
みなさまこんばんは~。
大変お待たせいたしました!
本日、雨の心配もなく、かつピーカンで暑過ぎないという、この時期としてはベストな天候の中、無事にニューマシンが納車となりましたので、ここに改めてご報告し、その全貌をディテイルと共にご紹介したいと思います!
※例によって前後篇に分けずに一気にアップします。フルボリュームなのでよろしくです(笑)
・
・
・
すでにご存知の方がほとんどかと思いますが(笑)、購入したのはワタシの長年の夢のクルマでもありました、フェラーリ 365GT/4 BB です。本車は’75年式の後期型。
デザインは、ワタシの大好きな、当時のピニンファリーナのチーフデザイナーである、レオナルド・フィオラバンティ氏。(ちなみに氏はプロバローネ氏から引き継いでディノを仕上げ、他にもデイトナ、308、最後はF40を手掛けた、ワタシにとって「これぞフェラーリ」という時代のクルマを生み出した天才です。)
BBのデザインコンセプトの大元は、‘68年のトリノショーに、ピニンが出展したコンセプトカーの「P6」。
ややリアのボリュームが大きいでしょうか。生産型の方がまとまっている気がします。いわゆる「コーダトロンカ」。70年代初期のデザインのトレンドですね。
えー、BB、と言いましても、大きく分けて3車種あります。これを機に、簡単に解説いたします。
「え、BBって512じゃないの?」という方が多いかと思います。昔、スーパーカーブームの頃は、年代からしてすでにモデルチェンジの後で、「512BB」でした。カウンタックと並んで人気を二分していたのは、確かに512です。これがまた512BBと、512BBi の2車種あります。
前者はキャブ、後者はインジェクションですね。いずれも365BBと比べると、見た目で言うと主にリア周りのフォルム(リアエンドの処理やフェンダーのフレア等)、テールランプとマフラーエンドがいずれも3連(512は2灯・2本出し)、フロントスポイラーの有無、サイドのNACAダクトの有無などの違いがあります。
見比べても、「ほとんど一緒じゃん」と思われる方が大半かもしれませんが・・・こと365に拘る者にとっては、その違いはあまりに大きく・・・
リアエンドの断ち切り方の違い(365は短く、スパっと切り落とされ、緊張感があります)など、分かりやすく例えると、テスタロッサと512TRくらい“全然”違います!・・・・え!それもほとんど同じに感じる!?・・・・困りますね(^_^;) まあ、オーナーだけが分かっていればいいレベルかもしれません(笑)
ちなみに車名の365、とは?フェラーリオーナーなら常識ですが・・・「フェラーリと言えば12気筒」の時代。車名は1気筒あたりの排気量を示していました。250しかり、275しかり。故にV6のディノはFのエンブレムは付きません。308が出てからはこれが崩れ、BBも512は「5リッターV12」。伝統の車名の付け方は、この365BBが最後です。多分(^^;
その365BB。生産台数わずかに387台。(ミウラの初期の400より少ないです)日本には、そのうち約35台程度存在すると言われていますが、そのうちどれくらいが普通に自走可能なコンディションにあるかは分かりませんし、ましてや機関好調、内外装バッチリ、となると・・・
事実、ワタシもこの数年間、イベント会場などで7~8台の365BBをじっくり拝見する機会がありましたが、「これは!」と思える個体はそのうちごく一部でした。
狭い世界ですので、伏せたところで事情に詳しい方にはすでにバレているので明かしますが(笑)、ワタシが今回購入した個体は、2年前にビッグサイトのイベントでキャステルさんがブースに出展していたクルマ、そのものです。
ワタシも会場に行き、大興奮した模様は
以前のブログにもアップされています(^_^;)
アルファ時代に多くのジュリアやジュリエッタを見てきたワタシは、旧いクルマを見る目は少しは養われているつもりですが、そのとき見た個体は、「日本で、納得できるようなコンディションの365BBは(入手可能なクルマには)ないのかも・・・」と諦めかけていたワタシが初めて目にした「バリモン」の365BBでした。

(※当時撮影した写真)
「こんなクルマがあるんだ!」という驚きと喜び・・・そして改めて、キッチリとボディラインやエッジが「生きて」いる365BBのデザインの美しさに震えました。
その頃は、前オーナーさんから承諾を得て、鞍さんがイベントのたびに会場に持ち込んでいたようです。(クルマはオーナーさん宅ではなく、ショップ預かりだったような感じでした)当然、売り物ではありませんでしたが、「いつかこれくらいグッドコンディションの365BBを手に入れるぞ!」と、決意した時でもありました。
