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イイね!
2016年05月21日

零菱.2

 三菱と日産の電撃提携を書いたのが先週の事、そしたら今週はスズキが国の定める燃費計測方法と異なる方法で計測を行っていた、なんて報道が出てきた。まあもうなんだか、いろんなところに飛び火しているこの問題、燃費の話も出たので"零菱"シリーズながら燃費の事を考えてみたいと思う。

 まず、今回の三菱が行った燃費不正の問題、一番の問題は、規定である計測方法のいくつかの項目をちょろまかして、本来の燃費性能よりも良い燃費表示をしていたという事にある。速い話が、ズルをしていた、と。身長計測とか腹囲計測とかで、背伸びとかお腹を引っ込めていた、とかそういった類の話である。

 まあもう、いろんなところで高速惰行法だとか走行抵抗値を小さく入力したとか、色々と話も出ているのであえてここでは書かないが、つまるところ、本来の走行抵抗値よりも小さい値で燃費を導き出したわけである。

 一方のスズキはというと、本来必要とされている実車の惰行法による抵抗値算出を行わず、クルマが走行する時に受ける抵抗値を、ボディ(空気抵抗)、タイヤ(転がり抵抗)、エンジン/ミッション(機械損失)といった、それぞれで計測を行ってクルマの抵抗値として算出した、という。

 まあ例えていうんだったら、身長を測りなさい、と言われて、足の長さと胴の長さと首の長さと頭の長さをそれぞれ図って、足し算して身長を出した、といったもんだろうか。別の意味で凄いのは、スズキが積み上げて算出した抵抗値による燃費計測が、実車の惰行法の誤差の範囲内に入るという(もっとも、その後範囲がどのくらいの幅を持つのかは疑問点ではあるが)。机上計算と実測値がほぼ合致する、という結構な精度だったという事なのだろう。

 ともあれ、燃費が本来よりもよく見せようとするにせよ、測定ばらつきを嫌って異なる計測方法を取ったにせよ、国の定めるルールを逸脱した、という点については両社ともに非があるところというのは否めない。ともすると、他の所、それこそ安全装置でも本来の計測方法と異なる計測をして、良く見せれてしまっているとかいう、あらぬ疑いをかけられる可能性も無くは無い。

 さて、ここまでは、"本来のルールと離れた計測を行っていた"という事に主題を置いて話を書いた。では、いよいよ次はモード燃費と実燃費の乖離、というところに論点を置く事にしよう。

 既成事実、というよりほかないが、実際にカタログに記されているモード燃費と実燃費には乖離がある。なぜか、というとモード燃費の計測は定められた加速と減速を行っての計測であるという事、エアコンを用いないという事、実走行時の外気温/湿度といった環境要因が排除されているという理由がある。では、実燃費と合わせるために、外気温という要因を加えるとかエアコンを用いる事、とか諸々の実際に起こりうる要因を加味して燃費計測をしたら実燃費に近づくのだろうか?

 答えはおそらく、近づくことは目指せてもほぼほぼ同じになることは難しい、だろう。一番の要因は、購入者によってドライビングスタイルが異なるという事、続いて全てをカバーできない気候と道路/路面状況という外的要因、各機械要素の経年劣化度合…等々。

 そして何よりも、計測に当たってそれらの要因を全てイコールコンディションで計測をするという事は極めて難しい事になるだろう。それだったら、統一できる条件、全てのクルマがイコールコンディションで計測をして、同じ基準から計測した場合の燃費をカタログに乗せる事が一番わかりやすいのではないだろうか、というのがモード燃費の発想なのだろう。

 つまり、モード燃費を実燃費で出せる期待値として見るのではなくて、そのクルマを客観的に見た時の燃料消費度合の参考値として、見るべきではないだろうか。そうしてみると、大体コンマ以下の数値はほぼ無視して良くて、A車とB車を比べて5km/l位の差があったら燃費が違うよなぁ、とか思えばいいんではないだろうか。

