• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

霧島のブログ一覧

2011年04月21日 イイね!

トヨタのクーペを再検討 Ex ~FT-86 Future of Toyota~

トヨタのクーペを再検討 Ex ~FT-86  Future of Toyota~ トヨタのスポーティ&スポーツクーペの魅力を再検討する Ex

~FT-86 Future of Toyota~


最後のライトウェイトRWDであるMR-Sの消滅から4年。


 2011年4月。トヨタはニューヨークで開催されたオートショー2011において、サイオンFR-S Conceptを出品する。

 これはもちろん、前々より発売が期待されているトヨタとスバルの合作=FT-86 Conceptの北米版となるモデルである。

 そのFT-86がどのようなクルマであるのか。50年に及ぶトヨタ・スポーティ&スポーツカーの歴史を持ってすれば、その正体も自ずと明らかになる……かもしれない。

~FT-86の位置付け~

 「AE86の再来」みたいに取り上げられるFT-86。AE86は、決して速いクルマではありませんでしたが、安いライトウェイトFRとして若者たちから絶大な支持を得たクルマでした。

 しかしFT-86においてトヨタは、「若者向けのクルマではなく、AE86で育った中高年がターゲット」と言っています。てなことで、ハチロクの再来って事は無いかと。少なくともボーイズレーサーと呼ばれるようなエントリーカーでは無いでしょう。

 どちらかと言えば、スペシャリティカーと見た方が近いでしょうな。

 さらには、某Dの影響を受けまくって「ドリフトをして楽しいクルマ」にするとかなんとかトヨタは言ってますね。

 2リッタークラスのマシンとして。トヨタならばSW20型MR2やST200系のセリカ。他社ならばホンダのS2000や日産のシルビア。マツダのロードスターがある。

 大体、このあたりと比較して行けば、FT-86がどんなものなのかが見えてくるかと。


~ボディサイズは?~

 デカイデカイと言われるFT-86。実際に他車種と比べて見ると……

車種名:全長×全幅×全高(ホイールベース)

FT-86 Concept:4,160mm×1,760mm×1,260mm(2,570mm)
FT-86Ⅱ Concept:4,235mm×1,795mm×1,270mm(2,570mm)
Scion FR-S Concept:4,272mm×1,816mm×1,204mm(2,570mm)

AE86型 カローラレビン:4,180mm×1,625mm×1,335mm(2,400mm)
SW20型 MR2:4,170mm×1,695mm×1,235mm(2,400mm)
ST202型 セリカ:4,420mm×1,750mm×1,305mm(2,535mm)

ホンダ AP1型 S2000:4,135mm×1,750mm×1,285mm (2,400mm)
日産 S15型 シルビア:4,445mm×1,695mm×1,285mm(2,525mm)
マツダ NC型 ロードスター:4,020mm×1,720mm×1,255mm(2,330mm)

 ……当初のFT-86は全長も全高もハチロクより小さいです。肝心なのかは分からんけど、全幅はデカくなってるね。3ナンバー化は避けられんけど、案外乗ってみたら気にならんと思う……けど。ただ、サイオンのはデカ過ぎる……北米仕様だと信じたい(汗)

 ちなみに全長を切り詰める代わりにホイールベースは長くするってのは、トヨタお得意のやり方ですな。MR2→MR-Sがそうです。

 デザインに関しては、レクサスLFAに似ていると言う話がチラホラ……。トヨタは昔から、上級車種のデザインをモチーフにワンクラス下の車種をデザインするという方式を採ります。60セリカXX→AE86トレノ、20ソアラ→AE92レビン、みたいに。

 同じFRマシンとして、レクサスLFAをモチーフにした部分も多いんでないかね。


~FT-86のウェイト~

AE86型 カローラレビン:940kg
SW20型 MR2:1,220kg
ST202型 セリカ:1,190kg

ホンダ AP1型 S2000:1,240kg
日産 S15型 シルビア:1,240kg
マツダ NC型 ロードスター:1,090kg

 FT-86の重量は、1300kgぐらいではないかと言われてます。て言うか、車重はちゃんと発表されてないのですよね……

 上の比較を見てたら、1250kgぐらいに抑えられたら充分じゃないかと。ていうかたぶん、それ位でしょ。

 昔、三菱のGTOに横乗りさせて貰ったこと有りますけど。『デカイ・重い・止まらない・曲がらない』と言われるGTOでも街乗りではビックリするぐらいにキビキビ走ってくれるんですぜ。意外と小回りも効きますし。

 まぁむしろ大事なのは。重さを感じさせないようなボディ剛性の出し方じゃないのかと思うけどね。

 ボディ剛性の出し方とボディの捻じれ方をキッチリ煮詰めてやれば、でかいクルマが小さく感じる。重いクルマが軽く感じる訳で。

 トヨタはその辺の研究を、80スープラ開発の時にだいぶやったらしい。アルテッツァの時もニュルブルクリンクに持ち込んで試行錯誤したそうな。

 SW20でも最後のモデルから10年以上。ボディ剛性出す為の技術やノウハウだって、かなり蓄積されてるハズ。けっこう、イイ感じに仕上がるんじゃないでしょうかね。

 なお、前後重量配分について。トヨタは「50:50がFRにとってベストだとは考えてない」とのことだそうです。

 高速領域の安定性とかも考えた時、若干のフロントヘビーが良いそうな。てなことで、ややフロントヘビーになるのは間違いないかと。


~FT-86の走行性能は?~

車輛 with エンジン名:最大馬力/発生回転(最大トルク/発生回転)

FT-86 Concept with FB20:200ps/7000rpm(21.0kg/4500rpm)

AE86型 カローラレビン with 4A-GE:130ps/6,600rpm(15.2kg/5200rpm)

SW20型 MR2(最終型NA) with 3S-GE:200ps/7000rpm(21.0kg/6000rpm)
ST202型 セリカ(SSⅢ) with 3S-GE:200ps/7000rpm(21.0kg/6000rpm)

ホンダ AP1型 S2000 with F20C:250ps/8300rpm(22.2kg/7500rpm)
日産 S15型 シルビア(NA) with SR20DE:160ps/6400rpm(19.2kg/4800rpm)
マツダ NC型 ロードスター with LF-VE:170ps/7000rpm(19.3kg/5000rpm)

 ……トヨタのエンジンはダメだダメだと言われますけど、改めて見るとそんなに悪くないですよね。

 0→100km/h加速では、ロードスターとタメ張れるそうです。

 ここでロドと同等のトルクウェイトレシオ・パワーウェイトレシオと計算したら、FT-86の車重は1182kg~1282kgですね。ひょっとしたら1200kg台前半で収まってくれるかもしれませんぜ?

 2000回転ぐらいで17kgぐらいトルクが出てるから、2リッターの泣き所である低速トルクもカバーされてて結構扱いやすいと思いますよー。

 燃費は10・15モードで14.8km/リッターらしいです。そう言えばトヨタって、意外とカタログ数値に近い燃費が実際に街乗りでも出ますよね……プリウスのカタログ数値は信用ならんけど。

 SW20とか、カタログ数値以上の燃費とか普通に出るんですぜ、リッター12kmとか。MR2乗りの密かな誇りです(笑)。FT-86も、リッター13~16ぐらいは出てくれるかもね。

 パワースペック的には、最終型SW20がドンピシャですよな。つうか全体像を見てると、SW20とチラホラ被る部分がありますよね。

 昔、マスタードライバーである故・成瀬弘さんは「SW20型MR2は、ストラット式サスペンション採用のマシンとしては世界最高のバランスを持つ」と太鼓判を押してました。逆に考えると、トヨタがスポーツカーを作る時、SW20のドライブフィールを社内目標とすることは十二分に考えられます。

 リアがブレイクするとコントロール不能だとか、フロントの接地感が皆無だとか、高速安定性が死ねるとか何かとネガティヴな点ばかりが取りざたされるSW20。そのネガの部分を徹底的に潰して、マイルドな特性のリアドライブクーペに仕上げたマシン。それが、FT-86の正体だと思いますよ。

 低重心の水平対向エンジンのコンパクトさも相まって、フロントミッドに近いレイアウトの低重心スポーツカー。一説にはFD3Sをも凌ぐコーナリング性能を持つと言う、RX-8が一番近いクルマかもですな。

 トヨタは、「リアがブレイクしても、最後にはきちんと救ってくれるクルマ」を目指してレクサスLFAやGRMN Hot Hatch ConceptなどのFRを開発しています。FT-86も、おそらくそのコンセプトを継承するでしょう。

 どうせテンロクで出したら「パワーが足りない!」って言うクレームが絶対につくわけで。それ考えたら2リッターのミドルクラスで扱いやすいFRってのは。まさに走り屋さん達が求めて来たクルマだと思うけどね。

