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2020年07月13日

松型駆逐艦・竹(艦体各部の製作・最終回)

爆雷装填台を作ります。

基本的にはトラス構造なので、極細伸ばしランナーorプラ棒を正確に切り出して組み上げれば完成するはず…だったのですが、実際にやってみたところ(画像左)まったく実感を損なう出来栄えになってしまいましたorz

「何でもスクラッチ」のザクとは違うとしては悩みましたが、やむを得ずエッチングパーツのお世話になることにしました。そのためだけに半日かけて名古屋の有名模型店までドライブしたのは内緒です(笑)
しかしその甲斐あって画像右に示すように非常に精密度の高い爆雷装填台が安易に出来上がりました。
エッチングパーツの威力をまざまざと見せつけられた瞬間でもありました。
(ただ後で分かったのは、これとて図面サイズより微妙に大きい(短辺で0.3mm程度)です。正確性を期したい場合はファインモールド以外を選択すべきと思われます。)

爆雷装填台は上部と側面に薄い防弾板をつけた例もあったようです。

竹がどうだったかの資料がありませんが、模型的な見栄えを重視して未設置としました。

甲板のヘリには手すりが付きます。
これもエッチングパーツが出ていますが、さすがにこれくらいは自作で頑張りたいと考え、まずは柱を作るため、ピンバイスで開けた穴に伸ばしランナーを差し込み、1.5mmの高さに作った治具を使ってニッパーで切断します。

その後、手すり(チェーン)部分を髪の毛で表現するため、柱に瞬着で接着します。
しかしピンと張ろうとしてテンションを掛けると伸ばしランナー製の柱はそれに耐えられず曲がってしまいました。

次に試したのは手元にあった0.28mm径の金属ワイヤー。

しかしこれもいったんは画像のようにきれいに張れましたが、その後は髪の毛の自然な曲がりに接着力が耐えられず、失敗。
柱も0.28mmでは少し太めだと感じました。
悩んだ挙げ句、0.19mm径の金属ワイヤーと0.06mmのメタルリギングを入手し、3度めの試作。

今回はうまく行ったようです。
本番ではもう一段ギアを上げた仕上げを行おうと誓いました。

多くの試作と失敗を経て手すり設置を完了させました。

ここまで来ると船全体の形がかなり見えてきたという印象を受けるので、気分も上がります。
まずは喫水線下をハルレッドで塗り、その部分にマスキングテープを貼ります。
その後全体に軍艦色(今回は佐世保工廠色)を吹き、予め塗っておいたリノリウム甲板部分と喫水線下部分のマスキングテープを剥がします。

これまでは各パーツごとの製作が続いていたので全体像が見えませんでしたが、この姿を見るといよいよ完成が近いことが実感できます。

これまでに作った艦橋、後部構造物そして前後主砲と魚雷発射管を艦体へ設置しました。
しかしここで問題発生。
魚雷発射管を左舷に向けて設置しようとすると手すりと干渉してしまいます!

図面を見直しましたが、発射管手すりとも寸法や位置に狂いはありません。
とすると魚雷発射時は手すりを倒していたと考えるのが妥当です。
実際、旧海軍の「合戦準備」には以下の記載があります。

「Hand Rail はこれを外したる後直ちに敵と会戦せざるとき、または夜間哨戒中にありては人員保安のためこれを立て置くを例とす。」

今回は夜戦が舞台なので、上記からは立てておくのが正しいことになりますが、魚雷が撃てないのはおかしいので、魚雷周辺の手すりのみ倒しておくことにしました。

そして機銃の設置。
25mm機銃は細かいモールドが自作では表現できないので、アフターパーツを使います。幸いフジミから出ているパーツセットには双眼望遠鏡や探照灯管制機などとともに単装及び3連装の機銃もセットされているのでこれを使うつもりでいました。
しかしパーツを実測してみると図面より微妙に大きい。3連装の幅で言うと0.5mm以下の違いですが、狭いスペースに所狭しと機器を配置している駆逐艦の場合、0.何ミリが致命傷になりえます。
悩んだ挙げ句単装3連装ともファインモールドのナノドレッドを使うことにしました。

↑画像左がフジミ、右がファインモールドです。
若干お金はかかりますが、そのクオリティは艦船モデラーが等しく認めるレベル。サイズの正確性もさることながら、精密なディテール表現には度肝を抜かれました。特に単装に至っては弾倉に空いた0.1mm程度の穴から見える実弾まで表現されているという…。もうここまで来ると変態を超えて狂気の沙汰です(褒め言葉)

武装に関しては、福井静夫氏ほか2名がマリアナ沖海戦後の増備位置調査を行っており、書籍にもまとめられています。
それによれば竹は単装機銃4基が増備されたこととなっており、その位置も明示されています。

しかしそれらの弾薬箱がどこに増備されたか確認できないので、適当と思われるスペースに設置してみました。

次は短艇の工作です。
松型はそれまでの艦隊型駆逐艦が搭載していた7mカッターではなく、ひとまわり小さい6mカッターを積んでいました。
アフターパーツで一部メーカーから6mタイプも出ていますが、そのためだけにお金を出すのはあまりに勿体ないので、手持ちにあった7mカッターの全長を短縮し全体のフォルムを見直します。

画像にあるそれぞれの左側がキットの状態、右側が加工後です。
しかし特に内部をくり抜く作業は予想以上に大変で、これを同じクオリティでもう一つというのは厳しいと感じました。
そこで思いついたのが「複製すればいいじゃん」という安易な発想。
少なくとも下面は複製することで全く同じものを作ることができるし、上面もエポパテ塗りつけ時に凹ませておけば良いと考えました。
ということでまずは型想いで型取り。