 軽自動車のモード燃費競争で、0.2km/l上回った、とかみみっちい事やったって、そんなんユーザーのさじ加減一つで充分逆転可能。販売/広告と印象上は、他社をちょっとでも上回っていればいいんだろうけど、そこはほとんど意味がない、という事を我々ユーザーもしっかり理解をしておくべきだと思う。…まあ、誰がコンマ以下の燃費表記を始めたんだか、多分に0.5とか中央を取った時がややこしくて、何だろうけど。コンマ以下なんか無くしちまえ、と思いますが。

 ところで、この話、ハイブリッドカーはもっと話がややこしい。ハイブリッドカーの強み、バッテリーで走行ができるという事。じゃあ、バッテリーの電池が無くなったらどうなるんだろうね?と。JC08モードでの計測というのは約8kmを低速から高速まで走って燃費を算出する。エンジンが冷えた状態からのスタートも加味されているというのだが、ハイブリッドカーの場合、HV用バッテリー残量がゼロの状態から燃費計測を測ることはあるのだろうか?

 残念ながら、それは無い、規定がない。大体の場合、ハイブリッドカーの燃費計測だったら、そりゃスタートはバッテリー満充電の状態からスタート。急加速とか高速域じゃないとエンジンがかからない、だから燃費は良い。では30km位走った後、バッテリーがゼロになった状態でモード燃費を測ってみたら?例えばプリウスなんかの場合、エンジンの動力が、駆動にもバッテリー充電にも用いられるわけだから、相当燃費は悪くなるんじゃないだろうか?

 ここのところが、特にハイブリッドカーのモード燃費と実燃費の乖離が大きい、という理由だと推測する。バッテリー充分の時はよし、バッテリー残量ゼロの時は悪し、間を取れば、ホントはカタログ値の3/4位?とか。ここのところは今後の課題ですよね、モード燃費の。

 そしてもう一つ、モード燃費の問題としては、三菱とスズキが異なる計測方法をした走行抵抗値の算出である。全てをイコールコンディションで測ることが目的のはずのモード燃費なのに、この走行抵抗値はどうも、イコールコンディションにすることが極めて難しくなってしまっているのが実情なのではないだろうか。

 スズキのプレスリリースにもあった、気象条件による外乱が大きくて実車走行抵抗値がバラツイてしまう、という問題、これはこのモード燃費を適用しているすべてのメーカーにとって共通の問題だ。例えば日産は栃木、ホンダも栃木、マツダは広島、三菱が岡山、トヨタは愛知、とそれぞれ別の場所でそれこそ別の季節で実車走行で走行抵抗値を算出している、これって本当にイコールコンディション?

 例えばGT-Rは快晴無風の5月に計測していて、プリウスは台風直撃の8月に計測、デミオは冬の寒い12月に計測…とかだったら、イコールコンディションである、とは言い難い。さすがにここまで極端な例でないにしても、夏と冬、地方による路面の違いというのは、走行抵抗値に大きく影響する因子なのではないだろうか。

 それだったら、それこそスズキが実施していたような、各系統ごとで抵抗値を計測/算出して積み上げる方式にした方が、外乱による影響ははるかに抑えられて、より客観的な燃費になると思えてならない。モード燃費も完璧というわけでは無い、そこをうまく、改良して消費者が比べ易くて実感しやすい燃費というものを採用してほしいものである。

 …あ、ちなみに。どこぞの記事で"メーカーのテストドライバーの技量が優れているから実燃費とは乖離する"なんて話が上がっていたようですが、それは半分あってて半分間違い。

 確かに、メーカーのテストドライバーというのは、ある点において一般ドライバーを凌ぐ技量を持っているのだが、だからと言って実際の燃費より優れた値を出せる、というわけでは無い。メーカーのテストドライバーが優れているある点、というのは、事象の再現性。例えば、60km/hまで0.4Gで加速するメニューをばらつきなく100回再現する、とか、43km/h 1.2Gの旋回を20回再現、とか、JC08モード既定の走行パターンを50回再現、とか。

 そういう、求められた要件に対して繰り返し寸分違わず再現を行う、というのがメーカーテストドライバーが優れている点。意外と普通に街を走らせてみると、普通の運転だったりカタログ燃費を下回って走行するのは当たり前だったりするので。もっとも、JC08モード再現で走行をしていれば、カタログ燃費そっくりの値が出るのだろうけれど(笑)
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Posted at 2016/05/21 19:00:57

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