 でもまぁ、ドリフトするには、このスペックでは物足りないでしょうけどな~。GRMNのターボ版に期待しましょうや(笑)

 トヨタは昔から「Fun to Drive」。決してパワーで振り回すクルマでも速いクルマでもないが、軽くて小回りが利いてキビキビ走るクルマ、てのを目指してきたはずです。

 SW20だってAW11に比べたら、その辺は負けてると思う。でも、AW11がSW20にサイズアップしたように、AE86がFT-86にサイズアップするってのは、あってもいい話では無いかと。

 いずれにせよ、ガンガン振り回すことを最上の喜びとする人たちには物足りないでしょうなぁ。しかし逆にトリッキー過ぎると、またSWみたいにクレームがつくワケで。まぁ乗り手ってのはワガママなもんでしょうよ(汗)

 FT-86は何だかんだで「 牙を抜かれた 大人しくなったMR2」ぐらいで考えておくと、一番ハズレが無いかもね。


~で、肝心のお値段はどんなもんでんねん?~

 まぁお値段ってのはグレードによって全然違うもんだけど……大体こんな感じかと。

AE86型 カローラレビン(3ドアGT-APEX):160万

SW20型 MR2(G-Limited):240万
ST202型 セリカ(SSⅢ):250万

ホンダ AP1型 S2000:340万
日産 S15型 シルビア(Spec S):190万
マツダ NC型 ロードスター(RS):250万


 で、肝心のFT-86ですが。元々は200万円ぐらいを目標としてたらしいですが、スバル製エンジンの改良にやたらめったらコストが掛かったそうで。結局はメイングレードで250万以内に収めたいそうな。

 そりゃ確かにハチロクに比べたら高いし、S15のNAと比べても高い。でもMR2とかセリカとかロードスターと比べたら、ばっちこいな値段ですよね。

 むしろ、今の物価や時代背景。あまり売れないであろう予想販売台数を考えたら、FT-86の250万円ってのは頑張ってる数字かと。そりゃエントリーカーとしてなら高いけど、FT-86はエントリーカーじゃないし。

 まぁ安くは無いけど、決して高いワケではないと思いますよ


~スバル版はどーなる!?~



 FT-86の本命・スバル版です。画像は、北米で撮影されたFT-86のテストカーだとか。インプレッサベースに開発されてるそうなので、間違いないでしょうな。

 ぶっちゃけ、「スバル版が欲しい」って人は多いと思う。霧島もスバル版が欲しい(爆)

 昔、レーシングドライバーの中谷明彦さんが言ってたのですが、「昔はどこのメーカーもFRを作って来たから、FRのライトウェイトスポーツを作るなら、それをリバイバルさせれば良いだけ。FRを作るのは難しくは無い」そうな。

 トヨタは、AE86やSW20でRWDを最後まで守って来たメーカーの一つです。ではスバルはどうか。スバルはスバルで意地にかけてトヨタとは別の足回りにしてくると思う。かつてOEMしたトラヴィックの足回りも独自にセッティングして、それはそれは素晴らしい足回りに仕上げたそうな。

 でもスバルと言えば、電子制御のAWDが有名で、FRなんてまともに作った試しが……ね?

 正直、スバルにFR車をセッティング出来るノウハウが蓄積されているとは思えない。

 ガチガチのサスに仕上がるか、ナヨナヨの目も当てられないサスになるかどっちかだと思う。ノーマルの状態では、トヨタの方が少なくとも1枚は上手の完成度に仕上げてくると思う。

 いずれにせよ、スバルはスバルで独自のサスに仕上げるなら、あまりバランスは良くないと思う。だからスバル版を買うのはバクチに近いモノがあると思う。

 「実は100%スバルが開発している」って、スバリストの聖地であるスバル中津川の社長が言ってましたな。FT-86、このあたりが果たして吉と出るか凶と出るか……ま、どうせ良い部分は全部スバルが持って行って、悪い部分はトヨタが請け負ってくれますからな!(笑)

 STiバージョンも発売するらしいですが、どうやらNAになるそうな。正直、NAでもスバルがまとめるならコワいなぁ……SW20の恐怖再びな悪寒が(笑)


 ……で、やっぱり霧島はスバル版が欲しい(爆)



 と。こんな感じで、FT-86の姿も、なんとなく見えて来たのではないかと。

 何だかんだでトヨタ車ですから、ギンギンのスポーツカーにはならないと思う。でもまぁ、70~80点をつけられる位の、「いかにもトヨタ」なクルマには仕上がると思う。

 大ヒット車にはならんだろうけど、それなりに期待してもいいクルマだと思いますよ。足回りなんて自分で替えればいいわけですし、ベース車としては申し分ないかと。

 絶対数ではS15に敵わんだろうけど、D1なんかではそのうち旧来のクルマを喰い始めると思うかな。

 恐らく、今年の秋冬のモーターショーあたりには市販版が出てくるでしょう。スバルの社長が、年内に発売するとも発言してました。

 ただ、今回の東日本大震災の影響で、発売が延期されるのは充分有り得るでしょうな……ヘタすると、発売中止もあり得る訳で。

 発売するなら、来年の春~夏ではないかね。

 兎にも角にも。貴重なFRスポーツが増えてくれる可能性があるワケで。FT-86が出たら、日産だってシルビア後継を引っ張り出して来ないわけにはいかんでしょうし、マツダはNDのロードスターを気合い入れて作るでしょう。ホンダだってCR-Zのガソリン版を間違いなく出してくるかと。

 2~3年後。果たしてライトウェイトスポーツカーは復活しているのか。それとも……



 てなことで、「トヨタのスポーティ&スポーツクーペの魅力を再検討する」はこれで終わりです。まさか10回分も書くことになるとは……3、4回で終わると思ってたのに(汗)

 読んで下さった方、そしてコメント下さったり色々と教えて下さった方、ありがとうございました。

2011年04月03日 イイね!

トヨタのクーペを再検討 その九 ~トヨタのスポーツカーとは何であったか~

 トヨタのスポーティ&スポーツクーペの魅力を再検討する。第九回。

~トヨタ・クーペと、ライトウェイトスポーツカーの終焉~

 2007年7月。遂にMR-Sの生産が終了する。

 1.8リッターのエンジンをミッドシップレイアウトに搭載。車重1tのライトウェイトオープンであったMR-S。MR-Sの消失は、日本よりアンダー2リッターのリアドライブクーペの絶滅と同義であった。

 アンダー2リッタークラスに限らず、時はスポーツカー全滅時代……。

 既に。2002年には最後のライトウェイトFRクーペである日産・S15型シルビアが、同じく2002年に、ロータリーピュアスポーツであるマツダ・FD3S型RX-7が生産終了。2006年には最強のFFスポーツクーペであるホンダ・DC5型インテグラタイプRが生産終了している。

 もちろん、“スポーツカー”のニーズが全く無くなったわけでは無いし、各自動車メーカーも“スポーツカー”存続の為に様々な戦略を図ることになる。

 スポーツカーの雄であったホンダ。2000年に最強のテンロクスポーツであったEK9型シビックタイプRの国内生産を終了。2001年より次期シビックタイプRであるEP3型を2リッターにクラスアップ、英国での生産として国内に逆輸入する形とする。さらに2005年のFD2型では再び日本国内での生産形態となったものの、シビック自体を3ナンバーサイズのセダンベースへとモデルチェンジさせる。

 また、上級クラスにおいても。自社のフラッグシップであるNSXを2005年に生産中止、後継車種も結局は白紙化となる。NSX以上にホンダ・スピリッツを体現したとされるS2000の生産は最後まで根強く継続されたが、2009年に消滅。 以降、ホンダは完全にミニバンメーカーに(ry

 経営悪化からフォードの子会社となっていたマツダ。2003年より伝統のロータリーであるRXシリーズを4ドア化し、燃費も(ちょっとだけ)改善。ユーティリティ性皆無(失礼!)であったRX-7に比べて 見た目だけは 実用性を向上させたRX-8の投入によってロータリーの存続を図る。また、2005年にはマツダ・ロードスターシリーズもNC型より2リッター&3ナンバーサイズにモデルチェンジさせる。

 これまた経営難からルノーの子会社となり、カルロス=ゴーンを社長に迎えた日産。最後のスカイラインGT-Rを有した34型スカイラインの生産終了後。2001年よりスカイラインをラグジュアリー路線のスポーツセダンと位置付ける。

 また、2000年で生産の終了したフェアレディZを、日産の再生をかけて2002年より復活。2007年には、 スカイラインGT-Rの当初のコンセプトを大きく逸脱させまくった “スーパーカー”と銘打ち、遂にGT-Rを復活させる。 まぁR32だって厳密には桜井センセイの哲学からは逸脱……おっと誰か来たようだ

