• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

霧島のブログ一覧

2012年04月23日 イイね!

解体屋とスーパーカー

解体屋とスーパーカー絶賛代車生活中。

あれこれ消耗品やら劣化したパーツの交換ですよ、4点ぐらい。細かい部品の調達に時間がかかるらしく、最終仕上がりは5月の連休明けになるとかなんとか。5月13日のコミックライブに間に合うかなぁ……。まぁいずれにせよ5月2日のだらけ走に間に合わないのは確実なわけで。どのみち今年も行かないですけどね。

 昨日は昨日で夜勤明けで出ずっぱり。なんか、Mr.Claesが三重から京都府に出てくるとかいうので、一緒に八幡の解体屋へ行ってたのですよ。

 朝の9時。163近くの木津川のコンビニで集合。代車を乗り付けたら、目の前には既にスティールシルバーのミラージュアスティが……と思ったらまったく別人のおっちゃんだったでござる(汗) アスティ自体、珍しい車種なのにねぇ。しかもアスティって基本スティールシルバーしか見かけねぇよ……

 まぁそんなこんなで、Mr.Claesと合流。去年のGTO Party以来ですねぇ。お久しぶりでございました。のっけからコンビニでレッドブルを購入して飲み干してくれるというあたりが期待を裏切らないw



 小雨の中、アスティを引っ張って国道24号線を北上。山城大橋を渡って木津八幡線へ入り、京都府八幡市の解体屋街へ。なんでもMr.Claesは良からぬことを企んでいるようで、三菱のFTOのパーツを欲しているとかなんとか。

 とりあえずは、八幡の奥にあるおばあちゃんのお店へ。いやぁ……なんか昨日は機嫌が悪かったねぇ……。ミラージュ系も無ければFTOもない。SW20も無ければセリカもなかった。SWはよくこの店に入るんだけどね……。



 あー、でもこんなクルマはありましたよ。教習車仕様のコンフォート。どうやら滋賀県栗東市にある自動車学校で使われていた車体の模様……。滋賀の方からも、よく解体屋には持ち込まれてますねぇ。

 つうか、教習車に使われてるクルマってだいたいアクセラかコンフォートかランサーあたりではないですか。そろそろMT設定のある車種が減ってきたし、次世代の教習車って何を使うんだろう……。しばらくは現行アクセラがあるから大丈夫でしょうけども……

 他にはイエローのビートが入荷してたり、S13と思われるクルマがフレームだけになってたりしましたっけ(爆)

 おばあちゃんのお店を後にして、あれこれ回ってみたけれども、あんまり目ぼしいクルマはなかったねぇ……。日曜だということで締まってる店もあったし、普段は開いてるのに、なぜか休業してる店もあった。GTOが2台、インプレッサが1台あったぐらいですかね。

 肝心のFTOも見つからない……。だがしかし! 普段から八幡をうろちょろしてる霧島に死角などはない! ちゃんと事前のリサーチでFTOも目星をつけてあったのですよ。ホレ↓



 八幡の解体屋の隅っこ(本当に隅っこだった)にて。三菱・DE3A型FTO……カラーはインペリアルレッドになるのかな? かつて、ベストモータリングで最速のFFライトウェイトスポーツと呼ばれたマシンですよ。カーオブザイヤーも受賞してましたっけね。まぁこの車体、一昨年(2010年)の秋か冬ぐらいからずっと置いてある車体だったんですけどね。過去のブログ見たらたぶん載ってますよ。

 初めて見かけた時は、けっこう綺麗だったのに。産業廃棄物を上に乗せられちゃって、ルーフもベコベコ。リアウィンドウはバリバリ。ボンネットも歪んでる……。でもまぁ、よくぞ残ってくれてましたよ。



 FTOのエンジンルーム。グレードはGRになるのかな? 2000cc自然吸気V型6気筒エンジン「6A12」が収められています。もちろん5速MTモデルですよ! しっかし2リッターのV6横置きとか、よくこんなエンジン作ったねぇ……。マツダも似たようなことしてた記憶があるけど。個人的には2リッター直6のG型エンジンとか作ってたトヨタも大概だと思うけどね。

 最大出力170ps、最大トルク19.0kgを搾り出す6A12……。自然吸気2000ccエンジンの中で、3S-GEとタメ張れるエンジンって案外これぐらいかも(除く・ホンダのVTEC。あれは別次元)。FTOの最上級モデルであるGP系グレードには、MIVEC搭載の6A12が載ってて、そっちは200ps・20.4kgを叩き出すのですが、このFTOは幸か不幸か、そうじゃなかったとです。

 あ、なんかこのエンジン。無加工でミラージュに載っかるらしいですよ? たぶんランサーとランエボにも。つまり、ランエボのエンジンも、ミラージュに換装出来てしまう、と……。つまり、うまいことアレコレすれば、クーペのランエボが出来てしまう、と……ゴクリ。さすが機械屋の三菱、応用力がハンパねぇぜ! ただし、昔の三菱の話ね(ここ重要)。

 まぁなんかMr.Claesは雨の中でFTO相手にバリバリメリメリやってましたよ。うん、まぁたぶんその内、ミラージュアスティの皮を被ったFTOが、名阪国道あたりを爆走している光景が見られるんじゃないでしょーかね(爆)


 無事に解体屋でパーツをゲットして、1号線のマクドで昼食。久しぶりにアスティも運転させて貰いましたが……うん1500ccのエンジンだけど、どう考えても86/BRZより低速トルクはあるね。クラッチもこっちの方が重いし。どうしたものやら(汗)

 それはともかく。八幡・久御山近辺は、解体屋街だけではなくアップガレージだとか工具専門店だとか色々おもしろい店もあるんですよね~。KTCで有名な京都機械工具の本社があるのも、久御山ですよ。あの「石清水八幡宮」や、時代劇によく出てくる「流れ橋」もあの辺ですねえ。

 そんな中で、あの辺りにはなんとスーパーカーを専門に取り扱うショップがあるのですよ。店のウェブサイトの在庫リストとか見てたら、フェラーリ・ランボルギーニ・ポルシェ……すっげぇラインナップですよ。てなことで、そのスーパーカー専門店に行ってみることに。



 のっけから、霧島とMr.Claesを出迎えてくれたのはコレ。ポルシェ914ですよ。

 ポルシェ914……フォルクスワーゲンの部品を流用することによって安価に製作されたミドルクラスのミッドシップ……。前後重量配分は、50:50。前後均等の重量配分を実現したミッドって後にも先にもこれぐらいじゃないですかね。

 914と同じ様な思想に基づいて生まれてきたのがフィアットX1/9みたいな大衆向け小型MRなわけですよ。言ってみれば、これがMR2の原点であり源流であると言えるでしょうね。つか、この店、極上品の914が3台も置いてあるよ……。なんぞコレ(汗)



 フェラーリ328。1988年式のGTSでカラーはロッソコルサ。走行距離は18000km!? お値段は700万円! 高いのか安いのか全然分かりません。まぁたぶん安いんだろうけど、買った後に金がかかるに違いないってがMr.Claesの意見。やっぱりフェラーリは全高が低いねぇ……1120mmとかなんなの……。

 でも車幅は1720mmしか無いらしいですよ。86(1775mm)の方が断然ワイドだすねぇ。やっぱフェラーリといえども328は昔のクルマなんですねぇ。



 ポルシェ911……じゃなくてRUFのなんとか言うやつらしいですよ。よく分からん。簡単に調べたら昭和60年ぐらいのクルマっぽい。

 いやぁ……やっぱりポルシェは独特の迫力がありますねぇ……。真っ赤なポルシェが緑の中を駆け抜けてゆくうんたらいう歌があった気がしますが、ポルシェは黒ですよ黒。シュヴァルツですよ(意味不



