• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2013年04月16日

吉野へ桜を見に行った……はずだったのだが、

 ……あー、4月も半分終わりですかそうですか。

 風邪で寝込んだり、あれやこれやで関係各所に連絡入れたり、行楽シーズン特需やら何やらで追い掛け回されて気がつかんかった。MR2の系譜……? 下書きを一ヶ月ぐらいほったらかしてるような気がする……(小声)

 書きたいことも書くべきことも山のようにあるのだけど、時間もなければ気力もない。おまけに5月26日の博麗神社例大祭10の日は、休みが取れないというね……

 あ、例大祭は行きますよ。当日、仕事ですけどね。24日の晩に夜行で京都を出発、25日の朝に東京入りしてあれこれ用事を片付けて、秋葉原に住んでる同級生の家に泊めて貰って、朝一でビッグサイトに並びます。

 んで、14時にビッグサイトを撤収して15時の新幹線に乗って関西に戻る。そして職場の最寄り駅(15kmぐらい離れてるけど……)に停めておいたクルマで出勤、夜からお仕事と……orz

 まぁ、それはいいや。もうしばらく先の話だ。で、今日は別の話。確か4月8日ぐらいの話だった気がする……奈良の吉野に桜を撮りに行って来たのですよ。本当はもっと早くに行きたかったのだけど、風邪で長らくダウンしてて、その時期まで、もうどうにもこうにもならんかったのですよ……

 吉野と言えば、そう! 本格美少女麻雀アニメ「咲 阿知賀編 episode of side A」の聖地……!



 阿知賀編Aブロック準決勝、なんかもはや完全に能力者バトルと化してる件。ていうか日本最強と謳われた白糸台が、完全にお姉ちゃんのワンマンチームだった件。「チーム虎姫」とは何だったのか……

 ……じゃなくて(汗) 古来より、桜の名所と知られてるとか何とかって有名なので……奈良という地に生まれ育ったなら、そりゃあ一回ぐらいは行っておくべきだろうってことで行くことにしたのですよ。

 名華祭から帰った次の日、ふりくしょん君に声をかけて、国道24号線~R169を南下。橿原から明日香、大淀へと抜けて、桜の里、吉野へ……



 ちなみに霧島のSWの今の仕様はこんな感じっす。こないだまでパープルSWさん特製の巨大リアウィングを付けてたのに、急に外したりしたもんだから周りから「あの羽根、どうしたの!?」と聞かれまくること多数……。もう説明がめんどいので「車検」って答えてますよ。

 ああ……でもやっぱSWはウィングレスもカコイイ……ウィングが無い分、車高がさらに低く見えますねえ……元はといえば、AWもSWも80スープラも、ウィングが無いのが本当の形なんですよね。横風安定性能を得るためにウィングが後で追加設計されたってこーとでー。

 吉野へと向かう途中、大淀町の道の駅で小休止。その時、観光インフォメーションセンターの方で、「……へ行ってきた人が全然ダメだったって言ってたわ。下も中も上もダメ。ガッカリしとったで……」という会話が聞こえてきた……ぞ……? ……この時点でいやーな予感がしたのは言うまでもない。

 R169を南へ下ると、大和の清流・吉野川へと突き当たる。二日前に日本を襲った爆弾低気圧の影響か、吉野川はけっこう濁ってた。川を右手に吉野方面へ……向かってたら……急に道路が大渋滞、ていうか全く車列が進まない……。同じ信号で、3回も変わるのを見たぞ……?

 吉野駅まで5kmってところ。あまりにも動かなくって、さすがにやっとれんってので、コッソリ目の前の橋を渡って、大淀町阿知賀地区から、吉野へと抜け道抜け道。なんとかショートカットして吉野神宮駅の手前まで来れたのだけど……やっぱり大渋滞! 観光バスが何台も目の前に見える。これ、全部花見客かよぅ……と。確か目の前のバスは栃木ナンバーだったような……遠くからようお越し。