 三菱は、自社のフラッグシップであるGTOを2001年に生産終了。WRCのラリーカーベースとなるランサーエボリューションは存続させるも、2005年シーズンを以てWRCより撤退。

 スバルは、最後までインプレッサを日本製ラリーカーとしてWRCに投入し続けてきたが、2008年シーズンを以てWRCより撤退する。

 トヨタにおいては、2006年にセリカを生産終了し、後継のサイオンtcの日本市場投入を断念。Z40型ソアラを2005年からレクサスSCに統合、2010年に生産終了。アルテッツァもまた2005年のモデルチェンジを機にレクサスISの名でレクサスブランドに取り入れることとなった。 何を考えてるんだか


 これらに見られるように日本製スポーツカーは大型化・高級化の一途を辿り、若者たちから絶大な支持を得たライトウェイトスポーツカーは、MR-Sの生産終了を以て消滅したのである。

 かつて幅を利かせたハイソカー・スペシャリティカーなども既に死語と化しており、代わりに日本自動車界を台頭することとなるのは時代は燃費と環境性能重視のエコカー。そしてミニバンの存在であった……


~トヨタ・クーペは本当に個性が無いのか?~
~トヨタの提唱するスポーティカー・スポーツカーとは如何なるものであったか?~


 2002年のシルビア生産終了ばかりが注目されるが、最後の最後まで『5ナンバーサイズのライトウェイトスポーツカー』の血統を守り続けて来たのは、実はトヨタであった。

 これまで。1950年代から1990年代に渡るまでの40年のトヨタ・クーペを取り上げて来た。トヨタスポーツ800・トヨタ2000GT・セリカ・セリカXX・スープラ・ソアラ・MR2・MR-S・レビン・トレノ・スターレット・カローラⅡ・カローラFX・ターセル・コルサ・サイノス・セラ・コロナクーペ・カリーナクーペ・カレン……

 しかし、これらの中において。トヨタがスポーツカーと名乗ることを許したのは、トヨタ2000GTとA80型スープラだけである。そしてそれら以外のクーペに関しては『あくまでもスポーティカー』とすることが大多数であった。

 では、トヨタの提唱するスポーツカーとは何か。そしてスポーティカーとは何であったのか?

 まず、トヨタクーペの大きな特徴として上げられるのは、既存のコンポーネンツの流用である。ハチロクや初代MR2がカローラベースであったように。基本的にトヨタは、どんなクーペにおいても普通車のコンポーネンツを流用して製作する。

 もちろんコンポーネンツの流用自体はどのようなメーカーも行うことであるが、トヨタの場合は徹底的なコスト削減を図り、MRや5速MT・6速MT等々。機能的な面では『新しさ』や『個性』を打ち出しつつも極めて安価に仕上げることに成功している。実際、誰が100万円台でミッドシップやガルウィングに乗れる日が来ると想像したであろうか?

 このコンセプトはトヨタスポーツ800以来、MR-Sにまで受け継がれてきたものである。

 絶対的な速さや強大なパワーは無くとも、軽くて小回りが利いてキビキビ走り。なおかつ安価に手に入れることの出来るクルマ。それがトヨタのクーペの正体である。

 しかしながら。日本初スーパーカー。日本初リトラクタブルヘッドライト。日本初5速MT。日本初デジタルメーター。日本初ミッドシップ。日本初ガルウィング。日本初6速MT。日本初シーケンシャルMT……これらの個性的な機能を備えつつも、トヨタ車には個性が無い、とされる。

 何故か。それは結論から言えば乗り心地や操作性の問題に尽きる。国産車、外国車を含めて、『トヨタ車には乗っていて味が無い』。これこそが、トヨタ車に個性が無いと言われる所以なのである。

 この『乗り心地』について、トヨタはどのような考えを持っているのか。

 ここで、トヨタの数少ない個性的なクルマと言われるMR2。それのSW20型MR2の開発主査である有馬和俊技師が綴ったスポーツカー論より、一部を引用してみたいと思う。

『スポーツカーは、スペシャルティカーや高性能スポーツセダンの居住性をある程度犠牲にして、またレーシングカーに公道で走るのに必要な法律用件を与えて、スタイルと動力性能と操縦安定性能を特化させた車で、2座か2+αである。(中略)
 スポーツカーは、気晴らし、楽しみのできる車、気分転換のやりやすい車(中略)つまり心の遊びができることが要求される。
 また、スポーツカーはレーシングカーのようにサーキットを走れる必要がある。レーシングカーは運動神経の特別優れた、勘のよい、徹底的訓練を受けた、特定のドライバーに合わせてサスペンションがチューンされている。
 しかしスポーツカーは、ある程度訓練をうけた、不特定多数の普通の人でもサーキットを安心して滑らかに走れる必要があり、プロのドライバーが自由自在に奥深く操縦できるようになっている必要がある。』


 この中に、トヨタの求めるクルマ、そしてスポーツカーというものが見えて来ると思う。

 端的に言えばそれは、『どんな人が乗っても違和感を感じないで普通に運転出来るクルマであること』ということになる。

 スポーツカーとは基本的に個性的なものである。しかしながらも、あまりにも普通のクルマとかけ離れた乗り心地と、そしてあまりにも特殊で高等な運転技術の必要性が求められるならば、それはもう『スポーツカー』の域を超越した『レーシングカー』である。これがトヨタのスポーツカー論なのである。


 また、A80型スープラ登場時。トヨタのトップテストドライバーである成瀬弘氏とレーシングドライバーの中谷明彦氏は、下記のような会話を交わしている。

中谷 『ポルシェなどは100人のうち、1人か2人が満足出来ればそれでいい、というクルマですよね』
成瀬 『ええ。でも、スープラはもっと幅のある、人に優しいスポーツカーなんですよ。今までは、アナタたちは乗らなくていいんだ、というスポーツカーが多かった』


 単にサーキットでのタイム短縮だけを考えて煮詰められたクルマ。敢えて名前を出すなら、ホンダのタイプRシリーズや、マツダのFD型 RX-7。三菱のランサーエボリューションなど。これらのマシンはピュアスポーツ過ぎて、ストイック過ぎて、最早レーシングカーの領域である、と。

 もちろんそれこそが、ホンダとマツダと三菱が目指す所なのだろうが、少なくともトヨタにとって、それはスポーツカーの領域を踏み越えた存在であった、と。そういうことなのであろう。

 ちなみに中谷明彦氏は80型スープラについて、『初心者マークの女の子でも運転出来る』とまで評価している。スープラは不明ですが、トヨタのMR2などは、女性のオーナーが多いことでも有名です。

 もちろん、このスポーツカー論自体には賛否両論はあるであろうし、トヨタ社内にも様々な意見があるようである。他メーカーにおいても、例えば日産のMID4。

 どこからどう見ても“スポーツカー”であるMID4であるが、MID4の立案者であり、MID4-Ⅰの開発者である故・桜井眞一郎は『スポーツカーにするつもりはない。どんな人が乗っても、どんな腕前でも。何も努力しなくてもプロと同じぐらい上手に速く走れてしまう、腕の振るいようの無いクルマ』がコンセプトであると述べる。

 しかし、MID4-Ⅱの開発担当者となった中安美貴は『プロゴルファーのクラブをアマチュアが使いこなせないように、スポーツカーも使い手によって性能を発揮するクルマであるべきで、万人向けにする必要は無いのではないか。と言って、クルマの挙動を全て電子制御させるのも面白くない。高速直進時の外乱などに対しても反応出来るドライバーの為のクルマ。MID4-Ⅱはそういうスポーツカーにしたかった』と述べる。

 このように、世間一般でスポーツカーであると歓迎される“個性的なクーペ”は、日産の中安美貴技師の考えに通ずる所がある。しかしトヨタのスポーツカーとは、Mr.スカイラインこと故・桜井眞一郎の考えに通ずるものがあろう。

 もちろん、どちらが正しくてどちらが間違っているかなどは不毛な議論である。

 ただ、この日産の二人の技師の言葉から得られるのは、『スポーツカーとは限られた人間にしか楽しむことが出来ない』ものという共通認識である。実際問題、フェラーリなどにおいて、信号から発進するのにも普通車では考えられないほどにアクセルを煽らなければクラッチが繋がらないと言う。


 ……ここまで来れば、トヨタの考えるスポーツカー像が見えてくると思う。

 本来ならばスポーツカーは、速いクルマではあっても乗り手を非常に選ぶものであるし、もちろん街乗りでのユーティリティ性や足回りの固さなどは言うまでも無く『優しくない』ものである。

 しかしトヨタは、クルマとはどんな人もが平等にその楽しさを味わうことの出来るものであると考えた。それはもちろんスポーツカーにおいても同じである。

 『高性能』と『使い勝手』。本来なら相反する二つのこの要素。スポーツカー造りにおける最大のジレンマである。しかし、高い技術を持ってすれば『高性能』と『優しさ』を融合させることが可能なのではないか? これはA80型スープラ開発主査である都築功技師の言葉であり、トヨタの総意であると考えても良いであろう。

