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aquablauのブログ一覧

2020年06月03日 イイね!

SKYACTIV-X は何が良いの?

以前に SKYACTIV-X の発売が遅れた際に、SKYACTIV-X についてまとめた記事を書きました。

 SKYACTIV-X って何がすごいの?
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/42562812/

ここで冒頭に書いた SKYACTIV-X の特徴は以下の通り。

 - エンジン単体の燃費率は現行の「SKYACTIV-G」と比べて最大で20~30%程度改善
 - 2008年時点の同一排気量の当社ガソリンエンジンから、35~45%の改善
 - 最新の「SKYACTIV-D」と同等以上の燃費率

しかし実際に SKYACTIV-X が発売されて半年、日本では売れ行きも大して良くなく、高いと言われてしまう SKYACTIV-X の何が良いのか、改めて記事にしようかと思いました。

あえて言うなら、

 ・ディーゼルエンジンと変わらない燃費
 ・ガソリンエンジンより伸びやかな走り

そう書くと、WLTC燃費の数値を比較して、いやいや何言っているんだと言われそうですが、あえてそう書きます。

■ SKYACTIV-X の燃費

まず、マツダが公表しているように、先代 Mazda3(アクセラ)と比べて 30% の燃費改善を果たしているのは事実です。
ただし NEDC Combined での、6MT の比較です。


NEDC Combined
先代 Mazda3 SKYACTIV-G 2.0 6MT17.2km/L
Mazda3 SKYACTIV-X 6MT 16inch22.7km/L


数値にして約32%の改善ですから、30%程度の燃費向上という謳い文句は嘘ではありません。

■ 現実の燃費は?

マツダの謳い文句では「エンジン単体の燃費率ではディーゼルと同程度かそれ以上」ということですが、車としての実際の実力はどの程度なのでしょうか。

ディーゼルとの燃費を比較する場合、Mazda3 も CX-30 も、SKYACTIV-D 1.8 を搭載していますから、このエンジンとの比較になってしまいます。

X PROACTIVXD PROACITV
WTLC17.2km/L19.8km/L
WTLC 市街地13.7km/L16.4km/L
WTLC 郊外17.6km/L19.7km/L
WTLC 高速17.6km/L21.8km/L


Mada3 X PROACTIVE の WLTC燃費は 17.2km/L に対して、XD PROACTIVE は 19.8km/L と、結構見劣りします。

しかしこれはあまりに SKYACTIV-X にとって不利、不公平な比較。

だって SKYACTV-D 1.8 は、SKYACTIV-D 1.5 の後継で、ディーゼルエンジンの中でも燃費に優れたエンジンです。その代わりトルクはともかく、馬力は 117馬力ですからね。180馬力の SKYACTIV-X と比べるべきエンジンじゃありません。

本来であれば、SKYACTIV-X は SKYACTIV-D 2.2 と比較すべきもの。

でも残念ながら SKYACTIV-D 2.2 は Mazda3 や CX-30 には搭載されていませんから直接比較できません。
ではどうやって比較するのか。

そこで、SKYACTIV-G 2.0 を基準に、SKYACTIV-D 1.8/2.2 と SKYACTIV-X を比較してみましょう。

まずは現行 Mazda6 の 2.0S PROACTIV と XD PROACTIV の比較です。

2.0S PROACTIVXD PROACITV燃費改善率
WTLC15.017.8119%
WTLC 市街地11.713.9119%
WTLC 郊外15.417.6114%
WTLC 高速17.220.8121%


念の為、現行 CX-5 の 2.0S PROACTIV と XD PROACTIV を比較してみましょう。

2.0S PROACTIVXD PROACITV燃費改善率
WTLC14.617.4119%
WTLC 市街地11.913.9117%
WTLC 郊外15.117.6117%
WTLC 高速16.219.6121%


SKYACTIV-G2.0 と SKYACTIV-D2.2 を比較すると、どの車種もほぼ 120% 前後の燃費改善率です。

次に Mazda3 の SKYACTIV-G 2.0 と SKYACTIV-D 1.8 を比べてみましょう。

2.0S PROACTIVXD PROACITV燃費改善率
WTLC15.619.8127%
WTLC 市街地12.116.4136%
WTLC 郊外15.819.7125%
WTLC 高速17.721.8123%