 吉野神宮駅手前の踏み切りから、吉野山観光駐車場(下千本駐車場)に向かおうとしたら、交通誘導の人から、「こっちは観光バスのみに制限させて貰ってるので、別の方向へ行け」と言われて、しょうがないので吉野駅方面へ。うん、吉野神宮からは全く渋滞してなかった! ここでつっかえてんじゃん。もうちょっと交通整理、なんとかならんのか……

 山の上の方は通行止めになってるハズなので、吉野駅を過ぎた所にある私設駐車場に停めようと……思ったら……これまた満車……orz でも、なんかうまい具合に一台すぐに出庫してくれたので、わりとすんなり停められましたとさ。ラッキー。



 「兄ちゃん、運が良かったなぁ!」、料金1500円を徴収しながら言う駐車場のおっちゃん。普段は下千本駐車場がタダなんだよなぁ……桜のシーズンは下千本も1400円とるけど。「今週がピークやで」とか何とかも言ってたっけねぇ。

 周りのクルマのナンバーを見てたら、奈良京都神戸和歌山と関西はもちろん、グンマーだとかオカヤマだとか、なんかもう日本全国から大挙して押し寄せて来てますよ……こんな偏狭の地まで……

 駐車場を出て、一眼レフ・ペンタックスK-5Ⅱsをセットアップ。レンズはタムロンの28-75 F2.8を組み合わせる。吉野駅の駅前まで出れば、こんな光景……



 山の斜面には満開の万朶の桜が所狭しと咲き狂って……いなかった。あー、写真だとよう分からんかもしれませんが、めっちゃ桜、散ってますよ。3割ぐらい散っちゃってるんじゃないですかね、もはや葉桜に近いです。

 もはや、早くもガッカリムードが漂い始めたのですが、ここは吉野。山間部ですよ。まだ山の上の方ではちょうど桜が満開の可能性が……微レ存している……? 吉野には山の下のほうから下千本、中千本、上千本、奥千本と、桜が群生していてですね、今目の前に見えてるのは下千本なのですよ。例えるならこんな感じ?

中千本 「下千本が散ってしまったようだな」
上千本 「ヤツは千本桜の中でも最速散」
奥千本 「4月の第1週で散るとは、吉野千本桜四天王の面汚しよ」

 てなことで山の上まで行ってみることに。



 吉野駅からはロープウェイが出てるのですが……まぁこのシーズンは満席なわけで……駅も長蛇の列が出来てるのですよ……。ちなみにコレ、日本最古のロープウェイです。鉄塔は創業当初からのものが今なお使われてて、80年ぐらい経ってるんでしたっけね? ちなみに普段はガラガラの貸切っす。

 まぁ、周りのおじーちゃんおばーちゃん達に比べたら、まだまだ二人とも若いので、えっちらおっちら歩いて登ることに。



 「七曲の坂」。つづらなりにヘアピンの続く坂道ですよ。まぁ……この辺は桜なんて全くない。あるように見える? 気のせいです。ちなみに6月には紫陽花が綺麗っす。

 昼下がり、天気はぽかぽか陽気。もう暑いのなんの……ジャンパー、SWの中に置いてきてよかった。

 桜はないけど、景色はフツーにいいので、けっこうみんな写真を撮ってましたよ。って言っても、この辺りで撮ってる人は、コンデジとかミラーレスとかばっかだったけどね。



 七曲りの中腹あたりにて。うまい具合に? ロープウェイが見える場所を発見。ちょっと足を止めて、忙しそうに往復するロープウェイを撮ってたら……なんか周りの人もワラワラ集まってきて、みんなロープウェイ撮りだすし(汗) そういや外国人のお兄さんがオリンパスのOM-Dっていう最強のミラーレス機を持ってたなぁ。

 もうちょっとポジションを変えて、焦点距離の長いレンズを使ったら、すんげえいい写真になったかもだけど、テレ端75mmじゃこれが限界。それに足場もあんまり良くないんで、移動はしなかった。はい、めんどくさかったんです(爆)

 七曲りを上り終える。



 ここで標高300mぐらいかな? 反対側の山合いには一面に桜が……ないない。綺麗に見えるのは気のせいです。実際に見たら、ハゲ山の所々に散りかけて赤くなった桜がまばらに生えてるだけですよ……例え満開でも、そんなに綺麗ってことはないでしょう。

 そのまま上へと上っていくと……桜は全く無くなった。代わりに見えるのはこんな風景。



 いやもう人多過ぎだろ、どう見ても……普段は人っ子ひとり歩いてないのにね……。紅葉の時期でも、ここまでじゃなかった!