 MR2やMR-S、セリカ。世間的には明らかに『スポーツカー』であったこれらのクルマですらトヨタは『スポーティカー』『スペシャルティカー』と呼ぶに留めた。しかしトヨタは、まだこれらのクルマは、“その領域”に到達していないと考えた。だからこそ、トヨタは自社のクーペのほぼ全てをあくまでも『スポーティカー』と呼ぶに留めたと考えても良いであろう。

 トヨタが自社のスーパーカーである『レクサスLFA』を、MRではなくフロントミッドのFRとしたのも、このあたりが理由だとされる。MR方式だと強すぎるトラクションの為に、最後の最後でドライバーを突き離す『優しくないクルマ』となってしまうからであると言う。そういった意味ではMR2と言うのは、ある意味では確かに『トヨタの考えるスポーツカー』としては失敗作でもあったのかもね……

 ……このトヨタの考えを惰弱と呼ぶか。それとも、元来のスポーツカーの姿からさらに一歩踏み込んだ困難への挑戦と捉えるのかは、人それぞれであろう。

 ただ。スポーツカーに乗るからと言って、皆がサーキットで絶対的な速さを追求するワケでは無い。むしろ、街中で乗ることの方が断然多いのは間違いない。ならば、出荷段階では街乗り重視のセッティングとし、スポーツ走行をしたいならば自分好みに足回りを変えれば良い。それもまた、トヨタの考え方と言えるであろう。

 そもそも、速さを追求するスポーツカーとしては出荷段階でほぼ完成の域に達しているとも言えるランエボやホンダのタイプRですら、ユーザーは往々にして足回り等々を自分好みに変更するものである。挙句の果てに『結局はノーマルが一番速かった』などというオチすらつくこともあるのだから……。

 そしてまた、ロードスターやMR2に乗る者ならばよく分かっていることだとは思うが――『絶対的な速さ=楽しい』の等式は必ずしも成立しないのである。

 『Fun to Drive』。この言葉は、昭和59年に初代MR2が発売されるのとほぼ同時期にトヨタのキャッチコピーとされてきた。

 クルマは決して高価なものであってはならない。クルマは決して排他的なものであってはならない。高度なテクニックを持つ一部の者にしか扱えないのではなく、どんなドライバーもがその“楽しさ”を味わうことの出来るクルマ。もちろん、街乗りにおいてユーティリティ性に欠けるとか、やたらと足回りが固いなどというのはもっての他。

 それがトヨタの提唱するスポーティカーとスポーツカーの欠点であるとも同時に、最大の魅力でもあると言えるのではないだろうか。


~トヨタ・スポーティ&スポーツクーペのこれから~

 2010年、トヨタはGazoo Racingの立ち上げを発表。

 この企画の立役者となったのは、モータースポーツ好きにしてニュルブルクリンク24時間にも出場経験のある豊田章夫社長。そして長らくマスタードライバー=トヨタテストドライバーの頂点にあったマイスター・オブ・ニュルブルクリンクこと成瀬弘であった。

 ライトウェイトスポーツカーの絶滅。これは、単純にメーカーがラインナップから独善的にそれらを消し去っただけでは無い。根本的には市場が激減したことにある。しかしながら、少量ではあるが確実にそれらのニーズは存在する。

 トヨタは、既存のクルマをメーカー純正でチューンナップ。少量生産ではあるが、『スポーティカー』をデリバリーするべく、Gazoo RacingとG'sブランドを立ち上げたのである。

 2007年より密かにプロジェクトの進行していたGazoo Racing。トヨタはその切り込み役として2009年、『iQ Gazoo Racing tuned by MN』を100台限定で発売。1週間で完売となる。

 Gazoo Racingが手掛けたのはiQだけではない。iQやヴィッツのコンパクトカーから、プリウスと言ったエコカーやセダンのマークX。果てはノアやヴォクシーのミニバンまで。トヨタ2000GTからMR-Sに至るまでのトヨタ・クーペを手掛けて来た成瀬弘が自ら“味付け”を行い、少量生産で販売を行う予定である。

 それは、単にサスペンションのチューンだけではない。ボディの要所にまで補強が入っており、例えば段差を超える際に『ダダンッ』と振動が加わる所が軽やかに『タンッ』とショックが収束するように、ノーマルカーとは大きくかけ離れた味付けに仕上がっていると言う。

 そんなG'sブランドにおいて、若い技術者達に意見を求めた所、『若い人たちが楽めるFR』と言った意見が上がった。それを受けて開発を進めるにあたり、成瀬弘氏は、こう言ったと言う。

『お前たち、150万円のFRスポーツカーに乗りたくないのか?』

 ……その言葉に、全員が目をキラキラさせたと言う。

 成瀬弘氏は、世界中のトヨタの研究所を回り、使えそうなコンポーネンツを探し出す。ベースとしたのはチェコの工場で生産されていた輸出専用車であるアイゴ。それにトヨタグループであるダイハツにあった1.5リッター直列4気筒エンジンとFRの駆動系を組み合わせる。

 元々は密かに進められた開発であったが、開発が進むにつれ、上層部より『これだけ開発費を用意するから造るか?』との言葉が掛かったが、成瀬弘は『そんな予算ではダメだ』と言い返したと言う。何故か? 『(開発費は)そんなに要らん! そんなにコストをかけたら安くあがるわけ無いじゃないか!』とのことだそうである。

 『安く造らないと若者には手がでなくなる。それでは意味が無い』。目標としたのは、KP61型スターレット。長らく絶滅して来たコンパクトサイズのFRクーペである。

 単に、既存のコンポーネンツを流用しただけでなく、エンジンはフロントミッドに搭載。リアサスペンションには予算をかけてダブルウィッシュボーンを採用。コンパクトサイズのFRでありながら、FF以上の直進安定性を実現したと言う。

 軽くて小回りが利いてキビキビ走る。リアドライブではあるが決してトリッキー過ぎず。リアがブレイクしたとしても、最後にはきちんと救ってくれる操安性を兼ね揃えるクルマ。これがいわゆる「FR Hot hatch Concept」である。


※この動画のドライバーは、故・成瀬弘氏である。

 『一番発売したいクルマはMR-Sハイブリッド。しかし本命はコレだ』と成瀬弘に言わしめたFR Hot hatch Concept。スポーツカー好きなら誰もが、今この瞬間も欲して病まないライトウェイトのFRスポーツカー……

 MR2やセラで『まさかあのトヨタが』と、クルマ好き・スポーツカー好きを驚かせ続けて来たトヨタ。やはりトヨタもまた、ライトウェイトFRの重要性をきちんと認識し続けていたのである。

 手持ちのコンポーネンツを最大限に活用しつつ。決してパワーのあるクルマでも速いクルマでもない。しかしながら軽くて小回りが利いてキビキビ走る。そして同時にドライバーを突き離さない操縦安定性を実現する。FR Hot hatch Conceptこそは、ヨタハチ以来トヨタが貫き続けて来た哲学を体現した“スポーツカー”である。

 残念ながら完成前に成瀬弘氏は亡くなられてしまったが、例え限定生産ではあってもFR Hot hatch Conceptが発売される日は、そう遠くは無いであろう……


 もちろん、2010年代のトヨタのスポーツカー戦略はG'sからのスポーツカー発売だけでは終わらない。トヨタは2010年、北米において『スープラ』の商標を再登録。そして、9年間秘蔵して来たスーパーカー『レクサスLFA』を遂に世に送り出した。

 そしてそんな中において、最も注目されているクルマ。それは『FT-86 Concept』であろう。

 その名から分かる通り、昭和58年に発売されたAE86型カローラレビン/スプリンタートレノを大きく意識したFT-86。『ハチロクの再来』とも言われるその正体は、いかなるものなのであろうか――?

 50年に渡るトヨタのスポーティクーペのコンセプト。それらを鑑みれば、その正体は自ずと明らかになる……かもしれない。

(つづく)
2011年03月25日 イイね!