この通り、SKYACTIV-D 2.2 は 120% 前後の燃費改善率なのに対して、SKYACTIV-D 1.8 は WLTC市街地で 136%(日本ではこれが重要)、全体でも 130% 近い改善を見せています。
特に市街地が重要な日本では、SKYACTIV-D の中でも 1.8 は 2.5L NA ガソリンエンジン並みのトルクがありながら、燃料代はハイブリッドに匹敵する様なエンジンなんです。

それでは Mazda3 の SKYACTIV-G2.0 と SKYACTIV-X を比べてみましょう。

2.0S PROACTIVX PROACITV燃費改善率
WTLC15.617.2110%
WTLC 市街地12.113.7113%
WTLC 郊外15.817.6111%
WTLC 高速17.719.0107%


ほぼ 110% 前後の燃費改善率です。

SKYACTIV-D 2.2 と比べても見劣りしてるじゃん!

はい、その通りです。

でもこの SKYACTIV-D 2.2 は急速多段燃焼を採用した最新型。
アクセラで採用されていた旧型 SKYACTIV-D 2.2 と比べたらどうでしょうか。

残念ながら旧型 SKYACTIV-D 2.2 は WLTC で計測された車種がないので、先代アクセラ、CX-5 2017年式の旧型 SKYACTIV-D 2.2 と CX-5 2018年式 新型 SKYACTIV-D 2.2 の JC08 での比較になります。

JC082.0SXD燃費改善率
先代アクセラ19.019.6103%
CX-5 2017年式16.018.0113%
CX-5 2018年式16.019.0119%


旧型 SKYACTIV-D 2.2 が JC08 で 103%〜113%、SKYACTIV-X が WLTC で 110% ですから、とりあえず「旧型 SKYACTIV-D 2.2 と同程度の燃費」とは言えるのではないでしょうか。

■燃費よりも走り

とはいえ、マツダの謳い文句では「エンジン単体の燃費率ではディーゼルと同程度かそれ以上」なのに、どうして車になった時には SKYACTIV-D 1.8 はもちろん、新型 SKYACTIV-D 2.2 にも見劣りする燃費になってしまったのでしょう。

そのヒントはギヤ比にあります。

20S 6ATX 6ATX 6MT
最終減速比×1速14.515.514.4
最終減速比×2速8.38.88.5
最終減速比×3速5.55.96.1
最終減速比×4速4.14.44.8
最終減速比×5速3.13.33.9
最終減速比×6速2.52.63.0


それぞれのギヤ(4速、5速、6速)、それぞれの速度(40km/h、60km/h、100kmh/h)での、エンジン回転数の違いです。(タイヤの直径を 651mm として計算)

20S 6ATX 6AT比率X 6MT比率
4速 40km/h1335rpm1425rpm107%1559rpm117%
5速 60km/h1492rpm1591rpm107%1888rpm127%
6速 100km/h1999rpm2132rpm107%2432rpm122%


こうやって見てみると、SKYACTIV-X では SKYACTIV-G 2.0 に比べて全体としてギヤ比は低く(回転数は高く)なっているのがわかるかと思います。

これは「同じギヤ、同じ速度」でも、回転数が高いということは、その分、その回転数で出せる最大出力に余裕があるということになります。例えば同じトルクだったとしても、5速 60km/h から加速する場合、20S のギヤ比と比べて X 6MT のギヤ比では 27% も最大出力が増加しているということです。

さらに SKYACTIV-X は SKYACTIV-G 2.0 に比べてエンジン自体のトルクが大きく増えています。



この違いにより 20S ではギヤを1つ落とさなければならない状況でも、X ではそのままのギヤでグングンと加速するという状況の違いが容易に想像できます。

■結論

ここまでの説明を並べると、

 ・WLTC より負荷が小さい NEDC 燃費では、先代アクセラと比べて 32% の向上を実現
 ・旧型 SKYACTIV-D 2.2 と同程度の燃費
 ・エンジン単体でも SKYACTIV-G 2.0 より全域でトルクを向上
 ・さらに Mazda3 SKYACTIV-G 2.0 よりスポーティなギヤ比であるにも関わらず WLTC で 10% 程度の燃費向上

