
いよいよ、東京オートサロン2018が開幕した。クルマ好きにとっての祭典、なんといっても数多くの個性的なクルマは勿論、数多くのパーツ、レース参戦体制の発表等々…勿論、男が多数を占めるこの業界にあって、華を添えてくれるコンパニオンの方々も、目当てという人もいるだろう。特別招待、とはいえ、実際には結構な数流通しているのは御愛嬌、サイレントタイムと呼ばれる9:00~14:00、今年はプレスカンファレンスでメッセの東から西まで、駆け回ったのである。
#1 9:30 トヨタGRスーパースポーツ アンヴェイル

まずなんといっても、今回の東京オートサロンのハイライトともいえる、一台。事前情報でGRがとんでもない一台を出す、という事は聞いていた。その姿を見る限り、WEC参戦のTS050に、何かしら関連がある一台だったのだが…。
ヴェールに包まれている一台のマシンの奥には、プロトタイプシャシーと、さらにその奥にTS050。GRカンパニーの"プレジデント"友山氏のプレゼンテーションは途中から聞いていたのだが、氏自身、TS050を富士スピードウェイでドライブし、だからこそ、これからアンヴェイルされるGRスーパースポーツのプロトタイプも、その血筋を感じるものと胸を張って言える、という一台になっているらしい。
アンヴェイルされたGRスーパースポーツは、TS050よりはスマートに、しかし、確実に流れを汲んでいるデザインの一台に仕上がっている。走行可能な状態にある、とはプレゼンテーションで発表されていたが、しかしアンヴェイルされたモデルはおそらくモックアップであろう。まだまだセットアップ・チューニングを行っている段階だろうけれども、これは今から期待が持てそうだ。
それ以上に気になったのは、CESで公開された"eパレット コンセプト"に言及があった事。これから先、クルマはさらに効率化を果たし、そしてネットワークとつながるコネクテッドカーが全盛となる時代。そして、それらはこのGRスーパースポーツにも当てはまる。
しかし、eパレット コンセプトが、移動に自由度とドライバーに楽をもたらす新世代の馬車であるならば、GRスーパースポーツは自分だけの愛馬である、という言葉に象徴されるように、共有と所有という、別々のベクトルを歩む。だからこそ、クルマと呼べるものは白物家電のようにコモディティ化はしない、という明瞭な道を立てていた。
これは、この後に続いた各社のプレゼンテーションには言及されていなかった点で、GRを投入し、そしてWECにWRCと参戦を続けるリーダー・トヨタの宣言ともとれる、心に響いたプレゼンであった。トヨタ、勢いがある…!
#2 10:00 STi VIZIVパフォーマンスSTiコンセプト アンヴェイル

続いてはお隣のスバル/STiブースでのプレスカンファレンス。この時点で、日産/NISMOのプレスカンファレンスが何時か確認する為、一度西の端っこまで走って、時間がもっと後である事を確認し、東の一番端まで走って走って…ここ久しぶりに全力疾走をしたもんである。
ギリギリ戻ってこれたスバル/STiブース。ヴェールを被っている一台は、事前情報で出ていたVIZIVパフォーマンスSTiコンセプト。冒頭でアンヴェイルが行われたその一台は、東京モーターショーで出展されていたVIZIVのSTiバージョンといって差し支えないだろう。つまり、これがWRX S4/STiの次期型デザインスタディであることは明白だろう。
STi自体が、今年30周年を迎えるという事もあり、歴代のラリーカーから、最新のSTiシリーズまで、スバルブースでは展示が行われている。また同時に、GT300とニュルブルクリンク24時間へ2018シーズンも参戦を行う事が、発表された。もっとも、それ以上に新しい情報はない事から、マシンについてはキャリーオーバーという事か。
#3 10:30 ホンダスーパーGT参戦体制発表

今年のスーパーGTで、一番の興味はホンダのドライバーラインアップ。今でこそ、ヘイキ・コバライネンという元F1ドライバーが参戦しているが、今度はなんと、F1ワールドチャンピオン経験者、ジェンソン・バトンが参戦するという。もっとも、スポット参戦を果たした昨年の鈴鹿1000kmでは、思うような成績を残せておらず、スーパーGTという混走ならではのハンデも。これが初めてだったからなのか、本人の適性の問題なのか…いずれにせよ、ここまで来たら今年走らないわけがない、とは思っていた。
そんなバトン、参戦そのものは確定していたものの、どのチームで走るかは本日が発表。
ARTA 野尻選手/伊沢選手…ほう、伊沢選手が日本に戻ってくるのか。
無限、武藤選手/中嶋選手…無限じゃない!?じゃあ、どこだ…?
ケーヒン、塚越選手/小暮選手…それはまだわかる。
エプソン、ベルトラン・バゲット/松浦選手…という事は、次のあそこしかないのか。…あと一つは?
レイブリック チーム国光、山本選手/ジェンソン・バトン 国光監督のもとで走るのか!
さすがに発表は最後の最後、それにしても、レイブリックにバトンが加入というのは驚きの限り。てっきりワークスといえる無限に加入するものだと思っていたのだが。なるほど、昨年勢いがったチームの方に加入枠が割り当てられた、という事なのだろうか。さて、今年のホンダの躍進はいかに。バトンの走りっぷりも含めて、今年のスーパーGTは楽しみになりそうだ。
#4 11:00 オーテック セレナオーテック発表