トヨタのクーペを再検討 その八 ~90年代 partⅡ~

トヨタのスポーティ&スポーツクーペの魅力を再検討する、第8回。


時に1991年、遂に弾けたバブル経済。日本は斜陽の時代を迎える。

昨日の友は今日の敵。衣食足りて礼節を知る。犬が西向きゃ尾は東。

『ヒャッハー、水だ水だ!』

横行する暴動と略奪。治安の悪化と人心の荒廃……。人々は水と食料を求めて争い、暴力だけが支配する弱肉強食の時代が到来した……

“失われた10年”が、今始まる……


~90年代 PartⅡ~

1994年 5代目ターセル/5代目コルサ/4代目カローラⅡ (L50系)

5代続いたターセル&コルサと4代のカローラⅡ。その最終モデルである。

3ドア&4ドアのタコⅡに加え、91年には2ドアモデルのスタイリッシュクーペ=サイノスが投入されたものの、やはり商業的に“大成功”を納めることは難しかったようである。

元々はヤングファミリー&若い男性をターゲットとして開発されたこのシリーズ。どうやらトヨタの目論見は外れて、年配の人や女性に人気が集中したようである。

でもやっぱり、本家のスターレットが強すぎたんだろうね……

1999年。タ/コ/Ⅱは、3ドアもでるはヴィッツ。4ドアモデルはプラッツに後継を譲り、21年の歴史に終止符を打った。

て言うか、失われた10年言うけど、明らかに20年は失われてるよ。もろに直撃喰らってる我々若い世代は めーさく めーわくです、ハイ。


1994年 カレン (ST206/207/208型)

1994年、突如として出現したクーペ、カレン。

ぶっちゃけた話、ST200系セリカのマスクを変更&2ドアにチェンジしたクルマである。セリカのまごうことなき姉妹車。ややデザインのアクが強すぎたセリカをマイルドなデザインとして作ったモデル、と考えればよろしいかと。

セリカは明らかに男性をターゲットとしているが、カレンはそれに加えて若い女性もプラスしているようである。スプリンターーマリノとかカローラセレスと似たような立ち位置にあるかね。

まぁこのクルマもサイノスと同じように、重箱の隅をつつくかのようにターゲットとターゲットのスキマを埋めるべく生み出されたトヨタらしいクルマ、と言えるかね。

セリカ程の奇抜さはちょっと……MR2(セリカベースである)程のスポーツ性もちょっと……おとなしめのセリカがあったら……てな人を狙ったんでないかね~。その辺を踏まえると、平成元年に消滅した“コロナクーペ”の後継のようである。

上級モデルには、MR2やセリカにも搭載された3S-GEエンジン。足回りにはもちろんスーパーストラットサスペンションを採用するなど。バリバリのスポーツカーと言うわけではなかったが、さりげなくスポーティに仕上げられている。TRDによるTRDSportモデルも限定販売された。

カレンかわいいよカレン。FF買うならカレン欲しいよ……今お安くなってるよ~カレンは。カレンGT-Fourとか作りたい、マジでマジで。セリカレンってあったよね確か……無かったっけ?(汗)

売れたのかどうかは、お察し下さい。


1995年 7代目カローラレビン/スプリンタートレノ (AE110/111型)

由緒正しきレビン/トレノも遂に7代目である、胸が熱くなるな。

改めて、レビン/トレノとはトヨタの大衆車であるカローラ/スプリンターのスポーティモデルである。AE86以来、鳴かず飛ばずだったレビン/トレノはどのような形で進化を遂げたのか?

その心臓には、ハチロク乗り&AW11型MR2乗りが我も我もと奪い合う伝説の20バルブVVT仕様な4A-G・通称“黒ヘッド”を搭載。足回りは当然スーパーストラットサスペンション。上級モデルにはFF車としては初となるヘリカルLSDを標準装備。

トランスミッションは、このクラスにあるまじき 無意味な 6速マニュアルトランスミッション!(後期のみだそうで……) 極めつけには先代101よりも70kgの軽量化を果たしたボディである。アンダーパワーのライトウェイトスポーティカーにこれは大きいゾ!

その速さは登場時、ベストモータリングにて同クラスのシビックとミラージュをぶっ千切ってしまった程である! え? 広報車? ナンノコトダカワカンナイネー

遂にトヨタが本気を出したか!? と思いきや。後々に衝突安全性を高めたGOAボディを採用して重くなったAE111は逆に千切られとったけど(汗)

霧島の知り合いの女の人が111の黒いレビンに乗ってたのですよ。カッコ良かったよー!

インテリアも、最終型MR2とかST205セリカにもあった目盛がレッドなメーターを採用してたねぇ……と言うことは、メーターが赤くなったらその車種は消滅する、と!(爆)

そして2000年。28年続いたレビン/トレノは遂に消失する。


1995年 4代目カローラFX (E110系)

4代目のカローラFX……とは言っても。この4代目は海外専売であって日本国内では販売されていない。

AE111と同じコンポーネンツを使ってるのかと思いきや、エンジンは4A-Gから 回らない吹けないパワーが無いパーツも無いと大不評の 軽量なアルミ製で吹け上がりも軽やかなZZ型エンジンに変更となる。

1997年よりトヨタは、出場停止処分となったセリカに代わるWRCマシンとしてこのカローラFXをベースとしたWRカーを投入する。そしてカローラは1999年、マニュファクチャラーズタイトルを獲得する。

このカローラWRC、中身がセリカの3S-GTEだったりセリカの4WDシステムだったりする。つまり、カローラの皮を被ったセリカGT-Fourであるのはナイショである

そして、2001年。カローラFXは17年の歴史に幕を閉じる……


1995年 2代目サイノス (EL50型)

2代目となったサイノスである。1代で終わったと思いこんでたorz

1代目からの主な変更点は……変更点は……うん、まぁ色々と変わってるんですよ、色々と……きっと……

ちょっとだけ大きくなったりちょっとだけ馬力が落ちたりちょっとだけ重くなったり。何故かATが4→3速になったり、4速MTが追加されたり……。スポーティな走りよりも街乗りでの扱いやすさや安定性を図った、と考えればいいのかねぇ?

初代サイノスはバブル崩壊前に造られたのであるが、この2代目はバブル崩壊後の製作である。若干、のコストダウンが図れた部分もあるらしい……って言っても。トヨタのパーソナルクーペは、登場時がいつも一番良くて、マイチェン毎に質が落ちて行きますよね……MR2とかスープラとか……

売れたのかどうかはまぁ……ね。1999年、ス/タ/コ/Ⅱの消滅と共に消滅。


1996年 5代目スターレット (EP91型)

安価な大衆車にして走りのコンパクト・スターレットの5代目である。

上級モデルにおけるFF+ターボチャージャーと言うトンデモな組み合わせは変わらず。グランツァVという 覚えにくい カッちょいい名前が与えられる。

ただ、どうもこれまでの過激な走りは抑えられたようで、ブースト圧のHigh/Low切り替えスイッチは存在するものの、1速ではブースト圧が強制的に抑えられてしまうなどなど、良くも悪くも大人なクルマになった。

そして1999年。スターレットは後継の座をヴィッツに譲り、26年の歴史に終止符を打った……


1998年 アルテッツァ (XE/CE10型)

大々的に登場したFRマシン、それがアルテッツァである。もちろん、アルテッツァにはクーペモデルは存在しない。しかし、トヨタのスポーティカーを論じる上では欠かせない存在でもあるので取り上げておく。

『コンパクトなボディーにFRレイアウト。走りのコンパクトセダン』と言うコンセプトで開発が進められ、世間では『ハチロクの再来か?』などとちょっとした騒ぎになったとかならなかったとか…・・

コンポーネンツはプログレ/ブレビスと共用。MR2やセリカにも搭載された3S-GEを縦置きで配置した唯一のクルマである。このアルテッツァの3S-GEは、自然吸気の3S史上最大の210psを発揮する。

開発には、トヨタのトップドライバーである故・成瀬弘も参加。ニュルブルクリンクでもテストが行われ、ボディ剛性等の徹底的な検討が行われる。

……まぁ、某ベストモータリングで試乗した黒沢元治がアルテッツァに乗って『ボディ剛性がねぇなぁ~』とか言ってたけど、あの人の基準はNSXか、時間も人手も手間ヒマも、そしてお値段も段違いなドイツ車ですから(汗)

鳴り物入りで登場したアルテッツァであるが、走り屋さんたちからは失望とか期待ハズレな声も少なくなかったらしい。しかし、F1にも勧請された日本随一の理論派ドライバーである中谷明彦も、中谷塾でアルテッツァを使ってたりしましたから、決して悪いクルマではなかったのでしょう。

……まぁ、他に手ごろなFRが当時は無かったと言う説もあるが(汗)

だがしかし。FRと言えば一昔前のクーペしか存在しなくなった時代。また、世の中の不況が顕著になりつつある中。セカンドカーを持って走りを楽しむなんて家族が許さないお父様方にも、FRのスポーティな走りを楽しんでもらうことに成功した。

そう言った意味では、アルテッツァは意欲作だと思いますよー。 その後、レクサスに奪い取られたのについてはノーコメントで


1999年 初代ヴィッツ (CP10型)

スターレットの後継として登場したコンパクトカー、それがヴィッツである。

日本における若者のクルマ離れが進む中。また、不況だとか何とかで安くてそこそこの実用車のニーズが増えた中で、デミオやフィット、マーチなどの“コンパクトカー”の地位を不動のものにしたのがこのヴィッツである。