ということです。
しかもここには書きませんでしたが、

 ・ガソリンNAエンジンよりも高いレスポンス
 ・ターボの様なターボラグはない
 ・エンジンのカプセル化により実燃費向上

これらを短くまとめると、

 ・ディーゼルエンジンと変わらない燃費
 ・ガソリンエンジンより伸びやかな走り

ということです。

車のドライビングが上手い人、感度が高い人なら、こんな技術的でクドい説明がなくても試乗すれば感じ取れるかと思います。

私がお世話になっているディーラーの営業の1人は、買う気もなかったのにマツダ主催の社内向け SKYACTIV-X の試乗をして、結局ロードスターを売って Mazda3 SKYACTIV-X を書いました。

どうして?と聞く私に対して「ロードスターみたいな気持ち良さがある4ドアハッチバックだったから」とのこと。

■日本で走りの良さは評価されるのか?

一番の問題は、日本の市場では走りの良さ(悪さ)はほとんど評価されないということです。マニアはもちろん、評論家だって怪しいものです。

だって30系プリウスみたいなクソみたいな酷い車でも、何年も販売台数トップだったんですから。

これも日本の交通状況では、車の走りの良さを感じ取ることが難しいという点が大きいと思います。だって全体の4割が市街地走行で、郊外も含めて8割以上なんですから。(それでも30系プリウスはちょっと…)

 WLTC と JC08 の比較と WLTC の問題点
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/44054078/

そんな偉そうな私ですが、買い換えるとしても SKYACTIV-D 1.8 を買うでしょうね。だって燃費がいいし、十分なトルクと馬力だし。

でも運転好き、中でも MT 好きな人は、SKYACTIV-X ってすごく良い車だと思います。
だから欧州では売れているんですね。
Posted at 2020/06/04 17:01:10 | コメント(1) | トラックバック(0) | | クルマ
2020年06月02日 イイね!

給付金の給付やマスクの配布に時間がかかるのはあたりまえ

このブログではあまり政治的なことを記事にするつもりはなかったけど、世間でのワイドショー脳があまりに目に余るので。

(でもワイドショー脳は、こんな長い記事は絶対に読まないだろうな、だってワイドショーが流した情報を咀嚼もせずに飲み込むだけの雛鳥みたいな情弱なんだから)

■給付金が遅い

給付金にしろマスクにしろ、国が何かを国民に配る場合は3ヶ月程度かかるというのは、そういう仕組み(法律)だから。

小野田紀美【自民党 参議院議員(岡山県選挙区)】(3月30日)
https://twitter.com/onoda_kimi/status/1244610780101656576

①本日コロナ対策本部があり、様々意見を述べた中で「早急な現金の一律給付」もお願いしたのですが、ひな壇の議員の方から一律現金給付を行う方法における物理的な障害についてご指摘頂きました。今の日本の法律、仕組みだと、一律現金給付には3か月程度かかってしまう現実があるとの指摘。

②まず、当然ですが国はお金を振り込むべき国民の口座を知りません。口座を指定してもらうための書類を送るための住所も把握していません。自治体から住民票をもつ国民に給付申請書を郵送し、振込希望口座等を記載し返送してもらう必要があります。

③自治体にその事務をお願いする場合、法定受託義務に該当しない事務のため、実行してもらうためには予算等各自治体の議会にはかる必要があります。各議会の承認を得て、申請書類を送付し、記載し返送してもらい…等を経ていくと、3か月程度かかってしまうという見込みとの事です。

④なお、法定受託事務の判断基準の一つである「生存にかかわるナショナル・ミニマムを確保するため、全国一律に公平・平等に行う給付金の支給等に関する事務」にあたるのではないかとの質問もしましたが、今回の場合はあたらないという扱いにあるとの返答でした。

⑤「では米国のように小切手を送付してはどうか」という提案もしましたが、小切手を送る場合でも同様に住所を把握している自治体にその事務をお願いしなくてはならず、この場合も法定受託事務に該当しないため、現金時と同様に各地方議会を通さねばならず…現金よりは少し早くなる程度のようです。

