2018年05月08日
まあ、労基関連法令ってのは多種多様で、素人が容易に判断できるものでないので誤りも多いのですが。
あとネットなどの思い込み、ガセを鵜呑みにする労働者も厄介。
意外に勘違いしてるよくある事例です。
例によって、ケースごとに判断が異なる場合もありますので、必ず専門家のご判断を。
俺はまだ専門家でないのでww
●会社帰りに寄り道して届け出経路外で事故った。経路外なので通勤途上災害が適用されない?
通勤経路はあらかじめ客観的合理的な経路でとなっています。
よく会社では、届け出した経路を外れると事故っても知らないよと言われます。
これは半分正解で半分誤り。
・交通機関での通勤は原則として定期券等の券面表示経路
・マイカーなどの場合は渋滞による迂回などを含み合理的な距離時間的に短い経路
となりますが、例えば
・身内の入院している病院に毎日のように看病のために立ち寄っている
・独身者などが夕食のために必要最低限な飲食に立ち寄る
・日用品を購入するために店に買い物に寄る
などの生活上必要な行為などであれば経路外でも通勤経路として認められます。
その他、身内が入院している病院に付き添い宿泊してからの出勤等も含むことがあります。
単身赴任者の場合は自宅から単身赴任先への移動を含むこともあります。
ただし、帰りに飲みに行く、途上の店舗駐車場で数時間知人と話し込んだ、など生活上必要でない行為により通勤が「中断」されたときは、それ以降の経路は通勤経路としては認められなくなります。
通勤時の災害とは、就業と相当の関係がある通勤で、通勤と相互因果関係のある災害を言います。
なので、通勤経路上で通勤に関係のない、「中断」している間のこれらの行為中の事故については災害となりません。
では次のようなケースは適用、不適用のどちらでしょうか?
1.帰り道に髪の毛をカットに行った。その店を出た後の家までの経路は通勤途上か?
2.会社の指定休日に急用で会社に出ろと言われた。その自宅から会社までの経路上で起きた事故は通勤途上災害か?
3.会社の更衣室で同僚と話し込んで4時間ほど経過してから帰途についた。通勤途上といえるか?
4.マイカー通勤時に前を走る車が事故を起こして道路をふさいだ。この事故車の対応の最中に事故現場にさらに車が突入して負傷した場合は通勤途上災害といえるか?
答えは興味あったらコメントに。
●労働組合のない会社だけど会社の寮がある。その寮費が給与から毎月控除されている?
よく給与から何かとひかれているケースがあると思います。
健康保険、年金などはどこでもひかれていると思いますが、給与の支払い(労働の対価)は全額現金払いの原則があります。
保険料などの国の定めているものについては控除が認められていますが、その他を控除する行為は、現金での全額支払いの原則に反するため、違法行為となります。
・口座振り込みは現金支払いではないのでは?
→口座を指定する届け出を出すという行為によって口座振り込みを認めたことになっています。
大手企業などでは寮費や組合費などが給与からよく控除されています。
これは組合のある会社の場合、組合と会社との間で労働協約が結ばれていれば可能です。
しかし組合のない会社、協約の結ばれていない会社ではこれができません。
また、よく会社に損害を与えたときに、「給与から差し引きしておく」と言われることがあります。
これも違法です。
こういうケースがあった場合は「労基法違反」ということになりますので注意が必要です。
●昔から慣例で有給休暇を会社の指定する日に使うようになっている?
あらかじめ労働協定で「指定有給」を定めることはできます。
これが定められているかどうかによります。
詳しくは省きますが、自分の自由に設定できる有給を4日残し、5日を超える部分については会社がその使用日を指定できるとなっています。
ただしこれは労働協定という労働者過半数以上により選出された労働者過半数代表により会社側と協定を結び届け出たうえで有効になります。
これをせずに会社が勝手に有給をいつに使えとしているならば、それは場合によっては会社命令による休業命令となりますので、有給消化ではなく休業補償の扱いとなり、直近3か月の支払われた給与総額を暦日数で除した平均賃金の60%を会社が支払わなければならず、勝手に有給扱いとしていた場合は給与の未払いとなります。
●インフルエンザだけど出勤しないと仕事にならない。だけど会社から出てくるなと言われた?
インフルエンザは法定伝染病ではありませんので、出勤停止の義務はありません。
なのでこれを理由に会社が出勤停止の命令を行った場合は労基的には休業するように命じたということで本人が有給等による休暇を拒否する場合は上記の休業補償の対象になることがあります。
ただ社会通念上は他人にインフルまき散らす行為は迷惑ですので、有給取得などで休みを取ることがいい選択でしょう。
やみくもに休めとは会社は言えません。
簡単に挙げてみましたが、判断はいろいろあり、ここに細かなケース分けが書けませんので、一例としてください。
こういう事例でおかしいなと思ったら、近くの労働局や労働基準監督署の相談窓口まで相談になるとよいでしょう。
この際、会社で就業規則を閲覧して該当部分をメモっておくなどをお勧めします。
就業規則は従業員の誰もがいつでも閲覧できるように備えておく必要がありますので、ここにはない、見せられないという対応はできません。
Posted at 2018/05/08 17:43:37 | |
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