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タツ1016のブログ一覧

2023年01月10日 イイね!

~「小悪魔引退と後日談」~

~「小悪魔引退と後日談」~
大騒動の一夜が明け…



朝起きていつも通り小学校に行く準備をしようとした時にオカンが

「今日は学校休んで病院いくで~大丈夫やと思うけど一応検査せなアカンから」

「それからオカンと一緒に警察な~あんた昨日あったことちゃんと話すんやで」

オカンはすっかり元気になったようだった。

「うん…」

俺は正直面倒くさかった(~_~)

あの悪夢の夜から逃れられただけで良かった…

というか昨日のことはもう思い出したくなかった。

「なあ、オカン…」

「何?」

「昨日山で宇宙人に追いかけられた言うたら信じる?」

「は?宇宙人⁇そんなんおるわけないやろ(笑)」

「スポック船長と日本兵…」

「アハハハハー(´▽`)なんやそれ、新しい漫才師かいな?笑わさんといてや…」

「‼…あんた…それホンマやったら変質者やで!今日ちゃんと警察で言うんやで!」

(これ、多分ホンマの事言うても信じてもらえんやろな~)

(大人達には転んで怪我して気を失ってただけって事にしとこう)

病院に行く前に俺なりに色々考えた。


その日俺が通う小学校では臨時の全校朝礼が行われ、俺の事件には一切触れずに
「○○山付近には絶対に近づかないように」という話を校長がしたらしい。


でももうその日の学校内では俺の話題で持ち切りだった。


昨日の夕方オカンが俺を心配して色んな友達に電話をかけまくっていたのと消防車やパトカーが何台も来たのを見に来た野次馬の中にも同級生がいて友達の親数名も水源地捜索には加わっていた事などでみんなに知れ渡ってしまった。


病院では体中見られ、レントゲンに脳波の検査⁉までされた。

右膝のケガはけっこう深く切れていたがもうふさがっていた。


警察署では代わる代わる刑事に調書⁉を取られ山のどの辺まで入ったかをしつこく聞かれた。


人は見てないか聞かれたけど誰も見なかったと答えた。


俺は祠を壊したのがバレたら嫌なので木漏れ日のトンネルまでしか行ってないと答えたが刑事はその上の砂防ダムまで行ってたことを知っていた。


後から知ったことだがこの日の早朝から夕方まで木漏れ日のトンネルから上は立ち入り禁止にされ警察による捜査が行われたらしい。


多分俺が山の奥まで立ち入った痕跡があったのだろう。



あと畑のおばちゃんの家は春先に引っ越して今は空き家になっているらしい…



警察署からの帰りにオカンと近くのうどん屋に入ったら店主のおやじから「タッちゃん無事でよかったなぁ~、ほんまよかった。元気な顔見れたからお代はいらんで~」ときつねうどん二人前をサービスしてくれた。

オカンはしきりに恐縮していたが俺は恥ずかしかった…


家に戻り俺は自分の部屋で一息ついていた。


「アンタは今日は遊びに行ったらアカンで!部屋でゆっくりしとき。オカン洗濯物たたむわ」


廊下からトントンと二階に上がっていく足音が聞えた。


「わかっとー」(・ω・)


俺は部屋の窓からボーッと外を眺めてた。



遠い空の下に○○山方面が見える…



(昨日の事はきっと全部夢やったんやろな… 山に登る時に木漏れ日のトンネル
でぶら下がってた木のツルに頭ぶつけて倒れてるうちに怖い夢を見ただけや)


(獅子舞もスポックも日本兵も夢やなぁ…トラックが宙に浮くこともありえんし、あそこで倒れてる間に夜になってしもたんやな…これなら辻褄も合うし)


俺は二階のベランダで洗濯物を取り込んでいるオカンに聞こえるように部屋から叫んだ。



「オカン!昨日はごめんな!俺、昨日○○山で走ってて木のツルにぶつかって気絶してたみたい。今思い出したわ。これから山行く時は気を付けて行くで!走らんようにして周りにも気を付けるわ。もちろん○○山には行かんし!」


(…せやけど足のケガはいつしたんやろ…?ジュリ蔵の祠も壊したはずやし…服も靴もドロドロやったし…何よりも警察が砂防ダムまで行ったのを知ってたし…やっぱり辻褄合えへん… …)




(これもう一回○○山に行って真相を…)





「キャーーーーーーーーッ‼」





突然二階のベランダからオカンの悲鳴が聞えた。




「オカン‼」



咄嗟に俺は身をひるがえし慌てて二階へ駆け上った。



部屋の真ん中で洗濯物を畳んでたオカンが腰を抜かしたように震えながらベランダの外を指さしていた。


「あ…あれ…あれ…」



ベランダの外にまだ干してある洗濯物。



その中に昨日俺が着ていた白い体操服。



その胸のあたりに黒くて大きな水牛(ノコギリクワガタ)が標本のようにくっついていた…


(あ…あいつや…)(゚д゚)!


「早く、早くどないかしてや!あれクワガタやろ⁉早う取って‼」


オカンが俺の背中に回って叫んだ。


俺はゆっくりとソイツに近づいた…


しかし怖くて捕まえることに戸惑った。


(昨日のヤツや…何で⁉こいつホンマにクワガタやろか…?)


体操服にピッタリとくっついていた水牛は微動だにしない。


そーーっと近くまで顔を寄せたらソイツも俺を見てる気がした。


黒いビーズのような目に俺の姿が映った… 

そのとたん


「ブーーーーーーーーーーン」


大きな黒い羽根をはばたかせ空へ向かって飛び立った…


「あーー!何で逃がしてしまうん‼」


後ろからオカンの声がしたが俺の耳には届かなかった。



俺は知っていた。




クワガタが昼間飛ばないことを。




俺は確信した。




昨日の出来事が夢ではないことを。





太陽に向かって上昇しながら小さくなっていく姿を見送りながら俺はオカンに言った…
 





「俺、二度と○○山に行かへん」









俺はこの日を境に罰当たりな小悪魔を引退した…








その後バイク好きなツッパリになりましたとさ… (・ω・)<めでたし×2






~~~~~あの日の後日談~~~~~~(各人証言)~~~~~~






Tちゃん 「家の前が騒がしなったから単車パクリに誰か来たんか思うて出てみたらえらい騒ぎになっとった。ほんで聞いたらタッちゃんが行方不明言うやんか。とりあえず単車で水源地探そう思ったらKのオッサンが多分○○山やいうから飛んで行ったら橋の向こうの山道でごっつい霧の中倒れとったわ。霧出てたから単車おいて行ったんやけどそのまま行ってたら轢いてしもとったかもしれんわ(笑)タッちゃん家に届けてからえらいポリと揉めたけど、おとがめなしになったで(ニカッ)」



Kのおっちゃん 「Kの散歩から帰ってきたらタッちゃんのおかあちゃんがタツオ六時過ぎても帰ってこうへんって聞いてわしピーンときたんや。○○山やってな。おかあちゃんには暗くなっても戻らんかったら110番せえ!言うて○○山までバイクで探しに行ったけど見当たらんかった。砂防ダムまで行ったとしたらわし足悪いからそこまで登られへんねや。ほんで家まで戻ってきたら町内会長まで話が回っててもう警察呼んで水源地捜索してる言うがな、ビックリしたわ。したらなんでか木刀持ったTが何事かと聞きにきたから訳を話してTを○○山に向かわせたんや。まぁ生意気な奴やけどこういう時頼りになるわな~」



町内会長 「あの日夕涼みに外出たらタッちゃんのお母さんが家の前で泣いてたんや。訳聞いたらタッちゃんが水源地に遊びに行って帰ってこうへんいうがな。夏やいうたかてもう七時前や、万が一のこと考えて町内会で電話回してみんなに集まってもろたがな。ほなら中に消防隊員もおってそこから警察まで連絡行ってひと騒動になったわな。タッちゃん見つかった後やけど新聞記者やらテレビ局も来よったんやで、全部追い返したったんやけど」


「それとな結局見つかってホッとしたんやけど、あの○○山はアカンで。わしの爺さんから聞いた話しやけどあの界隈は昔○○村って言われた世間から隔離された村があったんや。村人は山から一切降りてこず誰かが村に入ろうとしても激しい抵抗にあった。そのうち村に研究施設のようなものが建てられ大きなアンテナが張り巡らされ、道路は封鎖された。爺さんがその建物に興味を持ち隠れて見に行った時には建物内に外人の姿が見えたという。気味の悪いその建物に市からの調査団が入ろうとしたが全員謎の体調不良に見舞われ諦めた。そのうち日本が戦争に巻き込まれそれどころではなくなり、終戦後のある日見に行ってみれば村には誰もおらず廃墟化していた。廃墟の村の中心部には小さなお社が建てられていてそこだけがきれいな状態で残っていたという。噂では徴兵を逃れるためにその村に逃げた若者もいたらしい…」









小悪魔シリーズはこれで終わりです。







長編シリーズ最後までお読みいただきありがとうございました。





















Posted at 2023/01/10 11:10:43 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小悪魔スピンオフ | 日記
2022年12月26日 イイね!

小悪魔外伝😈💧 最終話 〜「オカンのサンダル」〜

小悪魔外伝😈💧 最終話 〜「オカンのサンダル」〜
…俺は夢をみていた…

走馬灯というのだろうか…

俺が産まれたときの両親の顔… 幼稚園入園の時…

小学1年生の時の遠足や水族館の思い出…

俺が生まれてから今日までの楽しかった思い出がスライドショーのように頭の中に蘇った。

そして…

いつも行く山に虫捕りに行って虫かごいっぱいにクワガタを捕まえてホクホクで夕刻の山を駆け下り家に帰るなり…

「ただいま!オカン!こんなに採れたでクワガタ!!ほら、見てん!」

自慢げに突き出した虫かごの中には木の枝と落ち葉しか入ってなくて「あれっ!?」となってる俺にたいして…


「どれどれ…」


と振り向いたオカンの顔が黒い獅子舞だった…


「うわあああああーーーー!!」


「タッちゃん!!」


叫びながら飛び起きた俺の目の前にはタカちゃんの心配そうな顔があった。


「タカちゃん!!」


俺は思わずタカちゃんにしがみついた。


タカちゃんは地面に横たわっていた俺を抱きかかえていた。


「良かった~〜 生きとった〜 死んでしもとったらどないしよ思たで」(;´∀`)


「タカちゃん、ボクな、あのな…」


アタフタ説明しようとする俺にタカちゃんは…


「タッちゃん足怪我しとんでな。ちょっと待ってや…」


そう言って自分が着てきた半袖の青いアロハシャツを脱ぎ裾の部分から左右に「ビーーッ」と両手で引き裂いた。


そして出血していた右膝を器用に素早くぐるぐる巻きにして残った半分で俺の顔をふいた。



ふきおわったアロハの半分は無造作にポイッと捨てた。



(…足の怪我治ってなかったんや…)



「タッちゃん、アレ見てみ」


タカちゃんが顎で指したあたりを見上げると駆け下りて来た道の途中に太い木のツルが黒いシルエットになって横断していた。


ちょうど俺のおでこに当たるあたりに。



木漏れ日のトンネルは下り坂になっているうえに外灯がない所は真っ暗でちょうどそのツルは暗闇の中で高い木から垂れ下がっていた。



「タッちゃん山から下ってくるとき走ってなかったか?夜やし見えへんしちょうどアレが頭にぶつかって気絶したんやな~」

続けてタカちゃんは言った。



「タッちゃん水源地行く言うたやろ?今水源地に警察やら消防隊が捜索にいっとるわ。エラいこっちゃ(笑)」



「タカちゃんはなんでこっちやとわかったん?」




「コロのオッサン」



「!?」



「タッちゃんいつも水源地行く言うて嘘ついてこの山に行ってる言うてたで」(^^)



(バレとった〜~)(>_<)



少し下った外灯の下には「ドッドッドッ…」と重低音を響かせタカちゃんのZ2が佇んでいた…


「タッちゃん頭見せてみ…」


俺は前髪を手でかき上げタカちゃんに見せた。


「…なんともないなぁ… コブもできてないわ…石頭やなぁ、タッちゃん(笑) 足は大丈夫か?立ち上がれるか?」


「うん、大丈夫やで。タカちゃんこそ上裸で大丈夫なん!?」


「おお、暑いから気持ちエエで」(^^)



(今スポック来たらええのに…)


タカちゃんの引き締まった上半身は俺にこれ以上ないくらいの安心感を与えた。


タカちゃんはz2のミラーに引っ掛けてあった白いメットを取り上げ俺の頭にスポッと被せた。

ノーヘル、上半身裸の状態でz2に跨ったタカちゃんは「ニカッ」と笑い


「後ろに乗りや、帰るで。みんな待っとるで」(^^)


タカちゃんの背中にしがみついた瞬間z2は爆音と共に発進した。


いつもは怖いオーラを振りまいていたz2もタカちゃんの
大きく広い背中も今の俺にとってこんな頼もしく頼りになる味方はなかった。


先ほど濡らした(^.^;パンツはだいぶ乾いていたようだったが、この状態でタカちゃんのZ2に乗るのは少し気が引けたけど考えないことにした(;'∀')


「助けに来てくれると思っとった。タカちゃん仮面ライダーみたいやな」(;^ω^)



「え?なんて⁉聞こえへん(笑)」



俺を乗せた黒馬のようなZ2はあっという間に川沿いの大きな橋の下をくぐった。



山を下る直線道路で暗闇の向こうに複数の人間と懐中電灯が見えた。



消防隊と警察の人達だった…



「うおらぁーーーーー‼じゃまやあああああ‼」(;゚Д゚)



「ブォンブォンブォンブォン❕」



タカちゃんの大声とZ2の唸る爆音にその人達は海が割れるように道を開けた…


その真ん中を突っ切るZ2…


「おい、コラ!止まれえ‼」


「おまえ、ヘルメットはーーー?」


懐中電灯を向けられ次々と怒号が飛び交う中、タカちゃんは



「こっちは怪我人のせとんじゃああああーーーー‼ ダボクレーーーーー!!」



ひときわ大きな怒鳴り声を上げた。



いきり立っていたその人達はタカちゃんのその一言で固まった。



俺は身を小さくして丸まり必死にタカちゃんにしがみついていた。



「ああ、見つかったんかーー良かったーー」



走り抜ける爆音に混じって誰かの安堵の声が聞えた。


狼の遠吠えのようなZ2の排気音とともに俺は家まであっという間に帰ってきた…


付近には数台のパトカーやレスキュー車、覆面パトカーまでが赤ランプを回したまま停まっていた。


家の前にはたくさんの人がいて「ああ、良かった~」「タッちゃん大丈夫かーーー?」
とか聞こえてきて中にはへたり込む人もいたが暗くて誰が誰だか分からなかった。


ざわめきの中から聞き覚えのあるデカい声が聞こえた。


「やっぱりそっち(の山)やったやろ!?」


コロちゃんのおっちゃんの声だった。


「ビンゴ!!」(^_-)-☆


z2のエンジンを切りながらタカちゃんは言った



安心して思わず泣きそうになった俺は強がってZ2のリアシートから飛び降りてみせた。


被っていたヘルメットのせいでバランスを崩し尻もちをついた。



その時いきなり誰かに「ズボッ」とヘルメットを脱がされた…



一瞬スポックと日本兵が頭をかすめたが目の前にいたのはコロちゃんのおっちゃんだった…俺の頭の先から足のつま先まで凝視していた。



「ケガしてんのは足だけか?タッちゃん?他はどこも痛くないか?」


「うん」(`・ω・´)


「君がタツオ君やな?心配したでー。ちょっと話し聞かせてくれる?」


一人の警官が手帳を開きながら割って入ってきた…


「そんなん明日でええねん!今何時や思とるねん‼」


上半身裸でZ2を押しながらタカちゃんが吠えた。


救急隊員に足の傷を応急処置してもらいながら今更オカンがいない事に気が付いた。


「おっちゃん、オカンは?」


「タッちゃん行方不明になってからさっきまで気丈に振る舞ってたんやけどなあ倒れてしもて今家で横になってるわ…」



「でも心配せんでええで、ちょっとショックが大きかっただけで救急隊員さんが診てくれたからなぁ」


「ああ、オカン‼」(゚д゚)


救急隊員が右膝に包帯を巻いている手を振り払い立ち上がり俺は家に走った。


急いで開けた玄関ドアの奥には布団に寝てるオカンと心配そうに見守る仲のいい近所のおばちゃん達がいた。


「ホラッ、帰ってきたで‼」



「ああ…タッちゃん」



オカンは布団からむっくり起き上がった…その胸にはひまわりのサンダルが抱かれていた…





…それは去年俺が貯めた小遣いで初めてオカンに買ってあげた誕生日プレゼントだった… 



捨ててあるはずの……




いつも履いていて古くなったオカンの白いサンダルは足の甲の部分が切れていてそれを白いテープで補修していた。



それを知っていた俺はもらった小遣いの中から少しづつ貯めて近所の商店街の靴屋に代わりのサンダルを買いに行った。



ただセンスのなかった俺はオカンは花が好きだという理由からどう見てもダサく見えるそのサンダルを購入しオカンの誕生日にプレゼントした。


そのサンダルにした理由はもう一つあった…


安売りのカートに乗っていたそのサンダルは俺の持ち金ギリギリの¥300だったので他を買う余地はなかった。

(当時の俺の小遣い1ヶ月分が¥300、普通は1日¥100くらいだったと思う)


でもオカンはすごく喜んでくれて履くのもったいないけど毎日履くわな、ありがとう(^^)と言ってくれた。


俺も照れくさかったがすごく嬉しかった。



同じ週のある日のこと…



学校帰りに友達数人とたまたま商店街を通ったとき…


「おい、見てみ、このサンダルだっさー!! (笑)」


「ほんまや三百円やって〜〜(笑)こんなん履く奴コジ○やんハッハッハーー」


通りかかった靴屋の店の前のカートに山積みになっていたひまわりのサンダルに気づいた友達が手に取りこっちに向けておどけて見せた。


「コジ○サンダルやーーーー!!」(゚∀゚)←クソガキ




俺は顔から火が出る程恥ずかしくなり居ても立っても居られなくなったが



「ほ、ほんまやな~~(笑)」



と引きつりながらも相槌を打った…



そしてその日家に帰るなり俺はオカンに


「誕生日にあげたサンダル絶対履かんといて!それか捨ててや!」

と怒鳴った。


オカンはちょうどそのサンダルを履いて外へ洗濯物を干しに行くとこだった。


「なんでなん?どうしたん?アンタに貰ったオカンの大事なもの捨てれるわけないやないの!」


とびっくりした顔で言ったが


「俺が履くな言うとんねん!嫌や言うとんねん!!オカン捨てへんかったら俺が捨てる!!」


俺は半狂乱で叫んだ。


「わかった、わかったから…何があったんか知れへんけど明日捨てるから今日は履かせて、な?」



「ほんまやな!絶対やな!そのサンダルのせいで俺めっちゃ恥かいたわ!なんで俺ん家こんな貧乏なん!?俺はコジ○ちゃうううーーー!!うわぁぁぁん(泣)」


オカンは泣き崩れる俺の背中をさすりながら何度も「ゴメンな、ゴメンな…」と繰り返した…


俺の背中をさするオカンの手も震えていた…



次の日からオカンのサンダルはあのボロくて白いやつに変わっていた…



すっかり捨てたと思い込んでいたあのひまわりのサンダルが脱力したオカンの両腕からスローモーションのように落ちた。


「オカンーーーーーーーーー!!」



周りの目もはばからずサンダルを落とし空いたオカンの胸に俺は飛び込んだ。


オカンは両腕を差し出し4年生にもなった俺を強く抱きしめた…


「オカン、ゴメンな、ゴメンな…」(´Д⊂





あの日オカンが言ったセリフを今度は俺が言っていた。



あの日俺がオカンをどれだけ傷つけたか、どれだけ悲しい思いをさせたかそれが今やっとわかった気がした…




オカンは「うん、うん。」と優しく頷いていた…



オカンに抱きつき下を向いて泣く俺の目の前にサンダルがあった…



その時ひまわりと目!?が合った…



その目は確かに(オカンをもう泣かせるなよ)と言っていた…




その日を堺に俺はその山には行かなくなった。




ひまわりのサンダルもその日以来見たことは無い…






今も家のどこかにひまわりのサンダルが隠してあるのかも知れない…













 




〜小悪魔外伝😈💧〜 [完]









最後まで読んでいただきありがとうございました。 tatsu
                   















〜「小悪魔引退とあの日の後日談」〜 へ続く






Posted at 2022/12/26 21:49:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小悪魔スピンオフ | 日記
2022年12月11日 イイね!

小悪魔外伝👿💧 ~「俺だけのヒーロー」~

小悪魔外伝👿💧 ~「俺だけのヒーロー」~

(今日あった恐ろしい出来事は全部あいつらが仕組んだことやったんや!)



俺は許せない気持ちになったが今はそれどころじゃない。



まずここから逃げなアカン‼



真っ暗な山道を駆け降りる俺の遠く後ろで「バタン」とトラックのドアが閉まる音が聞えた。


その時


「あっ」


俺はジュリ蔵の真横まで来ていたことに気づいたがもう止まれない…



横を走りすぎる時、見たくない気持ちとは裏腹に目線は祠の中を確認していた。



…黒いお地蔵さんはいなかった…



俺が蹴破った祠の屋根から外灯の明かりが空っぽの室内を照らしていた…


もう少しで木漏れ日のトンネル。道は細く外灯も少ない。スポックが乗ってるトラックだとギリギリ通れるくらい。


そこまで走れば逃げ切れる(; ・`д・´)


頭の中で「もう逃げられないよ~~~~~(笑)」の声がこだましたが俺は気にせず突っ走った。


正面に木漏れ日のトンネルが見えてきた…


漆黒の闇のよう…



外灯で照らされた道の先にぽっかり空いたブラックホールのように見えた…



(よーし、ここまで来れば)




走りながら俺は後ろを振り返って見た。





すぐ真後ろに青いトラックがいた…



ライトも消えていてエンジンもかかってない状態なのに…





「うわあ!」



「わっはっはっは~~~~」



トラックからスポックの笑い声が聞えた。




俺はパニックになりながらも木漏れ日のトンネルに全速力で突入した…


とたんに…


「ズシャーーーーーーーッ‼」


滑るようにしりもちをついた。


一瞬何が起こったのか分からなかった。


すぐに立ち上がろうとしたが路面がキラキラしていることに気が付いた。


周りの暗闇に目が慣れてきた頃自分の置かれた状況が分かった。


あの蟹だ…


木漏れ日のトンネル、真っ暗になっている道路いっぱいにあの体が黒くてハサミと足が真っ赤な沢蟹がうごめいていた。


そしてその蟹たちは白い煙のようなものを吐き出し、みるみるうちに辺り一面真っ白になった…


「プッシューーーーーーー」


背後を振り返るとトラックの荷台から黒い顔の獅子舞が体を左右に振りながらそそり立った。


大きく口を開けたそれは道路に尻もちをついた状態でで固まっている俺を見下ろしていた。


そして獅子舞の口からも俺に向かって白い煙が勢いよく吐き出された。



今度は強烈な硫黄の匂いが辺りを包む。



立ち上がろうとするが体に力が入らない…



「キミのおかげでおじさんは自由になれた。ありがとう」



トラックの開いている窓からスポックの声が聞えた。



よく見るとトラックは道路から少し浮いていた。



外灯の光と真っ白な煙に巻かれてトラックの中は見えなかった。



「何なん⁉おっちゃんやめて!僕が何したん⁉この蟹何なん⁉獅子舞も…もうやめて!僕家に帰りたいねん‼」(/_;)



恐怖に泣きたいのをこらえながら俺はスポックに訴えた。



「あと僕のおかげって…僕おっちゃんに何もしてないで…」



「あなた方の言うところの『封印』を解いてくれたのがボクなんだよ。お礼に君のケガは治してあげたよ」


「さあ、おじさんと一緒に行こう…」



体を支えていた両腕にも力が入らなくなってきた。



トラックのドアが開いた。



大声で助けを呼ぼうとしたが煙を吸って声が出ない。




銀色の宇宙服を着たスポックがトラックから飛び降りるのが見えた…





もうダメだ...




(こんな時にタカちゃんがおってくれたら…)(´;ω;`)ウッ…





両腕の力が抜けた俺は静かに道路に横たわった…(´-ω-`)







「クォーーーン… …」









「ウォン… …ウォン… …」











遠くの方から微かに聞こえてきたバイクの音。










(この音は…⁉)











(間違えない…タカちゃんのZ2の音や……)













一瞬の安心と同時に俺の意識は深い闇の中に沈んで行った…










































小悪魔外伝 ~最終話「オカンのサンダル」~へ続く




















Posted at 2022/12/12 15:45:27 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小悪魔スピンオフ | 日記
2022年11月17日 イイね!

小悪魔外伝👿💧 ~罪と罰~

小悪魔外伝👿💧 ~罪と罰~山で一人遊んでいる時に腹が減って無断で拝借したお供え物…


国語の授業で習った「かさじぞう」に感化され家の近くのお地蔵さんの頭に阪神帽を被せたこと…


御神木に巻いてあったしめ縄をほどいて隣りの木に巻きなおしたこと…


神社に祀られていた小さなお稲荷さんをマジックで黒く塗ったこと…


まだまだ数え切れないほどあった。


俺には思い当たる節が多すぎた。


(これが俗に言う「罰当たり」ってやつか…)(;´・ω・)


ボロボロの体で一目散に山を駆け下りながら俺は過去のいたずらを悔いた。


小走りに走りながらなるべく周りは見ないようにしていたがとうとう目線の先にジュリ蔵の祠が見えてきた…


俺は足を止めて息をのんだ…


祠の扉が大きく左右に開いたままになっているのを外灯の光がぼんやりと形どっていた。


静かな漆黒の闇の中に「リー リー」とコオロギの鳴き声だけが聞こえている…


(よ…よし!行くか‼)


真っすぐ前を見据えスタンディングスタートの姿勢になった時にいきなり俺の周りが明るくなった。


「うわっ‼なんや⁉」


思わず声を上げた。


慌てて振り向くといつの間にやら背後にいた小型の青いトラックの二つのライトが俺を照らし出していた。


「ボク⁉どうしたの⁉一人かい?」


トラックの運転席の窓を開けて身を乗り出し声をかけてきた人がいた…中年の男のようだった。離れていたのと逆光で顔は分からなかった。


「上の方でこけて足怪我してん(:_;)今帰りよんねんけど、いきなり夜になってもてん…グスッ(涙)」


俺はトラックに向かって泣きながら言った。



「そうなんか~~かわいそうに~~~~」



トラックはハザードを焚いて左に寄せた。



(助かった~~~~~~‼)(´Д⊂ヽ



俺は全身から力が抜けるようだった…



大人の人が助けてくれる。これほどの安心感は無い。



俺は早くも家に帰った後の言い訳なんかを考えていた。



だがその安心感も運転席から(飛び)降りてきたその男の風貌を見て一瞬で吹き飛んだ。



まず異様に小さかった。(頭はデカかった)



小4の俺とほぼ同じ身長だった。



この蒸し暑さの中銀色に光る上下の宇宙服のような物を着ていた。さらに異様だったのは前髪パッツンのおかっぱ頭と夜なのに真っ黒いサングラスをしていたこと…



スタートレックのスポック船長にどこか似ていた…(宇宙服と合わせて)



「大丈夫かい?どこ怪我したの?」



スポックはちょっとニヤついた顔で訪ねてきた。



「右足の…ここやねん…」



俺は警戒しながらもぱっくりと切れていた右足の膝を見せた。



「ん⁉どこかな?」



「だからこ…こ?」



「あれっ⁉」



傷なんてどこにもなかった…



「あれ⁉あれ⁉ウソやん‼」(;'∀')



間違えたかと思って左足の膝も見てみたが傷などどこにもない…



いつの間にか傷が跡形もなく消えていた。



慌てふためく俺をスポックはニヤつきながら見ていた。



「怪我は無いみたいだけどもう遅いからおじさんが町の方までトラックで送ってあげる~~~でも助手席は人が乗ってるから荷台でもいいかな?おじさんゆっくり走るから~~~(ニッコリ)」




「ちょっと待って!おかしいで。僕さっき怪我して血出とったのに傷も無くなっとうし、昼に来たのにいきなり夜になっとうし、耳はおかしいなるし、なんかおかしいで」



「あと、ヘンな霧みたいなの出とったのしっとう?あ、それと奥の砂防ダムの上に獅子舞いみたいなのおってんで。おっちゃん見たことある?」



俺はスポックに今日ここにきて起きた異様な出来事を一気にまくし立てた。


「お~~お~~お~~お~~」(笑)


スポックはわざとらしく大きくうなずきながら俺の話を聞いていたが、おもむろにトラックの方まで歩いていき、ニコニコしながらおいでおいでと手招きをした。


その時に気が付いたがそのトラックは当時でも珍しい三輪オートだった…



恐る恐る近づいてみるとスポックはトラックの荷台を指さした…



トラックの荷台にはブルーシートがかぶされており何かを覆っているようだった。


スポックは腕捲りをしてブルーシートのロープをほどきそーっとシートをめくった。


「うわっ⁉」Σ(゚Д゚)


ブルーシートの隙間からおおきな目玉が二つ覗いていた!


大きな口、むき出しの金色の牙、真っ黒い顔、真っ白のたてがみ…


そこには間違いなく「ヤツ(獅子舞)」がいた。


「うあああああああ‼」



恐怖でパ二くる俺に



「ははは~大丈夫!大丈夫!これは祭りごとの作り物だよ~~~ほら、良く見てごらん(笑)」



「バサッ」



男はシートを大きくめくってみせた。



トラックの荷台でまるで生きているかのようなそいつは良く見てみると確かに作り物で顔の内側は骨組みに紙を貼り合わせたような張りぼてになっているのも見えた。



体の部分は黒いマントのようなものに覆われてそこからは何本ものパイプが出ていて操作盤のようなものにつながっていた。






またその横には大きなガスボンベのような物が横たわっていた…



「おっちゃん、これ動くん?」



視線はまっすぐソレをとらえたまま俺は尋ねた。



「ボクが見た獅子舞ってこれかい?」



スポックが俺に聞いてきた。



「うん。コイツやで。砂防ダムの上におったヤツ」



そう言った俺にスポックはこう答えた…



「これは戦後のお祭りで使ってからずっと神社のお社に仕舞ってたものだからボクが見たのとは違うよ」



「これは神社を護る神様。神社に悪いことをしたり、いたずらをしたりするとこの神様が怒って罰を与える…」



「罪には罰が与えられるんだよ…」



さっきまでのニヤついた顔と打って変わってやけに神妙な顔つきでスポックは俺に向かって言った。


この時俺は確信した…



このスポックが砂防ダムの上に獅子舞いを置いて動かして俺を脅かしたのだと。



あとスポックが標準語なのも違和感を感じた…(この辺りに標準語の人はいない)



怪我も無いみたいだし、トラックの荷台に乗りなさい。タイヤに足をかけたらおじさんが後ろから押してあげるから…第二次大戦中はみんなトラックの荷台に乗ったもんだよ(笑)」



俺は何か嫌な予感がした。




(コイツに関わったらダメだ…)





「大丈夫!僕歩いて帰るから!」





そう言ってトラックの横を通り過ぎた時にいきなり助手席のドアが開いて中から伸びてきた白い手にいきなり肩を「ガシッ」と掴まれた。




真っ白に見えたその手は包帯でぐるぐる巻きにされていた手だった…





「うわあーーーーー‼」(゚д゚)!




びっくりしてトラックの助手席を見たら目玉以外は全身包帯で巻かれた兵隊(日本兵?)が大きく目を見開きながら俺の肩を掴んでいた。





振り払おうとしたが体操服の肩の部分を掴んで離さない。






「あ~~こらこら、ダメだよ~~(笑)」






スポックが言ったらパッと手を離した。







俺は身の危険を感じてその場から一目散に走って逃げた…









同時に後ろからまた「プシュッ」という音が聞こえた…







そして…








「もう逃げられないよ~~~~~~~~~~~~(笑)」












走り去る俺の背中越しにヤツは確かにそう言った……




































小悪魔外伝 ~「俺だけのヒーロー」~へ続く



















Posted at 2022/11/18 20:12:11 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小悪魔スピンオフ | 日記
2022年10月28日 イイね!

小悪魔外伝👿💧 ~間(はざま)~

小悪魔外伝👿💧 ~間(はざま)~あまりのことに俺は腰を抜かしたようになり、その場で漏らしてしまった(>_<)


立ち上がるにもうまく立ち上がれない…


ガクガクと震える膝でなんとか立ち上がり再び走り出したがうまく走れない。


早くここから逃げないと奴が来るかもしれない( ;∀;)


迫りくる恐怖の中俺は何度も後ろを振り返りぎこちなく沢を走り下った。


足元の白い霧は所々穴が開いたようになっており、そこからは赤いハサミを振り上げた異形の蟹があざ笑うかのように走る俺を見つめていた…


一目散に秘密の楽園を走り抜け、獣道に入る…


(ここまで来たら大丈夫かな⁉)(; ・`д・´)


足元の白い霧も少し薄くなってきたように感じた。硫黄のような匂いも薄まってきた。


右膝の切り傷からの出血も止まったようだった。



少しだけ冷静になった俺が気になったのは転んで沢の水でずぶ濡れになった全身よりも、漏らして濡らしたパンツとズボンだった…



(オカンに何て言おう…)(´;ω;`)ウッ…



そんなことを考えながら獣道を小走りで抜ける手前で俺の足が止まった。


「‼」


(そういえばジュリ蔵の前通らなアカンやん⁉)(;´Д`)




(うわっ、無理…無理やで…どうしよう……)(;´・ω・)



「あ、畑のおばちゃんの家があるやん‼」Σ(・ω・)



俺は思い出した…



獣道を抜けた所の沢のほとりには小さな畑があって、そこにはたまに畑仕事してる優しそうなおばちゃんがいて、虫取りに来た俺にお菓子やジュースをくれた事があった。



ただそのおばちゃんは「子供が一人でこんなとこに来たらアカンで(笑)」と言っていたので、そのおばちゃんが畑にいる時は秘密の楽園まで行くのは諦めていた。



そのおばちゃんの家(民家)が獣道を抜けた所の沢の反対側にポツンと1軒あったのだ。(家から出てくるのを見たことがあった)




短い坂道を上がると広い庭がありその奥にこじんまりとした佇まいの古い家がある。




気づけば俺はそのおばちゃんの家に向かっていた…




(せめてジュリ蔵の所まで一緒に行ってもらおう…)




(足のケガ見たらビックリするかなあ…)




(おしっこ漏らしてるのバレへんかなあ…)




西日が差す家の玄関に立ち中の様子を窺う。



「こんにちは!おばちゃん!」



中からの返事は無い。



「いますかーーー?おばちゃん…僕なぁ…虫取りに来てケガしてん!」(´Д⊂ヽ




シーンとした中で遠くに蝉の声だけがこだまする…



(おらんのかなあ…)



そっと玄関のドアに手をやる…




「ガラガラガラーーーー」



(開いてる‼)



スライド式の玄関ドアには鍵がかかってなかった。



「おば…‼」



開けたドアに顔を突っ込んでおばちゃんを呼ぼうとしたが途中で声が止まった。



その時俺の目に飛び込んできた異様な光景は…



玄関から家の奥まで丸見えだったのだが、リビングにある木製の大きな円卓の上に用意された何組ものおかずとご飯、箸や湯呑みなどが置いてありそれをテントのような大きな白い蚊帳が覆っていた。



今よそったばかりのようなおかずとご飯は全く人気のない部屋で不自然な違和感を感じずにはいられなかった。



青い羽根の扇風機だけがそこで静かに首を振っていた…



俺はゆっくりと後ろに下がりながらも目は部屋の奥に釘付けになっていた。



リビングの窓からも差し込んでる西日の向こう側…その奥にあるテレビは当時でもほとんど見なくなった白黒テレビで音は出てなかったが画面の映像は動いていた。



眩しい西日の向こうでよく見えなかったが、どこかの広場(公園)みたいな所に大勢の人がいて全員こっちを向きながら行進しているような気味の悪い映像が流れていた… 戦時中の日本兵のようにも見えた…。




(変な番組やってるなあ~⁉映画かなあ~?)(´・ω・`)?





「カラカラカラ…………」




俺はなるべく音を立てないよう玄関をそっと閉めた。




誰もいない円卓によそってあったご飯とか、つきっぱなしのテレビとか考えるほど不気味で気持ち悪かったがおばちゃん家族みんな二階で寝ているんだと思うことにして平静を保った。




それより何より心細さに押しつぶされそうだった。




(もう誰も頼る人おらん…)(._.)




もう覚悟を決めるしかなかった。




その時なるべく見ないようにしていた祠がある方の空が曇ってきている事に気づいた。



この時期よくある入道雲みたいな灰色の雲が山の麓方面から立ち込めてきた。



だがそのスピードが半端じゃない…



まるでコーヒーにミルクを流し込んだように渦を巻きながら空を覆っていった。




(夕立が来る前に帰らんと。ジュリ蔵の横は全速力で走り抜けよう)




俺はしゃがみ込みいつの間にかほどけていたスニーカーの紐を結びなおした。




立ち上がり深呼吸し空を見上げた… その時…




「…星でてるやん⁉…」



「⁇」




「え⁇なんで?なんで?」(´゚д゚`)




慌てて反対方向を振り向くと…




「…太陽ででるやん‼」




「うそやろ⁉」( ゚Д゚)




正気の沙汰ではなかった。




今でもハッキリ覚えている。



こちらに向かって渦を巻きながら広がってきた灰色の入道雲はやがて帯状であることがわかった。(空を2つに区切るように)



スッパリと切れた雲の向こうは真っ暗な夜空になっていた。




夜空には星が瞬いていた。






その雲の反対側は太陽が高い位置でさんさんと輝いてる。




夕焼けとか夕暮れじゃなく同じ空に昼と夜があった。(夕方と夜中⁉)





そして思ったのは…





(今何時やねん




そして…






ひょっとして俺は死んだのか⁉…)




恐ろしくも幻想的でこの世の終わりにも見えたその空を俺は茫然と眺めた…






何秒くらい経っただろう……






獣道を抜けた山道わきに立っている木柱の外灯が下の方からひとつづつ「ポッ」「ポッ」と点いてくるのが視界に入り我に返った。






山を下る道の先はもう暗がりになり黒く塗りつぶされたようで何も見えない。








反対側の秘密の楽園辺りは眩しい西日が差し込んでる。





(帰らなきゃ!)








後ろは日差し、行く先は暗闇…












罰当たりな小悪魔はこんなところで死んでたまるかと勇気を振り絞り真っ暗な世界に飛び込んで行った…



















空の上からは昼と夜の間(はざま)が静かにそれを見下ろしていた…






























小悪魔外伝 ~「罪と罰」~へ続く

















Posted at 2022/10/28 18:29:36 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小悪魔スピンオフ | 日記

プロフィール

タツ1016です。函館市在住の53歳。バイクと車をこよなく愛する昭和な男です。独りよがりのくだらない日々の雑感や昔の思い出なんかを気が向いたら書き綴っていこうと...
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