 BMWの……M3でいいの? BMWはよう分からん……ていうか外車は全然ワカンネ。

 隣の方にM5が置いてあったのは分かったのですけどねぇ。



 フェラーリ400……って言うらしいですよ?生産は1972年から1989年。V12気筒エンジンをフロントに搭載した、FRだそうな。

 フェラーリって言ったらMRしかあんまりイメージがないけど、こういうのも作ってたんですねぇ。



 フェラーリ360モデナ チャレンジストラダーレ……。あまりにも天上の存在過ぎて、なんだかよく分からないけど、たぶん凄いんでしょう(汗) 360のホモロゲモデルかなんかでしたっけ。



 見るからにエゲつなさそうなエンジン積んでますよ……。有機的な配管がグロテスクですね~。3600ccV型8気筒エンジン。最高出力は400psオーバー!? 空でも飛ぶんじゃないですかね、このクルマは……



 ランボルギーニ・ガヤルド スーパーレジェーラ。

 サイドステップ、ドアミラー、リアスポ、ドアの内張り、センターコンソール、シートの骨格、エンジンフードの枠がドライカーボン。エンジンフードのガラス部分はアクリル……ってMr.Claesが言ってた。さぞかし軽くて、さぞかしお高いんでしょうねぇ……。

 つかツインキャリパーなんて初めて見たし、そもそも初めて知ったよ! 今までで見た一番高いキャリパーは、たぶんGTOのAP製6ポットキャリパーだよ!


 まぁ他にもなんか、お高そうなクルマがチラホラと……。ヘタしたら、追い返されるかとも思ってたのですけど、そんなことはなかった。

 自分らみたいな若造の冷やかしにもドリップでコーヒーまで淹れて下さいましたよ。まぁ実を言うと、この店、今から2~3年前に一度だけお世話になったことあるのですよねぇ……しかもちゃんと覚えてくれた(汗) 身内に、このショップでクルマ買ったのがいるんですよね。

店 「なんか考えてるクルマとかはあるの?」
霧 「そりゃまあ乗れるなら、え、F355とか(これは大嘘)。金があるならレクサスLFAとか(これはわりとマジ)……(汗)」

 本日、MR2で来れなかったのは良かったのか悪かったのか(笑) でも他のお客さん(商談に来た人、あるいはスーパーカーのオーナーさん)のクルマ見てたら、キューブとかアクアとか、案外普通のクルマに乗ってる人ばかりでしたよ。

 どっちみちスーパーカーなんてカケラも縁がねーですよ。NSXの横に乗せてもらうぐらいが関の山ですよ。でも、エリーゼかケイマンぐらいが乗れるぐらいの収入は得られるようにはなりたいもんですねぇ……そうなってもたぶん乗りはせんけど。

 庶民のクルマには庶民のクルマなりに、楽しみ方ってのがあるし。十二分に楽しいもんですよ。ビックリするぐらいオリジナリティに溢れる魔改造を施したクルマなんて、フェラーリのオフでは絶対に見られんですからね。


 んで。ショップを出た後は、なぜか三重のMr.Claesの家まで拉致される……(汗) 家のあちこちに「あやしげな部品」が転がっていたのはナイショ。

 はじめてグランツーリスモ5をプレイしましたよ。てか、初めてプレイステーション3というものを触った……。MR2のⅤ型G-Limited・オレンジマイカメタリックでオリジナルコースを走ったけれども結果は……言うな。コンシューマーゲームなんて、ほとんどやったことないんだ(滝汗) せめてGTフォースが……GTフォースがあれば……(言い訳 ふりくしょん君の家で、スーパーブライトイエローのSWをドライブしたのも、もう10年近く前なんだぜ……(GTはそれ以来)

 GT5のオリジナルカーで、オープニングとかにも出てるRed bull X2011 Prototypeを触ったけど……何なのあれ450km/hを軽くオーバーするとか……ばかなの?しぬの? どう考えてもヒトの反応速度を超えている……あんなの人間に扱えるマシンじゃねーよorz

 他にも、Mr.Claes秘蔵の自動車画像フォルダとか見せて貰ったが……全然知らんクルマばっかり……。さすがトライリンガル、海外の自動車事情にも詳しいぜ! つか世界は広い……。海外にはあんなにも個性的でユニークなクルマが存在していたと言うのか……。そりゃ日本車は個性がないない言われるわけだわ。

 うん、後は……。真の「水平対向エンジン」というものがどういうものであるのかを初めて知ったわ……機関車用ディーゼルエンジン的な意味で。そして、イギリス人がいかに変態の民族であるかもよくよく分かった。三角形の3気筒6ピストンのディーゼルエンジン的な意味で。な、なにを言ってるのかわからねーと思うが、知りたい人は「デルティックエンジン」というワードで、ニコニコでググッてくれ!


 そんなこんなで、家に帰り着いたら20時過ぎ……。帰り着いたら、頭痛と眼の痛みと吐き気でダウン。そりゃ夜勤明けで3時間しか寝てなかったからねぇ……。とか言いながら、さらにその後、九州から電話が掛かってきて1時間ぐらいしゃべってたのは秘密。


 んで。今日も休みなのだが、これからはこれからで打ち合わせに行かねばならぬ……。来月の例大祭の頃、果たしてちゃんと生存しているのだろーか。

 あ、連休はフツーに仕事してますんで。
Posted at 2012/04/23 12:14:35 | コメント(9) | トラックバック(0) | 解体屋 | 日記
2012年04月17日 イイね!

「スープラの系譜」 第09回 ~80型のシャシー・駆動系~

「スープラの系譜」 第09回 ~80型のシャシー・駆動系~新たなトヨタのフラッグシップスポーツカーとして開発が始まったA80型スープラ。

 目指されたのは、ポルシェでもフェラーリでもない「日本のスポーツカー」。

 運動性能の目標は、「時速300kmで手放し運転が出来る直進安定性と、コーナリングで意のままに操れる運動性能」を有しつつ、「動力性能・運動性能」と「省資源性・快適性」。「パフォーマンス」と「優しさ」を高いレベルで融合させること。それこそが、トヨタ製スポーツカーを名乗ることを許されるための、たった一つの冴えたやり方であった。

 与えられた開発コードは『720D』。バブルによって日本経済が絶頂をひた走る中、A80型スープラの挑戦が始まった。

~80型のエンジン・『2JZ』~



 時速300kmを達成するためには、何よりも第一に非常に高い性能を有するエンジンの存在が必要不可欠となる。トップガンたちの世界を股にかけたマーケット・リサーチの中で、北米からはV型エンジンを搭載して欲しいという要望が出されていた。

 スープラは、トヨタのフラッグシップと言っても、既存のコンポーネンツからの流用と、他車種とのシャシーの共用が開発の絶対条件でもあった。具体的には、トヨタの高級セダンであるクラウンやアリスト。高級クーペであるソアラとの共用化である。

 当時のトヨタには、クラウンやソアラ、アリストにV型8気筒4000cc自然吸気エンジンである1UZ-FEがラインナップされており、実際、スープラの搭載エンジンの案としてはV6やV8エンジンが挙げられていた。だが、軽量コンパクトで高出力が可能な直列6気筒3000ccエンジンこそが最良であるという、開発主査の都築の信念の元で、A80型スープラの心臓としては、トヨタの3000cc直列6気筒エンジンである「2JZ-G」が与えられることとなる。

 トヨタの直6エンジンであるJZ型は、マークⅡ・チェイサー・クレスタ等にも搭載されていたものであり、2500ccモデルの1JZは、70型スープラにも採用されていたものでもある。

