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2023年02月25日

二等輸送艦製作記(資料の確認・キットのチェック)

二等輸送艦製作記(資料の確認・キットのチェック) 一等輸送艦・第9号はひたすら地味な作品となりましたが、今回製作する二等輸送艦もこれまた地味w
でも輸送という、現代戦には非常に重要な役割を果たすフネです。
まずは二等輸送艦について。
ソロモンでの戦いを経験した日本海軍は漸く前線への強行輸送の重要性に気付き、昭和18年9月に優速の輸送艦建造を決定します。これが二等輸送艦。
船体のラインは曲線を一切廃した従来の日本艦艇にないスクエアなフォルムとなりました。建造はブロック工法を採用し、3~4ヶ月で竣工するというスピード建造でした。
主機は当初建造の6隻のみディーゼルの3軸であとはタービンの1軸(昭和20年起工分は石炭専焼缶に変更)。外観上はディーゼル艦は1本の直立煙突、タービン艦は2本の集合煙突なので、明確に識別できます。また主機の違いにより最高速力や最大積載量も異なります。なお速力は米軍のLST(Landing Ship Tank)よりも優速です。
一等輸送艦同様、戦火の激しい地域へ投入されたため、ほとんどの艦が戦没しています。

今回は第7次オルモック輸送部隊として製作するので、その参加艦である第140号と第159号を2隻同時製作します。キットは約40年前に設計されたタミヤの1/700で直立煙突のディーゼル艦を再現していますが、140号159号ともタービン搭載なので煙突周辺は作り直す必要があります。しかしタミヤさん、なぜ建造数の少ないディーゼル艦をキット化したんでしょう…。

ランナーは1枚で部品点数も少なく、組立説明も「1 部品のくみたて」「2 船体のくみたて」以上で終了ですw


しかしこの後のチェック結果のように基本的なフォルムを非常に的確に再現しており、安価かつ簡単に二等輸送艦の勇姿が再現できる好キットです。

では手元の資料をかき集めます。


これらの他、大和ミュージアムで購入してきた実艦写真やTwitterのフォロワーさから頂いた正面線図も参考にします。
2種類ある図面はいずれもディーゼル艦中心に描かれていますが、昭和造船史別巻図面(以下「造船史図面」)にはタービン艦の煙突周辺が描かれていること、ビームNoの記載があることから、こちらの図面を中心に寸法の確認を進めることとします。
「二等輸送艦の全貌」は同人誌で、初めてこうしたものを購入しましたが、その内容の濃さに驚き感動しました。素晴らしい!
丸スペシャルは写真の観察だけでなく、キャプションも注意して読みます(一等輸送艦製作の際、そこに重要な未確認情報が載っていたので)。そこで気になった点を以下に列挙。
・揚陸のため擱座した時の艦首部の水深は1 m程度
・船体の強度不足により、修理工事の際などに補強工事も実施(本土近海用対策なので、S20中心か)
・タービン艦の積載量:人員200名、貨物250トン(補強により人員120名、貨物220トンに減少)
・航海中は内扉を降ろし門扉と2重の防水壁を構成、上甲板の開口は木板等で塞がれた
・揚錨機の故障を考慮し予備として人力装置も設置
・まず船倉内の戦車を揚陸、次に内扉を降ろして上甲板の戦車を揚陸する順序
・内扉表面にシュロの筵を2枚敷く(予備数組を搭載)
・上甲板には昇降用ハッチを左右2個ずつ設置
・船倉の空気を排出する通風トランクを設置(船倉内での戦車のエンジン起動可能)
・主錨は1トンを1丁(予備に1トンをもう1丁)
・艦尾錨は2.3トン(1.2トン)(接岸前(200~300 m沖)に投錨)
・艦尾錨は錨鎖でなくワイヤ
・艦橋前の上甲板に小型ハッチ2個を設け、付近に3.5トンデリックを装備
・1945年1月以降に起工された艦は石炭専焼ボイラー搭載(煙突少し高い)
・復元力に余力があるので、対空兵装の増備が比較的容易
・機銃爆雷増備はS19.9~
・タービン艦は1軸