スターレットに比べて大衆車としての色合いがさらに濃くなってしまったヴィッツであるが、トヨタはキチンとスターレット=エントリーカーとしてのDNAをヴィッツにも遺すべく、ヴィッツによるワンメイクスレースを開催したり、TRDによるターボ化させたホットモデルを投入するなどを行っている。

ただまぁそれでも。モータースポーツや走り屋と言った言葉は完全に衰退の一途を辿っており、あまりヴィッツのモータースポーツ要素はコアな人以外からは注目されない。

だからこそ、あえてヴィッツのスポーティグレードであるRSとかを街中で見かけたら『おっ?』となるのは霧島だけではあるまい。

むこう5~10年ぐらいは、トヨタの主力大衆車としての地位を保ち続けるであろうよ……


1999年 7代目セリカ (ZZT230型)

伝統と信頼と実績のセリカ。その7代目である。

『止まっていても走っている』と呼ばれるその流麗なデザインはセリカならではのもの。北米では大人気だったようである。しかし日本国内においては既に『スペシャリティカー』という言葉などは死語と化しており、日本での売り上げは、まぁまぁ、であった。

走りの面に関しても、2リッターのターボや4WDモデルがあった先代までとは異なり、軽量でアンダーパワーなZZ型エンジンを採用。足周りは当然スーパーストラット。

パワーによってガンガン走るクルマと言うよりは、『軽くて小回りが利いてキビキビ走るライトウェイトスポーティクーペ』と言った風にコンセプトチェンジが行われた模様。

ただ、当時の走り屋車と言えば。もはやインテグラタイプR無双と化していたので、このセリカが数少ない走り屋に好評となる訳でも無く。どっちかって言うと不憫な扱いを受けたクルマとなった。せめて、普通のインテグラと比べてあげてくれ(汗)

そして2006年。セリカは36年の歴史に終焉を迎える。北米ではサイオンtcが後継車種として販売されるが、それが日本で市販されることは無かった……


1999年 MR-S (ZZW30型)

トヨタが珍しくオープン専用として作った車、それがMR-Sである。

もちろんMR-Sは日本初ミッドシップであるMR2の後継車種である。元々のMR2は、『アンダーパワーではあっても軽快なハンドリングで走りを楽しむ=Fun to Drive』がコンセプトではあったが、2代目のSW20型MR2では、最早プロドライバーのドライブを以てしても手に余るクルマとなってしまった。

また当時の2リッタークラスとしては、三菱のランサーエボリューションやスバルのインプレッサと言った280psクラスのマシンが台頭しており、245psですら許容量一杯一杯のMR2がそれに追随することには限度があった。

『パワーを上げる→剛性を固める→重くなる→またパワーを上げる……』と言った『負のスパイラル』が既に発生しており、そしてMR2がそれに巻き込まれることを危惧したトヨタは、MR2のコンセプトを大々的に見直すことになる。(ちなみに開発主査はSW20のⅢ~Ⅴの人ですぜ)

まぁ実際。ランエボもインプも車幅1800mmとかスゴいことになるし、ロードスターでも3ナンバーとかになったから、トヨタの考えは有る意味慧眼であったとも言えるんじゃないかねー。

初代のMR2。そして伝説のヨタハチを目標として、エンジンは決してパワーがあるとは言えない1ZZ-FEを採用しつつ、ボディを900kg台に抑え、MR2よりも約200kg軽くすることに成功。しかして、NAの最終型MR2に負けない走りも実現する。

原点回帰のMR-Sではあったが、マイナーチェンジの際には、日本初となるシーケンシャルMTを搭載するなどの最新技術投入も忘れてはいない。 ボクスター? ナニソレシラナイ

『軽くて小回りが利いてキビキビ走り。決してパワーは無くとも軽快かつ素直なハンドリングでスポーティな走りを、安く買えて誰もが楽しむこと出来るクルマ』

ヨタハチでトヨタが見出したそのコンセプト回り回ってこのMR-Sに結実することとなった。しかし、時は既にスポーツカー全滅時代。2007年、遂にMR-Sは生産を終えることとなる。

MR-Sの消滅……それはトヨタからスポーティクーペが失われると同時に、日本車からライトウェイトスポーツカーが絶滅すると言う意味でもあった……

そして、日本のライトウェイトスポーツカーは、終焉の時を迎えた――


...to be continued?






……え? ロー●スター?



訂正:1995年の2代目サイノスを忘れてたので追加しましたorz

2011年03月22日 イイね!

トヨタのクーペを再検討 その七 ~90年代 partⅠ~

……少しずつではあるが、地震も原発も少しずつ落ち着いてきた感じかね。色々と2次的な被害も大きいみたいですけど……

まだまだ色々と書くべきこと。書かねばならんことも多いけど、地震関連は一休み。これ以上書くと、霧島の胃が保たん……うち、癌家系なのですよ。このままいくと胃がやられるのぜorz

てなことで、トヨタのスポーティ&スポーツクーペの魅力を再検討する、第7回。90年代編 PartⅠ。


70年代から80年代。そして90年代へ。世界史上稀に見る好景気に継ぐ好景気。

果ての無いバブル経済は、日本全土の地価総計は、なんとアメリカ合衆国の国土が2回買える程にまで到達する。

その異常さを危惧する声も、決して無かったわけではない。しかし人々は、成長と発展とが永遠に続くことを信じて止まなかった。

誰もが酔い、浮かれ熱狂した時代……。終焉の足音が近づくことなど、まるで気付かずに……

……そして、遂にバブルは弾けた。


~90年代 PartⅠ~


1990年 セラ (EXY10型)

90年代・トヨタクーペの先頭を切ったのは、このセラであった。

このセラの最大の特徴は言うまでも無くガルウィングドアである。もちろんセラは、日本車初の市販ガルウィング車となった。後にも先にもガルウィングを採用した日本車は、このセラとAZ-1/キャラしか存在しない。

1987年に東京モーターショーで発表されたAXV-Ⅱが遂に市販化されたものである。本来、スーパーカーやレーシングカーにしか採用されなかったガルウィング。しかしセラは、スターレット・ターセル・コルサ・カローラⅡとコンポーネンツを共有。

さらに、これまでに無かった独自の斜め開き跳ね上げタイプのガルウィングを採用し、車両本体価格をおよそ130万円に抑えると言う、画期的なクルマであった。

『個性の無いトヨタ車』の中にあって、このセラはMR2と並ぶトヨタの意欲作として、 「バブルカー(笑)」と嘲笑される 今なお語り継がれる名車である。

……売れたかどうかは……まぁ秘密である(汗)

あたかも未来からやって来たかのようなクルマ=セラ。その姿は、まさに輝かしい近未来を想像させるものであった……

……で、次の年にバブルが弾けたワケですが(爆)


1990 4代目ターセル/4代目コルサ/3代目カローラⅡ (EL40系)

4代目となったターセル/コルサに3代目カローラⅡ。

基本的に4代目スターレットとコンポーネンツは共有……してると思うけど、このタコⅡからターボモデルの設定が無くなった。3ドアに4WDモデルはあったけど。

ただ。このコンパクトクラスの大衆車は、完全にスターレットの独壇場になって行った……


1991年 サイノス (EL40型)

タコⅡとスターレット。セラのターゲットのスキマを埋めるべく登場したのがこのサイノスである。

タコⅡやスターレットは、若い女性やヤングファミリーをターゲット層としていたが、このサイノスは若い男性や若いカップルをターゲットとした。

セラ程の個性。MR2程のスポーツ性。セリカ程の奇抜さはちょっと……。でも、スターレットよりはオシャレしたい。そんな人がターゲットと考えたら分かりやすいんではないかと。このように、重箱の隅をつつく様なターゲット設定は、さすがトヨタと言うか何と言うか……である。

サイノスの日本国内発表会で、司会を務めたのは声優の小野坂昌也であるが、どうせ誰も分かんないよね……orz

1番安いモデルで108万ぐらいとか言う、今なら考えられない安さのクーペ。売れたのかどうかはお察し下さい。

サイノスαのMTとか、車両重量870kgですぜ。今となっては貴重なライトウェイトクーペ……。こう言うので良いからまた出して欲しいもんです、ハイ。


1991年 6代目カローラレビン/スプリンタートレノ (AE100/101型)

6代目となったレビン/トレノ。

この代から、可変バルブタイミングシステム“VVT”を搭載した5バルブの4A-Gだとか、スーパーチャージャー仕様の4A-Gを搭載してしまったが為に、ハチロクとかハチロクとかハチロクとかにエンジンを強奪されること多数。

ハチロクのドナーとして生み出された、などと言われる101であるが。過給機付の4A-Gを搭載していた最後のレビン/トレノであったし。また、ダブルウィッシュボーンに対抗すべく生み出されたFF向け新ストラット=“スーパーストラットサスペンション”を採用したのもこの代からである。

このあたりから、レビン/トレノも久々にパルサーやシビック。ファミリア相手にちょっと本気を出し始めたと思われる?

