アーキテクチャには 48V MILD HYBRID と明記されているのが気になりました。Mazda3 は 24V MILD HYBRID ですが、その後に続く Small アーキテクチャ群も 24V のままで行くのですかね。

また、2017年の SKYACTIV-X 技術発表会で公表されていた通り、SKYACTIV-D GEN2 も開発が進められている様です。SKYACTIV-X がダダ遅れですから、GEN2 も予定通り 2019年の発表になるかどうかは、かなり怪しいですが。

先日、インサイトを少し運転したのですが、モーターによるスムースな発進はいいですね。プリウスやアクアでは全然そんな風に感じなかったのですが。
24V MILD HYBRID が、SKYACTIV-D との組み合わせで搭載されないかなぁと期待しています。
Posted at 2019/05/09 18:42:19 | コメント(2) | トラックバック(0) | | クルマ
2019年04月23日 イイね!

ダブルウィッシュボーン信仰

少し車に興味を持った人なら、世の中には様々なサスペンション形式があることはご存知だと思います。
マルチリンク、ダブルウィッシュボーン、ストラットやトーションビームなどなど。

 【意外と知らない】サスペンションの種類と特性の違い
 https://www.webcartop.jp/2016/07/45946

しかし、従来のアクセラではマルチリンクだったリアサスペンションが、新型 Mazda3 ではトーションビームに変更されることについて、驚きと疑念を持った人は多いのではないでしょうか。

世間ではマルチリンクやダブルウィッシュボーンはトーションビームより優れているという見方をする人が多く、私もその一人だったことは、過去の記事でも書きました。

 CX-3 SKYACTIV-D 1.8 に試乗してきました(後編)
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/41559106/

多くの高級乗用車やスポーツカーがマルチリンクやダブルウィッシュボーンなどの独立懸架式を採用しているのに対して、重量物を積載するトラックなどは車軸式を採用することもあって、車軸式とみなされることもあるトーションビームが、操舵性や乗り心地の点で、マルチリンクより優れているなんてありえないと思う人は多いでしょう。
中にはダブルウィッシュボーン信仰と言えるほど強くダブルウィッシュボーンこそ最上と信じている人もいるようです(これはトヨタの広報が悪いと思う)。

ところが驚くべきことに、先行で試乗した評論家諸氏によると、Mazda3 のトーションビームの出来が大変良いとのこと。

 マツダ「MAZDA3」に早くも試乗!走りの完成度の高さに衝撃!
 https://kakakumag.com/car/?id=13320

さらに、走りだして数分のうちに、この乗り心地と滑らかなロードコンタクトにおいては、このクラスの王者であるVW「ゴルフ7」を超えた、と感じたほどだった。それほど、MAZDA3の走りは完成度が高く、大きな衝撃を受けたのだ。
(中略)
さらに、驚きなのはサスペンション形式で、フロントはマクファーソンストラット式と標準的な形式のサスだが、リアは従来のマルチリンク式でなく、トーションビーム式を採用していることだ。マルチリンク式からトーションビーム式にしたことは、ともすればコストダウンとも受け取れる。だが、実際にはこのトーションビームは相当に検討を重ねて開発されており、先に記したとおり走らせてこのクラスの頂点を確信させる性能を発揮していることだ。

 新生アクセラ改め新型マツダ3の美しすぎる実物と実力
 https://bestcarweb.jp/feature/test-drive/60108

リアサスペンションがトーションビーム式へと簡素化されているため不安に思っていたが走るとCセグメントで一番ではないかというハンドリングだ

 Mazda3に見るマツダの第7世代戦略
 https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1903/11/news042.html

モデル末期とはいえ、このクラスの指標となってきたフォルクスワーゲン・ゴルフを完全に凌駕した。スタイルのためにドライバー側に寄せられて寝かされたAピラーの圧迫感。それによる室内空間の健康さの不足を除くと、ちょっと欠点がない。トーションビームアクスルで心配されるリヤサスのバタバタ感も凹凸の多い雪路で全く問題なかったことを見るとネガらしいネガは見当たらない。
(中略)
 と書きながら筆者は思う。今後出てくるマツダ車がこれより良くなったとき、一体どうやって原稿を書いたらいいのだろうか? ダメなものは愛か怒りを持って批判し、褒める時は手加減しないでちゃんと褒めることを信条としてきたが、これ以上良くなると本当に困る。

■トーションビームは一種の独立懸架

車軸式とみなされることもあるトーションビーム、と書きましたが、実際にホンダではトーションビームを車軸式と分類しています。しかしフォルクスワーゲンではトーションビームを独立懸架とみなしています。


いいサスって何?ダブルウイッシュボーンがいいの?トーションビームはダメなの?より引用)