 時間も昼を過ぎてるってことで、みんな下っていくよ……。その流れに逆らいつつ登ってゆくのは、あんまり楽じゃない。

 そして実は昨晩から何も食べてなかったので、お昼にすることに。ちょうど弁当の持込可なテラスを見つけたので、桜まんじゅうなるものを買って、席に着く。



 左が、霧島が昔使ってたペンタックスK100D。右が、今使ってるK-5Ⅱs、ちなみにレンズはペンタックス最高の描写を持つとされるFA31リミテッドですよん。まぁ……世間で言われるほど、そんなに良いとは思わないんだけどねぇ……(ぇ

 ちょうど去年の今頃。デジタル一眼レフの勉強を志し、7年前の中古品であるK100Dを買って、毎月のようにポートメッセ名古屋のコスプレイベントに通ってはプラクティスを重ねたもんさぁ……例大祭や夏コミも共に戦い抜いたっけね。

 APS-CのCCD600万画素機だけど、今みたいなCMOS1600万とか2400万画素とか、過剰に増えすぎたデジカメとは違った、柔らかくて甘い色合いが出るのですよ。特にこういう快晴の日はね!



 桜まんじゅうを食べ終えたら、再び山道を登り始める。そうして見えて来るのが、この銅の鳥居(かねのとりい)。吉野は金峯山寺の門にあたるらしいですよ? 寺なのに鳥居っていう突っ込みはしてはならない。それ言い出したら、元々は修験道から端を発してたと思うしね……

 なお、ここが「咲 阿知賀編」の第一話冒頭にて、和・憧・穏乃が出会う場所なのですけど、人多すぎで撮ってらんねーよってことでスルー。

 さらにしばらく上がってゆくと、吉水神社っていう神社が見えてきまして……ここが阿知賀編の新子憧の実家のモデル……じゃなくて。

 かつては源義経が匿われたとか言う逸話もある神社なのですが、ここの境内からは「一目千本」と呼ばれる絶景が見える……って前回紅葉を見に来たときに聞いてたので入ろうとしたら……拝観料取られるってので引き返しました。おい、普段は境内までならタダじゃねえかよう……



 日本橋ストーリフェスタもビックリなぐらいに人人人で大混雑の吉野山。コミケより凄いのは間違いねーです。人ごみを掻き分け掻き分けで、金峯山寺に到着。ああ、もう人が多いんでスルーです。なお、ここの左に続く坂道をですね、

穏乃 「遅いよ、のどかー!」
憧 「普段運動してないんでしょー?」
和 「穏乃たちが……速すぎるんですよ……」

 ってなことで走って行って、和がズッコけるという……。ああ、桜のシーズン、人口密度が高すぎで、とてもではないですが、子供がダッシュで走れるような状況じゃないです。阿知賀編は嘘つきです(違

 ……ところでですね。どこへ行っても人ばっかりで、桜が全く見えないっていうか存在しないんですけど……?

 なんやかやで、吉野の旅館街の端っこまで来てしまった。ここまでロクに桜なんて見ていない。標高360mぐらい。さすがにはこのままじゃ帰れないってことで、もうちょっと山の方へ上がってみることに。



 ここで中千本ぐらいかな? 桜?どこにあんの?? はい、中千本も散ってます、本当にありが(ry

 坂道はすんげぇ急勾配になって来る。通行止め禁止エリアでも無くなってしまって、上の方からバンバン自動車が降りてくるし……こぇぇよ……クルマ一台ギリギリ通れるぐらいの幅しかねーもん。

 そうこうする内に、中千本も過ぎてしまう……桜?そんなもんどこにも無かったぞ!?? だが、まだだ……まだ終わらんよ……! 下千本や中千本がダメでも、まだ吉野には上千本、そして奥千本が残っている……!