 その3000ccモデルとなる2JZをベースとして、2ウェイツインターボを組み合わせ、北米仕様では320hp、ヨーロッパ仕様では330psを達成。また、JZ型エンジンの特徴としては、その非常に太いトルクがあり、トルクにおいては国産最強の44.0kgf/cm^2をたたき出す。(三菱のGTOが43.5kg、日産のR32スカイラインGT-Rが36.0kg。これを超えるのは、2代目センチュリーの1GZ-FE(49.0kg)を待つことになる)

 これらの、通常のV型エンジンを上回る出力を実現することによってアメリカ側を説得した。なお、この2JZ-GTEエンジンが搭載されたのは、後にも先にも、このA80型スープラと、「国産最速のセダン」と畏れられたアリストの2車種のみである。

 大トルク・大パワーエンジンにおいては、しばしば“扱いにくさ”の問題が発生することがある。この欠点の解決のため、トラクションコントロールシステムの採用が世界的な常識となっていた。

 だが、都築は従来のTCSとは全く異なる制御システムを試みる。確かに、TCSを装備すれば、ビッグパワーによるタイヤの空転は防ぐことが可能である。その一方で、どうしてもアクセルレスポンスに不自然さがつきまとうこととなる。

 そこで都築は、電子制御スロットルの採用を発案する。アクセルペダルと直結されている通常のスロットルボディに加えて、もう1系統のサブスロットルバルブを併設することとしたのだ。そのサブスロットルバルブをコンピュータで制御することによって、自在なエンジン特性を演出することが可能となった。

 従来のTCSとの違いを強調するため、「スリップコントロールシステム」と呼ばれるこれらの機構によって、A80型スープラは、電子制御にありがちな不自然さを排しつつ、280馬力の2輪駆動でありながらも非常にコントローラブルで扱いやすく優しいアクセル特性を持つクルマとなったのである。もちろん、SCSは室内から簡単にOFFにすることも出きるように設定される。

~日本初の6速マニュアルトランスミッション~

 都築がA80型スープラの目玉として考えていた機構の一つに6速マニュアルトランスミッションがあった。

 トヨタは1989年の東京モーターショーに出展した「トヨタ4500GT」において、既に6速MTの開発経験を持っていたが、市販の量産車となると話は別であり、当時の日本車には、まだ6速MTを採用した車種は存在しなかった。

 この6速MTについては、多くの賛否両論があったと言う。特に、「座るのはリアシートばかりで、自分で運転することがない。運転してもオートマチック」というトヨタの上層部からは、「5速ですら使わないのに6速など必要ない」と、大きな反発があった。他にも「これからはATの時代だ」という意見もあったが、都築は「信じてください、これは大きな売りの一つになります」と役員たちを説得した。

 当時のスープラ開発チームの中に、片山信昭というエンジニアがいた。片山は、都築の元でグループB仕様MR2=222Dの開発にも携わった人物であり、片山は欧州へ向けてトランスミッションメーカーの視察に送り出されることになった。

 その中で、ドイツのゲトラーグ社が、トヨタの予算に近い見積もりと、要求に応えられる技術力を有しているという報告があり、トヨタとゲトラーグによって、6速MTが共同開発されることとなった。

 これらによってA80型スープラは、日本車初の6速マニュアルトランスミッションを搭載することとなったのである。

~新開発のサスペンション~

 FRレイアウトのスポーツカーとして、物差しとされたのはポルシェであった。RRレイアウトに水平対向エンジンを組み合わせるパッケージこそが伝統とされてきたポルシェだが、1977年にはポルシェ928、1981年にはポルシェ944という、V8や直4エンジンをフロントに搭載したFRスポーツカーを世に送り出すようになっていた。



ポルシェが送り出した2台のFRスポーツ。左:928、右、944。

 この2台のポルシェはマイナー車種となってしまってはいたものの、実に20年の長きに渡って製造されることとなり、80型スープラ開発当時においても現役のFRスポーツであった。旧来の保守的なポルシェのファンたちからは、酷評という酷評を受けた928と944だが、その運動性能は非常に素晴らしいものがあり、944などは「世界最高のFRハンドリングマシン」とも呼ばれていた。70型スープラ開発においても、この944が目標として設定されていた。

 とりわけ928と944の2台の特筆すべき点は、電子制御に頼ることなく、ベーシックなメカニカルの面で、高い運動性能を実現していたことである。そして、その思想こそはA80型スープラが求める方向性と同じものであった。

 「ポルシェ928の直進安定性と、944ターボの回頭性を上回ること」。これがA80型スープラの開発のスタートであったという。

 スープラの足回りは、ソアラのプラットフォームを流用して製作することが絶対条件であった。4輪ダブルウィッシュボーンに、222Dや70型スープラで培った交流もあってドイツのビルシュタイン社製ショックアブソーバーを組み合わせる。

 だが、この足回りについては、どうしても不満が残った。そんな時、都築は、トップガンの一人である成瀬弘が、リアサスペンションへの改良点について進言があった。その言葉通りにサスを製作すると、確かに動きが良くなったという。

 都築は、二つの挙動の違いを誇張したビデオを作成し、役員達にプレゼンテーションを行う。上層部を説得して新たに5億円の予算をとりつけることに成功。これによってスープラのリアサスペンションは、ソアラとは違い、独自のものに変更されることになった。

 これらトップガンたちの活躍もあり、スープラには、ロール時に下向きの力が加わるような、従来のトヨタには存在しなかった新たなサスペンション・ジオメトリーが生み出された。これによって、高速直進性能が飛躍的に向上したという。

 タイヤについては、北米では17インチと設定されていたが、日本国内では運輸省の認可が下りず、16インチとすることを余儀なくされていた。これによってタイヤはもちろん、ブレーキについてもスープラは真の実力を封印されててしまう。

 後に、『現行タイヤはターボのスープラでは脆弱。あのままスープラを出したのは早計』と散々非難されることになるが、都築は『ターボ失くしてスープラ無し。どのみちサーキットを走る人はブレーキもブレンボだとか何やらにみんな変えるだろう』と考え、16インチ仕様のままでの発売を決断する。

 こうしてスープラの試作車が製作され、世界中のサーキットを舞台にテストが行われた。トヨタの本社・東富士・士別のテストコースはもちろん。深夜の筑波サーキットや、スポーツランドSUGO。北米のラグナ・セカ、ドイツのアウトバーン、そしてニュルブルクリンク……

 70型に似せて作られたスープラは、空力実験のために様々なデバイスを装着し、その姿はさながらバットマンカーのようであったと言う……


(文中、敬称略。第9回へ。今月中に終わらせたい……)


参考文献:

省略。第3回までのを参照して下さい。

関連リンク:

「スープラの系譜」 第01回 ~スープラの系譜~
「スープラの系譜」 第02回 ~ソアラとスープラ~
「スープラの系譜」 第03回 ~70型のパッケージング~
「スープラの系譜」 第04回 ~トヨタ2000GT、そしてスープラ~
「スープラの系譜」 第05回 ~“トヨタ3000GT” A70型スープラ誕生~
「スープラの系譜」 第06回 ~「JZA」 70から80へ~
「スープラの系譜」 第07回 ~SPORTS OF TOYOYA~
「スープラの系譜」 第08回 ~“トップガン”~

Posted at 2012/04/17 10:01:36 | コメント(5) | トラックバック(0) | スープラの系譜 | 日記
2012年04月13日 イイね!

