
さて、購入したアバルトのご紹介ですが・・・第3弾・最終回である今回はそのヒストリーと、納車時にちょっと色気を足した現在の姿をお披露目したいと思います。
まずは最初に販売された当時、コーギーズさんの車両紹介のページで記載されていた説明文をお借りして、購入前に資料を調べていた際に見つけた往時の写真と共にそのまま添付します。
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” Record car、750GTをはじめとする数々のアバルトコンペティションモデルのベースとなってきたFIAT600OHVエンジンは、アルファロメオ、フェラーリ、マセラティで辣腕を振るった名技師、ジョアッキーノ・コロンボの手を借りて1957年、Bialbero(DOHC)エンジンへと進化していきます。この新しい”Tipo 221 750 Bialberoエンジン(61mm×64mm=747.772cc)”を搭載した”Record Monza(レコルト・モンツァ)”は特筆すべき速さを見せ、瞬く間にヨーロッパGTカテゴリーの頂点に立ちました。
その後アバルトは、アメリカという新たなステージを求め、ルーズベルトアメリカ合衆国元大統領の第3子”フランクリン・ルーズベルト・ジュニア”と協力体制を結び、フィアット・アバルトのアメリカ東海岸代理店契約とともに、今後開催されるアメリカの数々のレースに、ルーズベルトチームはレコルトモンツァで出走するという、魅力的な契約を締結します。
こうして、アメリカに進出する足がかりができたアバルトは、4台のワークス750ビアルベロと7人のフルチームを率いて、偉大なる1959年のSebring12時間レースに”Team Roosevelt”から参戦、クラス上位4位までを独占という華々しいデビューを飾りました。
アメリカのアバルトエンスージャストが長い年月をかけてレストアしたこの個体は、”Team Roosevelt”に在籍した経緯をもつ由緒正しい一台で、Sebring12時間、4時間レースをはじめ、SCCAのレースで活躍したレースヒストリーが知られています。
見事なまでにオリジナリティを忠実に再現したレストアは、Pebble Beach Concours d’Eleganceの常連、”Nino Epifani”の仕事。アバルトを知り尽くした彼のレストアへの執念は細部にまで及び、完璧なまでの完成度を誇っています。
750ビアルベロだけに見られるエンジンルーム内の特徴パーツ、イグニッションコイルマウント、ロングネックラジエター、FISPAガラスレギュレター下の受け皿は、オリジナルのまま綺麗にレストアされ、シリンダーヘッドナンバーが入るIDプレートも奇跡的に残っています。
唯一、Allemano製オイルテンプゲージがダッシュボードに見られないのは残念ですが、インテリアも抜かりはなく完璧にレストアされており、NARDIフラットリムが華を添えています。 ”
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・・・とのことです。つまりこのクルマは、フェラーリでいうNART(ルイジキネッティにより率いられた、全米代理店から作られたセミワークスチーム)に相当する「Team Roosevelt」の1台として、アメリカのレースで活躍した由緒ある個体、ということです。
これらは全て納車時に引き継いだ資料です。レストアの記録はもちろん、これまでの歴史が分かる、やりとりされた書簡や売買の記録・領収証、メモ書きやメールなど些細な物まで含めた膨大な資料のファイルに、歴代オーナーの想いが伝わります。
オリジナルの色はTeam Rooseveltで唯一のジアッロだったそうです。
この時代に、セブリング始めSCCAのレースで活躍しました。21、29など数種類のゼッケンでの写真が見受けられました。
その後一旦メキシコに渡り、1度目のレストアを受けました。この時の明細は手元にありませんが、本格的にレストアしたようです。
この時は赤に塗られました。アバルトの赤とはちょっとイメージが違う色ですが・・・
バンパーにフォグを付け、コンペティティブな感じ。この仕様もイイですね。
オーナーの名前はゼペタさん。どちらか分かりませんが(笑)、嬉しそうな表情から黄色の方がそうだと勝手に想像しています(^_^;)
そして再びアメリカに戻って前述の「エピファーニ」でペブルビーチ出品レベルの二度目のレストアを受けました。内外装から機関まで、4年半もの歳月をかけての、細部にわたるコンクールレベルでの正真正銘のフルレストアです。
各工程の写真も多く残され、使用したパーツひとつひとつまで分かる膨大な明細がしっかり保管されています。