 ちょうど奥千本行きのシャトルバスが出てたので、乗り場を覗いたら……人並びすぎワロエナイ。絶対に2~3本待つな……これ。地元の案内人の人に聞いたら「歩いて40~50分ぐらいですよ?」てなことだそうで……。ふりくしょん君と相談した結果「よし、歩こう」てなことになった。

 ……そして、地獄は始まった。

 歩けど歩けど、坂道は終わらず。登れど登れど桜はなし。だが、一縷の希望を求めて、我々は吉野の山を進んでゆく。もう時間は夕方、標高は400mを突破。汗が吹き出て暑いのなんの。途中でパーカーも脱いだわ。

 やがて標高500mのあたりかな……? いい感じの撮影スポットぽいところを発見。



「高所から見下ろす景色は壮観だ。なんでもない景色でさえ素晴らしい物と感じる。だがね、自分の住んでいる世界を一望した時に感じるのはそんな衝動じゃない。俯瞰の視界から得る衝動はただ一つ――」

 たとえ本人がそれを拒んでいようとも、不意に襲いかかってくる暴力のような認識。それを僕らは衝動と呼ぶ。では、俯瞰の視界がもたらす暴力とはなんなのか―――「それは遠い、だよ。」


                             ―奈須きのこ「空の境界」 第一章「俯瞰風景」より

 おかわり頂けるだろうか……この写真の中央部に写ってるのが金峯山寺ですよ……随分と遠い所まで来てしまった……。桜? 葉桜ですよ、もちのろん。



 スタート地点は標高230mあたりだった。なお、この場所、やっぱり写真撮影スポットっぽくて、みんなでっかいフルサイズ機に、すんげぇ高そうな三脚つけて写真撮ってましたよ。おじーちゃんがD800とか使って撮ってたなぁ。世界最強の解像力を誇る鬼カメラ、D800(D800E)でこの景色を撮ったらすんごい写真になるんだろうなぁ。

 ていうかFA31リミテッド、けっこういい仕事するよね……上の写真は圧縮して劣化してるけど、すんごいイイ描写してくれますよ。元々が広角レンズだから、風景向けなんだろうね。ポートレートじゃ真価が発揮できなかったんだなぁ。

 しばらく写真撮りつつ小休止した後、さらに上を目指す。だいたいこのあたりが上千本……の手前あたり。



 まあ……桜は相変わらず……ない。ていうか目の前のキャンピングカー、グンマーナンバーじゃない! よく来るなぁ、こんな所まで……

 おじーちゃんおばーちゃんに、カジュアルな格好した若いカッポーまで、みんな元気に歩いてますよ……はい、我々はが運動不足なだけです、本当にすんません……(小声)



 で、大体ここが上千本のあたりからの光景……。さっきより金峯山寺がデカく見えてるのは、レンズの焦点距離が長いのを使ってるからです。標高560m付近。桜は……まぁまぁ、中千本よりマシなぐらい? おっかしいなぁ……吉野町観光情報には「満開」って書いてたよねぇ……? どこに満開の桜があるんだと。

 駐車場を出発してから2時間ぐらい歩いてるかなぁ……しかし桜はホントに無いなぁ……なんて思ってたら、上の方から降りてきたおっちゃんが

「奥千本、ホントに凄かったなぁ!!」

 てなことを大声でですね……我々に聞こえるように言ってたのですよ……。

 奥千本……もはやクルマの通れぬ場所に存在するという、まだ見ぬ秘境、そこには一体何があるというのか……? もはや引き返すことなど出来なかった。いつ行くか? 今でしょ!

 上千本から、さらに山の深奥へと足を踏み入れる。高い杉の木々に囲まれた道は、舗装こそされてるものの、完全に日の光を遮ってしまい、かなり薄暗い。道には枯れた杉の葉が散らばっており、道は茶色にくすんでいる。おまけに、日陰になってるから道は湿ってて、路肩はドロドロ……

 ああ、なんかこの辺で、見かけないクーペが降りてきたと思ったらサイオンtcでした。北米専売車種のセリカ後継っすね。ふりくしょん君、よく分かったなぁ……

 ていうか、ちゃんとこの辺にも電線が通ってて、山の上の方へも送電が行われているのですよ。あっちこっちに人が住んでる形跡もあるしね……茶店とかもちらほらと。



(あかん……これはあかん……)

 標高は……ついに700mを突破……もはや奈良の生駒山よりたけーよ! まさかこんな所まで登るとは思ってなかった……。ようやくたどり着いたのは、シャトルバスの発着場。ここまで来たらもういいよね……? 帰りはバスを使ったって許されるよね……?



