2011年07月20日
3S-Gについて騙ってみたくなったんだ
『汝、3Sエンジンについての歴史をまとめよ』
そんな天啓が下ったのです。
いやまぁ、愛知県に住む白のフルエアロのオートマのMR2乗りの人から1年半ぐらい前に言われたんですけどね(爆)
何か知らんが、急にそれを思い出したから、3S-Gについて騙ってみたくなったんだ。意味はない。
~3S-Gエンジンとは!?~
3S-Gエンジンとは、トヨタ自動車が製造していた2000cc直列4気筒エンジンである。
「3S」とは、戦後間もない頃にトヨタが開発したS型エンジンの3番目にあたることを意味し、SとはSmallの頭文字である。
そして「G」とはトヨタのスポーツエンジンを意味するエンジン型式記号であり、実際に3S-Gはトヨタ製ミドルクラスのスポーツカー、スポーティカーに多く搭載された。
決して純正状態で高回転型であったり高馬力であった訳では無かったが。その低速トルクと他に類を見ない程の頑丈な耐久性から、WRCやGT選手権。果てはフォーミュラレースでも使用されたトヨタの名機中の名機である。
~モータースポーツにおける3S-Gエンジン~
3S-Gエンジンは、モータースポーツの場においても華々しい活躍を見せていた。
1980年代には、3S-GTEを搭載したセリカがWRCに出場。トヨタの悲願であったドライバーズタイトル&マニュファクチャラーズタイトルを幾度も獲得した。
セリカがレギュレーション違反発覚でWRCから撤退した後も、カローラWRC(欧州専売のカローラFXがベース)に3S-GTEが搭載され、1999年にマニュファクチャラーズ部門の年間チャンピオンを獲得している。
グループB時代においても、初代MR2をベースに3S-GTEをミッドシップレイアウトに搭載してフルタイム4WDシステムを実装したグループB仕様MR2=「222D」が開発されており、この3S-GTEは500~600psを発揮していた。
GTカーにおいても、GT選手権やル・マンに参戦したA80型スープラが、重たいJZエンジンに変わって3S-GTEエンジンを搭載。これによって従来のフロントヘビーな重量バランスを改善したスープラは、そのコーナリングスピードを武器に、スカイラインGT-Rを追い回す活躍を見せた。
フォーミュラカーにおいても、F3に搭載されているエンジンの一つとして、トヨタ-トムスが供給する3S-GEエンジンが2000年代まで使用されていた。
~3S-Gのライバルたち!?~
・日産 「SR20」
日産自動車が開発した直列4気筒2000ccエンジン。NA仕様のSR20DEとターボチャージャー仕様のSR20DETが存在する。
日産のシルビアシリーズに主に搭載されたエンジンであり、現在でも走り屋さん御用達のエンジンである。
て言うか日産車はよくワカンナイ……
・マツダ 「13B」
言わずと知れたマツダが開発したロータリーエンジン。
排気量は1300ccとなるが、搭載されるRX-7シリーズは、車格としては3S搭載車の競合車であった。
軽量・コンパクトながらも、低速トルクの薄さと激烈な燃費の悪さと発熱量の多さと、それに付随する冷却系の重さがネックの13Bターボ。
エンジン本体の容積と重量がネックではあるが、トルクと燃費の良さと耐久性の高さが武器の3S-G。
どっちの方が人気があったかなんて語るまでもないけどねorz
・ホンダ 「B18C」
ホンダが開発した1.8リッターNAエンジン。直列4気筒に、ホンダ自慢のバルブタイミングシステム=VTECを装備する。
中でもDC2型インテグラタイプRに搭載された職人の手組による「B18C Spec-R」は1.8リッターながらも200psを発揮。もはや市販車のレベルを超えたレーシングエンジンであり、アンダー2リッタークラスのライトウェイトスポーツカーにおける最速の座を欲しいままにした。
ベストモータリング1998年4月号にて、MR2の最終型NAとDC2型インテグラタイプR98 Specが繰り広げた壮絶な死闘は必見である。
なお。敢えて2リッターのエンジンでは無くテンハチのエンジンを持ってきたのは、ホンダのNAエンジンに対する敬意からである。
・スバル 「EJ20」
スバルが開発した2リッターの水平対向のエンジン。これを搭載するインプレッサと、その栄光の歴史はあまりにも有名。
水平対向エンジンは、エンジン本体をコンパクトかつ低重心に製造出来るとされ、実際に4WDとしての運動性能はインプレッサがピカイチであった。
ネックとしては、レイアウトや配管の特殊さから来るオイル漏れ、排気漏れ。後は低速トルクの無さ。基本、スポーツ志向のエンジンなんて全部そうだけどね。