⑥マスク販売管理にせよ現金給付にせよ「マイナンバーがあれば」というとすぐに「国による一元管理だ!コロナをマイナンバーで管理するために利用するな!」勢が出てくることは容易に想像できますが、今の日本の法律や制度だと出来ない事が多すぎるのです。
(選挙に関する事を引き合いに出される方多いのですが、選挙に関する事務は現制度の中で法廷受託義務に該当しているので迅速に出来るのです。)

遅いと言う人は「政府は国の法律を無視しろ」と言っている様なもの。
もちろん時間がかかるのは良くない話だけれども、その原因はマイナンバーと口座番号の紐付け(国が国民の口座番号を知ること)を当時の野党が大反対したから。
その国会の間違った判断は、国民が選んだ国民の代表の判断なんだから、国民がケツを拭くのはあたりまえ。

■マスクが届かない

マスクの世帯配布が正式に決定したのは令和2年4月7日の閣議決定。
この通り、普通にやると3ヶ月かかるので、マスク配布については当初から日本郵便の世帯情報を利用することが発表されている。2枚という決め打ちも、迅速に配るためで、当初からそのように公表されている。
そのため、早い人は4月22日には届いている。

 長谷川ゆう(4月22日)
 https://twitter.com/youhasegawa08/status/1252766558704644098

この布マスクは世帯だけではなく、介護施設や小中学校に優先的に配布されており、こちらは3月にはマスクが確保され、閣議決定とほぼ同時期に到着している。

 経済産業省(3月10日)
 https://twitter.com/meti_NIPPON/status/1237364641921003520
 「ミャンマーから #マスク が到着しました。
事業者各社の協力もあり、高齢者の介護施設や障害者施設、保育所、今般の学校休業に伴う学童保育などの現場に行き渡るように準備を進めております。」

 金玉満堂・電子版(10万円)(4月7日)
 https://twitter.com/pied_crow/status/1247420017282441216
 「介護施設にも布マスクがメッチャ到着。普段は洋服を作ってるベトナムの会社が製造。#布マスク」

マスクを確保した業者は、マスコミとワイドショー脳の国民から嫌がらせを受けている。

 ユースビオ代表が語った「創価学会との関係」「脱税事件」「ペーパーカンパニー疑惑への反論」
 https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/mask2

この当時、公明党も何も関係なく、国はマスクを大量に仕入れられる業者を目を皿のようにして探していましたよ。

■マスク2枚だけ

マスク配布が正式に決定したのは令和2年4月7日の閣議決定とは既に書いた通りだけど、その中身はこれ。

 「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」について
 https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2020/20200407_taisaku.pdf

ここに書かれているのは、マスク配布だけではなく、雇用の維持、資金繰り対策、事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援、生活に困っている世帯や個人への支援、など多岐に渡っている。

一時期、他国に比べて貧弱な支援だという「デマ」がばらまかれていたけど、下記の各国の施策と比べて欲しい。

 新型コロナウイルス(COVID-19)による影響を受けた事業者へ対する各国の補助金などの対応
 https://www.shopify.jp/blog/small-business-government-relief-programs

デマ1)ニュージーランドでは収入が30%減少した場合は150000ドル、フルタイムの従業員は週585ドル、パートタイムは週350ドル受け取れる。

現実)上記は間違いで、30%収入減少があった【給与支払いが困難な事業者】が、週585ドル/週350ドルを最大150000ドル受け取れるという施策。週585ドルでも65円換算で38025円です。
日本なら雇用調整助成金に当たるもので、日本の上限額は8330円/日、5日労働で最大週41650円、事業者が最低でも1割負担なので労働者の所得としては約46千円になります。上限はありません。

デマ2)香港は18歳以上であれば現金日本円で14万5千円支給されている。

現実)香港では個人給付はあっても、そのほかの雇用調整助成金のような経済施策はありません。

デマ3)ドイツではフリーランスや小規模経営者に60万円が振り込まれた。

現実)個人給付ではなく、従業員10人以下(フルタイム相当)の事業者に最大1万5,000ユーロが支払われるという話です。(60万円は1ヶ月分)
条件があり審査があったため、10万社以上が応募して2万社のみ給付(ベルリン)。
3ヶ月で180万円、週に直すと15万円、これを数人規模の会社の運転資金にしてくださいという話であって個人給付ではありません。

