シャ・ノアール@なべのブログ一覧

いつも通り展示車両の撮影に行った。

スタッフと挨拶を済ませ、撮影車の確認をしていると営業担当課長が満面の笑顔で近づいてくる。

『モロなべさん好みの車両が入って来てるんですけど見ます？』


誘われるままにシャッターをくぐって奥に入ると、一台のクルマが薄暗いガレージにひっそりと佇んでいた。

課長が室内の明かりを点けるがそれでも薄暗い。

薄暗い中にぼんやりと、しかしはっきりと分かる見慣れた漆黒の車体。
クラシックミニMk1
ローダウンされた上にワイドフェンダー、小さなミニがさらに小さく見える。
室内はブラックアウトされ、一瞬気付かないがしっかりロールケージが張り巡らされている。

ドアを開ける。
異常に軽い！
『これアルミなんですよ！』と課長が呟く。

そのドアを開けると慣れ親しんだレカロSP-Gに真っ赤なサベルト4Pが迎えてくれた。
室内を縦横に走るケージ、やけに細いと思ったらルーフやピラーに溶接されていた。

『必要最低限しか入ってないけど、このままサーキットでも大丈夫ですよ(笑)』

リヤシートは取り除かれ、代わりにバッテリーと安全タンクが後席を陣取る。

『キー付いてますから....』と課長が教えてくれた。

イグニッションを捻ると後席から燃料ポンプの音がして、メーターに灯が燈る....STACKのタコメーターが真正面からこちらを睨む。
その左右に申し訳程度に鎮座するスミスの速度計と油圧計。
針の位置を確認してスターターを回すと、やや長めのクランキングの後不機嫌そうに目を覚ました。
温まっていないエンジンは、気を抜くとストールしそうになる....どうやらキャブ仕様らしい。
その証拠に、コンソールの奥から唸り声のような吸気音がしている。

センターコンソールに目をやるとオーディオは無く、ヒューズとスイッチ類が色を差す。

『課長！これってキャブ車でしょう？』
『.....！....』無言で微笑むのはまだお楽しみがある証拠だ。

コクピットから出て、ボンネットを開けるとオイル染みひとつ無いエンジン、恐らくワンオフであろうチタンのフルエキゾーストパイプ。
鈍く光るウェーバーキャブに眩い光を放つファンネル。
ホースやパイプは全てメッシュ化され、淀みなくエンジンルーム内を流れる。

ふと目をやると、ボンネットフードはカーボンで、しかも塗装してあるので外観からは気付かなかった。

これは堪らない。


あちこち開けたり眺めたり乗ったり降りたりを繰り返す姿は、まるで新しいおもちゃを買ってもらった三歳児だ。

『気に入ったでしょう？』課長に声を掛けられた。

『いいですね！ツボですよ(笑)』
『売り物ですよね？でも....こんな個体普通のお客様には売れないでしょう？オーダーですか？』

『当然売り物ですよ、オーダーって言うか押し売り？(笑)』

『はぁ！？』

『車両の入れ替えに関する書類や登録を自分でしてくれるなら.....インプレッサと交換追い金なしでいいよ？』

まじ？

『破格でしょ？ただし条件がある』
最低3年は乗ること！
その間、うちの仕事を優先すること！
うちでの写真は全てなべさんが撮ること！
違反しない！事故らない！このクルマで死なないこと！(笑)

『仮ナンバー付いてるから、一回りして考えなよ！(笑)』



走りながら考えていた....

確かにミニとしては理想の個体だ。
社長が引っ張ってきて仕上げたのなら安心できる。
人を乗せることが少ないおいらだから2シーターで問題ない。
ミニならメンテも自分で出来るし、ショップのメンテも信頼できる。

しかし、シャノアールを仕上げる目標が....シャノアール


気が付けば、ちょっと一回りのはずが....随分遠回りをしていた.....


どーする！？おいら？



っていう『夢』を見た....
おいらの夢ってだいたいリアルで細かいんだけど、今回は起きた後も夢か現実にあったことなのか暫く考えちゃったもんねｆ（＾＾；

きっとシャノアールを仕上げるのにまだまだ時間が掛かる。
去年撮ったクルマで一台気に入ったのがあって、その時課長から『交換する？』って言われたのを今頃リンクさせたのかな～
しっかしリアルな夢だったわ～うなされるように起きたし(笑)