トーションビームのジオメトリー(幾何学的な動き)を見ると、左右を繋げるトーションビームの中心が捩れることで、仮想的なアッパーアーム、ロアーアームも存在し、右と左が連結しているものの、独立性も保っているというのがわかります。
余談ですが、ダブルウイッシュボーンやマルチリンクの特長を生かすためには、長いアームと、それを確保するスペースが必要です。短いアームを無理やり狭いスペースに押し込んだだけの「ダブルウィッシュボーン」など、マイルドヤンキーやヤンジーなどを喜ばせるためだけの飾りです。
余談はさておき、トーションビームは、ジオメトリー的にはアッパーアームもロアーアームも、ビーム中心から伸びていることから、飾りだけのダブルウィッシュボーンよりも理想的な、長い仮想アームを持っていることがわかります。

■そもそも独立懸架は偉いのか

トーションビームがある程度の独立性を保っていると言いながらも、左右が繋がっていますから完全な独立懸架ではありません。
しかし、アクセラやアテンザのマルチリンクも、スタビライザーというアームがあり、左右は繋がっていて、完全な独立懸架ではないのです。


これが純正で良いのでは?と思える より引用)

この赤い棒がスタビライザーです。
アンチロールバーとも呼ばれ、左右のサスペンションを繋げて、左右のサスペンションが独立して動くことを防いでいます。荒れた路面では不利ですが、こうすることで、カーブなどでは安定性が増すのです。
スタビライザーのない車種に乗っていたこともありますが、そうするとリアが大きくロールし、そのためお釣りも大きく、山道で気持ちよく走るには怖いほどです。
(即座にオプション設定されていたスタビライザーを付けました)

■マルチリンクの弱点

現代においては、マルチリンクも完全な独立懸架ではないし、かといってトーションビームも完全な車軸式でもないというのは説明した通りです。
しかし、今までマルチリンクを採用してきたアクセラが、新型 Mazda3 への代替わりになるにあたって、あえてトーションビームを採用したのはなぜなのか、やはりコストダウンや軽量化ではないのかと疑念を頂いている人もいるでしょう。

それを理解するには、マルチリンクやダブルウィッシュボーンにも弱点があるということを理解しなければなりません。最近公開された特許から紐解いて行きましょう。


ホンダ、新型「NSX」の受注開始。1グレード展開で価格は2370万円 より引用、赤丸追記)

上の図はNSXのマルチリンクですが、見ての通り、マルチリンクやダブルウィッシュボーンは関節(ブッシュ)が多いのが特徴です。その関節に遊び(ガタ)がなければ理想的な計算通りの動きをするのですが、実際は耐久性や乗り心地の点からゴムが使われます。ゴムですから当然伸びたり縮んだりします。

【公開番号】特開2019-43381(P2019-43381A)
【公開日】平成31年3月22日(2019.3.22)
従来のダブルウィッシュボーン式のサスペンション装置は、車輪を支持するナックルと、ナックルの上部及び下部を支持する上下一対のアーム(アッパアーム及びロアアーム)とを備えている。このようなサスペンション装置では、ブレーキ時には、アッパアームが前方変位すると共にロアアームが後方変位することで、それら両アームが相互逆方向変位するため、キャスター剛性が確保できないという欠点がある。

詳細は省きますが、この特許では、従来のダブルウィッシュボーンの問題点として、関節(ブッシュ)のゴムが伸び縮みすることで、ブレーキ時にはアームの位置が変わり、本来のアーム位置からズレてしまう(剛性が確保できない)とあります。

■従来のマルチリンクでは

もちろん、サスペンションの関節(ブッシュ)にゴムを使わざる得ないことも、そのために遊びがあることも、サスペンション設計者は最初から承知しています。
それでもなおマルチリンクが使われ続けてきたのは、その遊びを利用していた側面もあります。

わかりやすい説明は、ホンダのサイトにあります。

 いいサスって何?ダブルウイッシュボーンがいいの?トーションビームはダメなの?
 https://www.honda.co.jp/sportscar/mechanism/suspension03/page2/


ここにある動画で、スリップ角が増加(横方向からの力が増加)するとブッシュ(ゴム)が縮んで、トーインになるという説明があります。

トーとはつま先という意味で、車のタイヤが内股だとトーイン、ガニ股だとトーアウトと言います。


【自動車豆知識】ホイールアライメントって何? …調整が必要な理由 より引用)

トーアウトだと、車は常にどちらかの外向きに曲がろうとしてしまいます。
そのため、一般的にリアタイヤは、直進時でも少しトーインに調整されます。
これによって関節に多少の遊びがあっても、タイヤが外を向くのを防いでいます。
(他にも工夫はあります)
カーブの時にリアタイヤが更にトーインになるというのは、カーブでは安定方向になる、つまりアンダー、曲がりにくくなるということになります。

これは、一般的には決して悪いこととされていません。
カーブでトーインにするのは、車の動きを安定させるものとして、ホンダでは意図的にトーションビームでもやっていたりします。

いいサスって何?ダブルウイッシュボーンがいいの?トーションビームはダメなの?より引用)