デマ4)アメリカでは大人1人につき13万円で手厚い。

現実)アメリカでは子供は5500円なので、両親と子供1人という世帯では日本と同等。しかももし新型コロナにかかったら、治療費平均1464ドルなので治療で吹き飛ぶ額。

結局、海外の方がいいと言い出す人は、全体像を見ているのではなく、特定の条件では海外の方が良いと言っているに過ぎないということ。

■費用が高い

466億円というのも、あくまで「予算(予備費)」が466億円というだけの話で、実際にかかった金額は90億円。

 マスク調達は予算額より少ない90億円に収まる=菅官房長官(4月24日)
 https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2020/04/273445.php

マスク配布の様に、費用よりも時間が重要な施策は、大枠の予算を多めにとってGOをかけるのは当たり前の話じゃないのかな。

■結論

マスクにしても「配られて困るもの」ではないのだから、文句を言う筋合いではないはず。
マスクや給付金だけではなく緊急経済対策も含めて、日本は世界各国と比べて、かなり手厚い処置を行っている。

マスクが足りないと騒いで、国が配布するとなったら費用がかかると騒ぐ、それって大人として、人間として問題がないか?

民主主義の基本は、政府の施策を正当に是々非々で評価すること。
問題点を指摘したり批判するのは当然だけど、良い点を良いと評価しなければ、民主主義の最大の問題である衆愚政治になってしまう。

日本の仕組み(法律)の限界なども考慮せず、自分が満足するかしないかだけで政府に文句を言うのは、中学生の反抗期(中二病)と全く変わらない、老年性中二病だと思うよ。
Posted at 2020/06/03 12:23:17 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2020年06月01日 イイね!

WLTC と JC08 の比較と WLTC の問題点

しばらくブログの更新をサボってました。
SKYACTIV-X の記事を書きたいなと思ったのですが、その記事を書く前に、燃費表示について記事にしないといけないかなと思って、久しぶりに記事を書きます。

多くの方は「カタログの燃費表示は実際の燃費より高いのはあたりまえ」と思っていますよね。そう、車好きには常識と言っていい話です。

「でも何で?」

と聞かれると、答えられる人ってどの程度いるんでしょうか。

■ JC08 は日本の交通事情を考慮した燃費モード

燃費を計測するにしても、色々な車を比較したい場合は、その走行パターンを統一しなければなりません。
大昔、車の燃費計測のための走行パターンは 60km/h での一定走行でした。しかしこれでは実燃費との乖離が大きいということで、1973年に10項目の走行パターンを想定した10モード、1991年に更に15項目を追加して 10・15モードという走行パターンが採用されました。
しかしそれでも実燃費との乖離が大きく、2011年には JC08 という走行パターンが制定されました。


(国交省 燃費測定モードについてより引用)

これを見ていただければ分かる通り、10・15モードより複雑になり、走行距離も長くなっています。日本の道路状況を想定し、最高速度 60km/h で時々信号にかかる郊外での状況や、最高速度 30km/h で停止時間も長い渋滞での状況、そして最高速度80km/h で高速道路を走る状況など組み合わせ、平均速度は 24.4km/h で、最高速度は 81.6km/h となっています。

■WLTC は世界標準

JC08 日本の交通事情を考慮した燃費モードだと書きました。
同様に、アメリカにはアメリカの、欧州には欧州の、それぞれ独自の走行パターンで計測した燃費モードが定められています。
それに対して WLTC は「世界の交通事情」を考慮し、世界各国で共通の走行パターンで燃費を計測することを目指したものです。


(国交省 乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP)の概要について より抜粋)

JC08 と WLTC の大きな違いは、JC08 は市街地も渋滞も高速道路も全部まぜこぜにして1つの燃費だけを示していましたが、 WLTC は WLTCモードという燃費だけではなく、市街地モード(WLTC Low)、郊外モード(WLTC Midium)、高速道路モード(WLTC High)の3つの燃費も併記されることです。