 バス亭のおっちゃんに「バス何時までですか?」って聞いたら「16時で最後」との答え。時間? 16時20分でしたorz もはや引き返すこともままならぬ。ならばさらに前に進むしかない……

 ここまで来たら、奥千本まで行くしかないなぁ。とりあえず、西行庵をゴールに設定して、さらに登ろうとしたのだが……待ち受けていたのは真の地獄だった……



 「修行門」。そう書かれた鳥居の先は……これまでで最強の急勾配……。絶望が、我々を、襲った。あかん、マジであかん……霧島、途中で身体が動かなくなって、座り込みましたとさorz

 地獄の80m(適当な数値)が終わって……ですね……次に現れてたるは、こんなスポット。



 「義経隠れ塔」。かつて源頼朝に追われた義経が身を隠し、追い詰められた際にこれの天井を蹴破って脱出したとかなんとかいう伝説のあるお堂ですよ。

 そういや隠れ塔、昔、来たことあるなぁ。大学の一回生の時、研修で黒滝村・天川村へ行った時、天川の側から来たっけなぁ。8年ぶりだなぁ。



 もはや一眼レフを構える元気もない……軽量小型コンパクトな一眼レフが山岳写真家から求められる理由がよく分かったわ……

 なお、この道をこのまま行くと、和歌山の熊野の方まで行けるらしーです。ええ、ここまでの行程は、ホントに最初の最初。アポロチョコのチョコの部分ですらなかったと言う……。昔の人、よくこんなマゾっぽいことやってたなぁ……

 ていうか、毎日毎日、こんな野山を駆け回ってたら「山の主」にそりゃなれるわ……。

「残念だけど大星さん そこはもうあなたのテリトリーじゃない」

 ああ、阿知賀編最終話は5月26日配信でっす。


 最終目標、西行庵までは、あと300m……そして伝説の奥千本も、同じ場所にある……!

「奥千本、凄かったなぁ!」

 さっきのおっちゃんの声が脳内でリピートされる。奥千本……人が訪れることもままならぬ山奥には、きっと満開の桜で石竹色に染まった桃源郷が待っているに……違いない……



 道は完全に登山道と化している。地面はグチャグチャ、下手したら滑って転ぶ。そんな悪路を、そろり、そろりと歩いて行く。しかも勾配はすっげぇし……300mってこんなに遠かったっけ……?



 標高は……780m……? 目標まで、あと100m……道は断崖絶壁。人間同士の離合もままならぬ。ああ、足を滑らせたら滑落死ですね(ニッコリ こんな時間帯に、こんな山奥で怪我したら、間違いなく誰も助けに来ない。

 そんな命がけのデスロードを歩んで……ついに目の前に目的地が姿を現した……!



 翼よ、あれが西行庵だ……! 平安~鎌倉時代の歌人である西行法師が、晩年に過ごしたという庵・西行庵……長年の夢かない、ついに我々は西行庵へとやって来た……!

 願わくば
 花の下にて
 春死なむ

 その望月の
 如月の頃


 「東方妖々夢」でも使われた名句ですね。その西行法師には一人娘がいて……それが妖々夢のラスボスである西行寺幽々子お嬢様なのですよ……。はい、東方の聖地の一つってだけで、それだけがここに来たかった理由ですた。

 しかし西行庵……周りには桜が咲き乱れてて、ここでゆゆ様のコスプレしたレイヤーさんとか立たせたら、すんげぇ素晴らしいロケが出来ると思ったのだけど……枯れ木しかねーじゃん!



