(なんと立派な平城京)
6:30 奈良県吉野町:津風呂湖温泉駐車場 走行距離:1587km
起床。鬱蒼と茂った木々の緑が 朝もやの白いベールに包まれ、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
吉野といえば、その昔豊臣秀吉が盛大な花見を開催した場所として名高い。もっと昔には、後醍醐天皇が足利尊氏に都から追い出され、忍辱の日々を過ごした場所でもある。
吉野といえば…後醍醐天皇…吉野…ゴダイゴ…ミッキー吉野。どうでもいいことを考えながら吉野川沿いを走る。
7:15~9:00 高取町:壷阪寺 走行距離:1604km
西国三十三所第六番の寺。
「いはをたて みづをたたへて つぼさかの にはのいさごも じゃうどなるらん」
朝早く着いたので、まだやってなかった。境内にいた犬と戯れ時間をつぶす。
この寺は眼病に霊験があるとのこと。参道には目薬のノボリが立ち並び、 売店ではそれが沢山売られていた。また人がくぐれるくらい大きな眼鏡のフレームが境内に置いてあり、合掌しながら通り抜けると目がよくなるという。現在目は悪くないが、己の偏見癖が治るようにとくぐってみた。
大観音、大石堂、レリーフなどの石製建造物などもあった。見るからに手間隙とお金がかかっていそう。その割にありがたみが全然伝わってこない。
9:15 明日香村:高松塚古墳
次の目的地に向かう途中それはあった。名前だけは知っている。せっかくなので駐車場に停まってはみたものの面倒くさくなって見るのをやめた。
9:25~10:00 岡寺 走行距離:1614km
西国三十三所第七番の寺。
「けさみれば つゆをかでらの にはのこけ さながらるりの ひかりなりけり」
沢山のつつじが綺麗に手入れされ、柔らかさを感じさせる庭があった。でも庭の苔はどこにあるのだろう?
本堂の写真を撮ろうと思い、カメラのファインダーに収まるまで下がった。そのときベンチに膝をぶつけてしまった。そのベンチは、苔むしていた。ジーンズにそれが付いてしまい、さながら瑠璃の光なりけり。
10:31~11:17 桜井市:長谷寺 走行距離:1628km
西国三十三所第八番の寺。
「いくたびも まゐるこころは はつせでら やまもちかひも ふかきたにがは」
ここは牡丹の咲きほこる寺として名高いが、時期はずれのため見ることができず残念。
広大な敷地に幾つもの建物が並んでいる。立派な石垣は、寺よりも城を感じさせる。399段の屋根つき参道(登廊)を進むと、懸け造りの立派な本堂が現れた。ここからの眺めは素晴らしい。境内を貫くように伸びた登廊の屋根、石垣で囲まれた伽藍などが一望できた。
12:20 ~ 14:35 奈良市:ならまち界隈 走行距離:1657km
ならまちセンター駐車場に車を停め、 奈良のメイン観光地を散策することにした。
猿沢池。湖面に映える興福寺五重塔を撮ろうと沢山のカメラマンがほとりに群がっていた。建物よりもそっちのほうが面白い。
興福寺。西国三十三所第九番の寺。
「はるのひは なんゑんだうに かがやきて みかさのやまに はるるうすぐも」
八角形のお堂、南円堂。小さいながらも趣がある建物だ。しかし中には入れないため、納経を終えすぐに立ち去った。
そのそばには国宝五重塔。去年は夜に訪れ、ライトアップされたのを見た。それもよかったが、 日中にじっくり見るほうがやっぱりいいなと思った。
奈良国立博物館。敷地内には鹿せんべいの売り子がいた。パラソルの下で椅子に腰掛け、 客が来るのをじっと待っている。秋田の路上アイス売り、ババヘラを彷彿とさせる。
正倉院展の期間中であることは知ってた。しかし平日にもかかわらず長蛇の列。是非とも見たかったが、時間がもったいなかったので 泣く泣くあきらめた。
東大寺。大仏殿は修学旅行の生徒であふれかえっていた。さすがに世界一の木造建造物だけあって その威容に圧倒される。それでも現在の建物は三度目の再建で、昔は横幅がもっと広かったらしい。
文明の利器のない時代、それだけのものを作りあげてたとは 驚きである。燈篭に導かれ行った先に二月堂があった。建物には沢山の吊燈篭があり、夜にこれらが点灯されると 荘厳な雰囲気になるのだろうな。
その隣には国宝三月堂。外見はたいしたことがないが、中に入ってみるといろんな種類の 仏像が絶妙に配置されていた。文化財保護の観点からか、 最小限の照明で薄暗く、よく見えないのが残念であった。
15:10~16:40 薬師寺 走行距離:1664km
「勉強部屋」、「すし屋のとなり」などという、興味をそそられる建物を横目に、前からずっと見たいと思っていた 薬師寺へ向かう。
天平時代、昭和時代の建物が同居している。宮大工がその技術の粋を 全て出し尽くした建物は見事なものだ。ただ、メディアで見すぎたためか初見の感動はなく、ただ単に 現場の確認に来たという感じ。
ここにも修学旅行の生徒がいた。彼らに住職が面白おかしく説法している。「実家が洋服屋」の話。手垢まみれの話だが、生徒には新鮮に聞こえるのだろうな。
薬師寺から500mほど離れたところに鑑真が建立した唐招提寺がある。井上靖の「天平の甍」を読了した直後だったこともあり行ってみた。
残念なことにメインの金堂が修復中だった。それでも拝観料は変わらない。あたりまえなのだろうが残念である。それでも昔社会の教科書の写真で見たエンタシスの柱をナマで見て感動した。
17:42~18:29 京都府城陽市:梅湯 走行距離:1690km
道路沿いに銭湯の看板が見えた。まだ時間が早いような気がしたが入浴することにした。
ゆっくり浸かった後、脱衣所でふと上を見ると防犯カメラが設置されているではないか。前に窃盗でもあったのだろうか?それにしてもひどいではないか。クソッ、無料で珍宝を開帳してしまった。
帰るとき、番台のおばさんに「おおきに」と言われたが、「大きい」とは言われなかった。
19:22~19:43 宇治市:平等院 走行距離:1698km
平等院の看板を発見、早速向かう。宇治川のたもとにそれはあった。夜になり閉館していたが、木々の隙間からチラッと見えた。おお、まさに10円玉だ。
20:00~21:00 瀬田川沿いの山道
明日の目的地、三室戸寺の場所を下見。ここの寺の駐車場は夜間閉鎖されており、 他の場所を探さなければならなくなった。天ヶ瀬ダムの方に向かって走る。だが、いい場所が見つからない。宇治川沿いにそのまま車を走らせる。しばらくして橋をわたり、対岸に行ってみた。
こっちにもいい場所が見つからない。走りつづけると、どんどん道が狭くなり、 街灯もなく、昨夜の高野山状態。それでも走り続けてると、 いつのまにか三室戸寺のそばに来ていたのだった。時間とガソリン代の無駄。なんてこった。
21:19 宇治市:黄檗病院裏の墓地駐車場 走行距離:1732km
気を取り直して再び周辺をまわってみた。そして、すぐにいい場所が見つかった。さっきの一時間は何だったのだろう。
墓地の裏手の駐車場。ここなら誰もこないだろうし、ゆっくり眠れるだろう。怖くはないが少し気持ち悪い。永眠しないことを祈りながら墓地墓地就寝。