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タツ1016のブログ一覧

2023年01月17日 イイね!

俺はあの日を忘れない…

俺はあの日を忘れない…
「ミシッ…」


「ドガガガガ‼」


「ドドーーーーーン❕」



それは突然きた。


「うあああああああ!なんや?なんや?」


シェイクされるように激しく揺れる床、ガラスの割れる音、轟音のような地鳴り…



平成7年1月17日午前5時46分



夜明け前の冷え切った神戸の街を突然震度7の大地震が襲った。


JR神戸駅にほど近い3階建てのアパートの1階で寝ていた俺は一体何が起きたのか分からなかった。


部屋にトラックでも突っ込んだのかと思ったが、立ち上がることのできない揺れと天井からパラパラと降ってくる砂?(揺れで2階が下がってきたため)で「これ地震か⁉」と理解した。(神戸はこれまで地震がほとんど無かった)


隣の部屋には12月に生まれたばかりの子供と妻が寝ていた。


助けに行きたいが俺は布団の上で四つん這いになったままどうすることもできずただ前後に激しく揺さぶられ続けた。

「おい!大丈夫か?今そっち行く‼」

停電のせいで何も見えない。

なんとか立ち上がると横揺れで壁に左半身をぶつけた。

床が盛り上がり、天井はバキバキと音を立てた。


(アカン、ここまでか…)


俺は生まれて初めて死を覚悟した……


キッチンの方では「ドスン‼ガシャン‼」と冷蔵庫や食器棚が倒れる音がした。


(なんも見えん…)


激しく揺れる暗闇の中手を伸ばすと柱に当たった。


柱につかまりながら隣の寝室の戸を開けよろめきながら中へ駆け込んだ。


(どこにおるんや…!?)


膝をつきながら手を伸ばすと布団の上にしゃがんでいる妻に当たった。


外の外灯も全て停電しているため全く何も見えない状態なのだ。


俺「大丈夫か?○○(子供の名前)は?」


妻「大丈夫!今抱いてる!」


俺「この家はもう潰れる!外に出るぞ‼」


子供を抱いている妻の手を右手で引き、左手は壁を探りながら玄関へと向かう…


暗闇の中倒れたテレビやタンスをまたぎ、割れた窓ガラスをパリパリ踏みながら…


(なんとか間に合ってくれ… 外に出るまで…)


俺は藁にもすがる思いで祈った。


斜めになっている玄関ドアが半開きになっているのが辛うじて見えた。


「出れる!早よ来い!」


子供を抱いた妻を前にやり俺は後ろへ回った。



まだ揺れは収まらない…



玄関ドアがこの世とあの世の境目に見えた…







俺たち3人は助かった。


住んでいたアパートは倒壊ギリギリの状態で傾きながら耐えていた。


近くの交番に避難するともうたくさんの人たちで溢れかえっていた。


生まれたばかりの子供がいると言う事で毛布を貸していただき子供と妻は暖かいストーブのそばに座らせてもらった。


不思議にその日はなかなか夜が明けなかったような気がする。



周りが明るくなってきた頃俺は近くのマンションの屋上に上がってみた。



そこで俺の目に映ったのは恐ろしい光景だった…



市内中いろんな所からモクモクと黒い煙が立ち昇り長田区方面は赤い炎が広がりその一帯は黒い雲に覆われていた。



不意に空からひらひらと黒いものが降ってきた… 


まるで黒い雪のように…



よく見てみるとそれは火事で遠くから風に乗り降ってきた「煤(すす)」だった…



何も考えられなかった…



生まれ育った街が変わり果てていく姿をただ呆然と見つめていた…












俺たち家族はこの数日後に妻の実家北海道の函館へ渡った。


震災により子供のミルクやオムツが手に入らなくなったからだ。


荷物をまとめ、1日かけて船で関空まで行き(陸路は壊滅的)函館空港までの搭乗手続きをした。


当時乗っていた愛車赤のFC3S(サバンナRX-7)を置き去りにして…


大阪は神戸の惨状がウソのように平穏に見えた。


生まれたばかりの(生後1ヶ月)赤ん坊を飛行機に乗せるのは心配だったが離陸時、着陸時には手で耳を塞いであげて事なきを得た。(気圧の変化による鼓膜への影響が心配だった)


機内で俺の前の席に座ったサラリーマン風の男がおもむろに「バサッ」と新聞を開いた。


大きな見出しに「さらば、神戸」とあった。



どうやら俺たちみたいな人が大勢いるらしい…




俺は飛び立つ空から複雑な気持ちで小さくなっていく西の街(神戸方面)を見下ろした…









俺はあの日を忘れない…


















Posted at 2023/01/17 10:26:20 | コメント(0) | トラックバック(0) | 雑感 | 日記
2023年01月10日 イイね!

