音の調整に向くもの向かないもの

　ハイエンドカーオーディオコンテストの課題曲と，同じ曲の違う盤があったので聴いてみました。指揮者はシャルル・デュトワさん。だけど奇しくもオーケストラは同じフィラデルフィアです。


　ただし，１９９１年録音なのでもう３０年前の録音です。フィラデルフィアのメモリアルホールでの録音ということは，ホールも違います。
　録音ですが，それがそんなに悪くない。当時よくあった録音方法だと思うんですが，奥行きはほどほどにして左右に広い。だけどなんと，最新盤よりも高域方向のレンジ感はこちらが上です。これにはちょっと驚きました。「モニタースピーカーにはＢ＆Ｗを使っている」とまで書いてあるところを見ると，音質を追求したものだったんでしょう。

　自分的にどちらを取るかと言いましたら，なんとこちらです。
　それでも「普段聴き」として車内に残すかというと，補欠ですね。やはり，「景色」が見えてこない録音なので。

　そうそう，フィラデルフィアつながりでこんなのもあったのを思い出しました。

　サンサーンスの音のいいのが欲しくて，謳い文句を信用して買いました。SACDだし，大オルガンのこけら落とし，そして奇しくもホールはキンメルホールで，内部の写真も豪華そのもの！凄く音響がいいらしいので期待を込めて聴き出しましたら，もう・・・・あまりにも腹が立って，以来一度も聴いていません。というか自分がバカでした。それでもまだ，数年前の課題曲のサンサーンスよりはマシですけどね！
　ところでなんでしょう，この「フィラデルフィア響」で「キンメルホール」というとこうなっちゃうんでしょうか？サントリーホールもそうですが，音響の評価と録音が一致しないというのは，よくあることなんでしょうか。

　ぼやいてばかりもなんなので，よく聴いてるやつ（つまり気持ちよく聴けるもの）の中からいくつかのせます。全部再登場なんですがお許しを。


　ｌｉｎｎレコーディングです。先鋭過ぎててホントにピントが合った時しか楽しめないんですが，臨場感があって自然なオケを聴きたいなら間違いないです。録り方がワンポイントを基本としていることや，理念として「機材は少ないほどいい」というのが結果に出ていると思います。

　
　リファレンスレコーディングズ。外れもありますが，ここのは別格です。独特なキャラクターを嫌う人もいるようですが，上から下までガッチリエネルギッシュな上にリアルそのものなので自分は大好きです。

　
　変わり種はこれ。オーケストラ付き合唱曲で，ブルックナー作曲のものですが，これほど「環境音」が豊富な録音はありません。椅子がギシギシ，楽譜ペラペラ，誰かがテンポ指示のためかカウントを取っている音までしっかり入っています。石造りの教会でワンポイント録音していて，ｆｆではぐわぅおーん！という大音響になるところなんか，実在感抜群です。
　

　最後はやはりこれでしょう。ドゥダメルの春の祭典。通常版ですが超絶高音質な録音。「細かい音が聞こえてくる」と言いたけりゃ，これ聴いてから言ってみろと言いたい。

　自分はこういうの「も」使って調整しています。それで今の音があるんですが，もしも彼の「課題曲」みたいな音源を中心にして調整したら，多分ですが，いつまでたっても調整が終わらない気がします。「ピークが分からない」からです。
　
　とまあ散々書いてきましたが，書いても書いてもなんだか素振りばっかりなんで，またいろんな方で集まって，お互い聴きあいっこしたいなあ・・・
これに尽きます。