春ですね

 いやぁ……春ですねえ。

 こないだまで、寒くて寒くてしょーがないし。3月になっても全然暖かくならなくて、春告精のリリーホワイトさんがやって来ないもんだから、またゆゆ様が西行妖でも咲かそうとしてんじゃないかと思ったぐらい。

 まぁ、けっこう遅れた気もしますが無事に春はやって来たので、たぶん頭の中が春満開の紅白巫女が、無事に異変を解決してくれたんでしょう。そう、これがいわゆる春雪異変ってヤツですね。妖々夢は5月の話ですけど。詳しくは満福神社の幻想万華鏡でも見るよろし。続編の地霊殿はまだか!

 奈良も京都も、ようやく桜が満開ですよ。例年なら、3月末には散り始めてるのに、4月の中旬にも差しかかろうかという今になって満開とは、地球温暖化なんて大嘘ですねー。確か何年か前までは、「日本は1月に桜が咲くようになる」なんて言ってたのにね。環境ビジネス乙。

 そんなことは、どーでもよろしい。今さら見始めた「妖狐×僕SS」が思いのほかブヒれるアニメでりりちよちゃんが可愛すぎて生きるのが辛かったり。今期始まりのアニメを観てたら、いつのまにか

(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!

 とかやってる自分に気がついたりもしたんだけど、それもいいだろう。

 そんなことよりジバンですよジバン! 今なんと、ニコニコ動画の東映チャンネルで、あの名特撮番組「機動刑事ジバン」が公式配信されてるのですよ! なんと言う……僥倖……!

 つーことで、桜もキレイだし。古都の桜を肴に、今宵は特撮について語り明かしましょうや。特に意味は無い。(オカリン風)


奈良県北部、若草山と大仏殿のふもとを流れる佐保川。その堤防には、何キロメートルにも渡って無数の桜が以下略。  

「これは、人を愛し、正義を守る若者と少女の心のドラマである」

 「機動刑事ジバン」。1989年から1990年にかけて放送された特撮番組である。オープニングは特撮ソングの大御所である串田アキラ。「ジバ~ン ジバ~ン ひとはだれ~でも~ ジバ~ンジバ~ンひとつのたい~よう~♪」。この歌を聴いて、心が熱くならない男子がいるだろうか!? 心が滾らない20代がいるだろうか!? いやない!

 一応、平成に入ってから放送が開始されたドラマだけど、まあ……改めて観るとすっげぇ昭和臭&バブルのかほりが漂う特撮ですよマジでマジで。だがしかし、それがイイ……。

 今時のCGに頼りまくった特撮なんて邪道ですよ。特撮と言えば爆発!爆発!爆発なのですよ! CGで作った炎なんて迫力皆無。ちょっとやり過ぎなぐらいの量の火薬使ってリアルに発破してこそ特撮ですよ。今時の特撮は、自分たちで火薬を製造して自主制作された伝説の特撮映画「愛國戦隊大日本」を見習うべきだね! えぇ、どうせ誰も分かりませんよね、本当にありが(ry


万朶の桜。コレほどまでに、その言葉が似合う景色も無いだろう。これは、元奈良市長である鍵田忠兵衛の(ry

 セントラルシティ署の青年刑事・田村直人は、犯罪組織バイオロンに襲われた五十嵐博士、孫のまゆみを救うために命を落とした。だが彼は、“ジバンプロジェクト”のドナーに選ばれ、サイボーグとして蘇った。普段は同僚たちと共に平刑事を装って捜査にあたっている直人は、ひとたびバイオロンの悪事を嗅ぎつけるや、銀色のボディに包まれた機動刑事ジバンに姿を変え、バイオロンと戦うこととなる! がんばジバン!たたかえジバン!せかいにへいわのもどるそのひまで!!(Wikipediaより)

 まぁ、毎話毎話の展開を要約すると、こんな感じ。

・どこかの科学者の博士が、世紀の大発明

・世界制服を企むバイオロンが、それに目をつけ、博士を誘拐

・バイオロン 「大人しく研究の成果を我々に渡せ!」
 博士    「だがことわる!」
 バイオロン「ならば死ぬがよい」

・ジバン 「そこまでだ、バイオロン!博士を放せ!」
 バイオロン 「だがことわる。博士の命が惜しくないのか!」 
 ジバン 「卑怯だぞ!」
 バイオロン「やれ!××ノイド!」

・ジバンフルボッコタイム

・ジバンが隙を見て反撃タイム。いつも大体、腕から飛び出すニードルガンでなんたらノイドをブスリとやるのが反撃の始まり。そして処刑用BGMスタート!

・スーパー印籠タイム。腹から取り出した電子手帳を掲げて、対バイオロン法の読み上げが始まる。

・「対バイオロン法、第一条! 機動刑事ジバンは、いかなる場合でも令状なしに犯人を逮捕することができる。第二条!機動刑事ジバンは、相手がバイオロンと認めた場合、自らの判断で犯人を処罰することができる!。第二条補足、場合によっては抹殺することも許される!」。……なお。「×場合によって→○全て」の間違いである。バイオロンが逮捕拘束された例は一度も無い。

・マクシミリアンTYPEⅢを、変形させ、マクシミリアンソードに。「ジバンエンド!」の掛け声と共に、バイオロンをぶった切る。恐るべき横暴ぶりである。

・おしまい

 いやぁ……まさに往年の時代劇を思い起こす展開ですねぇ……。なお、一個人の警察官に、多大な権限を与えまくってる対バイオロン法が日本国憲法に違反してることはいうまでもない。


圧倒的……。見よ!この桜の数を……まさに数の暴力。観る物を圧倒するこの桜がお分かりに(ry

 ジバンの搭乗する専用パトカー。そのベースとなっているのはゼネラル=モータースのポンティアック・ファイアーバード・トランザムだ! そして専用バイクのバイカンは、驚くことにSUZUKI製……どうりでジバンはロリコンの変態なワケだ!(爆)

 特撮ドラマには、多くのスポーツカーが登場するんだぜ? 「特警ウインスペクター」でファイヤーが搭乗するウインスコードは、シボレーのカマロ。「特救指令ソルブレイン」でソルブレイバーが搭乗するソルギャロップは、トヨタのセラ。エスティマも出てたね! 「特捜エクシードラフト」のバリアス7はC4コルベット。

 中でも「ブルースワット」に登場するブルーストライカーは、なんとスズキのキャラなんだぜ? 車輌協力がスズキになってるから、AZ-1じゃなくてキャラなハズ。なんてこった!(たぶんね……)

 つうか特撮ドラマでは、マツダのクルマがすっげぇ優遇されてるんですよねえ……。ジバンでもウインスペクターでもFC3S型のRX-7が登場するしね……。街中をスキール音立てながら爆走してましたよ。つかフィクションにおけるRX-7のジャスティスっぷりは異常……名探偵コナンでもいい役もらってたしね。

 その反面、SW20と言ったら、いつもいつも悪役とか犯人が乗ってるんだぜ……しかも毎度お約束のごとく事故るし。今日放送される「名探偵コナン 沈黙の15分間(クォーター)」にもSWが登場しますね。もちろん犯人が乗ってます。そして人を轢き殺します。何ぞこの扱い……MR2ェ……

 我々世代、小さい頃から特撮でカッチョイイスポーツカーが大活躍するのを見て育ったはずなのに、みんなスポーツカーに全く興味なし! やっぱり「ドラマにクルマが出ないから若者のクルマ離れが~」うんたらってのは間違いだったねえ。


まさに桜のトンネル。そして、その中を桜の雨が降り注ぐ。それはまさに幻想的な(ry

 宮内タカユキさんは特撮のネ申なんだぜ!?