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ところで、レコモンの後に登場したアバルトの人気モデル「1000ビアルベーロ」、その中でも間違いなく最も価値がある個体、と思われるのが、あのブルースマクラーレンがドライブして‘61年のセブリング3時間で優勝したS/N 1128948 。白にブルーのストライプがいかにも北米のレーシングカーといった佇まいの1台。
この個体はその後、ある熱狂的なアバルティスタの元で、我が個体と同じくエピファーニでレストアを受け、当時ペブルビーチでクラス優勝。購入時に拝見したファイルにあった資料の中に、ツーショットの写真が添付された、レストア途中にやり取りされたメールがあり、今回購入したレコモンも、そのオーナーのコレクションの1台だったかもしれないとのこと。(残念ながら1000BAのオーナー氏の履歴が調べられず、はっきりとは分かりませんでした)筋金入りのアバルティスタが「1000BAはコレ、レコモンはコレ」とチョイスした、となると、さらに素性の良さを確信するところです。
こちらはセブリングでのショット。その2台は往時には同じレースにも出走したようです。(斜め後ろの29番が現車)
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・・・ということで、今回購入するに当たり、そのヒストリーを元にちょっとレーシーな雰囲気にしてみることにしました。元からカラーが銀/黒なので、ちょっと地味過ぎるなあとも思いまして(^_^;)
こちらが納車後の、現在の姿です!

(※生憎曇り空でコントラストがなく画が微妙ですが・汗)
塗装するのは気が引けるので、気軽にカッティングシートですが・・・
(※ドアハンドル下の「FP」は、当時のレースにおけるクラス分け表示)
資料を見ると、ゼッケンサークルはもっと大きく、ドアをはみ出してサイドシルに至るのですが、途中で切ると剥がれやすくなったりしておススメできない、ということでちょっと小ぶりに。本来だとリアにもやや右寄りに貼るのですが、くどくなるので3枚に留めました。
肝の「Team Roosevelt」のロゴは、当時手書きで一台一台バラバラでしたが、一番良い感じの画像をトレースしてコピーして作りました。厳密には、塗装の質感や厚み・丸みのある角の感じ(シートだと断端がシャープ過ぎるんですよね)がベターですが・・・
そして海外のショップで見つけたヴィンテージのステッカー(コピーですが・汗)を吟味してプラス。左サイドにはセブリング耐久レースのモノとザガート。
反対側には、出走していたSCCA(スポーツカークラブ・オブ・アメリカ)とモンツァサーキットのモノを。真ん中に寄せ過ぎ?(汗 でも離れ過ぎると散漫ですし、難しいです(~_~;)
リアウインドウにはコチラ。イエローベースのタイプが主流ですし華やかなんですが、北米など英語圏に輸出された個体には、TORINOの英語表記であるTURINの透明なモノが貼られていたそうなのでそちらをチョイス。
そしてレアなボラーニのホイールにはこれ。同デザインのシルバーもありますが、地の色になじむ透明タイプのモノを選びました。
こんな感じで、全体として、この個体がアメリカで活躍した事をリスペクトした感じにしました。サークルとロゴの色は迷いましたが、光によっては意外とシルバーともコントラストがつきますし、目立ち過ぎず上品で白にして正解だったと思っています。
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「オリジナリティが高いのにレーシーな仕立ては矛盾するのでは?」というご意見もあると思いますが、そうでもありません。例えばグレー/赤がイイ感じのS/N677208、2006年のペブルビーチでは、バンパーまで付けた完全なオリジナルなスタイルでしたが・・・
バンパーはそのままで、チームルーズベルトで付けていたゼッケン87をまとった姿の写真も。個体のヒストリーをリスペクトしつつ、「純オリジナル」と「やり過ぎないレーシングモディファイ」のバランスを取った、このセンスに沿った雰囲気にしてみたつもりです(^^ゞ
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運転しての感想はまたおいおい・・・不満や気になる点もあり、後日改善したいのですがそれはむしろ「楽しみ」にするとして(笑)
BBとのツーショット、特に夜のガレージで並ぶ姿が予想以上に超絶素敵なんですが( ≧▽≦) そちらはまた次回アップしようと思います~