プレスカンファレンス最後は、日産/NISMO。しかし、ブースの一番の目玉はNISMOではなく、先日投入が発表されたオーテック。プレゼンテーションで登壇した片桐社長のプレゼンテーションで、セレナ e-POWER オーテックが発表された。
追加されるオーテックブランドの特徴というのは、上質に彩ったエクステリアと、質感を高めたインテリア。スポーツ一辺倒に振ったNISMOとはベクトルを別にし、質感にこだわりぬいたブランドに方向を振るという。
位置づけとしては、ニスモとオーテックは、それぞれ別ベクトルに振っているとも見えるのだが、オーテックの仕様にニスモと同じチューニングを施した、オーテックスポーツスペックというモデルもせていされるという。ニスモ+オーテック=オーテックスポーツスペック、というわけで全部入りが欲しい場合は、このエクステリアにインテリアになる、というわけだ。
セレナが第一弾として、2/1から販売開始されるということだが、この後にはエクストレイルやノートも続くという。標準日産、スポーツのニスモ、上質なオーテック、その両方を持ったオーテックスポーツスペック…なるほど、選択肢はかなり、増えるようですね。
#5 13:20 GT+取材

一通りプレスカンファレンスを見終えて、そして知り合いの方々にも新年の挨拶を終え、一通りざっくりと見て回っていると、こちらもプレスデイ恒例、GT+の収録シーンに遭遇した。谷口さんがいて、自動車大学校のブースにいたという事は、これは"あの"企画の収録というわけですね。
さすがにテレビで聞く時の音量が無かったから、ちょっと聞き取りにくいのは仕方がないが、なるほど、こうやって審査というか一台一台、見ているわけですね。MCの中尾さんにユービームも、カットされた後の会話もチラッと聞いていると、収録時と同じような調子で話しているから、結構素直な感想で話もしているようだ。谷口さんの"いやぁ、これ、いいな"と、ぼやいていたのが、印象的。さて、どんな番組になっているだろうか?
#6 14:00 ケン・ブロック デモラン

屋外エリアは、14時からしか開けず、並んで待つな、という風に13時過ぎ位に向かった時にはいわれたのだが、それを信じて13:45頃に行ってみたら、何ともまあ長蛇の列…騙された。いや、信じた方がバカだった。こういう場合、並んだもん勝ち、ですね。既にできている列から見ると、1列目は絶望的、というかかなり後方で肉眼でも厳しいんじゃないか…
と、思っていたら。穴場を何とか発見。辛うじて、肉眼で、ケン・ブロックの雄姿を収める事が叶った。デモランしている車両はフォードフォーカスで、最近見たV8のアメ車…クルマの名前は思い出せないが…では無かった。それにしたって、屋外ステージ、鉄条網まで用意されていて、数年前までとは様相を変えてしまっている。
ドリフトとかでタイヤ外れて、死亡事故とか起きてしまっている手前、こういう状況になってしまうのは残念ながら仕方がない事だろう。むしろ、今までが緩すぎた、ともいえるのではないだろうか。事故が起こってしまえば、それを防ぐ安全策を講じなければならない。
ド派手なデモランをこんなクリアに見れる穴場…車両の出入り口で見れたのは、幸運ともいえる状況。土日はそれぞれ2回ずつ、デモランを行うそうなので、是非一番前でD1デモランと合わせて観覧するのがオススメ。
最も、YOU-TUBEにもあるようなストーリー性のあるデモラン、というわけでは無かったが…。
#7 15:30 ウアイラロードスター ジャパンプレミア

ケン・ブロックデモランの状況を見ていると、D1キックオフドリフトを一番前で見る事は絶望的。正直D1自体にも最近はあまり興味が薄れているので、一足先に、本日のメインイベント、BHオークションを観るべく、イベントホールへ。事前に色々と記者会見が行われていたのだが、中でも夏に開催されるガムボール3000のイベント概要公表と、そして、ある一台のジャパンプレミアが行われた事は、正直に言ってD1見るよりこっちに来て正解だったと思った。
ジャパンプレミアとしてアンヴェイルされた一台は、パガーニの最新作、ウアイラロードスター。明日、アジア圏初の公式ショールームが開店するとのことで、アンヴェイルを行ったのは、CEOのホラチオ・パガーニその人。ウアイラロードスターの概要と、今後の展望を含めてプレゼンテーションを行ったその姿。
どうせなら、パガーニ自体がブースを設けてもいいのでは、とも思うのだが、いやいや、限られた方々が乗れるパガーニを、一般人うじゃうじゃの中においては、それこそブランドイメージが下がるというもの。BHオークションに参加する、限られた人々の前でだけに姿を現す…。それこそが、限られたプレミアムブランドの価値を維持できる、というものなのだろう。
このすぐあと、目玉のBHオークションが開催されることになるわけだが、あまりにも濃密すぎて、本稿とはまた別に、書きたいと思う次第。勿論、GRスーパースポーツも、もっと詳しく書きたいし、明日撮って知る一台も、別枠で是非に取り扱わせてもらいたく、ひとまずはDay.1プレスリリース編という事で。