~「小悪魔引退と後日談」~

~「小悪魔引退と後日談」~
大騒動の一夜が明け…



朝起きていつも通り小学校に行く準備をしようとした時にオカンが

「今日は学校休んで病院いくで~大丈夫やと思うけど一応検査せなアカンから」

「それからオカンと一緒に警察な~あんた昨日あったことちゃんと話すんやで」

オカンはすっかり元気になったようだった。

「うん…」

俺は正直面倒くさかった(~_~)

あの悪夢の夜から逃れられただけで良かった…

というか昨日のことはもう思い出したくなかった。

「なあ、オカン…」

「何?」

「昨日山で宇宙人に追いかけられた言うたら信じる?」

「は?宇宙人⁇そんなんおるわけないやろ(笑)」

「スポック船長と日本兵…」

「アハハハハー(´▽`)なんやそれ、新しい漫才師かいな?笑わさんといてや…」

「‼…あんた…それホンマやったら変質者やで!今日ちゃんと警察で言うんやで!」

(これ、多分ホンマの事言うても信じてもらえんやろな~)

(大人達には転んで怪我して気を失ってただけって事にしとこう)

病院に行く前に俺なりに色々考えた。


その日俺が通う小学校では臨時の全校朝礼が行われ、俺の事件には一切触れずに
「○○山付近には絶対に近づかないように」という話を校長がしたらしい。


でももうその日の学校内では俺の話題で持ち切りだった。


昨日の夕方オカンが俺を心配して色んな友達に電話をかけまくっていたのと消防車やパトカーが何台も来たのを見に来た野次馬の中にも同級生がいて友達の親数名も水源地捜索には加わっていた事などでみんなに知れ渡ってしまった。


病院では体中見られ、レントゲンに脳波の検査⁉までされた。

右膝のケガはけっこう深く切れていたがもうふさがっていた。


警察署では代わる代わる刑事に調書⁉を取られ山のどの辺まで入ったかをしつこく聞かれた。


人は見てないか聞かれたけど誰も見なかったと答えた。


俺は祠を壊したのがバレたら嫌なので木漏れ日のトンネルまでしか行ってないと答えたが刑事はその上の砂防ダムまで行ってたことを知っていた。


後から知ったことだがこの日の早朝から夕方まで木漏れ日のトンネルから上は立ち入り禁止にされ警察による捜査が行われたらしい。


多分俺が山の奥まで立ち入った痕跡があったのだろう。



あと畑のおばちゃんの家は春先に引っ越して今は空き家になっているらしい…



警察署からの帰りにオカンと近くのうどん屋に入ったら店主のおやじから「タッちゃん無事でよかったなぁ~、ほんまよかった。元気な顔見れたからお代はいらんで~」ときつねうどん二人前をサービスしてくれた。

オカンはしきりに恐縮していたが俺は恥ずかしかった…


家に戻り俺は自分の部屋で一息ついていた。


「アンタは今日は遊びに行ったらアカンで!部屋でゆっくりしとき。オカン洗濯物たたむわ」


廊下からトントンと二階に上がっていく足音が聞えた。


「わかっとー」(・ω・)


俺は部屋の窓からボーッと外を眺めてた。



遠い空の下に○○山方面が見える…



(昨日の事はきっと全部夢やったんやろな… 山に登る時に木漏れ日のトンネル
でぶら下がってた木のツルに頭ぶつけて倒れてるうちに怖い夢を見ただけや)


(獅子舞もスポックも日本兵も夢やなぁ…トラックが宙に浮くこともありえんし、あそこで倒れてる間に夜になってしもたんやな…これなら辻褄も合うし)


俺は二階のベランダで洗濯物を取り込んでいるオカンに聞こえるように部屋から叫んだ。



「オカン!昨日はごめんな!俺、昨日○○山で走ってて木のツルにぶつかって気絶してたみたい。今思い出したわ。これから山行く時は気を付けて行くで!走らんようにして周りにも気を付けるわ。もちろん○○山には行かんし!」


(…せやけど足のケガはいつしたんやろ…?ジュリ蔵の祠も壊したはずやし…服も靴もドロドロやったし…何よりも警察が砂防ダムまで行ったのを知ってたし…やっぱり辻褄合えへん… …)




(これもう一回○○山に行って真相を…)





「キャーーーーーーーーッ‼」





突然二階のベランダからオカンの悲鳴が聞えた。




「オカン‼」



咄嗟に俺は身をひるがえし慌てて二階へ駆け上った。



部屋の真ん中で洗濯物を畳んでたオカンが腰を抜かしたように震えながらベランダの外を指さしていた。


「あ…あれ…あれ…」



ベランダの外にまだ干してある洗濯物。



その中に昨日俺が着ていた白い体操服。



その胸のあたりに黒くて大きな水牛(ノコギリクワガタ)が標本のようにくっついていた…


(あ…あいつや…)(゚д゚)!