 なぁ……お前も覚えていだろう?あの「メーデー!メーデー! SOS!」心を突き刺すあの悲鳴を……「バーニング!どこまでもバーニング!」駆け抜けたろう、キミも! なぁ魂の兄弟たちよ!

 そして痺れただろう?スーツアクター・横山一敏さんの、あのアクションに……!

 赤・黄・緑のウインスペクター……それはまさにチーム星蓮船だ! みんな真似しただろう?あのウォルターのバンザーイを……! バイクルあの歩行を……。そしてファイヤーになり切って叫んだだろう?「着化!」と……!

 皆が欲しただろう? あのカッコ良すぎる武器の数々……そして再現したかっただろう? マクシミリアンもいい……ケルベロスデルタもいい……リボルケインもいいだろう……。だが、男ならギガストリーマーだ。ジョイントしたかったろう?マックスキャリバーを……そして叫びたかったろう?「ギガストリーマー・マキシムモード!」と……!

 俺 は 買 っ て も ら え な か っ た け ど な 。


咲き誇る桜も美しい……だが、こうして観る桜も悪くないだろう?

 まー特撮と言ったらゴジラがあるね。ゴジラを語ると九州でシビックに乗ってる某アリマリ信者の人が騒ぎ出しそうな気がするから、ここではゴジラの話は省略。

 まぁ敢えて言うなら、ゴジラと言えばビオランテだね! 大阪のツイン21からゴジラの口内に抗核バクテリア弾を打ち込む権藤一佐のシーンとか、もう涙ナシには見られないね! そして、ゴジラに登場する武器兵器と言えば、やはりスーパーXだろう。いや、もちろん噛ませ犬ポジションのメーサーも捨てがたいよ?殺獣光線とかいう響きが最高だね!

 昭和臭溢れるゴテゴテした初代スーパーXもいい。厨ニ病爆発のいかにもメカニカルなスーパーX3もいいだろう……。だが、漢ならスーパーX2を選べ。のっぺりツルンとしたあのボディ、何の飾り気も無いモスグリーンのボディカラー……。しかして、フロントが「くぱぁ」して現れるファイヤーミラー……!

 ダイヤモンドコーティングによってゴジラの熱線を跳ね返すんだぜ?? そんな画期的な武器が今まであっただろうか……? しかも、どういう理屈か不明だが、超科学によって、一万倍にしてゴジラに叩き返すとかもうね!

 オキシジェン・デストロイヤー、カドミウム弾、プラズマグレネイド……。あれらにはない武骨なカッコよさがスーパーX2にはある。あれは「ゴジラ対キングギドラ」(平成のね)に登場するメカキングギドラのゴジラ捕獲アームに匹敵する、アナログ的なロマンがある……あるんだよ! 分かるだろう?YUSAKUサン!


落花流水……これぞ日本の春だ。一句詠みたく(ry

 ……おっと。これ以上はマズイ。ヤツが……ヤツが騒ぎ出す(汗)

 最後に特撮といやぁ仮面ライダー! 我々世代で仮面ライダーと言ったら、そりゃもう「BLACK RX」だろう! もうあのオープニングとか最強だぜ? これも宮内タカユキさんだ!

「Wake up THE HERO! 燃え上がれ!」

 これに勝る仮面ライダーソングは、そうそうないぜ? 初代無印の偉大さは認めるが……いわゆる平成ライダーにおいて、これを超える熱い熱い熱い歌はない、断言してもいい。

 皆が練習したハズだ……あのブラックRXの決めポーズを……。

「俺は太陽の子! 仮面ライダー! ブラック アーッ!エッ!」

 ごめん、いまだマスターしてないわ。個人的には、うにゅほにコレをやって欲しい。このネタが分かる人は同志だね! 守矢コスプレ劇場的な意味で。

 そしてライダーも最後は、「いつもの処刑場」で決戦が行われるのですよ。そう、あの採石場ですよ。ジバンとかでもよく出てきたねぇ。最近は、火薬の量が規制されちゃって、あんまり派手な爆発が起こせないらしくて寂しい限りなのぜ。


 ……ふぅ。

 いやぁやっぱり特撮はいいねぇ。男の永遠のロマンだね! プリキュアでジャンケンするのもいいけど、やはり正義のヒーローはこういう熱いのでなくちゃ! 最近特撮も観なくなって長いけど、久しぶりに見たいなぁ……

 まずは手始めに、DVD化されたソルブレイン&ウインスペクターでも借りてくるか! GEOにあるかなぁ……。



 ……あ。「高速戦隊ターボレンジャー」語るの忘れた(爆発)
Posted at 2012/04/13 19:25:04 | コメント(7) | トラックバック(0) | 雑記 | 日記
2012年04月06日 イイね!

乗ったぜ、86!

 やっと逢えたね――

 かつて、そんなキャッチコピーと共に紹介されたクルマがあった。これは、今から28年前、初代MR2(AW10/11型)が登場した際に用いられたものである。日本初のミッドシップスポーツとして送り出されたMR2。その注目度は絶大なもので、自動車メディアはもちろん、大衆ゴシップ誌までもを巻き込んだ、世界規模での泥沼スクープ合戦が繰り広げられたほどであった。

 そして、今日。2012年4月6日、一台のスポーツカーの封印が、遂に解かれることとなった。長かった、本当に長かった……。霧島の記憶では、初めてその存在が世に出回ったのは2008年頃だったと思う。ベストカー誌において、「トヨタがレビンの後継を開発している。それはスバルのレガシィをベースとしているらしい。早ければ2009年春に登場するだろう」というものであったかと思う。

 その翌年、そのクルマはベールを脱いだ。2009年の12月、東京モーターショーに出品された「FT-86」である。スバル製水平対向エンジンを搭載した、トヨタのライトウェイトFRスポーツカー……。「デリバリーは2011年の春」と言われたそのクルマは、一際大きな注目を浴びたという。

 それから2年以上の時が経った。一番初めの情報から換算すれば、4年の月日が過ぎている。期待の声も大きかったが、それと同じぐらいに批難の声も多かった。だが、皆が待っていた。ずっと待っていた。そうだろう?

 ならば、そのクルマを出迎える上で、あの言葉以上にふさわしい言葉はないだろう。

 「やっと逢えたね――」


 てなことで、乗ってきたぜ、トヨタ・86! これほど夜明けを待ち望んだのは、いつ以来か。夜勤が明けて、みん友さんのふりくしょん君に声をかけて行って参りました。

 昨日からの鬱陶しい雨も上がり、春の陽光に照らされる奈良盆地。古びた旧道を走り、唐古・鍵遺跡の傍を抜け、田原本の奈良トヨタ本社へ……。そして、あった。86です!