■マツダはトーインを嫌った

ではマツダはなぜあえてマルチリンクを捨ててトーションビームを採用したのか。
その説明はここにあります。

マツダ、新型「Mazda3」に雪上試乗。走りの秘密は進化したリアサスペンションにあり
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/impression/1173780.html
マルチリンクサスペンションでは横力が立ち上がった瞬間にブッシュがたわみ、トーイン方向、つまりは安定方向にタイヤは動いていたのだが、TBAはその際ほぼニュートラル。ロールを開始していけばイン方向に動くように設計されている。多くのブッシュを使うマルチリンクは、その動きのすべてを手の内に収めにくいというデメリットを持つ。TBAは2つのブッシュしか介しておらず、ダイレクトに動くということだ。ステアリングを切ったら切っただけ旋回していく、そんな狙いがこのサスペンションにはあるのだ。

つまり、従来のマルチリンクでは直進時でも微妙にトーインで、カーブで横方向の力がかかると、車体がロールする前にリアのトーインが増していました。
しかし、新型 Mazda3 のトーションビームでは、直進時はほぼニュートラルで、カーブで横方向の力がかかってもすぐにトーインとはならず、ロール量に応じてトーインとなる様に設計されているということです。
この動きを関節が多い=遊びが多いマルチリンクで再現するのは合理的ではありません。

■理想の動きを実現するための技術と発見

マツダにとっての理想のサスペンションの動きを再現するためには、単にトーションビームを採用するだけではなく、従来のトーションビームを改善しなければならなかったようです。

まずは左右のサスペンションを繋げるトーションビームの形状を変えたこと。形状を変えるにあたって、新しい製造方法を生み出したこと。

トーションビームには2つの相反する機能が要求されます。
1つ目は、トーションビームが曲がったり歪んだりしてはいけない。曲がったり歪んだりすると、意図しない動きになってしまう、ということ。
2つ目は、トーションビームはしなやかさを保ちたいこと。しなやかでなければ、左右のサスペンションが完全に一体となってしまい、サスペンションとしての柔らかさや独立性に欠けてしまう。
単純にトーションビームを細くしたら1つ目の機能が失われ、太くしたら2つ目の機能が失われてしまいます。

マツダは2017年のマツダ技報で、この解決策を説明しています。

 高性能トーションビーム開発
 https://www.mazda.com/globalassets/ja/assets/innovation/technology/gihou/2017/files/2017_no030.pdf



トーションビームの根元は太く、中央部は細くしたということです(作るの大変そう)。
このサスペンションはほぼニュートラルで設計されているそうですが、横からの力に負けてタイヤが外側に向いてしまっては、トーアウトになり、車が安定しなくなります(スライドするように動く)。
そこで根元をしっかりと固定して、横向きの力はタイヤの向きをしっかり固定し、しかし路面の凹凸には、トーションビームの細い中央部が捻れて独立懸架のように左右のタイヤが個別に動くようにしています。



もちろんこれだけではなく、車体の捻り剛性を上げなければ、トーションビームが捻れる前に、車体がサスペンションのように捻れてしまいます。



その上で、関節(ブッシュ)自体を遊びが少ないものに変更しています。(前輪のストラットもこのブッシュにしているそうです)

そして重要な発見だったのは、このような変更によって路面からのショックが大きくなることは、人間にとって決して不快なものではないということです。


結果的に路面からの入力については「ドンッ!」と大きくなっているが、人間はそれにあまり気が付かない。実は人間の能力を研究した結果、そちらのほうが快適であるという答えに到達したそうだ。視覚情報から人間は路面状況を判断し、身構える。ギャップを乗り越えようとした段階で筋肉が硬直。フロントサスペンションがそれを乗り越える段階では人間はきちんと受け止めてしまう。だが、リアサスペンションが柔らかいといつまでも収束しないように感じることも発見したらしい。人間の能力を最大限に活かし、前後共に「ドンッ! ドンッ!」と入力するが、そちらのほうがかえって快適だという判断だったようだ。

マツダ、新型「Mazda3」に雪上試乗。走りの秘密は進化したリアサスペンションにあり より引用)

■マツダにとっての理想は、我々にとって理想なのか

さて、実は先日、新型 Mazda3 を開発した別府主査と直接お話しする機会に恵まれ、リアサスが変更になった理由を直接お聞きし、それを自分なりに理解し解釈したのがこの記事です。

あえて書きますが、マツダが考える理想のサスペンションが、我々にとって理想なのかはわかりません。
同様に、仮に Mazda3 のサイズと車重とコストと使用目的ではトーションビームが良いとしても、他の車種でもトーションビームが良いかどうかは別の話です。
どんな車種でもトーションビームが良いんだろうと言い出したら、ダブルウイッシュボーン信仰ならぬトーションビーム信仰です。1つのサスペンション形式が最上なのであれば、ロードスターもアテンザもトラックも、全部同じ形式のサスペンションになっているはずです。
別府主査も「どんな車種でもトーションビームが良いとはいえない、サイズや重量によって異なる」とのことでした。

我々としては、あとは試乗車を楽しみに待って、自分で乗って評価してみるだけですね。
Posted at 2019/04/23 12:42:25 | コメント(5) | トラックバック(0) | | クルマ
2019年04月14日 イイね!