なお、ホットバージョンの創刊号ではT屋K市が意地になってハチロクをマジドライブして、101に勝ってたねぇ(汗)


1991年 3代目ソアラ (Z30型)


トヨタのハイソカー、“ソアラ”も遂に3代目となった。

歴代ソアラの中では一番売り上げた低迷したとか言うけれども、まぁ、このジャンルでは既にソアラは敵無しであったし、今でも街中で一番よく見かけるソアラはこれであるような気もする。 おかげでアルシオーネSVXが売れなかったジャマイカ!

常に時代の最先端を走り続けて来たソアラ。この3代目には電子制御式の“アクティブサスペンション”と呼ばれるものが実装される。このアクティヴサスペンションとは、コーナリング中においても可能な限りロールを抑えてボディの水平を保とうとする、シ●ロエンDSにおけるハイドロニューマチックを思い出させるサスペンションが……って言ってもどれぐらいの人が分かるのかは知らん。

数少ないFR車両ではあったが、やっぱりスポーツ走行に用いられることが少なかったのは、昔も今も変わらない。GT選手権にも出てたような気がするけど、その結果は……まぁトヨタにはスープラがあったし(汗)


1992年 3代目カローラFX (E100系)


3代目となったカローラFX。

ベースはもちろんAE101型のカローラであり、レビンと同じくスーパーストラットサスペンションが採用されていたグレードもある。

……とは言っても。やっぱりマイナーなクルマ。日本国内では、これが最後のカローラFXとなった。

ファミリアなんて知らないパルサーなんて知らない

1993年 2代目スープラ (JZA80型)


2代目となったスープラ。『あくまでもグランドツーリング』とされたA70型とは打って変わり、トヨタが2000GT以来、久しぶりに『スポーツカー』と名乗ることを許したクルマである。後にも先にもトヨタには、トヨタ2000GTと80スープラしかスポーツカーが無いとされる所以である。レクサスLFAは知らん。

当時、幅を利かせていた日産・スカイラインGT-Rやホンダ・NSXにぶつけるべく、トヨタのフラッグシップスポーツカーとして誕生した。

スポーツ走行における性能を追求した時。どうしても乗り心地は悪くなり、操作性も極めてハード。限られた者にしか操ることが出来なくなる=優しくなくなると言うのがセオリーである。

しかし80スープラは、高い技術力を持ってすれば高性能と優しさを両立させることが出来る。それがトヨタのスポーツカーであるとの考えのもとにコンセプト作りがなされる。 まぁ、トヨタには既にMR2と言う乗り手を選びまくる“スポーツカー”があったしねぇ……。もう懲りたんだろうよ(爆)

時速300km/hでも手放し運転が出来る直進安定性と、意のままに操ることのできるコーナリング性能の両立。しかしながら、乗り手を選ばない優しいクルマであることを目標とされた。

基本的にはソアラとプラットフォームを共用しているが、スープラのリアサスペンションは専用に独自設計がなされている。

ボディにおいてはそのダイナミックな造形ばかりが賛否を呼ぶ80型スープラだが、徹底的にエアロダイナミクスの実験も行われた結果のデザインであり、大柄とされるボディサイズ自体も70スープラよりむしろ小さくなっている。

重量においても、確かにFR車としては決して軽いとは言えないが。ネジ一本に至るまで軽量の為の設計がなされ、70に比較して100kgの軽量化に成功している。

馬力はもちろん国産最強クラスの280ps。トルクも国産トップクラスを誇る。トランスミッションには日本初となる6速ゲトラーグ製マニュアルトランスミッション。ダンパーは知る人ぞ知るビルシュタイン。かつてない巨大なリアスポイラーを新素材で製造するなど、あらゆる意味で最先端かつ前衛的なクルマであった。

開発においては、トヨタ社内から厳選に厳選を重ねて選抜された3人のテストドライバー“トップガン”に多大な権限が与えられた。このトップガン制度が始まったのは80スープラ開発からであり、今もなお続いている制度であると言う。

スポーツカーとは何であるのか。トヨタはスポーツカーを造らないのか。それらの問いに対してトヨタが出した答えが、80スープラである。

80スープラのコックピットのカッコ良さは異常。スープラかわいいよスープラ。


1993年 6代目セリカ (ST200系)


6代目セリカ。常に奇抜なデザインを採用してきたセリカは、6代目もその名に恥じないアバンギャルドなマスクを手に入れた。

もちろん、このセリカも見た目だけのクルマでは無い。FFのST202にはもちろんスーパーストラットサスペンション採用モデルがラインナップされ、最上級のセリカGT-Fourも健在。2リッターターボながらも255psを発揮。特別モデルであるWRC仕様車には国産市販車初となるアンチラグシステム(言わゆるミスファイヤリングシステム)が搭載された。

ひょっとしたらミスファイヤリングシステムを始めてWRCに持ち込んだのはセリカじゃなかろうか……? まぁ、だとしてもST185だけど。少なくとも、ミスファイヤリングシステムをWRCに投入した人物が、後のカローラWRCを作ったのは確か。

あれ? て言うことは上手いことやればミスファイヤリングシステムをMR2に実装することも(ry

ターマックにおける速さでは同クラス同エンジンで245psのSW20型MR2に一歩譲ることもあったが、グラベルにおいてはセリカがその実力を発揮。セリカGT-Fourは1994年WRC メイクスチャンピオン&マニュファクチャラーズチャンピオンのダブルタイトルを勝ち取る。

しかし1995年のシーズン中にレギュレーション違反が発覚し、出場停止処分を受ける。以降、セリカはカローラFXにWRカーの役割を譲り、WRCからその姿を消すこととなった。

90年代序盤のWRCにおいて、国産マシンの存在感と実力を見せつけたのは代々のセリカであった。そして、ST205型セリカGT-Fourの撤退以後、ラリーを席巻することとなるのはスバル・インプレッサ。そして三菱・ランサーエボリューションである。

頭●字Dにおける悪役的な扱いが可哀そうでならないクルマ。まぁEG6シビックとかもそうだったけどね(汗)


あぁ、やっとここまで辿りついた……

個別のクルマの検討は90年代後半編で終わりかね? 2000年代は皆無に等しいし……


つづく……
2011年03月10日 イイね!

トヨタのクーペを再検討 その六 ~80年代 partⅡ~

トヨタのスポーティ&スポーツクーペの魅力を再検討する 第6回

~80年代編 PartⅡ~

時に、1984年。遂に日経平均株価が10000円の大台を突破。日本経済は絶頂の時代を迎えることになる。誰もが好景気に酔いしれ、生産と消費の果てしないスパイラルの道を突き進んで行く。

やがて、長かった昭和が終わりを告げ、そして時代は平成へと移行して行く――その先に待ち受ける破滅など、知る由も無く――


1985年 4代目セリカ (ST162/165型)

4代目となったセリカ。この4代目からベースであるカリーナと共にコロナの正式な兄弟車種となり、型式の記号もコロナと同じTとなる。

しかしながらセリカのスポーツ性は決して衰えることなく、グループAのWRCにも参戦を継続。途中、ついにフルタイム4WDシステムを搭載する『セリカ GT-Four』も投入され、WRCにおける日本車初のドライバーズタイトルを獲得する。

もちろん、セリカの若者人気も健在であり、映画「私をスキーへ連れてって」にも使用されたことにより、色々なブームだか流行だかを作り上げる。セリカがデートカーとして本格的に認識され出したのもこの代からではないかと。

……おかげで、スキー場へと続く山道のあっちこっちで雪の壁に突っ込んだST165が目撃されたとかされてないとか。あぁ、久しぶりにスキーも行きたいねぇ……昔はよく野沢温泉に行ってたんだけどねぇ。


1985年 コロナクーペ (ST160系)

突如として出現したクーペ、それがこのコロナクーペである。

『コロナの名称を冠するが、同時に登場したセリカ/カリーナEDとシャーシを共有する姉妹車であり、セダン系とは全く別物の車である。』ってウィキペディアには書いてあるがよう分からん。コンポーネンツもコロナとはまた別らしい。

とりあえず、コロナ系列に統合されて消滅してしまったカリーナクーペの穴を埋めるべく登場したクルマ、という風に考えておけばよいのではないかと。

『クーペには乗りたいけど、セリカ程の派手さ&スポーツ性は要らない』っていう人向けのクルマと言えるんでは無いでしょーか。

残念ながら、1代限りで消滅してしまったクルマ。カッコいいのになぁ……


1986年 初代スープラ (A70型)

