前回、前々回とマツダコネクトナビの精度についてグダグダと語りました。
マツダコネクトの御乱心
https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/42914254/
正気に戻るマツダコネクト
https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/42919086/
少し整理したいので、まずは一般的なナビの補正方法について語りたいと思います。
そのあとにマツダコネクトについて、そして最後はマツダコネクト2について。
(いつになることやら)
■マップマッチングとは
GPS 測位に誤差があるのはみなさんご存知の通り。
ここで私が説明する必要もないと思います。
興味のある方は、こちらがとてもよくまとまっているので、紹介します。
GPSの仕組み(原理・誤差原因、入門編、「みちびき」精度)
http://www.ne.jp/asahi/nature/kuro/HGPS/principle_gps.htm
では現実にどの程度の誤差があるのか、ちょっと古いですが、こちらのサイトも紹介します。
位置データ取得システム(M6システム)
http://www.refrec.jp/naiyo/m6/m6_sub15.html
携帯での屋外自律測位ですが、平均誤差が 27.82m だったそうです。
一般的に言われている数字から見ても、まあそんなものだろうという感じです。
でも誤差が20mもあったら、道の上を走っている車も、違う場所を走っていることになってしまいます。
そこでマップマッチングの登場です。
マップマッチングと言っても色々な手法(アルゴリズム)があるのですが、基本的には名前の通り、「測位された位置に一番近い道の上にいることにする」ということです。
GPSで測位された「間違った位置」を、車は道の上を走っているはずだという前提に基づいて、近くの道の上を走っていることにする、これがマップマッチングと呼ばれる補正です。
■ジャイロや車速センサーがなぜ必要か
GPS 測位とマップマッチングだけでは、補正は不十分です。
例えばこんな状況。
そもそもトンネルの中では GPS で測位ができません。
首都高速なんかではトンネル内の分岐とかもありますから、GPS 測位とマップマッチングだけでは道に迷うことになります。
そこで、ジャイロと車速センサーが更なる補正のために使われます。
ジャイロとは、車の角度(の変位)がわかるもので、正確には角速度センサーといい、一定のタイミングの間に、車が20度右に曲がった、車が10度左に曲がった、という情報を取り出すことができます。
これを上下方向、左右方向、進行方向の3軸の情報を持っています。またの名を3軸ジャイロとか3軸角速度センサーと呼ばれます。世の中には加速度情報も加えた6軸ジャイロと呼ばれるものもあります。
車速センサーは車の速度がわかるもの。スピードメーターの情報です。一定のタイミングの間に、何メートル車が進んだか、というのもわかります。
一般に、市販のナビでは ジャイロ、車速センサーの機能を使って GPS の誤差を補正します。
マツダコネクトにはジャイロがないと間違ったことを言う人もいますが、自車位置演算ユニットにはその内部にありますし、自車位置演算ユニットがないマツダコネクトでも、車体側からジャイロ情報を得ています。
■ジャイロや車速センサーの学習
もし、ジャイロや車速センサーに全く誤差なければ、GPS 測位すら必要ありません。正しい地図があり、ジャイロと車速センサーで地図をなぞり、そしてマップマッチングで小さな誤差を補正し続ければ、GPS 測位をしなくても、立派にナビの役目を果たします。
しかし、残念なことにジャイロにも車速センサーにも誤差があります。
ですから、そのジャイロや車速センサーの誤差を補正する必要があります。
パイオニア(カロッツェリア)のナビでは、最初に初期学習と呼ぶ方法でジャイロや車速センサーの誤差を大まかに補正します。
自車位置がずれるのですが、どうすれば良いですか?
https://faq.jpn.pioneer/ja/support/faq_detail.html?id=5633&page=1
GPS衛星を4個以上受信でき、水平、周りに高いビルなどない場所でセンサーオールリセットを行い、再度初期学習を行います。
◇しばらくの間、安全に停車できる場所
◇GPS衛星の電波を受信しやすい、見晴らしの良い場所
◇水平な場所
◇渋滞の少ない道路付近
水平な場所を、30km/h以上(およそ40km/h)の速度で、実際の道路を直進、右左折を約10分ほど(約1kmほど)繰り返し走行していただきますと、初期学習が終了します。
これがどういうことか、簡単に説明します。
まず、ジャイロと車速センサーの情報から得た、車の動きを図示します。
ジャイロと車速センサーの情報によると、90度右に曲がって、50m進んで、また90度右に曲がって、10m進んだ、ということになります。
このジャイロと車速センサーの情報が正しいのかどうか、先ほどのマップマッチングという補正方法を使ってジャイロと車速センサーを補正します。
それではこの車の動きに、地図を重ね合わせてみましょう。
地図の道路情報と比べると、実際には80度しか曲がっていないのに、ジャイロは90度だと間違え、40m しか進んでいないのに、車速センサーは 50m 進んだかのように間違えている、というのが判ります。
ですからジャイロ情報と車速センサーを、地図情報に合わせて補正します。
このような補正を繰り返すために「実際の道路を直進、右左折を約10分ほど(約1kmほど)繰り返し走行」してほしいと書かれているのです。
この仕組みであれば、ジャイロ情報と車速センサーを補正したのちは、GPSの測位情報がなくても、正しく位置情報が得られるのが判ります。
パイオニアのナビでは、初期学習が終了したのちも、車を走らせている間、ずっとこのマップマッチングを利用した学習を繰り返すことで、ものすごく精度の高いジャイロと車速センサーを「作り上げ」るのです。
■パイオニアのナビは GPS 測位が必要ないほど自律測位の精度が高い
試しに、十分に学習したパイオニアのナビで、GPS測位を使わずに車を走らせたらどうなるのでしょうか。
このように、十分に学習した(距離がいまいちですが)パイオニアのナビで、GPSアンテナをシールドして測位できないようにし、20km ぐらいの道のりを走りましたが、全く狂いがありませんでした。
このナビは 2011年製の楽ナビという廉価版ナビです。
マツダコネクトが登場する前の廉価版ナビでもこの程度の性能は持っているということです。
それもある意味当然です。
なぜなら、
ジャイロや車速センサーを使った自律測位(自律航法)は、GPS測位の精度を補うためにあるのですから、GPS測位よりも精度が悪くては意味がないのです。
それでは、マツダコネクトではどうなのか、そして期待のマツダコネクト2ではどうなりそうなのか。
その辺りは後日、記事にしたいと思います。