インジェクタ噴口部に関する特許

特許を色々検索すると、インジェクタ噴口部に関しては、トヨタ、日産、三菱など各社が、ディーゼルだけではなくガソリンエンジンに関しても様々な特許を取得しています。

SKYACTIV-D 1.5 で採用されているデンソー製インジェクタの特長である CDS ノズルとそっくりの、噴孔部にザグリを入れた形状については、意外にも日立オートモティブシステムズも様々な特許を取っています。

【公開番号】特開2017-61935(P2017-61935A)
【公開日】平成29年3月30日(2017.3.30)
【課題】
本発明の目的は、噴霧到達距離を短くすることができる燃料噴射弁を提供することにある。
【解決手段】
噴射孔形成部材の表面に形成された凹部301oと、凹部301oの内側に出口301nbが開口し噴射孔形成部材の裏面に入口301naが開口する燃料噴射孔301nとを有する燃料噴射弁において、燃料噴射孔301nは、入口301na側から出口301nb側に向かって縮径するように形成されている、または、入口301na側から出口301nb側に向かって断面積が次第に大きくなるように形成されている。

SKYACTIV-D 1.5 に採用されている、デンソーのCDSノズルと、形状も目的もそっくりですね。
特許の【課題】噴霧到達距離を短くする、とはまさにこれです。


まずは、従来のストレート孔についての説明です。

本例の燃料噴射孔301nでは、入口開口301naで燃料流れに剥離(600a,600b)が生じるため、燃料噴射孔301nの実質的な直径が実際の形状的な寸法Dよりも小さいD’(ΦD’<ΦD)になる。このため、本例の燃料噴射孔301nでは、燃料の噴射速度が速くなり、燃料噴霧の到達距離が長くなる傾向にある。

これに対して、ストレート孔にテーパーを付けた場合の説明です。
燃料噴射弁では、燃料噴霧の到達距離(ペネトレーション)をコントロールするために、燃料噴射孔の直径Dに対する長さLの比(L/D)を適切な値に調整する必要がある。特に、燃焼室内に直接燃料を噴射する場合は燃焼室を構成するシリンダ壁面やピストン表面に燃料が付着しないよう、また、吸気管内に燃料を噴射する場合は吸気管内壁面に燃料が付着しないよう、到達距離の短い(低ペネトレーションの)燃料噴霧を噴射することが求められる。図14及び図15に示す燃料噴射孔301nは、到達距離の短い燃料噴霧を実現するための燃料噴射孔の具体例である。

図14に示す第2の例では、燃料噴射孔301nは入口開口301naから出口開口301nbに向かって縮径している。凹部301oは上述した構成と変わりない。弁座構成面301gから燃料噴射孔301nへ流れ込んだ燃料は燃料噴射孔301nの中で径方向に圧縮されながら流れた後噴射される。径方向の拡がり成分はやや弱くなるが、燃料噴射孔301nの長さLを燃料が整流しきらない長さとしているため、径方向の拡がり成分は残存している。この場合、噴射速度は遅くなり、結果として噴霧の到達距離を短くすることが可能である。


本例の構成によると、弁座構成面301gの上流から流入する流れに対して、入口開口301naが大きく開孔しているために、真円である場合に比べ、剥離を抑えることが可能となる。入口開口301naから流れ込んできた燃料が燃料噴射孔301nの中で径方向に広がりながら流れた後噴射される。それによって、径方向拡がり成分を大きく、噴射軸方向の噴射速度を遅くすることが可能となるため、燃料噴射弁の噴霧到達距離をさらに短くすることが可能である。

この特許にもデポジットに関しての説明もありました。
なお、本実施例における噴射孔凹部は、デポジットが付きにくければ良く、一般的には、プレス加工が良い。表面処理等を行うことによりデポジットが問題にならないならば、切削加工や放電加工により凹部301oを加工してもよい。その他にプレス加工並みの性能が出る加工方法があれば、その加工方法により凹部301oを加工し、ウォータージェットレーザー加工によってオリフィス(燃料噴射孔)を加工するようにしてもよい。


噴孔出口近傍へのデポジット付着防止については、単独でも特許を取得しています。

【公開番号】特開2017-8877(P2017-8877A)
【公開日】平成29年1月12日(2017.1.12)
【課題】
噴孔出口近傍に残留した燃料が炭化してデポジットとして付着することによる、噴霧形状および噴射流量の変化や、排気中の粒子状物質の増大を防止する。
【解決手段】
変位可能な弁体と、前記弁体と当接して燃料をシートする弁座面と、前記弁座面と前記弁体とが当接する位置よりも弁体先端側に複数の噴孔が形成された燃料噴射弁において、前記複数の噴孔のうち、中心軸線に対して第1の噴孔軸角度で傾斜する第1の噴孔の下流側に設けられた座グリによって形成される開口面積に対して、中心軸線に対して前記第1の噴孔軸角度よりも大きい第2の噴孔軸角度で傾斜する第2の噴孔の下流側に設けられた座グリによって形成される開口面積が小さいことを特徴とする燃料噴射弁。