 コンパクトながらもマッシヴなボディ。目を射るライトニングレッドのボディカラー。

 レクサスLFAを彷彿とさせるフロントマスク。トヨタ2000GTをモチーフとしたリアクォーター。ミラーの取り付け方や、ドアノブの形状にも全て意味がある。これは、80型スープラ開発の際の空力研究の成果の一つだ。

 ボンネットに収められるのは、スバル伝統の水平対向エンジン、BOXER。それに、トヨタの最新直噴機構であるD-4Sが組み合わせられている。駆動方式はFR。トヨタスポーツ800以来の、水平対向+FRレイアウトとなる。

 これを見るのは東京モーターショー以来。あの時は、あまりの人の多さに、とてもではないがじっくり見ること適わなかった。だが、こうして改めてみると、大変コンパクトな造りであり、3ナンバーであることなど微塵も感じさせない。見るからに軽そう、見るからに走りそう、見るからに速そう。そんなイメージを与えてくれる。

 到着したのは10時過ぎ。平日と言うことで、人はまばらでありましたが、幾人かの人たちが86を興味深そうに見たり触ったりしている。早速、霧島たちの受付のおねーさんに声をかけて、試乗と見積もりのお願いをする。すぐに若い営業のおにーさんが出てきて、カタログを頂き、いきなり試乗することに。



 これが、奈良トヨタの86試乗車。ボディはスターリングシルバーメタリックで、もちろんマニュアルモデルである。それもこの86、ノーマルモデルではなく、TRD製の全高調整式車高調を用いて保安基準ギリギリまでローダウンがされており(※マイナス2cm)、TRD製のアルミホイールに同じくTRD製の4本出しマフラーが装着されている。ナンバーは見ての通り「86」という気合の入りよう。

 この試乗車、なんと今日ナンバーを付けたばかりという。どうやらオートマチックモデルの試乗車もあったようだが、おそらく、このマニュアルモデルへの試乗の一番乗りは霧島であった模様(笑)

 営業さんからキーを受け取り、従来のトヨタ・スポーツカーには見たことのないぐらいに太いサイドシルを跨いでシートに乗り込む。シートの位置は高くもなく低くもなくと言った所か。少なくとも、SW20型MR2に常日頃から乗る身としては、ローダウンされているとは言っても特別な低さはなんら感じることはない。だが、この乗降性は従来のトヨタの基準を満たしていないそうだ。ま、トヨタで一番、シート位置が低いといわれているSW20に乗る者なら、この程度朝飯前さね。

 目の前にそびえるインストゥルメンタルパネル。センターに配置されたホワイトのタコメーター、その左には260km/hまで刻まれたスピードメーターが並んでいる。メーターの位置は高い。けっこう高い。SW20は、低い座高に高いメーターを組み合わせて、メーターの視認性の確保とスポーティさの演出を目指したというが、それよりもずっと高い位置だ。正直言うと、ちょっと前方視界が遮られるかな。

 だが、車輌感覚は非常に掴みやすい。3ナンバーではあるが、ボディの大きさは全く感じない。散々ワイドワイドと騒がれてたけど、全然気にならないレベル。敢えて言うなら、リア周りの視界があまり良くない。プリウスとかもこんな感じだね。

 イグニッションは、もちろんキーシリンダー方式。プッシュスタート式も設定されているが、この試乗車は、昔ながらに「キーをひねる」タイプ。分かっているじゃないか! 興奮による手の震えを押さえ込みながらキーを回す。瞬間、FA20 BOXERに火が入った!

 響き渡るのは、ややくぐもったサウンド。ハイレスポンスNAエンジンのような甲高い音でもなく、かといってハイパワーターボエンジンのような野太い轟音でもない。どことなく、レクサスLFAの「天使の咆哮」と同じ種類の音を感じさせる。この音は、車内にエンジンサウンドを引き込む「サウンドクリエイター」と呼ばれる機構によるものらしい。トヨタは昔から、ヤマハと組んでエンジンサウンドの研究をしてたっけね。

 驚くほど軽いクラッチを踏み込み、ギアをローへ。カチリと嵌まるトランスミッション。いよいよ公道で86を試す時が来たのだ。「出入り口の所、傾斜がきついので……」との営業さんの言葉を受け取りつつ、旧国道24号線へと、車体をゆっくり滑り込ませる。

 営業さんの指示の元、国道を離れて、磯城郡の長閑な田園の中へと舵を向ける。

 まず、始めに気にかかったこと。それは、低速トルクの無さだ。ハッキリ言って、2リッターのNAエンジンとして、FA20は低速トルクが無い。かなり無い。最低ランクだ。SW20型Ⅴ型NAのVVT-i搭載型3S-GEなら、ゆっくりとクラッチを上げただけでも、ほとんど発進できてしまう。だが、このFA20の低速トルクの無さといったら……。敢えて低速を捨てているホンダのK20Aよりも、さらに無い。もっと言うなら、AE86やAW11に搭載されていたテンロクの4A-Gの方が低速域の扱いやすさは断然上だ。

 次にクラッチ。クラッチは拍子抜けするぐらいに軽い。旧来の2リッタークラスのスポーツカーに乗るものなら、思わずスコッと踏み抜いてしまうと思う。だが、軽いだけならばまだいいのだ。このクラッチ、非常に半クラがやりにくい。踏み始めは、やや強めの抵抗があるのに、4分の1を過ぎると急激にペダルが軽くなってしまうのだ。ハッキリ言って扱いにくいこと、この上ない。

 それらを総合すると、ゼロからの発進が非常にやりづらい。6速マニュアルトランスミッションにも関わらず、1速がやたらハイギアードに思えてしまう。どうしてもノッキングを起こしてしまう、しばらく乗っているうちに分かったことは、アイドリング状態から強めにアクセルを踏み込んで、1500~2000回転まで持っていかないと、スムーズにクラッチが繋がらない。逆に言えば、スタートからガンガンアクセルを踏んでいけるということでもあるけどね。

 トランスミッションはどうか。アイシン製だというミッション。ショートストロークのシフトがカチリカチリと決まってゆく。この感覚はよく覚えている、そう、ユーノスロードスターのあれと同じなのだ。アイシン製6速トランスミッションと言えば、ロードスターやアルテッツァ、S15シルビアにも搭載されていた。耐久性は、ない。このミッション、たぶん、ハイパワーには耐えられないだろうね……。シフトフィールについては好き嫌いがあると思う。個人的にはもっと「ゴクンッ!」と入ってくれた方が、シフトワークしてる感があって好き。

 ここまで書くと、ボロクソにこき下ろしてるように見えるけど、要は慣れなのだと思う。ただ、トヨタ車が目指している「誰が初めて乗っても違和感なく乗れるフィーリング」でないことだけは確か。

 でも、一度走り出すとエンジンは軽快そのもの! レブリミットの7500回転まで一気に吹け上がる。「警察が張っていることが多いから気をつけて……」。営業さんが言うにはリミッターを外せば、230km/hぐらいまで出るのではないかとのこと。どうやら260km/hスケールのメーターはフカシではないらしい。SW20のⅠ型ターボが230km/hぐらいだったから、NAの200psでこれはたいしたもんだ! 6速ミッションによるところが大きいだろうけどね。

 吹け上がりは、かなりいい。少なくとも、赤ヘッドの3S-GEよりは上。4A-Gと比べたら、正直言うと4A-Gの方がレスポンスはいい。だが、「アンダーパワーのエンジンで、軽快に回ってくれる」という点では、2リッターエンジンの中で最高のフィーリングかと。3Sのように太く走るわけでもなく、K20Aのように爆発的な加速力を誇るわけでもない。本当にこれが、“あの”水平対向エンジンなのか?