水平対向の独特の排気音、おいしいです。
・三菱 「4G63」
三菱が開発した直列4気筒エンジン。「国産最速の戦闘機」と名高いランサーエボリューションの心臓がコレである。
インプレッサ相手に、2リッターターボエンジンにおける280psオーバーの馬力戦争が勃発したのは有名。
て言うか4G63はあまり知らない……
・三菱 「6A12」
三菱が開発したV6エンジン。2リッターなのにV6とか言う、三菱らしい(?)ユニークなエンジンである。
三菱自慢のMIVECを搭載した「6A12 MIVEC」は2リッターNAながらも200psを発揮した。
これを搭載したFTOは、最速のライトウェイトFFスポーツカーとして名を馳せていたのである。
~3S-Gエンジン搭載車一覧~
※凡例
・第一期とか第二期とか色々分類してますが、個人的に分かりやすいよう分類しただけでエンジンの世代を表すものでは決してありません。
・基本的にマニュアル車の馬力とトルクを記載してます。オートマチック車は若干馬力が落ちてることがあります。
・3S搭載の型式&グレードを記載しましたが、ちゃんと合ってるかどうかの自信は皆無です。特に古いのは。
・派生グレードとか特別仕様とか限定仕様とかは半分無視してます。
■「LASRE」第一期
LASRE(レーザー)とは、「Light-weight Advanced Super Response Engine」の略で1970年代よりトヨタ製エンジンに与えられた愛称である。それはもちろん、3S-Gにも与えられることとなった。
元々、トヨタに存在した直列4気筒SOHCエンジンである「2S-E」をベースに、ヤマハ製のヘッドを装着。シリンダーの内径と行程を変更して誕生したのが3S-Gエンジンである。3S-Gは日本初の横置きFF車用のDOHCエンジンでもあったのである。
3S-Gが初めて世に送り出されたのは1984年6月。初代ビスタ/2台目カムリ(共にSV12型)のマイナーチェンジにおけるスポーティグレードに搭載されたのが3S-Gのデビューとなった。
当時のエンジンスペックの詳細は不明である(資料が見つからんかった)。トヨタが運営する「Gazoo名車館」では最大馬力/最大トルクは160PS/19.0kgmと書かれているが、おそらく間違いである。なぜならモデルチェンジ後のSV21型カムリ/ビスタが140ps/17.5kgであったことが当時のカタログに明記されているからである。マイチェンして20psもパワーダウンするのは考えにくい……
・SV12型 ビスタ VXツインカム(???ps/??.?kg)
・SV12型 ビスタ VSツインカム(???ps/??.?kg)
・SV12型 カムリ(???ps/??.?kg)
・SV21型 カムリ GT (140ps/6200rpm 17.5kg/4800rpm)
・SV21型 ビスタ GT (140ps/6200rpm 17.5kg/4800rpm)
■「LASRE」第二期
3S-Gは進化を遂げ、160psを発揮することになる。当時は3S-FEエンジンが主流であり、3S-F搭載車種の上級グレードにのみ、3S-Gが搭載された。
そしてターボモデルである3S-GTEも登場した。この3S-GTEを搭載したST165型は、WRCにおいてドライバーズタイトルを獲得した名車でもある。
【3S-GE 160ps/6200rpm 19.0kg/4800rpm】
・ST162型 カリーナED Gリミテッド
・ST162型 コロナクーペ 2000GT・2000GT-R
・ST162型 セリカ GT-R
【3S-GTE 185ps/6000rpm 24.5kg/4000rpm】
・ST165型 セリカ GT-FOUR
■「LASRE」第三期
時代も平成に入る頃。3S-GEを搭載する車種は爆発的に増えた。セリカやMR2と言ったクーペはもちろんのこと、スポーツセダンにも多く採用される。RAV4と言う、当時流行りのシティ型オフローダーに搭載されたことも見逃せない。
ターボモデルの3S-GTEにおいてはツインエントリーセラミックタービンを採用し、225psを発揮するまでになる。この時の3S-GTEは平成元年に登場したSW20型MR2に初搭載され、クラス最強のパワーを発揮。MR2もまた、クラス最速のマシンとなった。ただ、そのオーバースペックぶりから、MR2が「危険なクルマ」のレッテルを貼られることとなったのは有名な話である。
この3S-GTEはセリカGT-FOURにも当然、搭載され、WRCにおいて3年連続ドライバーズタイトルを。2年連続でマニュファクチャラーズタイトルをもたらすなど、スバルと三菱が台頭する以前から、日本車の脅威を世界に見せつけた。
