前回「カブトムシ全般の産卵について」を説明しましたが、今回は続きでして、「カブトムシの幼虫の育て方、幼虫~蛹~成虫へ」を説明します。
今回は、幼虫、蛹の画像だらけですので、苦手な方は閲覧要注(幼虫…(笑))意⚠️です…😅
卵~孵化までの管理は、「産卵セットを孵化まで待つ」方法と、「採卵して孵化を待つ」方法があります。
「産卵セットを孵化まで待つ」方法では、産卵セットに投入して1ヶ月後に♀を取り出し、さらに1ヶ月待ちまして、飼育ケースの外から幼虫が見えましたら、幼虫を取り出します。
「採卵して孵化を待つ」方法は、交尾済みの♀を産卵セットに投入して2週間後に、一度産卵用セットを大きめのケースに開けて産卵状態を確認します。
採卵した卵は素手では無く、スプーン🥄等を使用し、マットで卵を覆うようにすくいあげて、別に管理します。
プリンカップに加水したカブトマットを詰めて、窪みを作り、その上に卵を置き蓋(針等で小さめに穴を開けて下さい)をして孵化を待ちます。
左が産卵間もない卵、右が孵化直前の卵です。
卵の殻を破って幼虫が出てきます。
卵は1ヶ月位で幼虫になります。(3ヶ月位かかる種類(グラントシロ)もいます)
幼虫はカブトマット(高栄養)を餌とします。
右から日本のカブトムシの1令、2令、3令幼虫です。
日本のカブトムシの3令幼虫(上)と孵化間もない幼虫(下)です。
幼虫は餌をけちると育ちが悪くなる(特に大型の♂を狙って育てる場合)ので、なるべく1つのケースに1匹ずつもしくは、大きなケースに3~4匹ずつ入れて下さい。
餌の交換は、カブトムシの幼虫は大食い(特に外国産)ですので、冬以外は幼虫の糞の多さを考慮してですが、だいたい約1ヶ月位で交換します。
その際、新しいマットの上に以前幼虫が食べていたマット(糞も含めて)を新しいマットと混ぜて詰めます。
こうする事で、幼虫が新しいマットに馴染みやすくなります。(ごく稀にですが、新しいマットだけだと幼虫が餌を食べなくなる事があります…。どうもバクテリアの関係?らしいです。)
国産の幼虫は冬越しをします。
カブトマットを深めに入れて、飼育ケースをなるべく凍らない場所(0℃以上~10℃)に置き、段ボールや毛布をかけて下さい。
冬の間は餌を食べないので、餌交換は必要ありません。
時々霧吹き等で水分を与えて下さい。
春になりましたら、一度餌を交換します。
外国産の幼虫は、温室等を使用し温度管理(15℃~20℃)をして下さい。
餌は、食べ続けますのでケースの大きさによりますが、1ヶ月~2ヶ月を目安に餌を交換します。
ちなみに、国産の幼虫も温室で温度管理して餌を与えて続けると、次の年の春頃に成虫に羽化します。
順調に育てば、国産の幼虫は次の年の6月頃に黄色くなり、蛹になる(蛹化)準備をします。
幼虫は、マットの固めた部分に蛹になるための部屋(蛹室)を作るので、幼虫が黄色くなりましたら、カブトマットを深め(深さ20cm位)に入れて、飼育ケースの底の方をガチガチに固めて下さい。
国産は蛹室を縦に作ります。
また、ヘラクレスオオカブト等の多くの外国産のカブトムシは蛹室を横に作ります。
幼虫~蛹~成虫になるまでの間に飼育ケースをいじくりまわすと、死ぬ事があるので、なるべく刺激を与えないで下さい。
幼虫は、飼育ケースの側面や底部に沿って蛹室を作る傾向があり、ケースの外から蛹室を作る様子を確認出来る場合が多々あります。
蛹室を作って、だんだん茶色になります。
背中が割れて蛹が出てきます。
だんだん色が濃くなり、オレンジ色になります。
色がだんだん黒くなり、蛹の皮を脱ぎ始めます。
羽化したばかりの成虫は頭と胸は黒いですが、羽は白いです。
だんだん羽の色も色づいて、体も固まり始めます。
その後約1週間で体が完全に固まります。
まだ、体を休ませているので、動き始めるまで触らないで下さい。
動き出してから、ようやく餌を食べ始めます。
繁殖させるには、国産の場合、餌を食べ始めて(後食)から約2週間位かかります。
ヘラクレスの蛹化です。
ヘラクレスの羽化です。
上が♂、下が♀です。
