
2日目は岩手県の遠野を歩きました。
もう説明するまでもない「民話の里」で、
柳田國男は、花巻の宮沢賢治と並んで
この地域の有名人(資源といってもいいか)です。
また、「日本の原風景」などとも評される
印象的な田園風景も魅力的です。
説明付きのフォトギャラリー、前編は →
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後編は →
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朝8時前に北上の旅籠屋さんを出発。
5年前に来た時は時間がなく、遠野の手前で引き返した国道107号を東に進みます。
一部バイパスが開通していたり、高規格道と思われる工事が進んでいたりもしますが、
道沿いに続けて現われる山あいの農村と田んぼの風景は相変わらず素朴で美しいです。
遠野までは50kmほど道のり。
この道は、陸前高田や大船渡、釜石に向かうルートでもあって
工事関係車や営業車など、復興関連と思しき車がたくさん走っています。
以前よりも往来が増えているのはどうにも切ない皮肉だなぁ、などと話しながら
それらの車の間を走っていきました。
遠野は自転車で周るのが一番なところなのでしょうが
私たちは大福連れなのと、周りたいスポットが郊外中心ということもあり
そのままクルマで周りました。
まあ、私に率いられてのポタリングは、妻にとってはシゴキ以外の何物でもなかったでしょうが・・・(汗)
デンデラ野
ぜひ行ってみたかったところ。
市街地から10kmほど離れた山すその集落のひと隅が
こう呼ばれています。
かつていわゆる「姥捨て山」とされていた土地。
「楢山節考」や
「デンデラ」のモチーフになったようなところです。
【追記】
姥捨て山というと(特に「デンデラ」のイメージでは)、存在自体を抹消されてしまうように思われ
ますが、資料館などの解説によると、デンデラの人たちは雑役の労働力として、あるいは交易を
行って、元の社会との交流を保っていたのだそうです。
合理的というか現実的というか、なんだか興味深いですね。
遠くに里を見下ろすような傾斜地、かつて棚田の畦だった場所にぽつんと木標が立っています。
遠野遺産に認定され、地元の方たちによってアクセス道や茅葺き小屋などが整備されたこと自体は喜ばしいことなんですが、リンク先の紹介写真の2枚目のような寂寥感が感じられなくなってしまったのは少し残念です。
駐車ポイントの隣に広がる田の稲穂の色がきれいでした。
山口の水車小屋
デンデラ野からさらに少し奥に入った集落にある水車小屋。
行ってみれば、まぁ普通の水車小屋です(汗)
観光写真ってのは(いろんな意味で)巧く撮るもんだなーと
改めて感心です。
光の条件などは良好だったのですが、例の不具合で出来上がりはどうにも(悔)
この時点ではまだ気付いてませんでした。

街中にとって返して、
「とおの民話村」という公共施設に向かいます。
展示施設や博物館、物産販売所などが集まったエリアにあり、
その中の1つで、地元の
語り部さんの民話を聞くことができます。
大福をクルマに残すため日陰の駐車スペースを探すのに一苦労しましたが、なかなかない機会をうまく捉えられました。
平日の11時、聴衆は私達ふくめて12人。やはり少ないのだそうです。
予定時間を越えて約30分、「
オシラサマ」「
迷い家」と無精者の話(タイトル聞き逃した)の3話を聴かせてもらいました。
語り部さんが「遠野の標準語w」と話す語り口はさすがに難解で、
特に序盤はほとんど聞き取れません。
それでも聴き進めていくうちに徐々に解るようになり、大筋は掴めた人が多かったです。
私の理解度は8割くらいだったでしょうか、言語としては北陸弁と東北弁は決して近くないと思うのですが、イントネーションや発音といった部分で、頭に入っていきやすい要素があったのかもしれません。
「とおの民話村」には資料館や復元家屋など、いくつかの施設があります。
隣には
NPO団体の事務所など、興味深いところもありました。
併設の飲食店「
茶蔵(さくら)」は、ひっつみ汁やひっつみピザがとても美味しかったです。
続いてはちょっとマイナーに、
荒神神社(あらがみじんじゃ)というところです。

ここも街中からははずれたところ、集落のまわりの田んぼの中に小さな祠がぽつんと、ほんとにぽつんと建っています。
樹木の配置も大きさもちょうどぴったりな感じで、
見るからに絵になります。
稲穂の黄金色、初夏の青田、一面の雪原と、四季それぞれの佇まいが楽しめそうです。
写真は左奥からの逆光で苦しいです。 お昼前後がベストです。
カッパ淵
遠野の民話関連で最も名の知られたスポットです。
これも郊外、常堅寺というお寺の境内(の裏手)にあり、そこだけひっそりとほの暗い空間が広がります。
ここには有名な「カッパ釣りのおじさん」がいて、TV等にもよく登場しています。
市観光協会発行の
「カッパ捕獲許可証」(年間200円)を示すと、竿と餌(キュウリ)を貸してもらえます。
もちろん私は釣る気満々、カッパおじさんを探しましたが残念ながらこの時は不在、
竿のスタンドには「カッパのえさの手入れに行ってきます」のサインが。
また、現地購入できると思っていた許可証は、市の各施設かネット通販で買わないといけないみたい。
カンカン照りの暑い中を最寄りの「伝承園」まで歩かねばなりません。
(そんなに遠くはないですがw)
今回は涙を飲んで捕獲を断念、次回にお預けとしました。
伝承園
遠野地方の農家のかつての生活様式を再現した展示体験施設です。
演出がほとんどなく、人々の暮らしぶりがそのまま感じられるのが好印象でした。
外からの野焼きの煙がちょうど良い感じに。

小烏瀬川(こがらせがわ) (タイトル写真もです)
伝承園の近くを流れる川で、カッパ淵もこの川の支流です。
ごく普通の川なんですが、護岸のされてない川相、カーブ具合に何ともいえず情緒がありました。
ちょうど夕方で陽も当たり、
野焼きの煙も流れてきて良い感じになりました。
野焼きは市内のいたるところでされていて、5時頃には市内は真っ白な煙で充満、何かとても懐かしい雰囲気が漂います。
最近は環境の面から禁止する自治体も多いようですが、私のイメージにある農村風景とは、こういう「演出」もセットだったんだなぁ、と改めて認識しました。
時間があればさらに足を伸ばし、釜石か大船渡などの様子を妻にも少し見てもらいたいものだと
思っていましたが、時間もなくこれも見送りました。
若干の名残りを残しつつ遠野をあとにし、
東和温泉に寄り、ロシア料理を食べてから、再び北上の旅籠屋に泊まりました。
この日の移動距離: 174km
【本日のひとくちメモw】
①撮影に向いた時間帯
デンデラ野、山口の水車小屋 : 午前中
荒神神社 : お昼前後
小烏瀬川 : 夕方
カッパ淵 : おじさんがいる時(何時だよ)
②語り部さんの民話はなるべく前のほうで集中力を高めて
③カッパ釣行を予定の方は先に許可証の購入をお忘れなく♪
※その4「磐梯吾妻編(仮名)」に続きます