 ようやくの西行庵。ていうかさコレ……どう見ても復元っつーかなんつーか……後世に作ったものだよね……。うんそりゃ800年も前の庵が現存してるわけないよね……



 中はこんな感じ。お賽銭が散らばってる。うん、これだけ。西行庵ってこれだけですよ。ホントにこれだけ。申し訳程度に解説板がある程度。

 いや……まだだ。まだ終わらんよ……! 確かこの辺こそが奥千本……! 桃源郷が……エルドラドが……マチュピチュが……この世のものとは思えぬ光景が……そこらに広がっているハズ……!



「……」

 ……この辺が、奥千本……のハズ……なんだけどなぁ……桜なんて一本もないよ……?奥千本とは一体なんだったのか……

 これが……こんなのが……結末だというのか……? これが、何時間も歩いて俺たちが求め彷徨った光景だと言うのか……? 千本桜とは一体なんだったのか……?

 ひどい……あんまりだよ……こんなのってないよ!

 真っ黒な絶望の色に染め上がったソウルジェム。もはや魔女化することを留めることは叶わなかった。我々は、衣服が泥で汚れるのも構わず膝をつき、天を呪って大地に拳を叩きつけた。

『奥千本、凄かったなぁ!!』

 だ ま さ れ た OTL

 騙された。完全に騙された。きっとあのおっちゃんも、我々と全く同じ気持ちを味わったに違いない……。そして、その憂さを晴らすべく、我々に聞こえるようにわざとあんな嘘を……!」

 ああ、ちなみに奥千本が満開になったのは、次の週だったそうです。まぁ満開になっても、きっと大したことは全く無かったのでしょう。断言してもいいわ。


 もはや精も根も尽き果てた。動く気にもならぬ……だが、これから我々は帰らねばならぬ。戻らねばならぬ。これまでの行程を、もう一度歩かねばならぬ……!



 行きはよいよい帰りはなんとやら。日も傾いて、さらに暗さが増した山道。上りよりも下りが怖い。ホントに滑って、そのまま下まで転がっていきそうだよ……。足への負担もですね、上りより下りのほうがキツいのですよ。あ、ふりくしょん君が足つった。

 最悪、もう彼を放置して、自分だけでも下まで降りてSWでここまで迎えに来ようかと思ったけど、その必要はなかった。ヨカッタヨカッタ。

 時間は18時過ぎ、ようやく吉野の旅館街に戻ってくる。もはや、あれだけいた観光客はほとんどいなくなって、まばらに歩いてる人らはたぶん泊まってる人らなんだろうなぁ……

 通行止めが解除された中、ようやくSWまでたどり着いて……奈良方面へとそそくさと帰りましたとさ。



 ちなみに、次の日の新聞。そういやヘリコプターが飛びまわってたなぁ……これだったんだなぁ……。

 くどいようですが、こんなに綺麗なもんじゃないです。ていうか絶対アレ千本もないだろ……一目千本とは一体なんだったのか……

 ちなみに例年より一週間早くに満開になってたらしーですよ? はい、吉野町の桜開花情報は大嘘つきです。要するに「もう散ってる」なんて言ったら観光客が来ないから「満開」ってステマしてるんだね。あれは酷い。てか人間ばっかで桜なんてどこにもないよ。下千本も中千本も上千本も奥千本も。千本桜?大嘘でしたよ。

 そして桜も、山の向こうにばっかり生えてるもんだから、全然間近で見られなくて……そこらの川の堤防に行った方が断然キレイですよ。マジでマジで。

 たぶん、もう自分が春の吉野に来ることはないでしょう。来年は信貴生駒スカイライン行くわ……往復1900円だけど、吉野へ行くよりは断然安いっしょ。

 ……後日。稀代の歌人である西行法師に感化されたのか、ふりくしょん君は次のように詠んだという。

 騙された
 春の吉野に
 桜なし




 P.S.

