2021年03月25日
GRヤリスを試乗してきまして、
桜の花も開き始め、すっかり春めいてきた今日この頃。今さらと言えば今さらですが、トヨタ・GRヤリスの試乗に行って参りました。

2020年9月4日に発売になったGRヤリス。WRCの覇者となっているヤリスWRCのホモロゲーションモデルとして製造、販売されている車種ですね。フルタイム4WDスポーツとしてはセリカGT-FourやカルディナGT-Four以来、21年ぶり、あるいは13年ぶりの登場となるのではないでしょうか。
また、昨今のトヨタのスポーツカーはZN6型86だったりA90型GRスープラだったり、他社との共同開発モデルばかりだったのですが、これは本当に久しぶりの純粋なトヨタ製スポーツカーでもあるはずです。なお、WRCに参戦してるアレはどう見てもトミー・マキネンのファクトリーに開発を丸投げしてるようにしか(ry
しっかし。このエコカーだのハイブリッドだの電気自動車だの自動運転だのが世界の潮流でありトレンドとなっているこの御時勢にですよ。ハイパワーターボのフルタイム4WDのMT車、それも3ドアハッチバックなんてトンチキな(褒めてる)クルマを出してくるなんて。
しかもよりによってトヨタから出たワケですよ。気でも狂ったんでしょうか(万歳三唱。ほんと、現トヨタ社長の豊田章夫さんの存在ありきなクルマですね。

これがGRヤリスに搭載される1600cc直列3気筒ターボエンジン、G16E-GTS。最高出力は272ps、最高トルクは37.7kg!? テンロクエンジンですよね!? ばかなのしぬの?
なお、このエンジン。エアインテークが2本あって、低回転と高回転で自動的に切り替わるらしーですよ。しかもこの時代に「手組み」で、きちんとテストやらもしてあってナラシ運転も不要らしーです。どうしちゃったんですかトヨタさん(白目
インタークーラー(前置き!)強制冷却の為のウォータースプレーもばっちり装備。作動させると5秒毎に水が噴射され、合計15秒作動するらしーっす。なんすかこれ、90年代のラリーカーですか??

それはともかく早速試乗です。張り出したブリスターフェンダーがたまらない。運転席に座ってサイドミラー見るたびに「ぷりん」としたフェンダーが見えて面白いです。ちなみにコレ、ボンネット、リアハッチ、左右ドアはアルミ製で、ドアの開け閉めがびっくりするぐらい軽いです。
営業さんと友人を含めて、大人3名乗車での試乗スタート。テンロクのハイパワーターボなので低速トルクはスカスカかなーと思いきや、クラッチ上げただけでスッと動き出してくれます。この辺りはトヨタですね。なお、クラッチミートのポイントは、トヨタにしてはちょっと上気味ではありますが、86ほどじゃない。
走り始めてギアチェンジ。アクセルを離してクラッチを切ると「パシューン」とブースト圧の抜ける音。往年のブローオフバルブみたいな派手な音はしないのですが、「これこれ、これでこそターボだよね!」という感じです。
試乗は街中、あるいはその郊外が基本なので、4000回転以上はほぼ試せていないのですが、3000回転超えるといい感じでパワーが出てきます。エンジンサウンドは直3なのでお世辞にも上品ではないです。が、「ホゴォッ」という音が下品で下品で(笑)、ワイルドでめちゃいい味出てます。だいしゅき(はぁと
シフトフィールは昔懐かしで「ゴクッゴクッ」という感じで入ります。ショートストロークではあるのですが、ホンダやマツダみたいにカチリカチリと入るアレではありません。いかにも剛性と信頼性のあるミッションだなと。なお、シフトノブそのものは500gぐらいあって、めっちゃ重いらしいです。
また、ステアリングのレスポンスも極めてクイック。ちょっとステアを切ればキビキビ左右に振れてくれます。
ボディ剛性が高く、ボディがひとつの剛体として機能しており、「剛性がある感覚」というのが逆に分からないレベルです。つまりボディがヨれないんですね。サスペンションも、ダンパーが細かく仕事してくれます。マツダのそれに近いかもしれません。
前後のトルク配分は60:40が基本。スポーツモードで30:70。トラックモードで50:50。スポーツモードに切り替えると、リアから蹴り出されるフィーリングが街乗り程度でもよく分かります。とても好みでございました。
ただ……アクセルに違和感があります。最近のクルマは基本的にどれもそうなんですけれど、アクセルペダルとスロットルがワイヤーで直結されているわけではなく、電子制御されてるんですよね。
つまり、アクセルを1cm踏んでも、1cm分にはスロットルが開いてくれない。なのでパーシャルのそのまた下の、ほんと微妙なスロットルのオンオフが思い通りに機能してくれません。
アクセルを強めに踏み込んでも本当にマイルドです。トヨタ的な味付けと言えば味付けですね。ゼロからスタートの時、クラッチ合わせる際に「あー、なんだか色々と介入してそう。クルマが自分で回転上げてくれてそう……」みたいなフィーリングもあります。iMTはオフにしていても。
ぶっちゃけ。カタログスペックの割には過激さはナイです(街乗りではね)。それこそ昔のEP82型スターレットGTとか、SW20型MR2の方がよっぽど面白いです。重ねて言いますが、街乗りでは。あと、ステアリングのレスポンスもそれを愉しみたいなら86の方がやはり良いかなと。

