
えー、先日、予定通り無事に納車が済みましたので、改めて購入したアバルトをご紹介したいと思います。
ただし、今回「中編」としてアップするのはあくまで「
納車前」の画像ばかりで、実際にはちょっと一味変えて、若干の「色づけ」をしていただきました。その姿は、次回第三弾で改めて披露したいと思います(^^ゞ
また、クルマのコンディションもさることながら、個体についてはそのヒストリーも重要なんですが、それに関しても長くなりますので次回に後述するとして、今回は車両の状態についてのみご紹介いたします。
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アバルトと聞くと、現行の500ベースのモノと生産終了が決まった124スパイダーくらいしか知らない方が多いと思いますが、50年代から70年代までの黄金期には、レースで主に1000cc以下のクラスを席巻した、コンパクトで魅力的なコルサやストラダーレが数多くありました。
その中でまずは車種選択なんですが・・・昔、著名なコレクターK氏の秘密基地で拝見して以来ずっと好きだった「アバルト・シムカ」は(この時の2000はもちろん、1300も含め)タマ数も無く、あってもとても高価、かつあまりにレーシーで、サーキットならまだしも一般道ではキツイとのことで断念。

(※20年前、初めて見た超辛口のアバルトシムカ2000)
1000ビアルベーロにしても同様。見た目は可愛らしいですが、イベントや街乗りで使うには相当大変みたいです(汗
そしてデザイン的には、むしろそれ以前のザガートが手掛けたモデル、具体的には750GT(所謂ダブルバブル)と、今回手に入れた「レコモン」が一番好きでした。いずれも夏ごろ個人売買のお話をいただき車両を拝見しましたが、個体について思う所あっていずれもスルー。

(※ダブルバブルもキュート♪こちらの個体は本文とは無関係です)
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そして、それとほぼ同時に、この個体との縁がありました。想定よりずっと早い展開に戸惑いつつ、その完璧なまでのコンディション、そして素晴らしいヒストリーに惹かれ、購入を決意。車種はシルバーのレコルトモンツァです!(^O^) 正式名称は、「フィアット アバルト 750レコルトモンツァ ビアルベーロ」。
当初アバルトでシルバー、というのはワタシのイメージにありませんでしたが、現車の素晴らしさに惚れ込み、手に入れようと決めました。(見慣れてくると、シルバーという色も気に入ってきました。)まずはあえてワタシが購入する以前、ショップ「コーギーズ」さんで最初に販売された時の写真も利用させていただき、転載して紹介します。
購入に当たって、夏ごろに「(あくまで未定ですが)もしかするとこの個体が売りに出るかも」という段階で、まずはこれらの写真が掲載されている過去の販売車両のページを紹介されたんですが、すっかりそのコンデョションの良さに惹かれるとともに、(写真、奥に写り込んでいるように)なんとも偶然にも、最初に販売された当時、お店では365BBの売り物と一緒に展示されていた、という事実に、「ご縁」、「運命」を感じてしまいました(笑)
それであえてそこから写真を転載しております。こうして同じ画角に写っていると、2台がガレージに並ぶ風景が、ありありと想像できてテンション上がりました(笑)それもあって、その後、実際に売りに出ることになった、と聞いてから、購入決定までそれほど悩むことはありませんでした。
機関・内外装含め、アメリカの著名なレストアラーによってフルレストアされています。後に実車を見ても、こんなに綺麗なアバルトのヴィンテージモデルは初めてでした。