また、ホモロゲーションモデルとして限定生産された「セリカGT-FOUR RC」には、通常ならセラミックタービン&空冷インタークーラーの所を、耐久性の高い金属性タービンや水冷式インタークーラーが搭載された。
【3S-GE 165ps/6800rpm 19.5kg/4800rpm】
・SV32型 カムリ GT
・SV33型 カムリ GT 4WS装着車
・SV32型 ビスタ GT
・SV33型 ビスタ GT 4WS装着車
・SW20型 MR2(Ⅰ型)G・Gリミテッド
・SW20型 MR2(Ⅱ型)G・Gリミテッド
・ST171型 コロナ GT-R
・ST171型 コロナ SF-GT(欧州を意識した5doorモデル)
・ST182型 カリーナED Gリミテッド
・ST183型 カリーナED Gリミテッド デュアルモード4WS装着車
・ST182型 コロナEXiV TR-G
・ST183型 コロナEXiV TR-G デュアルモード4WS装着車
・ST182型 セリカ
・ST183型 セリカ アクティブスポーツ
・SXA10W型 RAV4 J タイプG(165ps/6600rpm 19.5kg/4800rpm)
・SXA11W型 RAV4 J タイプG(165ps/6600rpm 19.5kg/4800rpm)
・SXA10W型 RAV4 L タイプG(165ps/6600rpm 19.5kg/4800rpm)
・SXA11W型 RAV4 L タイプG(165ps/6600rpm 19.5kg/4800rpm)
【3S-GTE 225ps/6000rpm 31.0kg/3200rpm】
・SW20型 MR2(Ⅰ型)GT
・SW20型 MR2(Ⅱ型)GT・GT-S
・ST185型 セリカ GT-FOUR
・ST185型 セリカ GT-FOUR RC(5000台限定 金属タービン&水冷インタークーラー採用)
■「LASRE」第4期
この時期、3Sエンジンは大きな進化を遂げる。吸気系をLジェトロ(エアフロ式)よりDジェトロ(圧力式)に変更。これによって3Sは高い耐久性とチューニング性を手に入れた。
エンジンノーマルのままブーストを1.4~1.5kgかけても壊れない。カムとタービン交換だけで560psを出してもノートラブル。などといった耐久性の高さは、多くのチューナーを驚かせた。
純正状態で3S-GTEは255psを発揮するまでになる。ただし、MR2においては全体のバランスの限界から245psに留められている。
また、「セリカGT-FOUR WRC仕様車」には、アンチラグシステム(いわゆるミスファイアリングシステム)が搭載されている。ただし、純正状態では作動しない。
これが、「LASRE」世代の3S-Gエンジンの最終形態であった……
【3S-GE 180ps/7000rpm 19.5kg/6000rpm】
・SW20型 MR2(Ⅲ型)G・Gリミテッド
・SW20型 MR2(Ⅳ型)G・Gリミテッド
・ST202型 カリーナED Gリミテッド
・ST202型 カリーナED GT(96年6月のグレード変更後)
・ST205型 カリーナED GT-4WD(96年6月のグレード変更後 175ps/7000rpm 19.5kg/4800rpm)
・ST202型 コロナEXiV TR-G
・ST202型 セリカ SS-Ⅱ
・ST202型 セリカ SS-Ⅲ
・ST202C型 セリカ コンバーチブル タイプX
・ST206型 カレン ZS
・ST195G型 カルディナ TZ-G(175ps/7000rpm 19.5kg/4800rpm)
・SXA10W型 RAV4 J タイプG(180ps/6600rpm 20.5kg/6000rpm)
・SXA11W型 RAV4 J タイプG(180ps/6600rpm 20.5kg/6000rpm)
・SXA10W型 RAV4 L タイプG(180ps/6600rpm 20.5kg/6000rpm)
・SXA11W型 RAV4 L タイプG(180ps/6600rpm 20.5kg/6000rpm)
・型式不明 「カローラTRD2000」(E100型カローラのコンプリートカー、12台)
・型式不明 「TRD2000」(カローラセレスのコンプリートカー、99台)
【3S-GTE 255ps/6000rpm 31.0kg/4000rpm】
・ST205型 セリカ GT-FOUR
・ST205型 セリカ GT-FOUR WRC仕様車(2100台限定。アンチラグシステム搭載)