いきなり完成状態です(笑)

上面くり抜き部も極小サイズのため表面処理が難しく、複製が必ずしも最良の選択とはまでは言い切れませんが、一定のレベルにまでは行ったかなと思ったのでこれでよしとしました。
その後乗組員座席となる横桁を設置。
また短艇設置位置の甲板に短艇を固定するための架台を作りました。

なお旧海軍での戦闘準備として「短艇には海水を入れておく」というものがあるので、内部に木工ボンドを入れて水の表現をしてあります。

お次は10m運貨船、通称・小発です。
しかしここで悩んだザクとは違う。
竹は新造時に比べて電探や機銃を増備してオルモック輸送を迎えています。他の艦艇も同様ですが何か増設する際はその分の重量を別装備の撤去で賄っていたという意見があります。しかし竹の場合、何かが撤去された記録などは明確でありません。そこで使用頻度の低い小発を降ろしたのでは?と考えました。この時は2隻とも降ろした設定にするつもりでしたが、そのスペースががら空きとなるのは不自然なので無理やりひねり出したのがドラム缶。

0.9mm丸棒を2mmの長さに切り出したものです。若干大きめですが雰囲気重視ということで(汗)

ガ島戦後、駆逐艦の鼠輸送が続いたという記録を私は知りませんが、小発1隻+ドラム缶で迅速確実に物資輸送を補助するという考えがあったとしてもおかしくはないと思い、資料的根拠なしにそうすることにしました。

肝心の小発はWLパーツ(確か二等輸送艦同梱)の形状を修正することとしました。

まずは平面形を、キットの「舳先が太めで後ろに行くに従って若干細くなる」という形状から「船首船尾以外は左右並行」に修正し、物資等搭載スペースも図面に合わせて修正しました。

余談ですが小発はその図面写真ともほとんど出回っておらず、特に実物の写真が最後まで確認できませんでした。よって工作に際しては竹の図面に書かれたものを基本にしています。

後部構造物付近には応急処置用円材置き場があったので、設置場所を伸ばしランナーなどで作り、その上から円材に見立てた伸ばしランナー数本をまとめたもの置きました。

戦争後半の旧海軍艦船は不燃化対策として可燃物を徹底的に陸揚げしたと聞きますが、円材は不沈化に必要なので陸揚げされてはいません。

このあと未施工だったメインマストを作りました。
松型のマストはそれまでの円形断面ではなく三角断面のものを二本張り合わせて作ったとのことなので、プラストラクト製0.3×0.3mmの角棒を入手して組み上げました。
中段には伸ばしランナー製の2キロ信号灯も設置しました。
マストトップ付近には3本の横桁が走っていますが、2本目は図面及び実艦写真を見る限り斜め後方に伸びていると思われたのでそのように設置しました。
また最上段の横桁接続部にはE-27逆探も設置しました。

メインマストと後部マストが立ったので、その間を走る空中線を張ることにします。大抵の作品ではしっかりとテンションを掛けてピンと張ったものが多いと思いますが、竹の画像ではそうなっていません↓


よって作品でもそのように表現するため、メタルリギングをマスト間より少し長めに切断し、しなりが付くようクセ付けを行いました。


艦尾にある旗竿ですが、図面だと2番主砲とほぼ同じ高さになっています。
しかし実艦写真を見ると、もう少し高くなっています。

同型艦の写真も確認しましたが、図面のような高さもあれば、竹同様の高さのものもありました。
今回は写真ベースで高めの旗竿とし、中段に伸ばしランナーで図面と同じ高さに艦尾灯を設置しました。

第一煙突左舷側には烹炊室煙突が伸びていました。
キットではフジミタミヤとも甲板から生えているように表現されていますが、烹炊室は艦橋後端にあるので、煙突で排出すべき煙はそこで発生します。
よって作品ではそのように設置しました。


第二煙突前にも極細の煙突(?)があり、図面でも実艦写真でも確認できます。
よって極細リード線で表現してみました。

ただこの煙突と思われるものが何のためのもので、どこから生えているのか分かりませんでした。

さ、あとは塗装して完成!
ブログ一覧 | 艦船模型 | 趣味
Posted at 2020/07/14 18:07:54

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こんばんは、🙇🏼‍♂️
138タワー観光さん

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べるぐそんさん

この記事へのコメント

2020年7月18日 6:02
資料と時代考証をもとにして、
リアルに再現をしていく作業…
さぞかし気が遠くなったことが
あったことでしょう…

しかし、それに裏付けられた
作品にはものすごい説得力が
ありますね♪(*´ω`*)

プラモデルではなく、模型ですね♪
コメントへの返答
2020年7月18日 8:42
今回の製作で唯一ほぼ絶対の自信を持って言えるのが「考証の正確さ」だと思っています。
自分の入手できるありとあらゆる資料を漁りまくり、そこで足りない部分は極力合理的と考えられる推測で補う。
実際に工作をしている時間の5倍以上はそういう時間に充てました。
恐らくですが竹として作られた模型としては、現時点で最高の研究レベルにあると思います(´ω`)

>プラモデルではなく、模型ですね♪

なんと嬉しい言葉!
ありがとうございます!
今後の励みになります✧ ( °∀° )/ ✧

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模型工作とキャンプが大好きなヘタレをやぢです。 私がフォローする方には2種類あります。 一つは「以前からのみん友さん」 もう一つは「ちょっと興味を持っ...
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