まずは、噴孔出口近傍にデポジットが付着する仕組みを説明しています。


図3および図4を用いて、本実施例においてデポジットが低減するメカニズムを説明する。図3は、図2に示した燃料噴射装置において、燃料500が噴射された直後における断面図である。弁体101は弁座面203とほぼ接触した状態になっている。図3に示した実施例においても、噴孔301aおよび噴孔301bの内部および下流には、残留燃料502aおよび502bが存在する。


また、図4に示した例においては、残留燃料502aは、座グリ部401a内部で界面501aを形成し、残留燃料502bは、座グリ部401b内部で界面501bを形成している。このとき、噴孔301aと噴孔301bは燃料噴射装置内部で連通しているため、毛細管効果によって、噴孔301aから噴孔301bに残留燃料502が移動する。

簡単に言えば、燃料噴射を終わらせるために弁を閉じた瞬間、燃料は噴射力を失い、表面張力で弁にほんのすこしの燃料が戻ってくるということです。

そして、どの様に付着した燃料がデポジットになるかという説明。

図6は、従来例において、残留燃料502が噴孔301方向に引っ張られた結果、弁座表面121上に液膜503として付着した状態の模式図である。座グリ部401内部には、残留燃料502の界面501が形成されている。液膜503は、時間経過によって乾燥、変質し、弁座表面121上にデポジットが形成される。


ここまでで、噴孔出口近傍に残留した燃料が炭化してデポジットとして付着するまでの過程が説明されています。
では、どの様にそれを解決するかという特許が次の説明。



図9は、本発明の第2の実施例に関して、弁体の先端を拡大した断面図である。また、図10は、第2の実施例に関して、噴霧終了後、残留燃料502が座グリ部401bに移動した際の断面図である。本実施例においては、座グリ部401は、噴射方向下流に向けて末広がりのテーパ状に形成されている。また、第1の実施例と同様に、第1の噴孔301aの座グリ部401aが形成する開口部901aの面積S1は、第2の噴孔301bの座グリ部401bが形成する開口部901bの面積S2よりも大きくなっている。本実施例では、図10に示したように、座グリ部401aに形成された残留燃料502aの界面501aおよび座グリ部401bに形成された残留燃料502bの界面501bは、残留燃料502の移動後はそれぞれ界面501c、501dとなる。界面501c、501dの曲率半径R1およびR2が等しくなったときに、残留燃料502の移動は終了する。すなわち、第1の実施例と同様に、座グリ部401で残留燃料502を受けとめ、毛細管効果で残留燃料502を第2の噴孔301bへ移動させることが可能となる。したがって、上述した理由によりデポジットの量を低減することが可能となる。さらに、本実施例においては、座グリ部401がテーパ状になっており、座グリ部401と噴孔301の間に大きな段差がないため、残留燃料502が座グリ部401aから噴孔301aに移動する際に、座グリ部401内部に残留しにくい。さらに、座グリ部401bにおいても、大きな段差がないため、次の噴霧で残留燃料502をクリーニングしやすい。

簡単に言えば、噴射終了時に戻ってきた燃料を、出口のテーパー部で受けるようにしておくと、次回に燃料噴射時に噴射され、デポジットにならないということです。

この形状、どこかで見たことがありませんか?



そう、デンソーの CDS ノズルの2つ目の形状、 Irregular sharped nozzle にそっくりです。

では、デンソーは、この日立オートモティブシステムズの特許を使っているのでしょうか。
それはわかりません。
ただ、SKYACTIV-D 1.5 の改善されたインジェクタにも、このような、従来になかった工夫が加えられているのは間違い無いでしょう。
また、SKYACTIV-D 1.5 だけではなく、新型の SKYACTIV-D 2.2 も、ペネトレーション(噴霧到達距離)を短くしている様です。

 新型 SKYACTIV-D 2.2 に採用された第4世代インジェクタ
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/41132084/

最後に種明かししますが、この日立オートモティブシステムズの特許、実はガソリンエンジン用のインジェクタを想定しているんですよ。


【図1】本発明に係る燃料噴射弁の実施例を示す断面図である。


断面図はガソリンエンジン用インジェクタですね。
燃料噴射孔が縦向きで、しかもそれぞれ角度が異なるものそれが理由です。

この特許自体はディーゼルエンジン用インジェクタもカバーしていると思いますが、噴射圧が高いディーゼルエンジン用インジェクタは、燃料が噴射弁に戻って来にくいのです。しかもマツダが煤堆積の原因としてるのは、この様な生成過程ではありません。

ですから、デンソーが噴射口にテーパーを付けた理由が、この特許の目的に合致するかどうかはわかりません。単にペネトレーション(噴霧到達距離)の短縮化や、粒子の微細化だけを狙ってるのかもしれません。
ただ、液体燃料を噴射しているというのは同じですから、特許で謳われた効用もあるかもしれない、とは言えます。