ちなみに最近のハイパワーターボとして考えると、FK8型シビックタイプR(2000ccターボ、320ps、40.8kg)と比べたら、まあシビックの方が過激だし、上質ではありますね。
ゼロヨンだかゼロヒャクだかはGRヤリスの方が上らしいですけれど、エンジンの殺人的な吹け上がりは、やはりVTECのシビック。サスペンションもシビックは1/500秒単位で減衰力が常に変動するとか言うオドロキの仕様なので、足回りの質感もやはりシビックでしょう。まあ、GRヤリスよりも、最低でも+130万円~ですからね……クラスが違う。

ディーラーの中であれこれとお話タイム。これが噂のGRガレージですね。って、あれれー、おかしいぞー? あ、ありのまま今起こったことを話すぜ! 俺はトヨペット店に来たと思ったら「日産マーチNISMO」に乗っていた。な、何を言ってるのか分かんねーと思うが(以下略
見たところ聞いたところ、GRの認定中古車だそうなのですが、だとしてもディーラーの店内にこういうのを展示しちゃうあたり、最近のトヨタは寛容になったんだなとつくづく感じます。いい傾向だと思いますよー、(マーチニスモのペラペラクラッチとグニャグニャシフトで遊びつつ(おもしろい

こちらがGRヤリスのカタログです。めっちゃ分厚くてめっちゃ立派なカタログです。ページを開くとエンジン、ボディ、サスペンション、4WDシステムの写真や主要還元表、技術説明がズラリ。そうそう、こういうですよこういうの。我々、クルマオタクが求めているのはまさにこういうのです。
それだけには飽きたらず、アクセサリーとして強化クラッチに強化デフ、ロールバーとかまで用意されたりしてるワケですよ。このお店だけかもしれませんが、純正だけではなく、社外品のプロジェクトμのブレーキとかも選べるとか何とか(86でレースに出てる関係のようで)。素晴らしいですね(涙を流す

GRヤリスのグレードとしては最上級の「RZハイパフォーマンス(456万)」、「RZ(396万)」、CVT・NA・FFモデルの「RS(265万)」の3つがある……とウェブサイト上にも書かれているのですが、よーくよーく調べると競技車としての改造を前提としたモデル「RC(330万!)」も存在しています。トヨタ公式サイトでは一切出てこないし(GRのサイトにしか載ってない)、カタログでも最後のページに1枚写真が載っているだけです。
このRC。エアコンなしオーディオなし。ブレーキは18インチから16インチにグレードダウン(ラリーカーとして小径ホイールを履くことが前提)。ステアリングのギア比も違うらしく、RCだけ最小回転半径は6mもあるらしいです。
でもRCは+4万円ちょいという破格でで18インチブレーキとホイールをつけられて、最小回転半径も元の仕様通りに。エアコンも当然のことながらオプション(12万ぐらい)で選べます。ヘリカルLSDはRZハイパフォーマンスにしか設定されませんけれど、350万弱スタートで、GRヤリスとしてのスペックのほぼ全てを手に入れられるという超お買い得仕様。コストパフォーマンスの極めて優れたとても素敵なモデルです。ウォータースプレーも+1万ぐらいなんでしたっけ。
GRヤリスのRC。本当に心がグラッと来ています。見積もりして貰ったら、まあ370万ぐらいですね。この時代、このスペックのマシンが400万割るってちょっとあり得ないでしょう。安すぎです……。安すぎて売りたくないから、これカタログにあんまり載せてないんじゃないの!? というレベルです。
ちなみに試乗に行ったディーラーでもRCは1人ぐらいしか選んでないとか。一方でRZハイパフォーマンスにオプションゴテ盛りで600万コースに到達した人もいるそうで。
SW20を手放す気はない、ないが! これは本当に買う価値アリだと思います。ちょっと本気で考えようかなーと思ったり思わなかったり。けっこう心が動いています。うむ……
うむ……

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自動車 | 日記
Posted at
2021/03/26 01:00:52
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