今回作る140号159号とも実艦写真は乏しく、159号の大破擱座した2枚の写真があるだけで、ディテールはほとんど分かりませんorz


ならば同じ造船所で作られた同型艦を参考にするしかありません。
140号は佐世保海軍工廠、159号は日立向島造船所で建造されていますが、佐世保では133、141の2隻しか建造されておらず、133号の公試時の写真が68K本に1枚あるだけです。

159号の同型艦は149~161号の12隻ありますが、このうち149号はディーゼル艦ですが、能力試験時に艦首ランプ付近の詳細写真が参考になります。また151号は68K本掲載の6枚+大和ミュージアム所蔵の5枚の計11枚を参照します。しかし他の10隻は写真が全くありません…。

いよいよ工作開始。まずはキットのサイズが正しいかの確認を始めます。

造船史図面のスケール確認が最初の作業。実艦の寸法は全長、水線長、最大幅などが判明しているので、これらを図面と照合します。
しかし図面に描かれている側面図(2種)と上甲板平面図、船首楼甲板平面図がそれぞれ微妙に縮尺が異なるようで、その確認と縮尺の決定に意外と時間を要しましたorz
その結果、キットの船体は図面寸法をかなり正確に再現していると判明しました。細かいこだわりがない方はストレートに組んでも全く問題ないレベルです。さすがタミヤ。
しかしHENTAIモデラーはここでは終わりませんw
今回も徹底工作を行うので、上甲板の車両搭載スペース両側の壁及び床面、艦尾楼甲板上のモールドをいったん全て削り取ります。さらに図面との照合で最大幅(艦橋付近)を0.5mm削る必要があると判明したので。これも施工。合わせて舷側全体を面出ししました。

キットは金型が古いせいかヒケも目立ちますが、面出しすることで二等輸送艦のスクエアなフォルムが強調されるのでオススメです。

140号は揚陸場面をジオラマ化する予定なので、艦首出入り口付近を削り込みます。また上甲板から艦外へのスロープは切除しました。
その際、ガンプラ用に買ったリューターが大活躍!


149号の揚陸場面では全長の1/3くらいまで船底が見えています。

また同型艦の写真では、軽荷状態でも艦首から少し後ろまでは船底に設置された2本の肱材(通称ゲタ)が見える状態なのでこれらの再現のため、WLモデルではありますが喫水線下もある程度は製作することとします。造船史図面で寸法をチェックし、船底に貼るプラバンの厚みをプラスした分を切除します。



地味な艦の地味な船体工作はまだまだ続きます…。
ブログ一覧 | 艦船模型 | 趣味
Posted at 2023/02/25 11:03:31

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この記事へのコメント

2023年2月27日 20:29
おお!ザク違さんの本領発揮の
キットですねぇ♪(*´ω`*)
すでにかなりの資料集めをしながら、
考証も進められている…
大変だろうけど、ザク違さんはきっと
それも楽しんでいらっしゃるの
でしょうね♪( ´ ▽ ` )ノ
制作記楽しみにしています♪
コメントへの返答
2023年2月27日 21:09
このところずっと図面と格闘中で、ほとんど工作をしていません。
ニッパーは使いましたが、接着剤は全然(笑)

でもそれが楽しいって感じるのは、わたしが真のHENTAIモデラーだからでしょうね(爆)
2023年2月28日 0:16
次は二等輸送艦ですね。現代で言う揚陸艦ですね!頑張って下さい!海軍の花形の戦闘艦ではない分、資料は少そうですが、想像力が鍛えられますね。
キットに付いてるおまけみたいな、チハ中戦車?がより二等補給艦の雰囲気を出してくれた思い出があります。
コメントへの返答
2023年2月28日 20:29
はい、強襲揚陸艦ですね。
ブログでも少し触れましたが、戦闘用の艦なら引渡し時の本の表紙に右舷側を写した全体像の写真が必ずあるのですが、輸送艦は一等二等ともほとんどありません。写真を撮るだけの資材もなくなっていたのでしょうか…。
逆に言えば合理的な推測の範囲で自由に作れることにもなります。

お、チュンチュンまるさんは二等輸送艦製作経験ありですか?
ぜひ作品を拝見したいものです(^ ^)

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