
9月某日、青森県弘前市に位置する、百名山の一つ、岩木山に登って来ました。
この日は青森県三沢市で開催される三沢基地の航空祭に行く気満々だったのですが、同行者予定者が前日になってやっぱり行かないと言い始めました。全く…秋の空よ。
まあ航空祭はマンネリだし(失礼)、一人で行ってもつまらないし、だったら同じ青森の山に久しぶりにソロで登ろうかと、バチェラーのように岩木山にローズを渡しました。
深更3:15、自宅出発。夜明けとともに弘前市入りしました。目の前にそびえる岩木山の山頂部は、残念ながら雲に覆われています。
5:50、登山口のある岩木山神社駐車場到着。奇跡的に山頂部の雲が取れかかってきました。
6:00、鳥居をくぐり参道を歩き始めました。ステージ1の始まりです。
趣のある長い参道を登り詰めますと、本殿前へと出ました。早朝なので、本殿の扉は閉まっています。
ここで閉まった扉へ二礼二拍手一礼し、左手にある登山道へ向かって進みます。
なだらかな林道をしばらく歩くと、キャンプ場に出ました。ここの真ん中を突っ切り、さらに上を目指します。
ここでは早起きし、テントの整理をしているキャンパーの姿が何組か見られました。
そして百沢スキー場到着。天高い、抜けるような秋の空よ。山頂がバッチリ見えてきました。
ゲレンデを登っていきます。程なく左手の森に、登山道の標柱が見えてきました。そこを曲がると、すぐに三角形の謎のオブジェが二点ありました。その間を通って、本格的な登山が始まりました。
生えている木、標高の低い場所は杉、そしてミズナラ、やがて灌木と変化していきました。
この山の中腹部は静かでした。無風なので葉っぱの擦れる音はしません。立ち止まりますと無響室並みにシーンとしてます。
歩くと、靴音、衣擦れの音、ザックの中のペットボトル飲料のチャポンという音はしますが。先日の、砲声轟く岩手山とは大違いです。
なだらかな勾配の登山道を登っていくと、焼止ヒュッテに到着しました。ここからステージ2の始まりです。
ここまで単調な土の道でしたが、ここからは岩に変わりました。勾配もきつくなりました。この勾配の変化は、まるで熊本城の石垣の武者返しのようです。
アザミの群生が綺麗です。この辺りから、ガスがかかったり、晴れ間が覗いたり、目まぐるしく空の状況が変わりました。
やがてせせらぎが聞こえてきました。水がそばにあるというだけで、なんだかホッとします。本能的なものでしょうか?
視界が開けてきました。右手のパイプから、山水が勢い良く出ています。口をすすごうと手のひらで受けたところ、雪解け水のように冷たく、すぐに手のひらが痛くなってしまいました。ついでに顔を洗って気分一新。
以前登ったときはこの辺にミチノクコザクラという可憐な高山植物が咲いていて、今日も楽しみにしていたのですが、とっくに時期が終わっていたようで、残念でした。
種蒔苗代。荒々しい稜線の岩々に見とれてしまいます。
池の脇を通り急勾配の坂を登っていきます。
そして稜線到達。リフト登山道との合流地点に出ました。そこにあるのが鳳鳴ヒュッテ。昔、ここで遭難事件がありました。「空と山のあいだ」(田澤拓也・著)という本に詳しいです。
ここから壁のような岩場の登攀が始まります。ステージ3、ラスボスです。
ここは右側通行となっております。
少し登っては立ち止まり、呼吸を整えます。それを何度も繰り返しました。
そして山頂到達。3時間45分かかりました。途中でくじけそうになりましたが、なんとかなりました。ラスボス攻略成功です。
山頂部は晴れているのに、下界は雲で隠れて眺望はききません。
小さな神社に手を合わせました。
この山のてっぺんから、三沢航空祭を飛ぶ戦闘機の音がきこえるか、耳を澄ましましたが、全く聴こえませんでした。
また、雲のせいで機影は確認出来ませんでした。さすがに距離が離れすぎで、快晴でも両方駄目でしょうね。
今日のランチは紅鮭のおにぎりと、カップ豚汁です。豚汁は味噌がイマイチ。やっぱり、清酒「太平山」でおなじみ、地元・潟上市の小玉醸造のヤマキウが一番口に合います。
10:00、さて、下山しますか。左手にリフト終点、中央に8合目駐車場が見えます。
上からリフト終点を眺めてますと、続々リフトから下りる客が、まるで大量生産される人型ロボットのように思われ、変な感じがします。
中腹で、これから登るおばさん登山客と会話。「今から登って夕方までに下山大丈夫ですか?」と問うと、「下りはリフトに乗って、バスで帰るから大丈夫」とのことでした。
世界の果てまで行ってQの、イモトアヤコ嬢のようです。その手があったかと感心しました。今度この山に登ることがあったら私も検討してみます。
さて、歩きに歩いてスキー場到着。振り返ると山は相変わらず雲の中です。朝の快晴は一瞬の幻でした。思わせぶりな小悪魔のようです。
岩木山神社の本殿の扉が空いていました。参拝。
この神社は地元の方に愛されているようで、参拝客が絶えません。
13:00、最後の鳥居をくぐりました。下りは3時間でした。駐車場の一角にカランカランアイス売りがいました。早速買いました。
15年ほど前は、球状のアイスをカップへ入れるスタイルだったと記憶しておりますが、今日のは、秋田名物ババヘラアイスの如く、ヘラで盛り付けるやり方でした。
二層になっており、上部がリンゴ味、下部がパイン味わうのがでした。美味しい。これで体が冷却され、また喉の渇きが癒えました。
最後に、自分へのご褒美に、嶽きみ直売所へ車を走らせ、本場のそれを現地で購入し、その場で食べるという贅沢を味わいます。一本250円でした。
手で持つと火傷しそうなくらい熱々の茹でられたキミ。ん?見た目は粒が不揃いで、らしくありません。
ガブリ。ん?甘いは甘いが、とにかく粒が固いです。時期が終盤なので、こんなものでしょうか?食べているうちにあごが疲れてきました。数年前食べた感動の味とは大違いです。ハズレでした。
自宅のお土産用に買ったもう2本は粒が揃っており、これぞ嶽きみと言える、甘くやわらかい感動の逸品でした。
こうして、山頂での眺望はきかず、現地で食べた嶽きみは期待外れで、何とも中途半端な岩木山の旅となりました。
まあバチェラーも、最後の薔薇を渡した相手と破局することがありますからね。
ということで、帰路はアマゾンプライムビデオのバチェロレッテ2を見ながら家路につきました。岩木山のように美しく神々しい尾崎美紀嬢を眺めながら。