・SW20型 MR2(Ⅲ型)GT・GT-S (245ps/6000rpm 31.0kg/4000rpm)
・SW20型 MR2(Ⅳ型)GT・GT-S (245ps/6000rpm 31.0kg/4000rpm)
・SW20型 MR2(Ⅴ型)GT・GT-S (245ps/6000rpm 31.0kg/4000rpm)
■「BEAMS」第一期 VVT-i
1997年の終わり頃。3S-Gはさらなる進化を遂げる。
そう、遂に可変吸気バルブタイミングシステム「VVT-i」(Variable Valve Timing-intelligent system)を搭載し、BEAMS(Breakthrough Engine with Advanced Mechanism System)=「ビームス」へと移行したのである。
このBEAMSエンジンはヘッドカバーを赤く塗装されたことから、「赤ヘッド」と呼ばれることになった。赤ヘッドは従来までの3S-Gとは全く別物のエンジンであり、吹け上がりの軽さやトルクの厚さはLASRE時代とは段違いである。
NAながらもリッターあたり100馬力を絞り出すBEAMS。97年12月におけるセリカのマイナーチェンジによってデビューし、翌年には最終型のMR2のNAモデルにも搭載された。なお、このMR2最終型NAは、ベスト・オブ・MR2と名高い一台である。
なお、カルディナGTのヘッドカバーは赤色ではなく黒色であり、黒ヘッドと呼ばれる。
【3S-GE 200ps/7000rpm 21.0kg/6000rpm】
・ST202型 セリカ SS-Ⅱ(1997年12月~)
・ST202型 セリカ SS-Ⅲ(1997年12月~)
・ST202C型 セリカ コンバーチブル(1997年12月~AT車のみ)
・SW20型 MR2(Ⅴ型)G・Gリミテッド
・ST215G カルディナGT(190ps/7000rpm 21.0kg/6000rpm)
■「BEAMS」第二期 DUAL VVT-i
BEAMSと3S-Gの進化は止まることを知らなかった。今度は、DUAL VVT-iを搭載し、遂にNAで210psに到達したのである。
ただ、このDUAL VVT-i搭載の3S-Gを搭載したのはアルテッツァのみであった。そしてこのアルテッツァは3S搭載車中、唯一のFRモデルであり、純正状態で6速マニュアルトランスミッションも与えられた。
このアルテッツァの登場によって、FR、FF、MR、4WDと全ての駆動方式が3S-G搭載車に出揃った。アルテッツァが登場した1998年は3S-Gの全盛期とも言える。
【3S-GE 210ps/7600rpm 22.0kg/6400rpm】
・SXE10型アルテッツァ RS200
■「BEAMS」第三期 VVTL-i
そして、最後の3S-Gとなったのがカルディナシリーズに搭載された3S-GTEである。
可変バルブタイミング機構に、ノーマルカム/ハイカム切替機構を組み合わせた「VVTL-i」(Variable Valve Timing and Lift intelligent system)。VVT-L-i搭載の3S-GTEは260psを発揮する。
中でも、セリカから「GT-FOUR」を受け継いだST246型カルディナGT-FOURは、ステーションワゴンのパッケージングながらも、ニュルブルクリンクサーキットのタイムはJZA80型スープラを上回るラップタイムを記録するなどの高性能ぶりを発揮した。
ただ、この頃になると。スバル・インプレッサや三菱・ランサーエボリューションなどが2リッターで280psオーバーを叩き出すようになっていた。そして3S-Gエンジンはそれらのパワースペック競争からは身を引き、その使命を終えたのである……
【3S-GTE 260ps/6000rpm 33.0kg/4400rpm】
・ST215W型 カルディナ GT-T
・ST246型 カルディナ GT-FOUR(4速ATモデルのみ)
0000000000000000000000000000000
つ、疲れた……三日がかりorz
て言うか、カリーナとかカルディナとかRAV4とかバリエーション多いよ! 調べきれんし書ききれん……グレード構成のシンプルなMR2万歳!
これを書き終えて一つ言えることは。もう二度とこんな作業はしたくないということである(爆)
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Posted at
2011/07/20 13:28:30
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