そして細かな事情は分かりませんが、その個体そのものが、とあるルートで売りに出たものを、今回ワタシが購入するに至りました。正直予算はオーバーしましたが、コンディションからして仕方ないと思える範囲に落ち着きました。(当初は委託販売で、希望価格は遥かに高価格でしたが、売りに出てから数か月後に交渉に入り、手打ちとなった次第です)
ワタシは365BBの全車、シャシーナンバーごとにファーストデリバリー先と、特徴ある個体であればその内容も網羅したデータを持っているのですが、本車SN;18431は本国イタリアデリバリー。素性としては、その後もファーストオーナーの元で30年以上維持され、 2008年、オファーを受けたキャステルさんが現地でレストア後、日本のオーナーの手に。
その後は走行100km程度、という状態とのこと(オドメーターは約42000km)・・・どこまで本当か分かりませんが、信じるに値するコンディションだと思います。
拘っていた白レンズ。仕向け地によってはオレンジ。一応、リプロ品も手に入るが、品質は悪いらしい。本車オリジナル。
もうひとつの拘りだった、3連マフラー。入手困難。アンサ等に換えてしまっている車も多い。稀に中古で出ても90万~200万(!)との噂も・・
センスのいいドアノブ。クリップのようなデイトナと並び、この時代のフェラーリの美点の一つ。ノブ本体はロストワックス鋳造で凝った造り。
このプレートはリペイント時に外され、そのまま無くなっている車がほとんど。本車ではキチンと再度リベット留めされている。
特徴的な、スクリーン式のサンシェード。レストアで無くなってしまっている個体が多く、パーツはほぼ入手不可能。本車健在・新品同様。
内装のレストアはモデナのルピー氏という職人が手掛けていて、
※後日訂正。
ゲンロク8月号に、その内装屋さんが載っていました。個人ではなく、家族経営のフェラーリの内装専門工房。個人では無いそうです。発音もLuppi なのでルッピ、ですね。
その出来は、正に当時のずさんな仕上げだった新車以上と言っていいと思います。革の素材感が新車当時と違うのが好みではありませんが、その張り具合、ステッチ、雰囲気、どれをとってもセンスがいい仕上げです。
トグルスイッチが並ぶ、60~70年代独特の雰囲気。メーター周りはフェラーリのオーソドックスな作り。シートは最後期の為、ヘッドレストあり、リクラインありのタイプ。個人的な好みでは中期のレザー(最初期はファブリック)一体型のヘッドレスト無しが一番好きですが、これは仕方ないところ。
これが所謂「スーパーカー開き」(笑)。BBとミウラですか。
カウルはアルミで見た目より軽いです。一人でも開閉できました。
フロントのトランクルームはモヘア張り。スペースはミニマム。アルファもそうですが、この時代のイタ車はウォッシャータンクが水色のビニールバッグ。
カンパニョーロ製(!)のスペアホイールはスペースセイバータイプ。マグとは信じがたいほど重い(笑)。どうせ出先で交換なんてしないだろうし、外して室内保管かな?撮影し忘れましたが、懸念していたオリジナルの工具バッグ(この下に収納)もありました♪
履いている方のホイールは、当然クロモドラ。憧れたセンターロック+スピンナー♪
キャブ周りの雰囲気はまずまず。オリジナルの白のハイテンションコード、太いタイラップが嬉しい。間違っても赤や青のシリコンコードにして雰囲気を壊してはならないところ。
エアクリーナーカバーの蓋は、前期は黒、中期以降はシルバーのはずで、白はノンオリジナル。個性としてこのままでもいいけど、そのうち戻したい。
ルーバーは引き抜き成形材と高級な仕上げ。後の308等、プレス成型とは別物。ただし艶消し黒はノンオリジナル。(本来黒アルマイト仕上げ)
フロントグリルも、やはり引き抜き材を組み合わせた凝った作りで、テスタ等とは別格。バンパーはFRP。
ドア内張りについているアルミのスピーカーカバーもそうですが、こうした細部の造りが良く見るととても高級で、写真で見ているだけではその雰囲気が分かりません。
・
・
・
さて、ひとしきり撮影した後は、興奮冷めやらぬまま、初走行して参りました。クラッチの重さと、機械式の違和感はすぐ慣れそうですが、スロットルが重くて渋いので、そちらが気になりました。渋滞にはハマりたくないのは確かです(笑)
音はもちろん355のようなカン高い音ではありません。子供の頃、何車種かの走行音を収録したレコードを持っていたんですが、当時聞きながら疾走する姿を想像した、あの音です。キャブ12気筒の音。「スーパーカーの音」。多くの方には355の方がずっと「イイ音」と思えると思いますが・・・ワタシは両方好きです。355も持っていられたら良かったんですが(-_-;)
ディノのような丸みはないものの、視界には常にフェンダーの峰が。
ここで盛り上がるであろう、来週も今日と同じような天気、希望します!!