また、特に最初の特許「噴霧到達距離を短くすることができる燃料噴射弁を提供すること」に関しては、ディーゼルエンジン用インジェクタでもほぼそのままの効果が期待できるでしょう。

SKYACTIV-D 1.5 は、煤の影響を受けにくいインジェクタに改善されています。
そして実際にリコールに関する不具合は、インジェクタを交換したのちはほとんど起きていない様です。
デンソーが SKYACTIV-D 1.5 用のインジェクタにこの特許をそのまま採用しているかどうはともかく、このような特許公開によって、SKYACTIV-D 1.5 用のインジェクタなどが、どの様に改善されているかを推測する一つのヒントになるかと思います。
Posted at 2019/04/15 14:33:27 | コメント(1) | トラックバック(0) | | クルマ
2019年03月01日 イイね!

SKYACTIV-X って何がすごいの?

以前に SKYACTIV-X に触れた記事を書きました。

ヴィッツとデミオと SKYACTIV-X と多段AT
https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/41959002/

ただ、他社との比較や多段ATに絡めて、いつもの通り思いついたことをグダグダ書いているので、わかりにくい。

もっとシンプルに SKYACTIV-X って何がすごいの?
という質問をリアルにいただいたので、できるだけわかりやすく記事にしようかと思った次第です。

 - エンジン単体の燃費率は現行の「SKYACTIV-G」と比べて最大で20~30%程度改善
 - 2008年時点の同一排気量の当社ガソリンエンジンから、35~45%の改善
 - 最新の「SKYACTIV-D」と同等以上の燃費率

これが SKYACTIV-X の特長を並べたものです。
でもピンとこない人は多いと思います。

まず、SKYACTIV-G や、それ以前の MZR エンジン、そして SKYACTIV-D との燃費の良さの比較です。
縦軸は燃費の良さ、横軸はエンジンの出力(トルク)だと思ってください。



旧MZRエンジンと現行 SKYACTIV-G では 900kPa 以上がカットされていますが、それはそれ以降は燃費がどんどん悪くなるからです。(詳しくはこちら
そして新しいエンジンになればなるほど、「燃費の良い領域が軽負荷領域まで下がって」「燃費の良い領域が広くなる」というのがわかると思います。
軽負荷でも燃費が良いというのは、エンジンに負荷がかからない状態、つまり回転数が高い状態で一定速で走っても燃費が良いということです。
また、燃費の良い領域が広いということは、元気の良い走りをしても燃費が悪化しないということです。

では、これがどういうメリットにつながるのか



この通り、従来のエンジンでは 100km/h 走行時に 2300回転だと緑の領域、それを3000回転まで上げると濃い緑の領域になって、燃費が悪くなります。回転数を下げると燃費が良くなると感じるのはこういう理由です。
これに対して、SKYACTIV-X では 100km/h 走行時に 2300回転でも 3000回転でも黄色の燃費の良い領域で走行できるということになります。燃費を良くするために回転数を下げる必要がありません。
両者を比べてみると、従来のエンジンで 100km/h を 2300回転で走行するより、SKYACTIV-X で 3000回転で走行した方が燃費が良いということになります。

では、ギヤ比を下げて高回転にするとどういうメリットがあるのか。



ダウンサイジングターボよりも高い加速力を得ることができます。
簡単に言えば、常時スポーツモードで走っている様なものです。
SKYATIV-D 1.5/1.8 に乗っている人はわかると思いますが、そういったエンジンの力強さを感じることができるかと思います。欧州市場では、競合車の多くがターボ車ですから、競争上、大きなメリットになるかと思います。

さて、最新の「SKYACTIV-D」と同等以上の燃費率と謳っていますが、最初のグラフを見てわかる通り、燃費はディーゼルと大きな差はないはずです。ではディーゼルと比べて何が良いかといえば、



アクセルに対する反応の良さ(ターボラグがない)と、高回転まで回した時の気持ち良さ、ということになるでしょう。

そして日本市場で重要なのがもう1つ。



日本市場では SKYACTIV-G はイマイチ評価されませんでした。アクセラでも SKYACTIV-G 2.0 が廃止されて SKYACTIV-D 1.5 になりましたしね。

その大きな要因は、日本ではレギュラーガソリン(91RON)対応だったということ。欧州はハイオク(95RON)なので、同じ SKYACTIV-G 2.0 でも結構性能が違います。SKYACTIV-G の性能を最大限発揮するには、実はハイオクが必要だったということです。日本向け SKYACTIV-G が圧縮比13、欧州向けが圧縮比14だったことでもわかります。
しかし、SKYACTIV-X では、トルク曲線に多少差はあるものの、SKYACTIV-G ほどの差はなさそうです。

つまり、こういうことです。


(2015年 SKYACTIV 開発と今後の展望より抜粋)