 復路の七曲りの坂。まだちらほら観光客の歩いている中、大声で、

霧島 「奥千本、ホントに凄かったなぁ! マジでヤバかったわ!」
ブログ一覧 | 雑記 | 日記
Posted at 2013/04/16 09:12:01

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

愛車いいね1001ミラバン^_^
b_bshuichiさん

みんカラ定期便【4/23便】ありが ...
けんちゃん@HOOB(やまけんタイプR)さん

にゃんこdiary 2
べるぐそんさん

4/28 月曜日の朝‼️
ミッキーたんさん

大変ご無沙汰しております。
FFD4649さん

おはようございます!
takeshi.oさん

この記事へのコメント

2013年4月16日 11:31
巨乳美少女でも桜でもッ・・・
やはりピンク・・・あざといッ・・・!!

まさか両足つるとは思わなんだ。
でも筋肉痛は無かった不思議。
やっぱり太るとダメだねぇ。人も車も。

近所の川沿いの桜の方が
綺麗で迫力があったんだもの、
愚痴のヒトコトも言いたくなるねぇ。

吉野というブランドに、
どっぷり浸かりに行くところだよ、ありゃ。
コメントへの返答
2013年4月17日 5:57
最近は、「淫乱ピンク」なんて言葉がありましてね(ry

両足つるのはカリウム不足だなぁ。ナトリウムが優位になり過ぎてるってこーとでー。

でも確かに俺も筋肉痛はなかったわ……けっこう覚悟してたんだけどなぁ。ちょくちょく写真撮って休みながらだったからかなぁ。

もう絶対、奈良市内の佐保川とかの方が良かったわアレ……。吉野、大した観光名所もないし、ガッカリ観光地の一つに数え上げてもいいぐらいだわ。
2013年4月16日 17:58
万朶の桜か襟の色
花は吉野に嵐吹く
大和男(おのこ)と生まれなば
散兵線の華と散れ

の歌詞が頭に浮かびますた(あ

桜の様な人生を送りたいと考えるが巧く行かんもんです。


コメントへの返答
2013年4月17日 5:59
そんな歌が思い浮かぶ20代は、間違いなくゆーさくさんぐらいのもんやで……どこの旧日本軍の将兵やねんと。


桜ってのはホントはもっと長い期間咲く花なんですよねえ。みんなが寄ってたかってギュウギュウ詰めに植えるもんだから養分が取り合いになって、あっという間に散ってるだけなんですよねえ……
2013年4月16日 22:44
こんばんは~。
体調は良くなりまして?

画像拝見すると、とても同じ「日本国内」に
住んでるとは思えないですよ。
4月も中旬だというのに、明日の天気には
雪だるまが鎮座し、未だ冬タイヤに冬ワイパー
使ってます(笑)
コメントへの返答
2013年4月17日 6:02
どうもです~。おかげさまで随分とよくなりました~!

えーと。これまた「冬用ワイパー」とか、生まれて初めて聞いた単語っすよ……ググりましたけど、あんなの関西じゃ見たことないっす(汗)。スタッドレスすら要らない地域っすからねえ……

ていうか、まだ雪降るんですかい、そっちは……。長野岐阜のあたりは一回だけ降ったらしいですが……

プロフィール

「@辺境伯 通勤快適(?)仕様なので、距離がどんどん伸びます。じゃんじゃか傷んできます……」
何シテル?   01/30 16:31
こんにちは。基本的にはぐれ者です。 一般に広く受け入れられて支持を得ているようなものよりも、マイナーなものや、世の中から認められないもの、あまり人気のない...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/4 >>

  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   

リンク・クリップ

17万kmを超えて 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2014/04/30 22:55:21
アスク・スポーツ 
カテゴリ:チューニング&パーツショップ
2011/11/07 17:09:24
 
トヨタテクノミュージアム 
カテゴリ:トヨタ
2011/09/24 22:39:02
 

愛車一覧

トヨタ MR2 トヨタ MR2
〓詳細〓 ・車種:トヨタ MR2 ・型式:SW20 ・年式:平成10年5月登録 (Ⅴ型 ...
トヨタ MR2 トヨタ MR2
〓詳細〓 ・車種:トヨタ MR2 ・型式:SW20 ・年式:平成8年4月登録 (Ⅲ型) ...
その他 その他 その他 その他
弟の東京土産……って言っても、普通に奈良でも売ってる一品。 日記用の画像保管庫です。

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2015年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2013年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2012年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2010年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2009年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation