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この記事は、日産 GT-R の2013年型、ニュルの公式タイムを発表…7分18秒6について書いています。

　先日、R35型GT-R2013年モデルが発表されたがニュルブルクリンク北コースラップタイムは公表されていなかった。昨年モデルを例外として毎年ラップタイムを公開してきただけに、そのタイムは注目の的であるが、ようやく公開された。

　7分18秒6が、2013年モデルのニュルブルクリンクラップタイム指標との事である。今回のGT-Rの改良点は、
1.インジェクターの変更
2.ターボチャージャーへオリフィス追加
3.オイルパン内にバッフルプレート追加
4.サスペンションセッティング変更
5.キャンバー調整カムボルト採用によるアライメント精度向上
6.ドライブシャフト/ハブベアリング締付トルク見直しによる信頼性向上
7.インストメンバー部の剛性向上
　といったところがメカニズム面での変更(参照元:http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2012/_STORY/121102-01-j.html)ラップタイム向上、という点に絞ってみると1-4と7が影響しているだろう。

この点から(勝手に)考察してみると、インジェクターの変更によって、より高精度な燃料噴射が果たされているとのこと。高精度な燃料噴射は、簡単に言うと、今までアクセル開度に応じて0-100％の間を1％ずつ調整していたのが、0.1％ずつ調整が可能になった、というイメージだろう。この二点によって、パーシャルスロットでより緻密にアクセルコントロールができるようになった、と考えられる。この点は、アクセルを全開にして走っているというより、アクセルコントロールをしている過渡領域に影響するから中回転域のレスポンス向上の大半はインジェクターの変更によるものだろう。

　ターボチャージャーの過給バイパスにオリフィスを追加した点は、過給圧の急激な低下を抑制する事によって高回転域で加速が持続できるとのこと。これは、少々原理がわからない(苦笑)過給圧センサーの過剰反応でブースト圧が急激に減少する事があったのだろうか。とにかく、高回転域で過給圧がかかり続けるから加速を続けますよ、ということであるだろう。

　オイルパンのバッフルプレート追加は、クランクシャフトが巻き上げるエンジンオイルの流れ方を最適化し、それによってエンジンオイルによるクランクシャフトの抵抗を減少させる。これはつまり、クランクシャフトが回り易くなる、という事だから全ての回転域でエンジンのレスポンスの向上に貢献していると言えるだろう。

　一般に言われている、中回転域のレスポンス向上には1と3が、高回転域での加速の伸びは2と3が大きく影響しているだろう。

　サスペンションセッティングの最適化は、タイアやブッシュといったゴム部品のたわみを考慮してロールセンターを下げ、それに伴って変更されているようだ。クルマは動いている以上、実際に走行している時のロールセンターと静止時のロールセンターには違いが生じてくる。今回のモデルチェンジではこのロールセンターの変化にメスを入れた、という事なのだろう。キャンバー調整カムボルトの追加も、これに伴うものではないだろうか。

　最後に、インストメンバー部の剛性を上げることによって車体そのものの剛性を向上しサスペンション性能の向上に対応することができたとのこと。ステアリング取り付け部でもある為、ステアリング剛性向上や、それに伴うステアリングレスポンス向上、高速走行時の安定性向上にも大きく影響しているのではないだろうか。

　走行性能に関する仕様変更は以上だが、インテリアの質感向上も行われている。もっとも、GT-Rは性能に目が行ってしまい、インテリアは実際に見てから判断したいところ。しかし、こういった年次改良をしっかりとこなしているのはさすがチームGT-Rと言えるか。もはや完全に、GT-Rというクルマの"チューニング"-調律-という域に入ってきていると言えよう。