ハイギアリングなので、一般道では2速で事足りるくらい。高速でも4速で流せてしまいます。トンネルで一度だけ6500まで引っ張りましたが、やはり355とは違うサウンドの良さがあり、タイプは違えど回したくなるのはさすがフェラーリエンジンといった感じでした。高音ではないので、耳には優しいかな?(笑)
スロットルの渋さと、出足のトルクの細さから、走りだしは気を使いますが、いったん速度が上がれば想像していたより「普通に」走れちゃいました。経験上、この、「普通に」、というのが実は凄いことで、調子が悪かったりキャブのセッティングが出ていない、乗りにくい、という状態を、「味わい」だとか「荒々しくて手ごたえがある」とかなんとか言って喜んでいるケースが凄く多いですが、実は旧いクルマでも、コンディションが良くてキャブが決まったクルマは「普通に」乗れちゃうんですよね。
シフトも入りにくいなんてことはなく、節度を持ってしっかり決まります。トランスミッションもキチンと手が入っているのが分かりました。
もちろんそれでも、ダイレクトなフィーリングや音、匂い、スクリーン越しに見えるフェンダー・・・どれを取っても355とは別世界の味わいです。無理やり例えれば、355が近年のスーパータスカン、BBはヴィンテージのラトゥール、って感じですか(笑)飲んだことあるのは’75じゃなくて’73ですが(^_^;)
「運転している感」に浸り続ける、というこの感覚。戻ってきた!って感じでした♪やっぱりヴィンテージは素敵です☆
これで、アルファ時代はたった「4」だった「所有総気筒数」は、12+6+4、で「22」となりました(^_^;) 某みん友さん達からすればまだまだですね~(笑)
・
・
・
困難を乗り越え、手に入れた納得できる365BB。「目標を掲げて邁進する」タイプなのですが、さすがに“趣味車においては”次の一手はまだ具体的に構想していません(笑)「新しめの、気軽に乗れるヤツも・・・」とか、「やっぱりアルファかアバルトか、小さい4発も・・・」とか、フワフワ妄想しているうちに、BBの維持にある程度の目処が立ったら、増車したいなあ♪
しかし「見た目だけでは分からない」のが旧車のコンディション(特に機関系)。知り得ない持病を抱えているかも知れませんし、そうでなくても突如として病に倒れる可能性も・・・また、走れば走っただけ(特にBBの場合)ボディが痛むのも仕方ありません。
全てのリスクと可能性をひっくるめて抱える気概が無ければ、オーナーとなる資格が無いクルマと言えると思います。「よっしゃ!お前は俺の元に来るのが運命だった。何があっても動じず、愛してやるゼ!!」なーんて威勢よく言える余裕はありませんが(笑)、少なくとも経済的に「走れる状態を維持できない」ような事態が続かない限りは、長く大事にしたいと思っています。
まあ、先の不安を考えたらキリがないのですが、今夜はせめて、ガレージにコイツが収まったことを、ただ単純に、心から喜び、幸せな気持ちに浸りたいと思います(笑)
購入までの道のりにおいて、みんカラつながりでお知り合いになれました方々を通じて、BBのオーナー様と引き合わせしていただき、また、皆さまから激励のお言葉を頂戴したりいたしました。それらがなければ、購入に至ることはなかったかもしれません。とても大きな力となり、背中を押していただきました。ここに改めて、御礼申し上げます。ありがとうございました。
355の時ほどは、気軽に遠出したり、ツーリングでも「ついていけない」クルマになってしまいましたが(笑)、今後とも今まで以上に仲良くしていただけたら幸いです。
どうか末長いお付き合いのほどを、よろしくお願いいたします!(^^)/