理屈的にはこんな感じです。
本当にそれが実現したのかどうかは、試乗してのお楽しみですね。

以下はコメント欄に対する余談です。

■追記:ディーゼル並みの初期応答性

ガソリンエンジンと違いスロットルは開いたままなので(リーン燃焼=空気を入れても燃焼できる=空気を絞る必要がない=吸気抵抗がない)、ディーゼルの様な応答性が楽しめるそうです。



■追記:高負荷時はEGRではなく新気を増やしてリーンバーンを維持する

下図で高負荷時のEGRと空気の色が濃いのは、高負荷時では中負荷時の状態に加え、空気をより多く詰め込むことで、リーンバーンを維持しているという説明だと理解しています。
これが高応答エア供給機とよばれるスーパーチャージャーが必要な理由ですね。



これが2014年頃の発表資料ですが、当時の開発状況では、SKYACTIV-G2(SKYACTIV-X)の高負荷領域では燃費が落ちるのがわかります。燃費が良い領域を高負荷領域まで広げたいとしています。



そして一昨年の発表では、高負荷域まで燃費が良い領域が広がっているのが分かると思います。



これが高応答エア供給機の威力ではないかと。
Posted at 2019/03/04 00:30:46 | コメント(3) | トラックバック(0) | | クルマ
2019年02月28日 イイね!

SKYACTIV-X 1.5 は本当に 1500cc になるのか?

■コスト的に素晴らしいSKYACTIV-G

東京や大阪での Mazda3 のお披露目も終わり、セールスマニュアルもディーラーに配布されている様で、SKYACTIV-X の情報がだいぶ出回ってきました。

しかし、Mazda3 に搭載されるであろう SKYACTIV-X 2.0 は、電動化+スーパーチャージャーが搭載され、明らかに通常の 2L エンジンよりもコストが高くなるであろうことは目に見えてわかります。
Cセグメントの上級車としてなら、それでもまだ許容されるかもしれませんが、デミオなどの Bセグメントに搭載される場合、電動化やスーパーチャージャーなどコストは市場に許容されるのでしょうか。

SKYACTIV-G が素晴らしいのはこの点でした。
従来のエンジンと比べてコストがかかるのは電動VCTと4-2-1排気管だけ。
これに対してダウンサイジングターボでは、ターボチャージャーにインタークーラーやその配管、そして排気量よりも強化されたエンジンブロック、ピストン、コンロッドなどが必要になります。

それでもデミオの一般グレードに SKYACTIV-G 1.5 が搭載された時は、4-2-1排気管を搭載せず、それにともない圧縮比も12に抑えられています。

■SKYACTIV-X はコスト高

さて、SKYACTIV-X が他社の同クラスのエンジンよりも技術的にアドバンテージがあるうちは、上級車専用エンジンとしてコストを販売価格に反映できますが、将来的に SKYACTIV-X が陳腐化してた時に、その余分なコストはどうするのでしょうか。

まず、大前提ですが、SKYACTIV-X という技術そのものに電動化が必須とは思えません。
コストをかけたくないのであれば、電動化を廃して安くすればよく、逆に他社も電動化を進めるのであれば、同様に電動化を進めればいいだけで、この部分については市場動向に従えば良いだけだと思います。
簡単に言えば、デミオに安く載せるなら電動化を省けば良いだろうということです。

問題はスーパーチャージャーのコストです。
SKYACTIV-X に搭載されるスーパーチャージャーを、マツダは高応答エアー供給機と呼んでいます。単純に馬力やトルクを得る従来の使い方ではなく、SPCCI 燃焼を実現するために、排気量よりも多めに空気を押し込んでやるためのものだとマツダは説明しています。
となると、素早い応答速度と指示通りの加給が必要ですから、排気まかせのターボチャージャーではなく、スーパーチャージャーを採用したのでしょう。大きな過給圧も必要ないと思いますが、それでもコストは無視できません。

■排気量はコストフリーの過給器

排気量よりも多めに空気を押し込んでやるためにスーパーチャージャーを採用したと書きましたが、もっと簡単な方法があります。
そうです、排気量を大きくすることです。


SKYACTIV 開発と今後の展望より抜粋)

これは2015年の資料で、NOx がほぼゼロの領域である A/F λ=2.2 より上の領域を使うには、ターボチャージャーによる大排気量化よりも、エンジンの排気量そのものを増やすべきだと話なのですが、これは同様のことが SPCCI 燃焼でも言えます。

重要なのは「排気量はコストフリーの過給器」という文言です。

SKYACTIV-X もそうですが、SKYACTIV-G でも、これらの技術の真骨頂は、中負荷域での燃費の向上です。


SKYACTIVエンジン開発より抜粋)

2014年のちょっと古い資料ですが、SKYACTIV-G の前の世代のエンジンである Mazda 2L PFI、SKYACTIV-G、そして当時開発中であった SKYACTIV-G2、つまり SKYACTIV-X の燃料消費率(BSFC)の図です。
3つのエンジン(よく見れば競合他社も)が掲載されているので紹介しますが、見てわかる通り、どのエンジンも燃料消費率が低い、つまり美味しい領域は中負荷であることがわかります。高負荷になると燃費が悪くなるのです。