「早く、早くどないかしてや!あれクワガタやろ⁉早う取って‼」


オカンが俺の背中に回って叫んだ。


俺はゆっくりとソイツに近づいた…


しかし怖くて捕まえることに戸惑った。


(昨日のヤツや…何で⁉こいつホンマにクワガタやろか…?)


体操服にピッタリとくっついていた水牛は微動だにしない。


そーーっと近くまで顔を寄せたらソイツも俺を見てる気がした。


黒いビーズのような目に俺の姿が映った… 

そのとたん


「ブーーーーーーーーーーン」


大きな黒い羽根をはばたかせ空へ向かって飛び立った…


「あーー!何で逃がしてしまうん‼」


後ろからオカンの声がしたが俺の耳には届かなかった。



俺は知っていた。




クワガタが昼間飛ばないことを。




俺は確信した。




昨日の出来事が夢ではないことを。





太陽に向かって上昇しながら小さくなっていく姿を見送りながら俺はオカンに言った…
 





「俺、二度と○○山に行かへん」









俺はこの日を境に罰当たりな小悪魔を引退した…








その後バイク好きなツッパリになりましたとさ… (・ω・)<めでたし×2






~~~~~あの日の後日談~~~~~~(各人証言)~~~~~~






Tちゃん 「家の前が騒がしなったから単車パクリに誰か来たんか思うて出てみたらえらい騒ぎになっとった。ほんで聞いたらタッちゃんが行方不明言うやんか。とりあえず単車で水源地探そう思ったらKのオッサンが多分○○山やいうから飛んで行ったら橋の向こうの山道でごっつい霧の中倒れとったわ。霧出てたから単車おいて行ったんやけどそのまま行ってたら轢いてしもとったかもしれんわ(笑)タッちゃん家に届けてからえらいポリと揉めたけど、おとがめなしになったで(ニカッ)」



Kのおっちゃん 「Kの散歩から帰ってきたらタッちゃんのおかあちゃんがタツオ六時過ぎても帰ってこうへんって聞いてわしピーンときたんや。○○山やってな。おかあちゃんには暗くなっても戻らんかったら110番せえ!言うて○○山までバイクで探しに行ったけど見当たらんかった。砂防ダムまで行ったとしたらわし足悪いからそこまで登られへんねや。ほんで家まで戻ってきたら町内会長まで話が回っててもう警察呼んで水源地捜索してる言うがな、ビックリしたわ。したらなんでか木刀持ったTが何事かと聞きにきたから訳を話してTを○○山に向かわせたんや。まぁ生意気な奴やけどこういう時頼りになるわな~」



町内会長 「あの日夕涼みに外出たらタッちゃんのお母さんが家の前で泣いてたんや。訳聞いたらタッちゃんが水源地に遊びに行って帰ってこうへんいうがな。夏やいうたかてもう七時前や、万が一のこと考えて町内会で電話回してみんなに集まってもろたがな。ほなら中に消防隊員もおってそこから警察まで連絡行ってひと騒動になったわな。タッちゃん見つかった後やけど新聞記者やらテレビ局も来よったんやで、全部追い返したったんやけど」


「それとな結局見つかってホッとしたんやけど、あの○○山はアカンで。わしの爺さんから聞いた話しやけどあの界隈は昔○○村って言われた世間から隔離された村があったんや。村人は山から一切降りてこず誰かが村に入ろうとしても激しい抵抗にあった。そのうち村に研究施設のようなものが建てられ大きなアンテナが張り巡らされ、道路は封鎖された。爺さんがその建物に興味を持ち隠れて見に行った時には建物内に外人の姿が見えたという。気味の悪いその建物に市からの調査団が入ろうとしたが全員謎の体調不良に見舞われ諦めた。そのうち日本が戦争に巻き込まれそれどころではなくなり、終戦後のある日見に行ってみれば村には誰もおらず廃墟化していた。廃墟の村の中心部には小さなお社が建てられていてそこだけがきれいな状態で残っていたという。噂では徴兵を逃れるためにその村に逃げた若者もいたらしい…」









小悪魔シリーズはこれで終わりです。







長編シリーズ最後までお読みいただきありがとうございました。





















Posted at 2023/01/10 11:10:43 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小悪魔スピンオフ | 日記

プロフィール

タツ1016です。函館市在住の53歳。バイクと車をこよなく愛する昭和な男です。独りよがりのくだらない日々の雑感や昔の思い出なんかを気が向いたら書き綴っていこうと...
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