(国交省 燃費の表示内容が変わります! より抜粋)

ここまで長かったですけど、みなさんご存知ですよね。
本題はここからです。

■WLTC の問題点

ここまではWLTCが導入された2年前に記事にしたとしても「そんなことはわかってるよ」と言われるような内容です。
しかし、改めて2年前のどの記事を読んでも、JC08 に対する WLTC の問題点(懸念点)が記載されていません。

ですので、改めてここで記事にしておこうかと思った訳です。

【問題点1:日本の交通事情と乖離している】

すでに書いた通り、JC08 は日本の交通事情を勘案して、走行パターンが定められています。
しかし WLTC(WLTP)は世界(日米欧印韓)の実際の走行パターンを勘案して作っていますので、どうしても日本の実情とは乖離します。

そのため、日本では WLTC で定められている、最高速度131.3km/h を想定した超高速モード(WLTC Ex-High)」が省かれています。



しかしそれで解決した訳ではありません。

私が考えるもっと大きな問題は、市街地・郊外・高速道路の走行パターンの比率が、日本の実情と全く合っていないのです。


(環境省 WLTCの国内導入について より抜粋)

この右側円グラフを見て分かる通り、

日本:市街地4割、郊外4割以上、高速道路2割以下

世界:市街地2割以下、郊外2割、高速道路3割、超高速3割以上

という交通事情の違いがあります。
日本では、車が走行する大半の時間(8割)が、市街地と郊外なのに対して、世界的には市街地を走行する距離は少なく、高速道路が主なのです。

ですが、残念ながら日本のWLTC燃費は世界標準に合わせて計算されています。

【問題点2:停止時間が短い】

皆さんご存知の通り、日本は国道でも信号が多く、多くの運転時間を停止時間として費やしています。

この停止時間ですが、JC08 では実に 29.7% が停止時間なのに対して、WLTC では 15.4% しかないのです。


(国交省 乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP)の概要について より抜粋)

これも日本の交通事情と、世界の交通事情の違いが理由です。

これを受けて、トヨタは大胆にもアイドリングストップを廃止しました。

 新型ヤリスがアイドリングストップをやめた意外な理由 燃費至上主義に終止符!? それとも…??
 https://bestcarweb.jp/news/122785

トヨタの広報の公式回答は、

「スマート&ストップ(=アイドリングストップ)は、燃費改善のためのアイテムです。今回のRAV4、カローラ、ヤリスは、TNGAエンジンを採用しており、スマート&ストップがなくても、充分競合性があるためにスマート&ストップの設定をしておりません」

だそうですが、要は「JC08 から WLTC になったらカタログ燃費には大して影響しないのでやめました」ということです。さすがカタログ値を追い求めるトヨタです。

 「クルマを走らせる楽しさ」へのこだわり――マツダ・アイドリングストップ開発の哲学
 https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1006/29/news004.html

「実際に、i-stopを搭載したアクセラセダン(AXELA Sedan 20E/5速AT)を借りて、金曜日夕方の都内を走ってみた(2010年6月25日16時40分~18時)。すると、1時間のうち約23分はアイドリングストップをしている。」

カタログ燃費にはほとんど影響がなくても、現実には30%以上もの停車時間があるとしたら、アイドリングストップは要らないと言えるのでしょうか。
私はアイドリングストップのお陰で、渋滞時のイライラが大きく解消したので、簡単には否定できません。

■結論

WLTC でどうやってカタログ燃費を見るべきなのかの結論です。

・WLTC 燃費は無視
・大都市圏に住む人や、買い物などに使う車は、WLTC 市街地モードを参考にしましょう
・郊外や旅行などに使う車は、WLTC 市街地モードと郊外モードの平均を参考にしましょう。
・毎日30分以上、渋滞もなく通勤に使っている人は郊外モードを参考にしましょう。

これだけで実燃費との乖離は相当抑えられると思います。
Posted at 2020/06/01 13:58:15 | コメント(0) | トラックバック(0) | | クルマ
2020年04月26日 イイね!

自車位置演算ユニット取り付け

以前からずっと、マツダコネクトの位置ズレや方向ズレを報告してきました。

 方向ズレからの位置ズレ発生
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/43443307/

何度もマツダに相談して、データを取ってもらったりなんだりした結果、2月入ってから自車位置演算ユニットを取り付けてもらいました。


型番作業名/部品名数量
GL01V6600ナビ1
BMD1V638ZETC CORD1
D65168162Aクリップ、トリム1
C901V638AETC BOX PAD1


昨年の8月頃には無償での取付けを判断してもらっていたのですが、部品の入荷が遅れるとのことで、2月の取付となりました。

ついでに CarPlay/Android Auto も取り付けてもらいました。


型番作業名/部品名数量 部品代技術料
CarPlay/Android Auto取付4,950
TK78669U0Cユニット、AUX113,200
C921V6605CABLE, CPAA12,640
C923V6605CABLE, DR16,050
小計21,8904,950


まず、位置ズレや方向ズレに関しては全く起こらなくなりました。
いままでも方向ズレが突如発生するまではさほど大きなズレは無かったんですけど、それがずっと続いている状況です。精度も以前より良いかな。
地下駐車場に車を入れても、突拍子もない方向になってることはほとんど無くなりましたね。

また、マツコネが起動する前に車を動かすと方角や位置が狂うというのも、大きく改善しています。自車位置演算ユニット取り付け前は、マツコネナビが立ち上がる前に車を動かすと、自車位置の計算がされておらず、方角や位置が大きくずれましたが、今はエンジンをかけた直後(10秒後ぐらい?)から自車位置を計算しているらしく、全くずれないとは言いませんが、見当外れの方角や位置になるということは、だいぶ少なくなりました。

こんな感じで、自車位置演算ユニット取り付け後は、方角ずれ、自車位置飛びなどのトラブルは特にありません。
今までは「どうせそのうち工場出荷時リセットすることになるから」と、お気に入りへの登録とか全くしていなかったんですけど、今はそういった機能も躊躇なく使えています。

何も起こらないから何も書くことがない、そんな感じです。

CarPlay/AndroidAuto については、私はCarPlayで色々試しています。
最初は、

・アップル純正マップ
・Google マップ
・Yahoo! カーナビ
・NAVITIME カーナビ
・Waze

などなどを使ってみましたが、今はアップル純正マップと Googleマップの二択になっています。
感想をざっと書き記すと、

・アップル純正マップ
意外と十分な機能、スケジュールとの連携もあり、地図の精度も以前騒がれたような状況ではなく、十分実用的な精度はあり、不満らしい不満がありません。交通情報も使えるようになり、Google マップと同程度の到着時間の精度はありそうです。
車速や曲がり角に合わせて、地図の縮尺が自動的に拡大されたり(Google マップもそうかな)、マツコネナビよりも優れていると思われる部分もあります。
不満は経由地の設定ができないぐらいかな?

・Google マップ
言わずと知れた Google マップ、到着時間の精度の高さには定評あり、ただしやたら細い道を通すことがあり、運転に自信がない人は途方に暮れる恐れも。


(夕暮れにこんな感じの道を指示されます)

走行車線も図示してくれるのですが、これが結構いい加減だったり。

・Yahoo! カーナビ
案内やルートは満足できるのですが、Carplayとして使うとバグが多いのか、思った通りに動かない。特に起動時にiPhone側の操作を要求されるのは面倒で、今は3番手として入れていますが、ほとんど使っていません。
Carplay だと Yahoo! カーナビの高機能さを生かせない、そんな感じですね。
ただガソリンスタンドの価格表示が出たりするのは、出先で燃料を入れるときに便利です。

・NAVITIME カーナビ
一番期待していたのに、正直がっかりでした。これは CarPlay の制限があるのかもしれませんが。
特に気になったのは、

- 案内音声が割れてる上に大き過ぎる、同乗者に極めて不評
- iPhone本体を動かすと、地図もグネグネ回転する

経路探索もちょっとどうかなと。
今は月額の支払いは止めて削除するつもりです。

・Waze

ごめんなさい、入れたけど使ってません。

CarPlay のナビの共通した問題ですが、位置精度、特に方角はかなりいい加減です。位置情報(GPSや車速)はマツコネから受け取っている様なのですが、方角情報(車の向き)は受け取っていない様です。

だから、車は曲がっていないのに、ルート案内の通りに曲がろうとしますし、エンジンをかけた直後はとんでもない方向を向いていたりします。
二画面にすらできません。
だから「まだ今は」車載ナビと同じ感覚では使えません。

それでも CarPlay がマツコネナビに比べて決定的に優れているのは、リアルタイムの渋滞情報が使えることです。
週末の行楽地から自宅に帰る時とか、渋滞回避したいでしょ?

ハンドルのボタンが使えたり、コマンダーのナビボタンも、マツコネでルート案内しているときはマツコネに、CarPlay でルート案内している時は CarPlay に自動的に切り替えてくれたり、マツダも結構ちゃんと作り込んでいます。

それに CarPlay の良さは、カーナビだけじゃないんですよ。
Siri です。

メッセージが届いたら読み上げてくれます。
返信も音声でできます。

ハンドルの音声ボタンを押して「〜に案内して」と言えばアップル純正マップで、「Google マップで〜に案内して」と言えば Google マップで目的地設定し案内してくれます。
予定表に行き先が設定されていれば、自動的にナビの目的地の候補にしてくれます。

「サカナクションをかけて」と言えば、サカナクションのアルバムを流してくれます。

これは便利。

持っていない曲を聴きたい時は、Apple Music や Amazon Music も使えます。
ということで、今はすっかり CarPlay ありきで使ってます。

レトロフィットキット入れたけど使ってないという人も多いかと思いますが、私は逆に、さほど使わないだろうと入れてみて、結構使えるもんだと驚いています。
Posted at 2020/04/26 15:54:14 | コメント(3) | トラックバック(0) | マツダコネクト | クルマ
2020年04月25日 イイね!

マツダ純正 ディーゼルエンジン用燃料添加剤を使ってみて

以前に、

 マツダ純正 燃料添加剤新発売
 https://minkara.carview.co.jp/userid/2738704/blog/43472259/

を記事にしました。

基本的に燃料添加剤の使用を禁止している SKYACTIV-D ですから、純正ではない燃料添加剤やオイル添加剤は絶対使うべきではない(悪影響を及ぼす理由も理解できる)という立場ですが、純正はきちんと悪影響の要因を取り除いたものでしょうから、使ってみました。

結果はこんな感じ。



縦軸はDPF再生間隔距離(km)、横軸は n 回前のDPF再生です。
データはディーラーで取ってもらっている再生記録なので、見逃しは無いはずです。

燃料添加剤を添加するまでは、まあだいたい 200km 前後のDPF再生間隔で、1回だけ500kmを超える状況はあったみたいですが、ほぼマツダが言う「DPF 再生間隔の目安としては 200km、ただし走行状況によって 140km〜350km 程度の変動はある」という状況そのままでした。

ところが燃料添加剤添加後に、いきなり 372km、その次は 510km、492km、410km、510km と続きました。この時期は 2.5日 で 1200km 走るような遠出もしているのですが、遠出だけの要因ではないように思えます。



今まではそういう遠出をしても、300km を超える程度までしか伸びたことがなかったのですから。

最近は 280km、248km と短くなっていますが、これはほぼ街乗りなので、マツダの目安を大きく超えている状況は変わりません。

エンジンのノイズも小さくなり、例えば軽く負荷をかけた時のカラカラ音は全くしなくなり、i-stop からの復帰も少しだけスムースになったような気がします。
まるで新車に戻ったような感じです。

それが数千km も続いているのですから、燃料添加剤の代金の元は十分に回収したように思います。

もちろん、すべての人に効用があるとは言いません。
ただ、私の場合は、こういう結果になってすごく驚いています。

今後は車検ごと、もしくは点検ごとぐらいに入れていこうかなと思っています。
だって燃料添加剤代ぐらい十分回収できるぐらい、燃料代が安いんですから。
Posted at 2020/04/26 13:39:54 | コメント(1) | トラックバック(0) | アクセラ | クルマ

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何シテル?   08/23 08:20
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