
本日、11月19日は、日本におけるボージョレ・ヌーヴォーの解禁日です。
ボージョレ・ヌーヴォーとは、フランスのブルゴーニュ地方はボージョレで生産されるヌーヴォー(新酒)のことです。ワインとしては高価なワインに多く見られる長期熟成型のワインではなく、比較的安価で、賞味期限も早い、『安い早飲みワイン』の部類に入ります。
その解禁日は厳格に規定されており、極東に位置する日本は日付変更線の関係上、世界で一番早く解禁日が訪れる国なのです。
それもあって、日本でのヌーヴォー人気は高く、解禁日の午前0時に販売を行ったり、早く飲むことを競う『早飲み会』なるものも存在し、日本のワイン業界では、ちょっとしたお祭り騒ぎとなります。霧島も、昔、近所のイオンでバイトしていた時、ヌーヴォーの予約数を各部門が競ったりと、大変な入れ込みようでした。解禁日の朝の6時位。商品搬入開始時間早々に、業者の人が運んできた大量のヌーヴォーの伝票に、正社員の人に代わって、早朝品出しバイトの霧島がサインしてた記憶があります。そういや昔、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で両さんが、解禁日前にボージョレ・ジザベル・ヌーヴォーを飲むとかいうエピソードがありましたね。
現在では、解禁日は11月の第3木曜日と決められていますが、かつては、12月の15日でした。
現在、ビジネスジャンプで連載されている、『ソムリエール』というコミックがあります。フランスで孤児として育ったソムリエール見習いの樹カナ。彼女を取り巻くワインと、それにまつわる人間ドラマを描く物語です。原作は、ドラマ化もされた『ソムリエ』や『バーテンダー』を手掛けた城アラキ氏が手掛けています
霧島はアルコールは全くダメですが、書店員の頃。コミック担当になった時に、決して大量に売れていたわけではありませんが、部数は少ないながらも着実に売れていたコミックで、綺麗な画風だったこともあり、休憩時間に売れの残った返品本を読んで、そのストーリー構成と人間のドラマの奥深さにハマりました。
その『ソムリエール』第5巻にこのような話が出て来ます。
le vin#27 『ヌーヴォー(新酒)の感動』より
ヌーヴォーの解禁日の近付く中、樹カナの務めるレストランでもヌーヴォーの話題が持ち上がります。そんな中でカナはこう語ります。(一部編集有り)
『コンビニでヌーヴォーのポスターを見た時、日本人はなんとワインが好きなのかと驚いた。しかし、ヌーヴォーの時期を過ぎるとみんなワインのことなんて忘れてしまう。ヌーヴォーの感動を忘れないようなワインはないか』
それについて、ワイン卸業者の大下由里は、『この時期だけで、味なんか関係なく400億円は売れる。耳の痛い話』とコメントします。それを聞いていたソムリエ・片瀬丈はこう語ります。
『ボージョレ・ヌーヴォーはキャッシュフロー(現金収支)の匂いがすると言われる。もともとの12月15日から、なぜ解禁日が早くなり、なぜ木曜日なのか。一つは他の産地が新酒を出荷する前に大半を売り切ってしまうため。もう一つは解禁日を木曜とすることで、その日が週末と重なり、流通に支障が出ることを避けるため。そのおかげで収穫から資金回収まで通常は1年以上がかかるのに対し、収穫後3ヶ月である程度の現金が手に入る』
それを聞き、実家が居酒屋を経営し、その経営難の忙しさから母親を早くに無くしたスタッフ・南杏里は『いろんなアイデアを出してやっと儲かるようになったのに、それはいけないことなのか、ワイナリーは儲けてはいけないのか』、と漏らします。
それに対して片瀬は、
『悪くは無いが、無理をしすぎればワインに優しくない。11月の第3木曜に出荷するには瓶詰を11月の第1週には行う。これに間に合わせるにはブドウの状態に関わらず、9月の第3週には収穫を開始。未成熟なままのブドウを使用し、醸造段階で大量の糖分添加を行うことも多い。人間の金儲けの都合にワインを合わせることになる』
と話します。
霧島は、ワインのことは素人ですし、まだまだ社会人としても未熟なので、あまり多くは語りません。ですが、今の世の中、その多忙さと、日々の糧を得ることに必死すぎて。あるいは、華やかなお祭りの中に紛れて、見落としている大切なモノ、というのもあるのかもしれません。そんなことを考えさせられました。
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Posted at
2009/11/19 21:52:48