セリカXXの後継として、遂に完全独立を果たしたスープラ。

A70スープラは、『トヨタ3000GT』と銘打ち、トヨタのフラッグシップモデルとして君臨する。広報においても、トヨタ2000GTと並べて発表が行われるなどがなされた。

基本的なプラットフォームはソアラとの共用であるが、最終マイチェンにおいてスープラはビルシュタインのダンパーやレカロシートを標準で装備。また、排気量2.5リッターながらも280psを達成し、当時としては最小排気量で280psを絞り出すことに成功する。(※32Zが3リッターで280ps。32Rが2.6リッターで280ps)

ただ、トヨタ2000GTと違ってトヨタはA70スープラのことを『スポーツカー』とは呼称せず、あくまでも『グランドツーリング』という位置付けに留めていた。


1986年 3代目ターセル/3代目コルサ/2代目カローラⅡ (L30系)

3代目となったターセル&コルサと、2代目カローラⅡ。車両型式こそ違うが、この代から完全にスターレットの兄弟車種となる。

基本的にターセル/コルサ/カローラⅡは、若い女性やヤングファミリーをターゲットにおいているとされる。スターレットシリーズも、若い女性を意識した作りではあるが、スターレットを地味目のデザインに抑えたものがこのタコⅡと考えれば良いのではないでしょーか。

……とか言いながら、最後には1.5リッターSOHCインタークーラー付きターボエンジンとかを搭載してしまうという謎。スターレットですら1.3のターボなのに(汗)


1986年 2代目ソアラ (Z20型)

2代目となったソアラ。ハイソカーの名を欲しいままにした大ヒット車でもある。

今となっては、『チャン●ロード』とかで族車としてのイメージばかりがつきまとうこの2代目ソアラであるが、トヨタ2000GT以来となる4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションの採用などしている。

『押忍!! 空手部』でレーサーのなんたらさんがドライブするFC3Sと阪奈道路の下りで勝負して。有名なサブロクコーナーでクラッシュしたのはこのソアラでしたなぁ……ってこのネタ、誰が分かるんだろう(汗)

しかしこのソアラ……売れた割には全然見かけないね……。バブルの時代の大量消費社会の構図を象徴するような車だよ……


1987年 5代目カローラレビン/スプリンタートレノ (AE91/92型)

5代目となったレビン/トレノ。遂に観念したのか、この代からFFとなりました。

『FFになってからレビン/トレノはダメにだった。駄作だ』とか言われてるけど、それはなんたらDの狂信的読者たちに寄る悪意に満ちたネガキャンに他ならない。何故ならこのAE92は、ハチロク以上に売れました、マジで。

トヨタは92のレビンを『ミニ・ソアラ』と位置付け、ソアラを似せたデザインを採用したことから大ヒットした、ということらしい……。そのおかげか、デートカーとしても御用達だったらしいですよー

歴代レビン・トレノの中では最も成功したこのAE92であるが、やっぱり今現在街中で全然見かけない……。やっぱりバブルの時代のクルマだね。


1987年 2代目カローラFX(E90系)

2代目となったカローラFX。

やはりどうしてもFXは国外を特に強く意識したモデルであることから、あまりこれと言ったエピソードは聞かれない。

敢えて言うならこのFXは、2007年まで南アフリカで生産・販売されていたらしい……ホンマかいな。


1989年 5代目セリカ (ST180系)

5代目のセリカ。平成におけるトヨタ・クーペの先陣を切ったのは、やはりセリカであった。

ヒットした4代目のプラットフォームはそのまま。デザインも4代目の面影を残しながら、全体を曲線的なデザインに変更する。

もちろん、デザインだけのクルマではない。トップグレードはもちろん4WDのセリカGT-Four。GT-Fourには日本初となるトルクセンシブ式LSDが装着される。

また、エアコンやオーディオ。パワーウィンドウは一切省略し、クロスミッションを標準で装備したラリーベースとなる『GT-Fourラリー』も設定された。

このセリカGT-FourもまたWRCに参戦し、日本車初のメイクスチャンピオン。そしてまたドライバーズチャンピオンを獲得。セリカのWRCにおける黄金期を作り上げた。


1989年 2代目MR2 (SW20型)

平成に入り、日本初のミッドシップであるMR2もフルモデルチェンジ。カローラをベースとしていたAWと違い、今回はセリカをベースとして造られた。

『あくまでスポーティカー』であった初代に対し、今度は『日本一の加速力を持つスポーツカー』を目指して開発が薦められた。そして実際、MR2に搭載された3S-GTEは2リッターながらも225psを発揮。これは当時、クラス世界最強のパワーであり、MR2自体もまたクラス世界最強のマシンとなった。

しかし非常に高い性能を持ちながらも、限界を超えた際のあまりにもピーキーな挙動から、『危険なクルマ』のレッテルを貼られることになってしまう……

SW20はその後も再三にわたってマイナーチェンジを行い、若干限界を落としながらも扱いやすさを重視・向上させ、90年代半ばまでクラス最速の座を維持し続ける。後に、トヨタのマスタードライバーである故・成瀬弘はSW20を、『ストラット式サスペンションの持ち主としては世界一である』と太鼓判を押した。

高い性能を持つ2代目MR2であるが、プロドライバーからも『プロを以てしても扱いの難しいクルマ』と言う評価を受ける。また、どうしてもマニアックな車であることは否定できず、サーキットでの活躍はあまり聞くことは無いが、今なおジムカーナの世界ではRWD最速の1台として根強い人気を誇る。

そんな事情も相まってか。トヨタはこの2代目MR2もまた『スペシャリティカー』と呼ぶに留め、『スポーツカー』と呼ぶことはなかった……


1989年 4代目スターレット (EP82型)

4代目となったスターレット。『青春のスターレット』をキャッチコピーとし、若者をターゲットに開発されたのは先代と同じである。

『女性が一人でお買物に乗って行っても恥ずかしくないクルマ』をコンセプトとしながらも、なにをとち狂ったのかトヨタはこのEP82にトンデモ魔改造を施す。

なんと最上級グレードであるGTに、ただでさえ800kg台という超軽量のボディなのにも関わらず135psを発揮する1.3リッターDOHCターボエンジンを搭載するという愚挙に出たのである。その暴力的な加速力により、EP82型スターレットは街乗りグルマながらも『危険なクルマ』と呼ばれ恐れられることとなった。

ドッカンターボの加速があまりに過激なものであり、足回りも完全に負けてしまっていることから、ブースト圧を『High/Low』で切り替えるスイッチまでも装備する。まぁこれは70系の頃からあったけどね。

まぁ写真のスターレットは強化アクチュエーターにガリガリのデフ入れてたもんだから、ブーストモード『Low』でもアホみたいに加速してたけど(滝汗)

結局は街乗りグルマなので、モータースポーツではあまり聞くことは無いが、学生ダートトライアルや学生ジムカーナではなかなかどうして現役バリバリ。まさに青春のスターレットである。

SW20型MR2とEP82型スターレット……トヨタの2大『危険なクルマ』が同年の同時期に登場したのは果たして偶然だったのであろうか、それとも……?



……いやぁ。平成元年はスゴイクルマばっかですねぇ。他社を考えたら32型フェアレディZとか32型スカイラインGT-RとかNA6CEユーノスロードスターとかも出てるんですよ。

たぶん、『平成』にあやかってみんな発売時期を早めたとかそんなんなのだろうなぁ……MR2とか、まさにそうでないの? NSX発売の噂もあったはずだし、それに先んじようとしてあんなことになったんだろうねぇ。


……そして迎えた平成。栄華を極めた日本自動車界に斜陽が差し込み始める――

90年代編へつづく・・・

プロフィール

「@辺境伯 通勤快適(?)仕様なので、距離がどんどん伸びます。じゃんじゃか傷んできます……」
何シテル?   01/30 16:31
こんにちは。基本的にはぐれ者です。 一般に広く受け入れられて支持を得ているようなものよりも、マイナーなものや、世の中から認められないもの、あまり人気のない...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

リンク・クリップ

17万kmを超えて 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2014/04/30 22:55:21
アスク・スポーツ 
カテゴリ:チューニング&パーツショップ
2011/11/07 17:09:24
 
トヨタテクノミュージアム 
カテゴリ:トヨタ
2011/09/24 22:39:02
 

愛車一覧

トヨタ MR2 トヨタ MR2
〓詳細〓 ・車種:トヨタ MR2 ・型式:SW20 ・年式:平成10年5月登録 (Ⅴ型 ...
トヨタ MR2 トヨタ MR2
〓詳細〓 ・車種:トヨタ MR2 ・型式:SW20 ・年式:平成8年4月登録 (Ⅲ型) ...
その他 その他 その他 その他
弟の東京土産……って言っても、普通に奈良でも売ってる一品。 日記用の画像保管庫です。

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2015年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2013年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2012年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2010年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2009年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation