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2015年11月11日 イイね!

耐震改修補助金の国家予算がなぜ使い切られていないか


今日のニュースから。


公共施設、宿泊施設など公共性の高い建物の耐震工事、
大変重要な耐震化対策なのですが、
既存建物の耐震性のレベルによっていろいろな方法で耐震工事を行います。

一般にはよく見かける窓の外にV字やW字の鉄骨ブレースを増設し、
建物の躯体を補強したものがありますが、
このほかにも内部の構造壁を補強するなどする改修方法があります。

しかし、いずれも多額の工事費が必要となるために、
民間ではなかなか手が出せず耐震化が進まないとのことで、
国家予算で補助金を出すシステムがあるのです。


普通、補助金は無駄に使わせないというイメージがありますが、
この補助金は国から各都道府県を通じて「使ってください!」と「営業」してきます。

国が補助金をあげるから工事して!!
と言ってくるのに
確保している予算が
半分以下しか消化されていないのです。


なぜなのでしょうか?
実際の現場事情から
簡単に解説します。


興味あったらこっから読んでみてください。




補助金ですのであくまでも工事費の一部の負担しかありません。

ニュースでは旅館が取り上げられていましたが、
旅館などの耐震補強補助金は工事費の10%しか支給されません。
教育機関でも30%です。

その他の工事費はすべて建物の所有者自己負担なのです。

これが進まない原因だといわれますが、ニュースではそこまで。

実は単純に工事費の10%だとか言っても、
現実的にはもっと補助金の割合は低くなるのです。



耐震化補助金は

「耐震工事に係る工事費に対して適用される」

ために、工事費の総額に対して計算されないのです。


建物を改修する際には当然付随する改修も同時に行います。
当然建物に付随する設備も更新することがあります。
というのも、耐震工事で古い空調設備などを外したり、
設置済みの機器類を外して再度装着することはできません。
なので新しいものを設置することになります。

実際の建物の耐震のための工事以外に、
改装・更新のための工事もどうしても避けられないわけです。

でもこれには補助金は付いてきません。
そのために旅館などで自己負担が90%という単純計算にはならず、
工事総額でいえば90%以上の負担となってしまって、
補助金もらえても・・・となってしまうわけなんです。


具体的に言うと、耐震化のために

・照明器具を外したために新規のものを装着しなければいけない

・コンセントや電気のスイッチを撤去したので再度新設しなければいけない

・壁面補強改修のために床を破壊したので床材更新しなければいけない

などの避けられない改修は、
細かな基準はありますが常識的なものであれば範囲に含まれます。

ただし、これらは「耐震化のために破壊した壁面に限る」、とされてしまうので、
この壁を改修する際に室内の他の壁面も空間デザインの面から、
同じ新しいものに統一する更新工事を行ったというのは、
「補助金の対象外」にされるんです。

実際に旅館などで、室内の4面のうち1面だけ綺麗になっていて、
ほかの3面は古いままなんて状況、考えられませんよね。


なので当然のこと、どうせぶっ壊すなら施設改善のために新たな装備を・・・
と考えてそれまでになかったものや、
それまで以上の機能のものを新設するとそれは別工事になり対象外です。


あたり前なことなのですが、
どこの世界にも耐震だけやって終わりって中途半端な工事は望みません。


さらに。


一般にこういう補助金は事前に予算確保のための予備審査があります。

このときに、工事業者からの見積もりをもとに補助金額が決定します。

そこまでは貰える可能性が高いのですが、
工事というものは途中で計画変更もあります。

そうすると、全体の工事費に変更がなくても、
耐震化部分が減って付随工事が増えたという場合、
補助金額が減らされてしまうのです。
すなわち持ち出しが増加してしまうのです。


補助金の申請についてもとても面倒。

提出資料も多く、見積もり根拠も何かと示さなければいけません。

工事が完了したら請求書を作成して申請、
認められたら補助金が支給されますが、
終わってからも終わりじゃない。


会計検査院の監査が待っています。

根拠となる書類を正しい方法で正しい保存しておき、
監査の際に監査官が閲覧できるようにしておかなければいけないのです。

税務署の立ち入りみたいにレシートや伝票を段ボールに詰め込んでおいて
適当に見てくれと嫌がらせするようなマネができないのです。


書類の適切な保管だけでも監査対象になります。
そして審査時にOKでも最終的に工事が申請と違っていたりすると、
補助金の返還命令なども出されてしまうのです。



一言で言って

わずかしかくれないのにめんどくさい!



ま、国の金をもらうのですから、
相応のめんどくささはやむを得ないというのが一般感情ですが、
実際に工事をする建物の所有者からすると、

おいしい話ではないどころか厄介な話なので、
できるなら耐震化は後回しに死んだふりしておきたい・・・

それが本音なところもあるのです。



たいていは何億もかかるのですが、
例えば1億円の総工事費だとしますね。

で、実際の耐震工事がそこまで行ってない場合、
10%の補助金といっても1000万ももらえないんです。
下手すれば600万くらいしか支給してもらえない。

辛いですよね。


現実はそんな感じなのです。

ちょっとニュースを補足してみました。



Posted at 2015/11/11 20:47:03 | コメント(1) | トラックバック(0) | ニュース | ニュース

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