国産は、幼虫期間は約8ヶ月(冬越しを含めて)ですが、ヘラクレスオオカブトは約12~22ヶ月、ネプチューンオオカブトは約18~26ヶ月、ゾウカブトは約18~28ヶ月(38~45ヶ月の種類もいます…💧)、アトラスオオカブトは約12~25ヶ月、コーカサスオオカブトは約18~25ヶ月かかります。
国産の♂と♀はだいたい同時期に羽化しますが、ヘラクレス等、特に♂が大型に成長する種類は、♀の方が早く成虫に羽化する傾向が強いので、同じ兄弟同士で次世代を狙う場合、♂と♀の交尾可能なタイミングが合わず、繁殖が難しくなってしまうケースが良くあります…💦
その♂と♀との羽化のタイミングが同時期に合致しない事を「羽化ズレ」と呼んでいます。
この羽化ズレを解消するには…
・「温度差のメリハリをつける事」
幼虫時に♂♀の判別が出来るようになりましたら、「♂を高めの温度の所に置き、♀を低めの場所に置く」
具体的な例ですが、♂を25℃、♀を20℃の場所に置きます。
・「孵化日の違う♂♀で繁殖を考える」
早く孵化した♂幼虫と遅く孵化した♀幼虫で羽化までの時間差を合わせます。
具体的な例ですが、♂幼虫は1月に孵化で10月に羽化、♀幼虫は4月に孵化で10月に羽化。
・「♂♀幼虫を同じ容器で羽化させる(多頭飼育)」
幼虫は複数での飼育の場合、近くの幼虫が蛹化の準備を始めると、それに反応して自分も蛹化の準備をするという説です…。
実際は、小型の♂ばかり羽化してしまうから偶然にも♀との羽化時期が合ってしまうのではないかという事らしいです…。
羽化ズレを解消する方法は、♂を♀の羽化時期に合わせますので、どうしても小型~中型の♂が羽化してしまいます…。
それでも、羽化ズレがある場合は、♂だけもしくは♀だけをショップ、オークションで購入する方法があります。
ちなみに、カブトムシの幼虫の♂♀の判別ですが、ある程度大きくなった幼虫のお尻から数えて第2節の中央部に白い点が浮かび上がるのが♂、浮かび上がらないのが♀です。(100%ではありませんが…)
○で囲っている白い点が浮かび上がるのが♂です。
幼虫を触る際、幼虫を傷つけたりしないよう、また幼虫の大顎に注意です⚠️
ヘラクレスオオカブトは後食~繁殖までが約3~4ヶ月、ネプチューンオオカブトは約4~6ヶ月、ゾウカブトは約2ヶ月、アトラスが約2ヶ月、コーカサスが約2~3ヶ月かかります。
外国産は、羽化してから動き始めるまで、じっくりと体を休ませる事が繁殖の成功のカギだと思います。(ネプチューンオオカブトは特にこの傾向が強いです)
国産は成虫になってからの寿命は3~4ヶ月ですが、ヘラクレスは10~14ヶ月、ネプチューンは8~12ヶ月、ゾウカブトは3~4ヶ月、アトラスは6~12ヶ月、コーカサスは6~12ヶ月寿命があります。
ヘラクレスの成虫はカブトムシの中で長寿で、長く成虫の観賞が出来ます❗
個人的に最もお気に入りなネプチューンオオカブト(ペルー、エクアドル、コロンビア、ベネズエラに分布)
最大体長は165mmになります。
上が♂、下が♀です。
グラントシロカブト
最大体長は85mmです。
アメリカ合衆国アリゾナに分布しています。
卵~孵化までが何故か非常に時間がかかります。
レアなサタンオオカブト
最大体長は115mmです。
ボリビア・ラパス県(ユンガス山脈)やコチャバンバ県などの標高1000 - 2800mの熱帯雨林に断続的に分布しています。
野外品は、ワシントン条約(絶滅おそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約 CITES)の附属書IIに掲載されています。
飼育はネプチューンオオカブトに準じます。(ネプチューンの方が難しいとの説があります。)
ヘラクレスオオカブト(♂)
ネプチューンオオカブト(幼虫)
現在、我が家ではカブトムシはヘラクレスオオカブト(成虫、♀は産卵中)、ネプチューン(幼虫)を飼っています❗
マルスゾウカブトは飼育スペース等の関係上、いつもお世話になっております虫ショップにて買い取りを致しました。
以上で「カブトムシの幼虫の育て方、幼虫~蛹~成虫へ」の説明を終わります。