端的に言えば、2.0L エンジンを 2.0L エンジンとして高負荷まで使うのではなく、2.5L エンジンを 2.0L エンジンとして中負荷まで限定して使うと、より効率(燃費)が良くなるのです。
(重い車に小さな排気量のエンジンを載せると燃費が悪くなる理由はここにあります。)


(マツダ SKYACTIV-X 技術発表資料)

上記資料の通り、SKYACTIV-X ではエアサプライ、つまりスーパーチャージャーによる余剰空気の供給は、燃やす燃料が多くなる(=リーン燃焼させようとすると空気がもっと必要になる)高負荷領域で必要になります。
であれば、そもそも高負荷領域を使わないエンジン、つまり 2.5L の排気量で 2.0L の出力しか得られない代わりに、軽量でフリクションの少ないエンジンを作ればいいのです。

しかし、営業面(商品性)を考えた場合に、家庭で絶対的な権限を持つ財務省の奥様は、2.5L エンジンを過剰と考えて 1.5L +10000円の税金を気にするでしょうし、技術に詳しくない旦那様は、「なんだよ、2.5L エンジンのくせに非力じゃないか」と言い出すのは目に見えています。

2.5L の排気量で 2.0L の出力しか得られないエンジンを一発目に出したら、世間からは「SKYACTIV-X は2.5L も排気量があるのに 2.0L 程度の性能しかないダメエンジン」と誤解されるのは目に見えています。

■もっと排気量を増やしたかった。

SKYACTIV エンジンの生みの親、マツダの人見光夫常務執行役員・シニア技術開発フェロー(長い!)は、日経オートモーティブ誌(2019年1月号)のインタビューで下記の様に答えています。

ーSKYACTIV-X の排気量は 2.0L にとどめており、アップサイジングしませんでした。

いやあ、2.0L のカベというものがありまして。排気量を大きくしたいんですけど……。
(中略)
開発部門としては、営業部門がクルマを売るのに邪魔になることはできません。
(中略)
心情的というか、不文律というか、もう技術最適や理屈じゃないんです。2.2L じゃダメなんです。2.0L を区切りに税額も増えますし。

ーもっと排気量を増やしたかった。

排気量を増やすと、リーンバーン領域を簡単に広げられるわけですよ。
排気量を増やすだけならタダみたいなもの。タダで燃費を良くできるわけで、もうちょっと大きくしたいという思いはありますね。

■SKYACTIV-X 1.5 は本当に 1500cc になるのか?

では SKYACTIV-X 1.5 はどうなるのか、コストを下げるために 2.0L クラスのエンジンブロックを排気量を落とさずに徹底的に軽量化し、ターボチャージャーを排するのもあり得るのではないかと想像しています。
家庭で絶対的な権限を持つ財務省の奥様も、2.0L クラスの排気量で 1.5L +5000円の税金なら少しの贅沢と見逃してくれるかもしれませんし、現実的な奥様にも「税金の5000円分はガソリン代で取り戻せます」と説得できます。また、技術に詳しくない旦那様も、馬力やトルクを気にする人は 2.0X や 2.2D 搭載車に流れ、1.5X ではさほど気にしないのではないかと思います。

高性能で 2.0L 本来のトルクや出力を上回る SKYACTIV-X 2.0 と、トルクや出力は 1.5L 程度しか得られない代わりに軽量で小型で低コストな SKYACTIV-X 2.0 が生まれたら面白いですよね。

実は、これと似ているのが SKYACTIV-D 2.2 と SKYACTIV-D 1.8 の関係です。
SKYACTIV-D 1.5 では JC08 や NEDC よりも負荷の高い RDE 試験を行うと基準を超えてしまうために、D1.5 と同じ重さ、ほぼ同じ出力のまま 1.8L に大排気量化されました。
つまり、SKYACTIV-D 1.8 は、1.8L の排気量で 1.5L の出力しか得られない代わりに、本来の 1.8L よりも軽量でフリクションの少ないエンジンなのです。

 SKYACTIV-D 1.5 は、なぜ 1.8 になったのか
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/41676325/

CX-3担当主査 冨山道雄さんも、SKYACTIV-D 1.8 について「税金の5000円分はガソリン代で取り戻せます」としています。
もしかしたら SKYACTIV-X 2.0 と SKYACTIV-X 1.5 の関係は、高い性能を目指してコストをかけている SKYACTIV-D 2.2 と、実用的に十分な性能と低い燃費と低コストを目指した SKYACTIV-D 1.8 と同じ関係になるかもしれません。

あくまで想像の話ですが、もしかしたらそうなるかもと妄想して、楽しみにしていたいと思います。
Posted at 2019/02/28 16:56:37 | コメント(1) | トラックバック(0) | | クルマ

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