2015年12月15日
今一つピンと来ない方に。
デモとか市民団体とか、そういったのが嫌いなのですが、
この運動についてはとても注目しています。
最低賃金というのは払われる1時間単位の最低額を、
地方ごとに取り決めるものです。
都道府県によって若干異なっていますが、
職種によって最低限払うべき金額が決まっているのです。
その表示は時間単価で書かれているので、
バイトやパートのことかな?と思う人も多いのですが、
これは月給制の人にも大きく絡んでくるのです。
例えば今回の最低1500円が実現した場合、
月給198,000円という仕事は場合によっては違法になってきます。
月給は、1か月の平均所定実働日数と、
1日当たりの平均労働時間を乗じた、
1か月の所定労働総時間数
で決められています。
なので、
1か月に22日勤務し
1日に8時間勤務する
と所定の賃金で残業手当が出ないように
最大限勤務させようと規定する事業所が最近多いのですが、
これが逆に仇となる可能性がでてくるのです。
この規定だと1か月に176時間が所定総労働時間になります。
ここでその最低賃金が関係してきます。
支給されている月給を、この総労働時間で除じた場合に
最低賃金を下回ってはいけないのです!
となると単純計算で、
現在176時間規程の事業所では
176h×最低賃金1000円の場合=176,000円
以上でなければいけません。
これが最低賃金1500円になったとすると、
264,000円以上でなければいけないとなってくるわけです!
10万近く変わってきますね!
他人事でなくなってくる人は多いのではないでしょうか?
残業手当の削減で多くの事業所が所定時間数を大きくしました。
しかし最低賃金というものがそれには大きくかかわってきます。
昨今、最低賃金がいきなり引き上げられる時代。
所定勤務時間数をむやみに伸ばすことは
最低賃金の引き上げで給料を大幅に引き上げなければいけなくなることは
算数が出来ればわかるのですが、
どうも今の日本の経営陣は先読みが出来なくなってきているようで
嬉しいような悲しいような状況ですね。
ま、仕事する側には歓迎的な流れではありますが。
逆に懸念されるのは月給据え置きで時間数を短くするパターン。
ウチは140時間だ!などと。
しかし、就業規程上ではなく実際に仕事をしていたかどうかで判断されるので、
不法な残業などがあったら後から違法だと申し立てもしやすい時代です。
セコイ真似をせずに、22D×8h=176hで考えたほうが、
何かと無難ではないでしょうかね。
元々日本が成長したのは組織への帰属精神、愛社精神でした。
これが安い海外労働力に対抗するため非正規が増え賃金が下がり消え去り、
本来主戦力となるはずの若い労働力が育っていません。
目先の数字ばかり追う苦労していない上層部世代には、
これくらいの強制賃上げで悩ませて、
頭使ってどうやればその人件費分の経営ができるのか考えさせるにも
ちょうどいい時期なのかもしれません。
いかがでしたか?
例によって免許持ちの労働士族ではありません。
細かなところは勘弁ください。
Posted at 2015/12/15 12:53:35 | |
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