 加速は上々、ならばストッピングパワーはどうか。この試乗車は、GT系グレード。17インチ仕様のブレーキが入っているハズ。かなり重めのペダルを踏み込むと、「ぎゅうぅぅ……」っと、パッドがローターを締め付ける感覚。だが、ブレーキ踏力の割には、正直言うと止まらない……? なぜだ!? 現行プリウスのブレーキをマイルドにしたようなフィーリング。タイヤかなぁ……? これに比べればSW20のブレーキペダルはヘニャヘニャだけど、なんだかんだで自分のSWはポテンザ履かせてあるからなぁ。エコタイヤ使ってのブレーキってこんな感じなのかなぁ……。正直、これはよく分からんかった。

 最後はハンドリング! FRスポーツカーを名乗るなら、ハンドリングが楽しくなければ失格だ。何でも、スバル版のBRZは「ピュア・ハンドリング・ディライト」などと謳っているそうではないか。

 結果から言うと、ハンドリングは非常に俊敏である。今まで乗ったスポーツカー……SW20、AW11、NA6ユーノスロードスター、EK9、EP3シビックタイプRなどなど……の中ではレスポンスはナンバー1だと感じた。ハンドリングのクイックさでは、今まではAW11がダントツの一番だったけど、86はそれに匹敵するものがある。

 これは、ボディ剛性によるものだ。86の2570ミリというホイールベースは、お世辞にも短いものではない。登場以来、今もMR2シリーズがハンドリングマシンとしてジムカーナで第一線にいられるのは、その比較的短いホイールベースによる回頭性も大きな要因だろう。CR-Xとかもね。

 86は、やや長大なホイールベースながらも右に左にクイックに向きを換える。ホイールベース2400ミリのMR2と同じ感覚で乗ると、オーバーステアになるねえ。サイドシルの強化は偉大だ……。ロードスターシリーズなんかはコンパクトボディの割には剛性がなくて、ややマイルドなレスポンスだけどね。ちなみに、リアのピラーを強化してた某氏のSW20に比べると、ちょい86の負け。

 ただ、ステアを切っても腰高感は一切無い。水平対向エンジンの重心が高いか低いかについては賛否両論あるけれど、相対的に見れば、間違いなくトータルでの重心は低い。そして重量バランスも◎。フロントにエンジンがあることすらも感じさせないぐらい、スッと軽くノーズが入っていきますよ。

 そりゃ、プロドライバーがサーキットに持ち込んで振り回したら、「剛性がない!」って言うかもしれないけど、素人が街乗りで使うには、十二分に楽しいですよ!



 しかし、こんなに分厚いカタログははじめて見るよ……。SW20なんてペラペラだぜ? スープラだってここまでゴッツくなかった。

 店内の展示とか見てたら、ホント86に力を入れようとしてるのがよく分かる。まぁディーラーにとっちゃいい迷惑だと思ってるだろうけどね(爆)

 興奮冷めやらぬ中、ディーラーに帰還。今度は、ふりくしょん君にドライバーズシートを譲り、霧島は敢えてリアシートに座ってみる。



 ……なんという座敷牢(汗) 前に、えるすさんのGTOのリアシートに座ったことがあるけど、あれよりもずっと酷い。足元のスペースは見ての通りです。ええ、無いです。ゼロです。ほとんど2シーターです。ちなみにこの状態で、前に営業さんに座ってもらってますが、たぶんこれでも気を使ってくれてます。

 さらに、シートの取り付け位置が低いから、シートとフロアのスキマがほとんどなく。シート下部が、足の甲に食い込んでます。すごく……キツイです。

 後でふりくしょん君と色々試してみましたが、ナビシートそのものにも、全然ニースペースがない。ちょっとでも座席を前へ移動させようとすると、膝がダッシュボードに当たる……。これもGTOを彷彿とさせますよ。後ろに人を乗せたらダッシュボード開かないYO!

 なお。後ろの人が足をクニクニさせると、シートを通じて尻がプニプニと……。なんぞこのセクハラシートwww。女性の方、絶対に後ろに人を乗せたらダメですよ(爆) あと、シートの下に100円玉を落としても、諦めましょう。

 足元の激烈な悪さを除けば、リアも乗り心地いいですよ。シート上部の空間はとても広くてゆったりです。ただ、身長が170cmを越えてくると、ルーフに頭が当たるかな。あと、リアのガラスでけっこう暑い……

 ローダウンした足ではあるけど、振動で乗ってられん!ってことはない。案外快適。ここは、2年前に亡くなられたマスタードライバーの「セッティングはリアから決める。リアに座って乗り心地が悪いのは絶対にダメ!」というポリシーが生きてますね。

 拷問器具だか快適空間だかよく分からないリアシートに閉じ込められて、試乗コースを一周。ディーラーに戻ると、早速見積もりも出して貰う。カラーはオレンジメタリック、グレードはカスタマイズグレード(199万)を選択して、フットランプとTRDのドアスタビライザーなるものをオプションで付けて、諸費用込みでお値段228万円! いや……これは安いだろう、どう考えても。エアコンレスは痛いけどね……

 まぁでも、これなら買えない値段じゃないですよ。今のSW20を個人売買で売れば30万ぐらいにはなるだろうから、その分引いたら190万円台で86が手に入る!

 ……買わないけどね(ボソ

 ぶっちゃけ、これならSW20にその資金を投入したほうが断然おもしろくなると思いますから……。あと、どうしてもあのクラッチフィールが気に入らない……。まぁ、クラッチなんて強化に換えちゃえばいいんだろうけどね、FRだから換えるのもラクだろうし。

 あとで車屋さんに聞いた話では、「スバルのクルマは、ステアリングやペダルは、操作し始めは重いけど、途中からスッと軽くなる」とのこと。間違いなく、あのペダルはスバルだわ。でも、ステアリングは最初から最後まで一定したフィーリング、パワステの効かせ具合はSW20と同じぐらいだね……と思ったら、やっぱりステアリング周りはトヨタ謹製だそうな。

 86。長点はスバル、短所はトヨタによる部分が出てくると思ったけど……逆だった。これは意外だった……(汗) まぁ操作系のフィーリングに限りますけどねえ。



 店内に掲示されたパネルより。おい……おい……(汗)

 まぁそれはともかく。営業さんに色々と質問してみると、面白いことが聞けましたよ。

「86を見に来る人の9割が、50~60代。若い人は1割ですね」
「AT車とMT車の比率は半々ぐらい。ATの方がちょっと多くて6割ぐらい」
「事前に注文してもらっている方の分は、まもなくデリバリー開始。今、注文してもらっても11月ぐらい」

 ……などなど。中高年の方が多いとは思っていたが、そこまで多いとは……。ATの方が多いってのも、意外だなぁ。

 そんなこんなで、久々に面白いクルマに乗れました。買うつもりはないし、まだまだ改善して欲しい点は色々あるけど、大満足でしたよ。

 さて、86の試乗記はこんな感じ。他にも色々あるけど、次の試乗に行くことに。 ……うん?何だって?試乗はもう終わったじゃないかって?

 ……何を勘違いしているんだ。まだ俺の試乗会は終わっていないぜ!



 そう、まだBRZが残っているんだぜ!

 田原本まで来たならば、橿原まで足を伸ばさないわけには行かぬ! 急に降り出した雨の中、橿原の奈良スバル本社へ。駐車場の片隅に停められたBRZの傍にSW20を停める。写真ではよく分からんと思いますが、SW20の方が全高が低いのですよ、6センチぐらい。86&BRZは1300ミリで、SW20はノーマルルーフで1240ミリだったと思います。

 霧島のSW20を見て、初老の店長さんが出てきて店内へ案内してくれる。まぁ……何が目的で来たかはクルマを見ればバレバレですよねぇ。

 ここでもまた、試乗と見積もりをお願いすることに。



 こちらがスバルのカタログ。内容に違いは、あるようなないような……。組み立て時の写真なんかを載せてしまうあたりがスバルならでは(笑)

 試乗車は、特別色となるサテンホワイトパールのBRZ。テレビのCMに登場するあれと同じだ。ただ、ここでの試乗車はオートマチックでした。まぁぶっちゃけ、「オートマだからどうかなぁ……あんまり面白くないだろうなぁ……」っていうのが正直な乗る前の印象だったのですよ。

 ……だが、それは完全に間違った認識だった。

 エンジンを始動し、サイドブレーキを降ろしてアクセルを踏む。……あれ?動き出しがものすごくスムーズ……?

