さて、7月下旬に200万あまり掛けて大規模リニューアル工事をやったので、しばらくは何事も起こらず9月車検を迎えられたらいいなと思っていたが、そうは問屋がおろさなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー明日は車検でディーラー入庫だな~と呑気に、何ひとつ不吉な予兆などなかった平和な日曜日の午後、突然それは起こった。
空模様が怪しい日だったこともあり、その日の予定は全てキャンセルし、首都高湾岸線を飛ばして急いで帰宅。屋根のロックがかからないということは、サイドの窓も最後の1センチぐらい上がらない。風が車内をス~カス~カと景気よく抜けるなか高速道路で家路を辿るあいだの情けない気分といったら、筆舌に尽くしがたい。寒くはなかったが私の心にも同じような風が吹き抜け、冷たくなっていった。
前の太古車R107は屋根が手動だったから、オープンカーとして屋根関係でこういった情けない経験は1度もなかった。
しかし名神高速を走行中に突然オイルポンプの首が折れ、エンジンオイル全量を盛大にぶちまけた瞬間をルームミラーで気付き、路肩に寄せようとギヤをニュートラルにした瞬間また幸運にも目の前に出現したPA入口に惰性で逃れ、そこに車を残して大荷物を抱え、タクシーでPAから最寄りの新幹線駅に着いた途端に入線のアナウンス、切符を買う暇もあらばこそ必死で階段を駆け上がりホームへ駆け下り最終の新幹線にギリギリ滑り込み目的地へ向かうなんてことはあったし、なにもR230だけが特別に情けないというわけではないのだが。
私のような旅行好きが古い車と長く付き合っていると、故障があろうが屋根が閉まらなかろうが、とにかく家まで帰れる=生還率が高い車というのは何よりも大切なことだ。
また翌日ディーラーに入庫予約が取ってあったのも、幸運だった。いまや輸入車の新車販売台数でベンツがVWを抜いてしまって以来いつもサービス工場はキャパオーバーが常態化、なにか急用があってもすぐ入庫できないようなことだってあるのだ。
そして入庫当日は朝から雨。雨雲レーダーをにらみ、東京湾上の雨雲が途切れた30分ほどのあいだにディーラーへ駆け込んだ。車検整備のほかにいくつか予定していた作業と、さらに屋根の修理を依頼して帰る。
代車は前回と同じ、新車おろしのC200だ。距離はあまり伸びていないのに内装は随分汚された感じ。正規ディーラーでさえ最近のベンツユーザは行儀の悪い奴が多くなったし、またディーラーの返却後チェックも甘い。いま日本は全ての企業でヤル気のなさが蔓延しており、もう政治についてワーワー言ったところで何も改善しようがなく、日本は完全に終わってると思う。
せめて、メカニックは真面目に仕事してくれたらいいなと願うが、もしダメでもあまり厳しいことも言えないな。。漏れたオイルは全部、一体成型フロアカーペット下の、フロアパンのくぼみに溜まっていたという。シートをはずしカーペットをめくってオイルを拭き取り、匂いなども特に残らなそうだという報告だった。不幸中の幸い。この一体成型のフロアカーペットは、交換用の新品ベージュが世界中どこにも存在しないのだ。スピーカー工事のときに純正カーペットのロール生地は2mほど取り寄せたが、それも補修程度の量しかない。
嬉しいわけではないが、いつ来るかと不安だったものが現実となったことで、これから交換を進めていけばクルマが再び健康を取り戻していくと思えば、いいキッカケだとは感じた。
しかし、いずれも生産終了部品。また日本にもドイツにも、新品在庫はないという。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
なんか、えらい明るくアッサリ言ってくれたが。聞き間違えじゃないよな、やっぱり。
エート、・・・・・・・・・・・・・。
油圧系統って密閉回路だから途中の部品ヌキで組み戻せないし、いま内装もバラバラだよね。。
"o(-_-; *) ウゥム ・・・・・・。
え、修理どーすんの?って、なるよね誰でも。
こういうのはホント、途方に暮れる。
そして古い車に乗っていると、いとも簡単にいろいろな場面で何度でも、途方に暮れるような目に遭わされる。部品が高くて買えない直せないという話ではなく、直そうにも必要な部品が「この世に存在してない」という。
どーーしろっつうんだよ?
だがディーラーでは、ここでお手上げ。交換部品がないかぎり、ディーラーではできることがない。リビルド品が容易に入手できるなら手配してもらえることもあるが、今回は全く入手の目処もなく、むしろ私に向かって「どうしましょう?」と問いかけてくるわけだ。私なんか中古車の持込み客だから仕方ないが、これが新車販売した客に対しては、一体どう言うつもりかね。。
「修理できないから、買い替えてください」では、まるでガキの使いだ。営業トークとしてはタイミング的にも内容的にも下の下(ゲのゲ)だから、大人のプライドがあったら口が裂けても言えないセリフだろう。まあ私だって並行車の持込み太古車R107で20年以上も付き合ってくれた間柄だから、これでもまだマシな対応ってことなんだろうな。たぶん。修理できないからと工場からすぐに追い出されなかっただけでも。
正規ディーラー工場のプロがお手上げなのに、私みたいな普通人に一体、何ができる?
どうしましょう?って、なんだよ俺の車を見殺しにすんのかよ!と、うろたえたって全然おかしくないシーンだが、言っても何も解決しないし1ミリも修理は進まない。言われた方だって、無能よばわりされて気分いいはずもないだろう。私は口を閉じて、ここから先は自助努力で部品を何とか調達するしかない。
海外から何か探してくるか、国内で建機ほか油圧シリンダーのオーバーホールができる業者を探し、組み付けできる部品をディーラー工場に渡してあげればよいのだ。
ということで、まずはR107時代に培った海外ネットワークをあたってみるが、世界中どこにも新品在庫はなかった。解体車から取り外しただけのような中古部品ならいくらでも出回っているのだが、私は絶対イヤだ。
私にとってR230は、カタチが太古車R107と違い全然イマ車にみえるのでつい勘違いしてしまうのだが、これでも17年前の中古車だし、そしてまだ買って半年しか経っていない。中古車を初期化する最初の1年なんて、こういうものだ。ここでしっかり手を入れてやれば、しばらく安心して乗れる車になるだろう。たぶん。
これも根拠のない希望的観測だな。工場を出て17年も経てば、全ての部品がいつ寿命が来たっておかしくない。工場を出た瞬間から全ての部品について「用意、ドン!」のストップウォッチが回り始めている。この世に生まれたものは全てが、そうなのだ。
R230との関係については、まだまだ見きわめ中。なにしろ前の太古車R107は22年半ずっと手を入れながら一緒に過ごした。このクルマとは、まだ半年。私の気に入らない部分がたくさんあるのは仕方ない。一応ひと通りお金はかけてみるが、合わないかもなと感じたら、別れるのは早いほうがいい。
足回り一式をディーラー工場で新品全とっかえしたのに、どうも釈然としない。タイヤのミシュランPS4Sが固すぎるせいなのか、何なのか。空気圧を多少どうこうした程度では、とても調整がつかない。あるいは高価だったが新品の純正バネや純正ショックを捨ててビルシュタインやH&Rの社外品に替えなきゃいけないんだろうか。まずはタイヤをどうするか、サイズ変更も視野に入れて考えないといけない。
とにかくクルマの修理整備が終わり、戻ってくる日が待ち遠しい。ようやく気候も少し涼しくなってきたので、せめて短かい秋の気持ちよいオープンドライブを楽しみたいな。
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