(※この外での写真2枚は「売りに出た」と聞いた後、試乗時のもの)
リア、この角度からのスタイルが一番好きです。特徴的なエンジンフードは甲虫のようでちょっとユーモラスでしょうか(笑)
エンブレムは時代によって何度か変わりましたが、この年代はサソリが簡素化されるも”&C.“が付くタイプ。上のfiatを外してしまう方もおられますが、あった方が良いと思います~
レコモンならではのお気に入りポイント。3枚に分かれたスクリーンがアルファのTZを彷彿とさせる、いかにもザガートの作品といったデザイン。
写真ではわかりにくいですが、サイド部分はこのように内側に凹んでいてベンチレーションの役目をします。
サイドのエンブレム。アップで見ると分かりますが、ボディは「塗り」も素晴らしいレベルです。ピカピカのクリア層の下にフレークが立ったシルバーは深みがあり、アルファなどの旧車でありがちな艶感のないベタっとしたそれとは別物です。
ホイールはやはりアバルトパターンのカンパニョーロが定番ですが、このボラーニの14穴ツーピースは激レアで、探してもまず入手不可能なモノとのこと。マグと違って耐久性も十分らしいです。とても貴重なので、もしかすると後日カンパのアルミ等に替えて、こちらは温存するかもしれません。ちなみにタイヤはXZXの新品です。BBが履くXWX等と並んで、ヴィンテージではお約束の銘柄です。
数年後登場する、850以降のビアルベーロに見られるヘッドライトリングがついてボディから出っ張るタイプより、カバーが付く方が断然好みです。
イタ車というとキャレロ、と思いがちですが、こちらはマーシャル。レンズカットも表情もずいぶん違います。
ザガートのドアハンドルといえばコレですね。ボタンを押すとレバーがポップアップするタイプ。質感も高いです。
エンジンルームも新車以上に綺麗です。非常にオリジナリティが高く(こちらも後日後述)、やはりツインカムヘッドが誇らしく輝き、OHVモデルとの違いを主張しています。
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車両の選択に当たっては、この個体がBi(2つの)albero(カムシャフト)・つまりツインカムエンジンという点も大きなポイントでした。“レコモン”には、旧来のOHVのモノアルベーロを積んだモノと新しいDOHCヘッドのモノがあるんですが、あのジョアッキーノ・コロンボが開発を手掛けたツインカムヘッドを搭載したレコードカーが、モンツァサーキットで速度記録を達成、それを記念したのが車名の由来ですので、やはり乗るならツインカムじゃないと、と。

(※そのレコードブレーカー。一時期、カルロアバルトは速度記録達成に熱心でした。)
購入に際し調べて知ったのですが、実はビアルベーロを搭載するレコルトモンツァは3割程度の台数らしく、それだけで貴重。エンジン単体で売りに出ると、5万€は下らない(!)そうです。
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内装も完璧。一般的に外がシルバーならワインレッドが似合いますが、黒の内張りにグレーのマットで落ち着いた雰囲気。
やはりザガートと言えばこのシート!です。シートベルトは・・・ありません(笑)
ステアリングは黒のエボナイトが多いですが、ナルディのウッドもオリジナルであるそうです。OP的に選択できたのかもしれませんね。
内張り、天井、すべて抜かりなくバッチリです。手掛けたレストアラーについても、次回解説いたします。
トランクルーム(といってもスペースはありませんが・笑)にガソリンタンクが。容量は30リッターくらいだったかな?でも排気量が小さいので燃費は良さそうです。
・・・といった感じですが、いかがでしょうか。ザッと各部を紹介しましたが、ヴィンテージを見慣れていない方にもそのコンデョションの良さはご理解いただけるレベルではないかと思っています(^-^)
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「小さくて軽い」って、どれくらい?とお思いかもしれませんが、寸法はたったの3450×1350、車高は1050(車検証上)、車重わずかに600kg(カタログ上540)!
600kgというと、例えばポルシェからデビューしたEV「タイカン」、その“バッテリー”より軽いです(笑)し、かつての愛車デュエットなどジュリア系が約1000kgですから、それに比べても半分くらいしかありません。この軽さはもはやヴィンテージでしかありえないモノで、コンパクトさ含め走らせた感覚はもちろん独特です。

(※助手席体験時。レッグスペースの狭さと脚の近さにご注目・笑)
パワーはベースのフィアット600に比べれば大幅にアップしているとはいえ、わずかに57hpに過ぎず、どんなに頑張っても現代の軽自動車より遅いです(^_^;) でも非力なパワーを振り絞って、軽いボディを全開で走らせるのは本当に楽しいですし、一般道でも十分「やってる」感を楽しめます(笑)
まだ納車したばかりで慣れていませんし、転がすだけで緊張しますが・・・今後その魅力に取りつかれていくのか?手こずって結局は「やっぱ無理!」となるのか?まだ分かりませんが、この小さな辛口レーシングカーの世界に、蠍の毒に、しばらくはシビれてみたいと思います♪
ということで、次回は個体のヒストリーをご紹介するとともに、いよいよ納車された後の、愛車の現在の姿もお披露目したいと思います~(^^ゞ