 確かにクラッチを合わせる必要が無いから、ガクガクしないってのはある。オートマだから、アクセル踏めば走り出すのは当たり前。だが、そうではないのだ。

 86の時に感じた、多少のアクセルレスポンスの悪さは、確かにある。だが、それがほとんど気にならないレベルなのだ。MTとATでスロットルの制御を変えてあるのかどうかは分からない。ひょっとしたら同じかもしれない。だが、何の違和感や扱いにくさもなく、乗りなれたクルマのようにスムーズに運転できてしまう……。

 トルクコンバータにありがちな、アクセルを踏み込んでから加速がかかるまでのタイムラグは一切ない。加速や減速時に発生するGも、シャープすぎずマイルドすぎず。シフトチェンジによるショック? 何だそれ。シフトダウンの時だって、何もせずとも自動的に回転を合わせてくれている……

 ……これが本当にオートマチックなのか!?


 店長さんの道案内の元、京奈和自動車道のバイパスへ……。京奈和、言ってみれば準高速道路です。ならば、魅せて貰おうか、BRZの加速性能とやらを!

 パドルシフトを使って5速から3速へとシフトダウン。一瞬にして落ちるギア、タイムラグなどどこにもない。アクセルを強めに踏み込めば、BRZは猛然と加速を開始する。

 ミッドシップのように、背中を蹴飛ばされるような加速感ではない。重心の低さもあいまって、滑走路を疾る航空機のように、ヘビーウェットのコンディションの中、滑るように飛んで行く……!

 視点の低さの割には加速感やスピード感は無い。気がつけば、結構なスピードが出ている。だが、高速走行時のスタビリティの高さは、MR2の比ではない。絶大な安心感と信頼感に満たされたコックピット。しかして、レーンチェンジでステアリングを少し傾けても、その切れ味が鈍ってはいない。

 ……楽しい……楽しい……楽しい……!

 「Pure Handling Delight」。その言葉に偽りなし。トータルで乗りこなすマニュアルモデルは確かに良い。……だが、真にハンドリングの楽しさを味わいたいならば、オートマチックを選ぶべきだ。確かに一昔前のオートマチックシステムは、レスポンスにダルいものがあったのは正直否めない。だが、このBRZには、そんな“アソビ”は一切無い。まさに洗練された、新時代のオートマチックだ。オートマチックが退屈などということは、絶対に無い。断言してもいい。

 ……まぁ、自分が買うならもちろんマニュアル車ですが(爆)


 工事現場の傍を、ゆっくりとUターン。嬉しそうな満面の笑みでこちらを見つめている若いガードマンに、手をひと振り。ディーラーへと帰還する。

 86とBRZのサスペンションは、セッティングが異なるという。正直、走ったステージも異なるし、86がローダウンされた“広報車仕様”であったこともあって、違いはよく分からない。ただ、リアシートに乗っている限りでは、BRZの方がロール量が良い意味で大きかったかな。

 見積りは、カスタマイズグレードでカラーはもちろんWRブルー、それにオプションのマニュアルエアコンを付けて248万円……。うーん、これはちょっと辛いなぁ(汗)

 スバルでも質問タイム。同様の質問をぶつけると、トヨタ店とは全く違う回答が返ってきました。

「年配の人と若い人は、半々ぐらい」
「マニュアルモデルの注文の方が多いですよ」
「女の人も多いです」
「デリバリーは8月から9月の予定です」

 なんと! トヨタでは年配の人&オートマ車が多いのに、スバルでは若い人もけっこう居て、マニュアル車の方が注文が多いとは!

 そして驚くべきことに、女性のお客さんも多いとのこと。年齢層は20~40台が中心だそうで、「黒木メイサのCMを見てきました」という人も多いそうな……。

 「ハイパワーターボ+4WDこそがアイデンティティだったスバルのお客さんにとって、NAの2WDというのは違和感みたいなのはないんでしょうか?」という質問に対しては、「インプレッサWRXからの乗り換えの人もいらっしゃいますよ」とのこと……

 スバルは、昔から走りを大切にしてきたメーカー。トランスミッションも、そのほとんどにマニュアルをラインナップしていました。やはり、そんなスバルのポリシーは、しっかりお客さんに伝わっていたようです。

「スバルの軽が、ダイハツのOEMになりましたけど、売れ行きはどうですか?」
「いやぁ……ダメになりましたねぇ」

 なんてやりとりもあった(爆)


 奈良スバルを後にして、雨風の強いバイパスにて、SW20にムチを入れる。重量1220kg、排気量2000cc自然吸気、出力200ps、トルク21kg……。SW20のスペックは、驚くほどに86&BRZに似ている。だが、そのフィーリングも味付けも、何もかもが違う。

 どちらかが優れていて、どちらかが劣っている。そんなことは決して無い。自称“クルマ好き”は、何かにつけて自分以外の存在をけなしたがるものだ。アホらしい。

 確かに、絶対的に速いクルマというものは存在するかもしれない。だが、それがどうだというのか。

 86&BRZを悪く言う者は多い。MR2を悪く言う者は、もっと多いだろう。ぶっちゃけ、自動車メディアで仕事をしている人たちと会話している中で、「MR2に乗っている」などと言おうものならば、オーナーである自分の前でMR2に対する批判と批難をつらつらと語ってくれる。生産終了から、もう15年近くも経っているのにね。

 かつて、とあるGTO乗りの青年がこう言っていた。

「GTOを悪く言う人は、絶対にGTOに乗ったことが無い。乗ってみればこんなにも楽しいのに!」

 そういうことなんだよ。GT-RだろうがLFAだろうが。軽自動車だろうがコンパクトカーだろうが。ミニバンだろうがハイブリッドだろうが。

 自分が、86&BRZを所有することは無いだろう。理由は簡単だ。「なんだかんだで、自分はMR2の方が好き」だからだ。86やBRZがダメなわけでもキライな訳でもないし、、MR2がそれらより優れているからという訳でもない。どちらが良くてどちらが悪いなどというのは不毛な議論だ。


 ここに、一つのライトウェイトスポーツカーが生まれ落ちた。夢と希望、そして楽しさと面白さを兼ね揃えたクルマだ。祝福しようではないか、この二台の門出を……!


 願わくば、この興奮と感動が、いつまでもいつまでも受け継がれて行きますように。

Posted at 2012/04/06 19:02:27 | コメント(12) | トラックバック(0) | 自動車 | 日記

プロフィール

「@辺境伯 通勤快適(?)仕様なので、距離がどんどん伸びます。じゃんじゃか傷んできます……」
何シテル?   01/30 16:31
こんにちは。基本的にはぐれ者です。 一般に広く受け入れられて支持を得ているようなものよりも、マイナーなものや、世の中から認められないもの、あまり人気のない...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2012/4 >>

12345 67
89101112 1314
1516 1718192021
22 232425262728
2930     

リンク・クリップ

17万kmを超えて 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2014/04/30 22:55:21
アスク・スポーツ 
カテゴリ:チューニング&パーツショップ
2011/11/07 17:09:24
 
トヨタテクノミュージアム 
カテゴリ:トヨタ
2011/09/24 22:39:02
 

愛車一覧

トヨタ MR2 トヨタ MR2
〓詳細〓 ・車種:トヨタ MR2 ・型式:SW20 ・年式:平成10年5月登録 (Ⅴ型 ...
トヨタ MR2 トヨタ MR2
〓詳細〓 ・車種:トヨタ MR2 ・型式:SW20 ・年式:平成8年4月登録 (Ⅲ型) ...
その他 その他 その他 その他
弟の東京土産……って言っても、普通に奈良でも売ってる一品。 日記用の画像保管庫です。

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2015年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2013年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2012年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2010年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2009年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation