2021年05月20日
先日複数落札した雑誌の最後の1冊が到着
こちらもJ's Tipoという雑誌の27号
この27号は1995年発売でしたが、95年当時における三菱のスポーティーカーを特集していた
その中で三菱の商品開発室スポーティ乗用車系プロジェクトマネージャーである鈴木正勝氏のインタビュー記事が掲載されていた
要約します
・三菱のスポーティカーのルーツはアメリカ
・というのも当時三菱ではデザイン部員をアメリカのアートセンターというデザイン訓練学校に1、2年派遣していたから
・三菱のスポーティカー路線が変わっていったのはスタリオンから
・GTOはかなり日本人好みに仕上げた
・FTO投入理由はGTOだけでは台数が伸びないこと、日本人の好みに合って、日本の道路事情に合った日本独自のスポーティカーが必要だった
・当初GTOは「スタリオンGTO」という名称の予定でエンブレム用金型も2000万円かけて造ったのに最後の最後でGTOに名称変更したため金型も捨ててしまったという
・GTOの開発当時、3種のレイアウトの試験車を造った(これは昨日のブログにもありましたね)
・ミッドシップにした場合、あのサイズで2シーターはアメリカ市場を含めてかなりのリスクを負ってしまう
・基本的にアメリカはある程度高価な車は4シーター以上のスペースを持っていることが要求されていた
・4シーター以上が望まれていた要因は、4人乗るためではなく後部座席に荷物を置くスペースが必要だったから
・三菱としてはGTOをそこまで究極のスポーツカーにすることは考えていなかった
これはやはりある程度の台数を売ることが前提でもあったから、でしょう
「NSXのように価格を考えなくていいならミッドシップもいいし、まずスポーティ系の車を開発するときは必ずミッドシップ案が浮上してくるほど、エンジニアとしては一度はやりたいことだった」
ともありましたね
まぁ三菱からはこの95年から11年後に軽自動車でリアエンジン車が登場するわけですが…
ちなみにこの95年当時
次期セリカはFRになると噂され(当時はST200系でしたよね)
FTOには4WDが追加される(ゲームでは登場していた)
と言われていたがどちらも実現しなかったというのはこの雑誌、結構飛ばしてんな…?????
セリカのFR化についてはおそらくアルテッツァの噂が先行していたんじゃないだろうか
FTOの4WDについてはGTOやランエボがある中でもう1台4WDのスポーティーモデルを出すか…?というところよね
一応モーターショーには出展されていたらしい
販売をしなかった理由については語られていなかった
それともう1つ
GTOのN1耐久マシンについての解説も掲載されていた
確かにそこそこ速かった
敵なしのスカイラインGT-Rを上回るタイムが出るときもあった
しかし勝てなかった要因としてはその重量だった
そして搭載されたV6-3000ccツインターボエンジンも
このエンジン+ツインターボのせいで5000cc以上に換算されてしまい
最低重量を1460kgに設定しなくてはいけなかった(しかも後に1480kgに)
だからこのエンジン、確かに速かったのだけれど、その速さを得るためのハンデもでかすぎたというわけですね
このあたり、排気量を微妙な設定にしていたスカイラインGT-Rはうまかったというわけです
またその重量を制するブレーキが最大の弱点でもあった
市販車で強力なブレーキが採用されていればN1耐久でも使用可能だったのだけれど
GTOは内製の対向キャリパーだったこともあって、途中で17インチブレーキに拡大されたとはいえ容量不足だった
そこで三菱もAPロッキード製の6ポットブレーキキャリパーをオプション設定したんですよね
90万円という価格から、おそらく当時これをオプション設定したオーナーはほとんどいなかったでしょうが
メーカーとしてはオプション設定するだけで意味があったのです(N1耐久レースでこのブレーキシステムが使用可能になるから)
さらにフロントに極端に寄った重量バランス
これもレース車両においてもなかなか改善することができず
まずはリア側にバランスウェイトを置いてバランスを整えようとしていた
ただこれだけでは限度があるため、ハイブリッドLSDが投入された
当時このギミックは明かされていなかったのですが、その後ヘリカルとビスカスのいいとこ取りをしたLSDということが判明し、複数の市販車にも採用されましたよね
そしてリア側のボディ剛性の向上
昨日紹介したCARトップニューカー速報にはフロントの剛性は高く、リアに行くに従って弱くなっている、というレビューがあった
そうしてリア側をねじっていきながら曲がる、というのがGTOの特性だというのですが
その特性がN1耐久レースでは仇となっていた、というわけですね
前後、別々な動きを見せると、いくらサスペンションレイアウトを解析してチューニングしても効果が薄いという
ちなみにコースによってはあえて5MTが使われていたらしいですね
ギア比などの問題もあって合うコースがあるのだそうです
また6MTに比べて15kgほど軽いという
おぉ…これは…
Posted at 2021/05/20 15:24:52 | |
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