2023年07月05日
最優先すべきは、今も自分の住居の周囲をフラフラしている加害者からの自分の安全確保。
警察は当てにならなく、弁護士も有効な手段を持っていない。
様々な方角から検討したが、最適な手段として示談を利用することにした。
自ら作成した示談書の内容は伏せるが、後に目を通した自分の弁護士によれば、傷害事件の示談の内容として異例となる内容らしい。
そもそも示談といっても加害者が不起訴となる可能性が高い内容にはなっていない。それにこの内容なら、加害者に守るものが少しでもあるなら二度とこちらには近寄ってこれないだろう。そしてこの男はそういうものを持っていることが分かった。
加害者の弁護士は、馴染みのある取扱とあまりにも異なる示談書の内容に動揺を隠せていなかったが、結局こちらの内容を飲み込んでくれた。
自分の弁護士には、示談書のサイナーを代理してもらう為だけに仕事を依頼した。費用は3万円弱。これが本件に費やした弁護士費用の総額だ(※相談料含む)。
彼は目の前の示談書の内容を確認している。それが終わると一言こんなことを聞いてきた。
「いやー、どうしてこんなことが出来るのですか?」
自分の弁護士は、少しだけ訝し気に聞いてくる。言外の意味についてはよく分かる。しかし、法のプロである弁護士相手の交渉に、こちらが違法性を問われるような手段の選択肢があるわけないじゃないか。
必要なのはロジックの組立てと丁寧な対応、そして冷静さだけ。そして民法や刑法、刑事訴訟法などの法律の知識。そういうものを勉強しているのは弁護士だけじゃない。
もちろん、“鉄の意思“は何にでも必要だ。
先の質問に対して、弁護士に真顔でこう答えた。
「腕の差じゃない?」
もう暫くすると警察は加害者について検察官送致を行い、それを受けて検察からこちらに連絡があるはず。
どうしてこういう示談の内容になったのか聞かれるはずだが、じっくり説明してあげよう。そして法の番人としてのご意見を伺おうじゃないか。
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さて、これで終わりです。
このシリーズは、自分が遭遇したレアな現実を皆さんとシェアすべき、という動機から書いています。
こういった危機に遭遇しかけた、または遭遇しても、決して警察が後々被害回復を助けてくれるなんて考えてはいけません。
この国では、被害の回復は被害者自らが行うものとなっています。自分で動かないと誰も助けてくれません。
警察の仕事は「犯罪者の確保」であって、「被害者の救済」ではありません。
警察は被害者の「被害回復」の義務どころか、実務上、興味さえありません。これは悲観論では無くて、法律や仕組み上そうなっています。
警察には犯罪捜査の基本方針である犯罪捜査規範なるものがあります。
犯罪捜査規範第10条の3には「当該事件の捜査の経過その他被害者等の救済又は不安の解消に資すると認められる事項を通知しなければならない」とありますが、警察が私に通知してくれたのは、随分と遅れたタイミングでの加害者の名前の連絡だけです。そのため、自分自身に降りかかるかもしれない二次被害を出来る限りヘッジしたく、加害者の居場所や素性を突き止めるために追加で多額の費用と時間を要しました。
また、同第11条には「…必要に応じ、当該被害者等の保護のための措置を講じなければならない」とあります。しかし、今までご覧になった方は理解されていると思いますが、警察の対応はああいった程度が限界であり、つまりはその程度の条文ということです。
私は、加害者の情報は警察から名前以外通知されず、実は加害者が近所に住んでいることや、いつの間にか自分の周囲をうろうろしていることさえ知らされませんでした。さらに、積極的な自己防衛を被害者自ら行うことは法によって禁じられ、つまるところ「加害者保護」が被害者保護より優先されると考えても違和感はあまりない状況でした。
私が覚えたレッスンは以下の通りです。
次の機会にこの通りできる自信はありませんけれども。
何かあったら対抗してはいけない。
身体的なリスクが及びそうなら、とにかく逃げましょう。
経済的な損害だけなら、自分の不運を呪って諦めるのは利口な選択肢。
暗澹たる気持ちになりますが、違法行為はやったもん勝ち、犯罪者が圧倒的に有利な国とは、銃が少ないだけでワイルドウェスト時代と大差ない我々が住んでいるこの日本のことです。
皆様の参考になれば幸いです。
(終わり)
Posted at 2023/07/05 12:59:14 | |
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車全般 | 日記
2023年06月29日

自分の弁護士との相談は続く。
だが、こちらが望む「安全確保」は難しいという。
さらに…傷害事件の判例はふんだんにあるので、裁判となった場合、十分な被害回復はなされないのが通例だという。
更に、彼は以前も同じことを言っていたが、損害賠償を求めて賠償が認められたとしても相手が払わないケースは非常に多く、また、損害賠償を払わなくても罪に問われないという間違った一般認識が民間に広がっていることがそれを助長しているという(投入コスト>損賠賠償額のケースだろうが、今回は良い方法が別途無ければコストを考慮せず追求する。それが犯罪の抑制につながり、いずれ社会の正常化につながるから)。
その後検討を重ねたが、残念ながら、警察だろうと弁護士だろうと最優先事項である「自分の安全確保」は出来ないことが分かった。
この時点で相手弁護士との交渉は全部自分が受けている。
弁護士にさせなかったのは、弁護士にも色々いるからだ。
普段弁護士と接触が無い人には信じられないかもしれないが、大半の弁護士は法廷で「戦わない」し、刑事事件は回避したがる。その手の弁護士は戦いが必要な仕事は受けないし、戦いが必要になると「弁護方針が違う」とか言って、仕事(弁護)をさくっと降りる。
以前、ある親しい弁護士は自分にこう言った。
「所詮、他人事だからね」
法律の専門家として敬意は払うし、法的アドバイスは求めるけど、指南役や人生を決定する役割まで負わせるつもりはないし、彼らにそんな能力があったためしは無い。
この弁護士には受任させないことにした。
和解ありきの弁護士活動。弁護士同士の阿吽の呼吸で自分の人生を処理されるのは勘弁願いたい。
ならば、どうするか。
自分でやるしかないだろう。
(不定期更新。恐らく次回が最終回)
Posted at 2023/06/29 10:06:53 | |
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車全般 | 日記
2023年06月24日
警察署の受付で担当の警察官を待っていると、ほどなく彼はやってきた。
まだ若い。恐らく20代前半だろう。
「お待たせしました。こちらへどうぞ」
その後は沈黙に包まれながら、取調室と思われる小部屋へ通された。
ほどなく彼の上司もやってきて、打合せが始まる。
こちらからは、現在の状況を記した書面を手交し、それに沿って説明を行う。
こちらの目的は再襲撃や事態終息後のお礼参りをどう防ぐかについて、警察行政として何が可能か教えて頂くというものだ。
しかし…警察官たちの表情は芳しくない。
しばし考慮をしているしぐさの後、口を開いて出てきたのはこんな内容だった。
「加害者に警告を行う、もしくはパトロールを増やすというのは出来ます」
もちろん、これらは殆ど意味が無いことは彼らも理解している様子だった。
特に法の枠内を容易に飛び越える輩には。
そうではなく、もっと積極的な策はないかと問うと、彼らはこんなことを言う。
「……Terryさんが引越しをするのはどうですか?」
なぜ、こちらがそんなことをしなくてはならないのか。
襲撃はまだ続いているような気がしてくる。
結局のところ、警察は被害者の保護に対して出来ることは何も無いということかと問うと、彼らは沈黙してしまう……それが何を表しているか、もちろん理解できる。
それなら自衛するしかないではないか。催涙スプレーなどを携帯するのはどうかと問えば、これはダメかもしれないという。軽犯罪法違反等に問われる可能性があるそうだ…なんで?相手は自由に武器(※酒も)を選ぶことが出来、自分のタイミングで襲撃することが出来るのに。
こちらは丸裸でいろというのか。一体、警察は何を守ろうとしているのか。守る対象に被害者が入っていないことは十分理解したが。
警察は現に被害を受けている“一般”市民の救済に何が出来るのだろうか…現行法制下ではほぼ何もない。
そうなると、市民の側から警察を評価するならば、存在の意義が随分と乏しくなる。身の安全を保つためには警察に替わる仕組みが必要になる。
でも現場の彼らを責めることには意味が無い。彼らは法を変えたり、超えたりすることが出来ない(たとえ実務上は上位者が立法を手伝っているとしても)。
Posted at 2023/06/24 13:12:52 | |
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車全般 | 日記
2023年06月21日
NDロードスターは証拠保全のためにガレージに眠ったままだ。
警察からOKが出たら、折れたアンテナなどの修理に出せるのだが…。
加害者については検察への送検を待ち、処分が決まるのを待つことにした。
弁護士からはしつこく電話がかかってくるので、メールでのやりとりに変更してくれと申し入れる。
しかしある時、弁護士から加害者の状況について、また電話連絡が入る。
「加害者は眠れない日々が続いておりまして…」
「奥さんからは酔って他人を傷つける人が身近にいるのは怖いと言われて、離婚の危機にあるようです」
それがこちらに何の関係があるのか。
その程度がなんだ。こちらは相変わらず右半身の痛みは引かず、寝返りも満足に打てないために熟睡することが出来ない。
それに、夫の危機に際して自分の身を優先させる位の夫婦関係なら、さっさと離婚すれば良かろう。その年から人生をやり直すことができるなら。
でも弁護士はさらにこう続ける。
「そのため、加害者の精神状態が非常に不安定になってきまして」
ふむ。こちらからは2つの可能性を念頭に、1つの可能性だけ確認した。
それは自殺するようなものなのかと。
「いえ、全くそのようなことはありません。しかし、事実の確認が時折怪しくなり、自分の身の心配が優先事項になっていまして…」
ああ、やはりこいつはクズだ。
それに…これは体のいい脅しだ。
もう1つの可能性。身の安全確保が第一目的と言っている被害者に対する、不安定な精神状態かつ酒乱の男による再襲撃のリスクを考えなくてはならなくなった。
生活圏がほぼ同じなので、彼が留置場から放り出された後、それを知らずに無防備に過ごしていたこちらは居場所をいつの間にか把握されている可能性を考慮しないといけない。
世の中には容易に一線を越える輩がいる。そしてその一線のこちら側と向こう側を都合の良いように行ったり来たりする輩もいる。今回の加害者のように。
攻撃側の方が常に有利だ。望むタイミングで攻撃を仕掛けることが出来る。一方、備える側は常に緊張を強いられる。そしてそんなことは維持出来ない。
内容を記録して、警察署に相談しに行くことにした。
しかしそこでは…救いも何もないことを再び知ることになる。
(不定期更新)
Posted at 2023/06/21 21:36:06 | |
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車全般 | 日記
2023年06月17日

相変わらず相手の弁護士からの電話がとまらない。
こちらの意思は変わらないし、あんまり相手をしている時間も無いので、ピックアップするのは3回に1回くらいになっていた。
この頃の弁護士の用件は「和解しろ」に変わっていた。
こちらはしないと繰り返し伝える。それでも何回もかかってくる。これが結構なプレッシャーになった。
それは何回目の電話だろうか…彼も一生懸命仕事をしているのだろうし、和解の内容を伺いましょうかと伝えてみた。
ところが、その弁護士はここぞとばかりにまくし立ててくる。
「Terryさんのお怪我の具合はいかがでしょうか?」
そんなものを気にしてもらう必要は無く、言いたくもない。本当に心配しているわけがないし…それでも現在は治療が続いていることを伝える。
すると彼は突然こんなことを言い出した。
「示談金には相場というものがありまして。概ね30万から50万と決まっております」
「〇〇程度の怪我なら、いくら、というように決まっているのです。ご理解ください」
何が“決まっている”ものか。
ルールどころか、相場さえない。
概ねの目安かもしれないが、外れ値は山ほどあるので相場と言えるほどのものは形成されていない(※和解の場合)。
示談金というのは、治療費や慰謝料込みの金額だそうだ。
こちらは医療費だけで30万弱使っている(10割負担)。飛んだ仕事、失った時間を考えれば、そんなもので収まるはずが無かろう。
それよりも許せないのは暴力に「値段付け」をしているかの如くの説明だ。
不道徳に過ぎる。
30万で示談を受けるなら、今回の場合は殴打1発1千円にもならない。
逮捕もされず、示談になれば大抵は前科にならないなら、金を払ってやり返したい人はいくらでもいるだろう。
その弁護士には冷静に伝える。
こちらに示談の意向は無いこと。
暴力の値付けは認めないということ。
刑事処分だろうと示談だろうと、こちらの第一目的はその辺をうろうろしている酒乱の人間からの身の安全確保であること。それには刑事処分できちんとタグ付けされて、彼に自己規制が効く方が最適であろうと考えていること。
先生の話は聞くが、こちらが示談する気になった場合、何をどうすればいいのか条件はこちらが決めるということ。
でも、その弁護士はこう言う。
「この人はそんなに悪い人じゃないんです」
ああ、いったい何の冗談なのか。
それとも何らかの忖度が働く相手ということか?
反応に窮してしばしの沈黙が訪れる。
(不定期更新)
Posted at 2023/06/17 15:32:58 | |
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車全般 | 日記